人々の生活に住まいは欠かせないものであり、それを支える不動産業界はこれからもなくなることのない、将来性のある業界です。
その不動産業界で長期的に活躍していく上で、重要となるのが「資格」です。
不動産に関する仕事は専門的な知識が必須であり、有資格者しか従事できない独占業務も数多くあります。
既に不動産業界で働いている人であればキャリアアップを目指せます。これから挑戦しようとする人は転職を有利に進められるでしょう。
今回は、不動産業界で働く上で役立つおすすめの資格について解説していきます。
この記事のまとめ
・不動産業界で役立つ法律系の資格11選
・不動産資格を取得する上でおすすめのスクール
不動産業界で活かせるおすすめの資格|10選
不動産業界と一口に言っても、企画・開発や不動産の仲介販売、不動産管理など、複数の業種があります。
ここでは各業種で役立つ10種の資格について、詳しく解説していきます。
宅地建物取引士
不動産関連の資格の中でも圧倒的な人気を誇るのが「宅地建物取引士」で、略して「宅建」と呼ばれています。
主な仕事内容は土地や建物といった不動産を売買する際に、専門的な知識を用いて最適なアドバイスを行うことです。
宅地建物取引士には独占業務が3つあります。
宅地建物取引士試験の合格率は毎年10~15%と、決して高い数字ではありませんが、対策してしっかり勉強すれば十分合格を狙えます。
受験条件に特別な内容はなく、不動産業界未経験者であっても挑戦可能です。
参考元:一般財団法人不動産適正取引推進機構
関連記事:【2024年最新】宅建資格の独学の難易度は?合格するための勉強法と合格率
管理業務主任者
管理業務主任者は平成13年にできた比較的新しい資格であり、不動産管理の業種で役立ちます。
主な業務内容は以下の通りです。
管理業務主任者試験の合格率は20%前後で推移しており、特別な受験条件はありません。
一戸建てを購入する人が減少し、マンション需要が高まってきていることもあり、毎年1.5万人以上の人が受験する人気資格です。
賃貸不動産経営管理士
分譲物件ではなく、賃貸マンションやアパート管理の専門家として新設されたのが「賃貸不動産経営管理士」です。
持ち家ではなく賃貸物件を選択する人が増えたことで、将来的に需要が高まると言われている資格です。
仕事内容は賃貸物件の入居者募集や入居中の管理、契約更新など多岐に渡ります。
賃貸不動産経営管理士試験の合格率は、年々下がってきており、難化が進んでいると推測されます。直近の合格率は30%ほどです。
マンション管理士
マンション管理士は、名前の通りマンションを管理する専門家であり、マンションに関して以下のような内容のコンサルティングを行います。
管理業務に従事するためマンション管理会社への勤務が一般的ですが、需要が高まってきている近年では、独立・開業する人も増えてきています。
マンション管理士試験の合格率は10%に届いておらず、非常に難易度の高い資格と言えるでしょう。
受験自体に特別な条件はないため、誰でも挑戦可能です。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は土地や建物の測量や調査を行うのが仕事で、2つの独占業務があります。
土地家屋調査士試験の合格率は毎年8%前後で推移しており、難易度は高めです。
受験にあたって特別な資格は必要なく、業界未経験でありながら通信講座や予備校で学び、資格取得するような人もいます。
不動産鑑定士
不動産の売買や不動産を担保にしてお金を借す際に、不動産の公正な価格を決める必要があります。
こうした時に不動産の鑑定を行い、公正な価格を決めるのが不動産鑑定士です。
この他では不動産の鑑定評価に基づいた、コンサルティング業務も行います。
不動産鑑定業務は不動産鑑定士しかできない独占業務であり、不動産業界や金融業界で幅広く活躍できる資格です。
不動産鑑定士試験の難易度は非常に高く、試験で行われる短答式試験と論文式試験を合わせた合格率は5%前後となります。
取得するには最低でも1年半~2年はかかりますが、需要が高く不動産鑑定士として働き始めれば、年収1,000万円以上も十分狙えます。
参考元:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag|不動産鑑定士
関連記事:不動産鑑定士試験の難易度とは?合格率・合格ラインについて解説
建築士
ビルや学校、住宅など、あらゆる建築物の設計を行うのが建築士の仕事です。
まずは依頼者がどのような建物を建てたいのかをヒアリングした上で、規模・デザイン・予算・法的条件などについて詳しく調査します。
その上で依頼者の要望を取り入れながら、構造や設備など各種設計図を作成するのが主な仕事です。
建築士には1級・2級・木造の3種類があり、設計できる建物の規模や種類が異なります。
建築士は新築工事・修繕工事・建替えなど、あらゆる建設工事に欠かせない存在であるため、将来性の高い資格です。
参考元:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag|建築設計技術
関連記事:建築士になるには?社会人から最短で建築士になる方法を紹介
競売不動産取扱主任者
競売不動産取扱主任者は不動産競売のプロとして、一般の購入者に対して競売に関するアドバイスやサポートを行います。
平成10年の民事執行法の改正により、競売物件でも住宅ローンが組めるようになったことから資格の需要も高まってきています。
競売不動産取扱主任者は民間資格であり、試験の合格率は毎年30%ほどで推移しており、難易度はそこまで高くない資格です。
受験資格に特別な条件はありません。
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターとは、住宅などのインテリアの手配や、配置に関してアドバイスを行う仕事です。
壁紙の色や材質・照明器具・水回りの整備など、インテリアに関する専門的な知識が求められます。
最近では従来のデザインに縛られないオフィスを採用する企業が増えてきているほか、老人ホームなどの需要も増えてきています。
依頼者の意図を汲み取って最適なデザインを考えるのはAIでも難しく、今後も将来性のある資格と言えるでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)とは保険や年金、税金に関する幅広い知識を持ち、ライフプランの設計をサポートするお金の専門家です。
FPは不動産取引に関する税金や法律、相続や事業継承に関する知識もあるため、不動産業界でも需要があります。
FP試験には1級~3級まであり3級の合格率は70%前後と高く、不動産業界に転職するまでの数ヶ月の間に取得することも十分可能です。
老後の資金問題がニュースで多く取り上げられたことをきっかけに、資産運用を気にする人が増えてきています。
これに伴いFPの需要も高まってきており、将来性の高い資格と言えるでしょう。
不動産業界で使えるおすすめの法律系資格|11選
不動産業界で活躍するには、不動産に関する法律にも詳しい必要があります。
ここで不動産の法律を扱う上で役立つ資格を11種類紹介していきます。
宅地建物取引士
不動産業界で役立つ資格でも紹介した「宅地建物取引士」は不動産売買などに関係する法律に詳しくなれます。
前述した通り、独占業務があるため不動産会社には欠かせない存在です。
宅地建物取引業者は、事業所内に必ず宅地建物取引士を設置しなければならない決まりがあり、人数は事業所の業務に従事する人の5分の1以上となります。
業務に従事する従業員が10名の事業所では、最低2人以上の宅地建物取引士が在籍していなければなりません。
関連記事:不動産業界で働く宅建士の年収は?資格取得のコツも解説
関連記事:宅建資格を取得するメリット5選|役に立たないと言われるのは本当?
土地家屋調査士
土地家屋調査士も不動産時に関する法律を熟知している必要があります。
前述した通り、土地家屋調査士にしかできない独占業務もあり、表示に関する登記の申請代理は司法書士であってもできません。
ちなみに、表示に関する登記は土地に関するもので6種類、建物に関するもので7種類あります。
行政書士
行政書士は行政書士法によって誕生した国家資格で「街の法律家」という別名もあります。
行政書士が行う業務は主に3つあります。
これらの業務の中には、家を新しく建てる際に必要な「建築確認申請」や、公共工事を手掛ける建設業者が毎年受ける「経営事項審査」などの代行業務も含まれます。
そのため、不動産業界や建設業界でも需要のある資格です。
行政書士試験の合格率は毎年10~15%で推移しており、難易度の高い試験と言えるでしょう。
司法書士
司法書士は、司法や法律に関する書類作成や手続き代行を行うのが仕事で、不動産登記や商業登記などを申請します。
行政書士が官公署に提出する書類作成や手続き申請を行うのに対し、司法書士は法務局に提出する書類作成や手続き申請を行います。
裁判や財務管理、相続遺言などあらゆる業務をこなしますが、法務局に対して行う「登記申請の業務」は司法書士にしかできない独占業務です。
司法書士試験の難易度は毎年3~5%で、法律関連の資格では最難関レベルとなります。
通関士
通関士とは輸出入の際に必要な通関手続きを代行して税務署へ申請する役割を持っています。
貿易業界における行政書士のような立ち位置であり、不動産業界では国際的な不動産取引や、海外からの不動産投資の際に需要があります。
通関士試験の合格率は毎年10%ほどであり、難易度の高い資格と言えるでしょう。
試験に特別な受験条件はありませんが、独学で勉強するのは現実的ではなく、通信予備校や講座を受けるのが一般的です。
社会保険労務士
社会保険労務士は社会保険や労働に関する法律の専門家として、労務管理や人事管理を行います。
不動産業界を含めた全ての企業で必要とされる需要の高い資格であり、3つの独占業務があります。
不動産に関する業務はありませんが、企業の人事・総務部で活躍できる資格です。
社会保険労務士試験は試験範囲が膨大かつ専門的な内容が多いため難易度が高く、合格率は毎年6%ほどです。
弁理士
弁理士は知的財産法や特許法などを中心に扱う法律家で、特許庁へ特許・商法・意匠の出願を行います。
このような知的財産権の申請業務は、弁護士にしかできない独占業務です。
不動産業界では各ハウスメーカーの不動産ブランド取引や、建設に関する技術の開発関連の特許出願などで活躍できます。
弁理士試験の合格率は平均6~7%であり、難関資格と言えるでしょう。
弁護士
法律関連の資格の中で最も知名度が高い資格であり、法律に関するあらゆる仕事に精通できます。
独占業務には折衝・裁判所への出廷・刑事事件の弁護人の担当があります。
不動産取引検討時のリスク判断やトラブル発生時の初期対応など、不動産業界でも需要が高く、顧問弁護士として活躍できるでしょう。
弁護士試験は法律関連の資格の中でも最難関と言われており、専門の学校や大学に進学して学ぶのが一般的です。
知的財産管理技能検定
知的財産を適切に管理・活用するための資格です。
知的財産を運用する上で起こりうるトラブルを未然に防ぐ役割を持っており、不動産業界でも活躍できます。
試験は1級から3級まであり、3級は入門編となるため比較的簡単に知的財産を管理するための知識を学べます。
企業内では主にブランドやデザイン、技術を扱う部門に所属するのが一般的です。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定とは実務レベルの法的知識を身に付けられる資格で、取引先との契約書の締結や企業財産の管理など、幅広く知識を学べます。
近年、コンプライアンスは各企業の活動に欠かせないものであり、法律部門を強化できる意味で、ビジネス実務法務検定の有資格者は重宝されるでしょう。
ビジネス実務法務検定には1級~3級まであり、入門編である3級は合格率が70~80%と高く、働きながらでも十分取得可能です。
衛生管理者
衛生管理者は作業環境の衛生管理や労働者の健康管理、衛生教育や健康の保持・増進を行う役割があります。
業界に関係なく常時50人以上の労働者が働く事業場では、必ず1名以上の衛生管理者を置くように法律で定められています。
衛生管理者には第一種と第二種の2種類があり、不動産業界で需要があるのは第二種衛生管理者です。
第二種衛生管理者試験の合格率は50%前後と、難易度はそこまで高くない資格です。
不動産業界の資格を取得するのにおすすめのスクール
不動産に関する資格は専門的な内容が多く、独学で合格するのは難しい資格がほとんどです。
そのため、不動産業界の経験がない方はもちろん、既に働いている人でも、通信講座や通学講座を利用するのがおすすめです。
ここでは宅地建物取引士と社会保険労務士の取得におすすめの、通信講座や通学講座について解説していきます。
宅地建物取引士の取得なら
宅地建物取引士の通信講座は勉強期間を3~6ヶ月と設定しているものが多く、費用は6万~24万円です。
今回おすすめするのは通信教育のフォーサイトが提供する「【返金保証有】宅建合格講座 2023年度試験対策【Web通信】」です。
勉強期間は3ヵ月で費用は59,800円(税込)となります。
初学者や受験経験者が対象で、合格するために必要な知識だけを厳選したテキストで効率的に学習を進められる特徴があります。
当該講座を活用した方の合格率は全国平均合格率の4.41倍と、高い実績を出している講座です。
社会保険労務士の取得なら
社会保険労務士の通信講座は、勉強期間が6~24ヶ月であり、費用は8~29万円となります。
今回おすすめするのはクレアールが提供する「【社会保険労務士】 一発合格ストレート先行学習コース Web通信」です。
勉強期間は約16ヵ月で通常237,000円のところ、2023年7月現在では113,390円で申し込みできます。
試験に精通した講師陣がプロデュースしたテキストは、10年分の試験を徹底分析しています。
自宅でのパソコン学習はもちろん、移動中や外出先ではスマートフォンやタブレットを活用した学習も可能です。
不動産業界でもう1つ資格を取るならおすすめの組み合わせ
不動産業界は仕事の幅が非常に広いため、複数の資格を保有することでより活躍の幅を広げられます。
不動産業界で人気の「宅地建物取引士・行政書士・社会保険労務士」との組み合わせでおすすめの資格は以下の通りです。
・行政書士
・FP(ファイナンシャルプランナー)
・マンション管理士
・税理士
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・司法書士
・社会保険労務士
・税理士
・行政書士
・FP(ファイナンシャルプランナー)
既にいずれかの資格を保有している方は、上記組み合わせを参考に別の資格取得も検討してみるとキャリアアップに役立ちます。
関連記事:宅建資格を活かして就職できる業界は?活かせる仕事内容とできることを解説
不動産業界でおすすめの資格に関してよくある質問
最後は不動産業界で活かせる資格に関するよくある質問について、解説していきます。
これから不動産業界への転職や就職を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産業界で活躍できそうな資格を難易度別に教えて下さい
不動産業界で活かせる資格の難易度を1~5段階で表すと以下の通りです。
難易度1 | ・不動産仲介士・ビジネス実務法務検定 |
難易度2 | ・ビル経営管理士・個人情報保護士 |
難易度3 | ・宅地建物取引士・土地区画整理士・任意売却取扱主任者・通関士・ビジネスコンプライアンス検定(上級) |
難易度4 | ・社会保険労務士・行政書士・土地家屋調査士・マンション管理士・ビジネス実務法務検定(1級) |
難易度5 | ・弁理士・司法書士・不動産鑑定士・司法試験(弁護士) |
関連記事:不動産業界で活躍しやすい資格を一挙に紹介
関連記事:未経験から不動産業界への転職はあり?難易度やメリットを解説
不動産業界でおすすめの資格についてのまとめ
今回は不動産業界でおすすめの役立つ資格について紹介してきました。
不動産業界には3つの業種があり、それぞれで必要となる専門知識が異なります。
今回紹介した資格は各業種で活かせる資格であり、中には不動産企業に応募する前の未経験者であっても挑戦できる資格もあります。
通信講座を使用すれば働きながらであっても勉強しやすいため、長期的に不動産業界で活躍したい方は、ぜひ資格取得に挑戦してみましょう。
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