電気通信主任技術者

電気通信主任技術者の難易度は高い?平均年収や合格のコツも解説

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電気通信主任技術者は電気通信におけるスペシャリストであり、就職面でも需要が非常に高いと言えます。

一方で資格を取得する上で必須となる学歴や実務経験はなく、誰でも挑戦できます。

中には電気通信主任技術者を取得してのキャリアアップや、別業界からの転職を考えている方もいるのではないでしょうか。

今回は電気通信主任技術者について、試験の詳細や仕事内容、平均年収などをわかりやすく解説していきます。

電気通信主任技術者とは

電気通信主任技術者とは、電気通信ネットワークの工事監督、その後の維持・運用を行う責任者のことで、国家資格です。

電気通信主任技術者は「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2つに区分されます。

・伝送交換主任技術者:伝送交換設備や関連設備の工事・維持・運用を行う

・線路主任技術者:電気通信事業における線路設備や関連設備の工事・維持・運用を行う

電気通信主任技術者は、事業用電気通信設備を直接管理する事業場ごとに専任する必要があります。

情報ネットワークが高度化する近年、電気通信のスペシャリストとして欠かせない存在であり、需要は今後更に高まると予想されます。

電気通信主任技術者の難易度

電気通信主任技術者試験では、必要最低限の専門知識や能力を有しているかを問われます。

試験は『伝送交換主任技術者試験』『線路主任技術者試験』の2つに分かれており、それぞれに3科目用意されています。

ここでは電気通信主任技術者の難易度を、下記項目ごとに解説していきます。

・電気通信主任技術者の難易度は高め
・合格率の推移
・一発で合格できる確率
・科目数の分布
・科目数別の合格率

電気通信主任技術者の難易度は高め

電気通信主任技術者の難易度はかなり高く、電気通信分野の国家資格では1、2を争うほどです。

受験すること自体に条件はないものの、合格するのはそう簡単ではありません。

合格率の推移

電気通信主任技術者試験の合格率は、昭和60年度~令和4年度までの平均数値で21.6%です。

伝送交換主任技術者試験と線路主任技術者試験に分かれており、合格率は年度によって異なります。

令和4年度第2回の合格率は伝送交換が29.4%、線路が38.8%であり、計32.4%です。

引用元:一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター|電気通信主任技術者試験統計情報

一発で合格できる確率

電気通信主任技術者試験は、学歴や実務経験によって科目免除を受けられます。

また、試験自体は不合格であっても、科目別で合格した場合には試験の翌月から3年以内であれば合格した科目は免除となります。

これらの条件によって合格した人を除き、初めての受験で合格する確率は約2%程といわれており、合格者0人の年もあるほどです。

すなわち合格者のほとんどは、科目合格の積み重ねや科目免除による申請合格者となります。非常に難易度の高い試験であることがわかります。

科目数の分布

受験者の中で3科目全てを受験している人は少なく、全体の1~2割ほどです。

線路主任技術者試験で多いのが1科目受験であり、伝送交換主任技術者試験では2科目受験となっています。

先ほどお伝えした通り、合格した科目は3年以内であれば科目免除となることが影響していると言えるでしょう。

また、実務経験や資格による免除が入り、法規だけや設備だけの受験になることも影響しています。

科目数別の合格率

最も受験者が少ない3科目受験の場合、合格率は〜5%ほどです。

2科目受験の場合は、線路主任技術者試験で10%未満、伝送交換主任技術者試験で20%前後となります。

1科目受験の場合は、線路主任技術者試験で約45%、伝送交換主任技術者試験で約33%となります。

関連記事:電気主任技術者とは?資格の取得内容や仕事内容を詳しく解説

電気通信主任技術者の難易度が高い理由

電気通信主任技術者試験が難しい理由は「出題範囲がとても広いから」と言えます。

過去に出題された問題が再度出題されにくく、試験対策が難しい資格の1つと言えるでしょう。

電気通信主任技術者の試験の詳細 

ここでは電気通信主任技術者の試験について、試験の方式や受験資格、試験科目の詳細を解説していきます。

試験方式

試験方式は、全科目とも択一式マークシート方式です。

受験資格

電気通信主任技術者の受験資格は特にないため、学歴や経歴・実務経験に関係なく誰でも受験できます。

試験科目

電気通信主任技術者の試験科目は、伝送交換主任技術者試験と線路主任技術者試験ごとで下記の通りです。

【伝送交換主任技術者試験の科目】
・伝送交換設備及び設備管理
・電気通信システム
・法規
【線路主任技術者試験の科目】
・線路設備及び設備管理
・電気通信システム
・法規

合格基準

電気通信主任技術者試験の合格基準は、科目ごとで100点満点中60点以上です。

免除

電気通信主任技術者試験では6つの項目で定められた各条件に当てはまれば、試験科目の控除を受けられます。

電気通信主任技術者試験の免除項目 免除条件の内容
試験種別毎の免除科目 旧第二種伝送交換主任技術者の場合、資格取得後に事業用伝送交換設備で2年以上の実務経験があれば、設備科目免除が受けられるなど
資格による科目の免除 伝送交換主任技術者、旧第二種伝送交換主任技術者、伝送交換主任技術者(特例試験による取得者)、線路主任技術者を保有している場合は科目免除となる
科目合格 過去に受験して合格した科目(受験した翌月から3年以内)
資格と実務経歴による

 

科目免除申請

伝送交換主任技術者、線路主任技術者、旧第二種伝送交換主任技術者の資格を所有していれば、他の試験種別を受験する場合、所定の実務経験期間により科目免除となる
学歴と実務経歴による

 

科目免除申請

定められた学歴を有しており、学校卒業後における所定の実務経験がある場合は、経歴証明書と学歴を証明できるものを添付すれば科目免除となる
認定学校単位修得者 総務大臣が認定した教育施設の科目履修証明書を提出すればシステムの科目免除が申請できる

既に科目免除と認定された試験科目で再申請する際には、証明書を再度提出する必要はありません。

科目免除の申請は、原則インターネットによるアップロードとなります。

試験種別毎の免除科目の詳細は、電気通信国家試験センターのHPから確認することができます。

一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター|試験免除 : 試験科目の試験免除

身体上の障害等に係る特別措置について

受験するにあたり、何らかの措置が必要である場合は障害に応じて、付き添い・時間延長・文字の拡大などの特別措置が講じられます。

電気通信主任技術者の場合は、試験をインターネット申込時に『身体障害者特別処置』にチェックを入れて申請します。

願書受付期間

電気通信主任技術者の願書受付期間は、インターネットと郵送で異なるので注意しましょう。

・インターネットの場合

1回目の試験:4月上旬~5月上旬ごろまで
2回目の試験:10月上旬~上旬ごろまで

・郵送の場合

1回目の試験:4月上旬~5月上旬ごろまで(実務経歴による試験科目の免除申請も行う場合は4月上旬~下旬ごろまで)

2回目の試験:10上旬~下旬ごろまで(実務経歴による試験科目の免除申請も行う場合は10月上旬~中旬ごろまで)

毎年の具体的な日程は、電気通信国家試験センターで公表されます。

試験日程

電気通信主任技術者試験の日程は、1回目が毎年7月中旬ごろとなり2回目が1月下旬ごろの年2回となります。

毎年の具体的な日程は、電気通信国家試験センターで公表されます。

受験地

電気通信主任技術者試験の受験地は、札幌・仙台・新潟・金沢・長野・埼玉・東京・横浜・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・熊本・那覇となります。

試験の2週間前までに送られてくる受験票で試験会場を知ることができます。

受験料

電気通信主任技術者試験の受験料は受験する科目の数によって変わります。

・3科目受験:18,700円
・2科目受験:18,000円
・1科目受験:17,300円
・全科目免除:9,500円

料金は全て非課税です。

合格発表日

合格発表日は1回目試験であれば7月下旬~8月上旬となり、2回目試験であれば2月中旬ごろとなります。

詳細に関しては、電気通信国家試験センターで確認できます。

受験申し込み・問い合わせ先

電気通信主任技術者試験に関する情報は全て『一般財団法人日本データ通信協会|電気通信国家センターのホームページ』で発表されます。

ホームページ内にはよくある質問が記載されているほか、メールや電話でのお問い合わせもできます。

一般財団法人 日本データ通信協会 電気通信国家センターのお問い合わせページ:https://www.dekyo.or.jp/shiken/contact

関連記事:電気主任技術者の合格率は?合格するための5つのコツとは

電気通信主任技術者に合格するには

電気通信主任技術者に合格するには、過去問を解きながら詳しく理解していくことが大切です。

出題範囲全てを学び理解することが理想ですが、実務経験や専門の大学で学んでいない限り現実的ではないと言えます。

効率よく最短で合格を目指す場合には、過去問を解きつつ分からないことがあればその都度学ぶというスタイルがおすすめです。

参考書を選ぶ際には解説が充実している本を選ぶといいでしょう。

科目ごとでも勉強のポイントは変わります。

 

【線路設備と設備管理】

2021年7月以降の試験では「専門的能力」という科目がなくなり、線路設備及び設備管理と一緒になりました。

そのため非常に出題範囲が広くなります。

線路設備及び設備管理に加えて、専門的能力分野も学ぶ必要があります。

線路設備及び設備管理の過去問をこなすことから始めましょう。

線路設備及び設備管理の過去問には、専門的能力を含む問題が多数あり平行して学べるからです。

ネット上には専門能力の過去問を取り扱うコンテンツもありますが、正確に解説しているとは限りません。

リサーチにも時間がかかり非効率と言えるでしょう。

 

【法規】

法規は暗記要素が高いため、過去問を何度も解きながら記憶していく方法がおすすめです。

電気通信主任技術者の就職先

電気通信主任技術者として転職する場合、ほとんどの電気通信関連会社で就職できると言えます。

事業用電気通信設備を直接管理する、事業場ごとで選任する必要があるからです。

無線LANシステムや高速通信などの通信設備を取り扱う会社が主な就職先となるでしょう。

電気通信主任技術者の平均年収

厚生労働省が発表した令和3年賃金構造基本統計調査によると、電気通信主任技術者を含む電気工事従事者の収入は下記の通りとなっています。

・きまって支給する現金給与額:321,200円
・年間賞与その他特別給与額:827,100円

参照元:e-stat政府統計の総合窓口|賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

このデータから算出した電気通信主任技術者の平均年収は4,681,500円ほどです。

全体平均となっているため、入社したばかりの頃はこれよりも少なくなる可能性がある一方で、経験を積めばこれ以上の年収を目指すことも十分可能です。

関連記事:電気主任技術者の年収はいくら?資格別の違いも解説

電気通信主任技術者の仕事内容

電気通信関連の工事では、インターネットや携帯電話といった無線や有線の電気通信システムの設計・計画を行います。

電気通信主任技術者は、このような電気通信ネットワーク工事の運用や維持を担う仕事です。

運用・維持を行う監督責任者は、電気通信主任技術者しか従事できません。

ちなみに、似たような名前の職種に『電気主任技術者』というものがあります。

電気主任技術者は通信設備ではなく、ビルや工場、病院などの電気設備に関する工事や運用をするのが仕事となります。

電気通信主任技術者の資格を取得するメリット

電気通信主任技術者の資格を取得するメリットは主に3つあります。

・資格手当や昇給により年収を上げられる
・転職の幅が広がり有利になる
・技術力の証明ができる

電気通信主任技術者を取得すると、資格手当をもらえるようになります。

会社にもよりますが、資格手当は5,000円~30,000円ほどであり、取得してすぐに年収を上げられます。

また、合格率が低く難易度が高い資格を取得すれば、取得に向けた努力もアピールできて、昇給額を上げることも可能です。

電気通信ネットワーク工事の運用や維持は、電気通信主任技術者しか従事できないので多くの会社で重宝されます。

転職を考えている場合には転職先の幅が広がり、採用をもらいやすくもなるでしょう。

技術力に関しても、資格を取得すれば通信システムの通信線路や伝送交換のプロとして認められます。

電気通信主任技術者の将来性

近年、ネットワークの需要は増加し続けており、将来的にも減ることはないと考えられます。

特にAI技術を活かしたデジタル化が進んでいるため、各施設において高度な知識が求められるようになるでしょう。

電気通信主任技術者はこれらの電気通信工事に必須であり、将来性は高まると予想されています。

電気通信主任技術者の勉強にオススメの教材

電気通信主任技術者試験は受験資格がありません。

実務経験がなく専門学校を卒業していない方でも挑戦できます。

しかし、ゼロから勉強をスタートする場合は何から手をつければいいのか、どんな教材がおすすめなのか分からないのではないでしょうか。

このような場合は、電気通信主任技術者試験の過去問から学べる教材がおすすめです。

日本理工出版会が販売する『電気通信主任技術者試験全問題解答集 共通編 (伝送交換主任技術者・線路主任技術者)』は過去問について分かりやすい解説もあるのでおすすめです。

通販で購入可能であり、単行本とkindle版の2種類から選べます。

料金は単行本で6,820円、kindle版で6,479円ほどです。

電気通信主任技術者に関してよくある質問

電気通信主任技術者に関してよくある質問について回答していきます。

電気通信主任技術者は役に立たない?

電気通信主任技術者は、事業用設備を管理している事業場に欠かせない存在です。

電気通信業界ではとても有名な資格であり、保有しているだけで自分の実力を証明するためにも役立つでしょう。

関連記事:電気主任技術者はやめとけ?現役のリアルな声や実態を紹介!

伝送交換主任技術者資格者と線路主任技術者資格者、どちらが難しいですか

電気通信主任技術者試験の合格率で言えば、伝送交換主任技術者資格の方が難しいと言えるでしょう。

直近2年間の試験結果は下記の通りです。

種類 令和4年度2回目 令和4年度1回目 令和3年度2回目 令和3年度1回目
伝送交換主任技術者資格者 29.4% 23.9% 32.8% 45.6%
線路主任技術者資格者 38.8% 43.2% 45.1% 61.3%

参照元:一般財団法人日本データ通信協会 電気通信国家試験センター|電気通信主任技術者試験の実施結果: 試験種別毎推移表

個人で科目によって得意不得意があるので一概には言えませんが、伝送交換主任技術者資格の方が難しいと言えるでしょう。

関連記事:電気主任技術者に必要な実務経験の内容と年数を資格別に解説

まとめ

今回は、電気通信主任技術者について解説してきました。

電気通信のスペシャリストとして業界に欠かせない存在であり、取得すればキャリアアップに繋げられます。

試験は誰でも受けられる一方で、難易度はとても高いと言えます。

一回で合格する人は少なく、複数の科目で合格しながら取得するのが一般的です。

取得すれば電気通信業界への転職がしやすくなり、現役の技術者であればキャリアアップして年収を上げることも可能です。

将来的にも電気通信主任技術者の需要は高まると予想されており、これから勉強を始めるといった人でも遅すぎることはないでしょう。

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