運行管理者は自動車運送会社にとって重要な役職です。運行管理者は国家資格であるため、基本的には国家試験に合格しなければ資格を取得することができません。しかし、試験を受けなくとも資格を取得できる方法があります。
ここでは運行管理者の資格の取り方、資格を取るまでの流れ、選任された後の流れなどについて詳しく解説しています。
運行管理者を目指している人は必見の内容になっています。最後まで読み進めて参考にしてください。
運行管理者とは
運行管理者とは、バスやトラックなどの事業者用車両を運転するドライバーの管理や配車手配、運行ルートなどを指示する人のことです。
ドライバーが日々安全運転を行えるよう指導と法令に則った勤務管理を行う運送業において重要な立場です。
関連記事:運行管理者の仕事内容とは?資格の取得方法やメリット、平均年収なども解説します!
運行管理者になるための条件とは
運行管理者は国家資格であるため、まずは資格を取得しなければいけません。
この資格の取得方法は2つあります。
資格試験に合格する
最も一般的な方法は資格試験に合格することです。試験は年に2回(通常3月と9月)開催されています。受験資格は2つあり、1つ目は運行管理者の補助業務を1年以上経験していることです。
もう一つの受験資格は事前に3日間の基礎講習を受講すれば受験資格が与えられます。基礎講習は資格試験の出題範囲を授業で習うため、実務経験がある方でも試験前に受講することが推奨されています。
運行管理者に選任された後、基礎講習がまだの方は受講しなければいけません。どちらにしても受講しなければいけないので、試験前に受けておくといいでしょう。
所定の条件をクリアする
もう1つの条件はある条件をクリアすることです。その条件とは、「5年の実務経験と5回講習に参加すること」です。
この場合だと資格試験を受験しなくとも資格が与えられます。試験勉強の手間や受験費用の節約にもなります。実は資格試験の合格率は30%台と難易度が高く、簡単には合格できない内容となっています。そのため、試験を受けずとも資格が取得できるこの方法も意外と人気がありますよ。
この方法について次の章でもう少し踏み込んだ解説をしましょう。
5年の実務経験や5回の講習参加とは具体的にどんなこと?
試験を受験しなくとも資格が取得できる方法として、5年の実務経験と5回の講習の参加があると紹介しました。この方法についてもう少し詳しく解説していきましょう。
5年の実務経験とは?
実務経験として認められる仕事内容は運行管理に関する仕事の補助業務です。要は運行管理者の補助者として5年間実務経験を行えば1つ目の条件がクリアされることになります。
この補助業務がどういった仕事かは以下のようなものになります。
・点呼の一部分
・運行指示に関する資料作成やドライバーへの伝達業務
この点呼の一部分とは、点呼の1部を行うのではなく、点呼できる回数が制限されているということになります。
点呼は毎日出勤時と退勤前に行うことが義務付けられています。その点呼を行う中で1か月間の全点呼回数の3分の2まで補助者が行ってもいいとされています。
例えば点呼を1日に2回行う事業者で1か月が30日だった場合、この月の全点呼回数は60回になります。つまり、補助者はその3分の2である40回まで点呼を代わりに行うことができるのです。
もう一つの資料作成やドライバーへの伝達業務に関してですが、まず補助者自身の資料を作ることはできません。あくまで運行管理者が考えた内容を補助者がまとめるというものになります。運行管理者の指導・監督のもと業務を行っていると考えましょう。
伝達業務も同じです。例えばドライバーの体調が優れておらず、運行に支障が出そうだなと感じた場合、運行管理者にその旨を伝えて、運行できるかどうかの指示をもらいます。
そのあと、いただいた内容の指示をドライバーに伝えるといったことを行います。
他にもアルコールが確認できた場合や速度違反を行った場合などドライバーの過失による問題などが発覚すれば、直ちに運行管理者に報告し、そのあとの対応の指示をいただくことも補助者の仕事になります。
講習とは?
この条件に当てはまる講習とは、運行管理補助者として勤務している間に受講したものとされています。
この講習は基礎講習と一般講習の2種類あり、5回のうち、1回は基礎講習を受講しなければいけません。
ここで注意しなければいけない点として、講習の順番があげられます。まず一番初めに基礎講習を受講することが必須となっています。というのも基礎講習を受講することで補助者として選任されるからです。そのため、一般講習を受講する前に基礎講習を先に済ませておきましょう。
また、講習は1年に1回までしかカウントされない仕組みとなっています。まとめて一気に講習をうけても1回としかカウントされないので注意しましょう。
この1年とは4月から翌年3月の期間になります。最初に基礎講習を受講し、そのあと1年に1回ずつ一般講習を受講して条件を満たすようにしましょう。
基礎講習・一般講習について
運行管理者の資格を取得するために基礎講習と一般講習の受講が必要と紹介しました。それではこの基礎講習と一般講習の内容や申込み方法などについて解説していきましょう。
基礎講習
基礎講習は独立行政法人NASVAなどが開催しています。この基礎講習を受講すると運行管理の補助者ができるようになります。このほかに通常であれば1年以上の実務経験が受験資格である運行管理者の資格試験を受けることができます。
講習時間や講習場所
講習は3日間かけて行われており、合計16時間の講習時間があります。
NASVAの場合、講習場所は全国各地にある支所で行われています。貨物の場合は年に4回、旅客の場合は年に2回程度開催されています。受講料は8,900円で開催日に現金にて支払います。
申込み方法はNASVAのホームページ、もしくは郵送にて受け付けています。
基礎講習は運行管理者に選任された後、過去に受講していないものは必ず受けなければいけません。つまり、運行管理者になるものはどちらにしても必ず受講しなければいけない講習となっています。
基礎講習の内容
基礎講習では3日間かけて道路交通法や道路運送車両法などといった法律に関することや運行管理の業務に関すること、事故防止に関することなど業務上必要な知識をみっちり叩き込まれます。
最終日には修了試験も行われるので、講習中に寝たり、ボーっとしたりしてしまってはいけません。
一般講習
一般講習も基礎講習と同じくNASVAなどが主催しています。運行管理者の補助者として5年間働いている間に4回受講すれば運行管理者の資格が与えられます。
また、運行管理者に選任された後も2年に1回は必ず受講することが義務付けられています。受講しなければ資格が剥奪される可能性があるので注意しましょう。
講習場所や講習時間
一般講習が行われるのは全国各地の支所で基礎講習が行われる会場と同じです。講習は1日かけて行われます。1か月の間に複数回行われるため、自分の都合のいいときに受講することができます。
予約はNASVAのホームページ、または電話などで受け付けていますが、3日前までの申込みが必須となっています。
講習費用は3,200円で当日受付時に支払うことになっています。
講習内容について
一般講習の内容は自動車運送業における法令や運行管理の業務に関すること、ドライバーの指導及び管理に関することなど日常業務に関わる内容の復習や変更事項などが伝えられます。
講習修了時には修了証書が授与されます。失くさないように保管しておきましょう。
資格を取得した後の流れ
運行管理者の資格を取得したあとの流れについて紹介していきましょう。
資格試験に合格した人の場合
資格試験に合格した人は合格発表から3か月以内に所定の書類を準備して、所轄の運輸局に資格証の交付申請手続きを行いましょう。3か月を過ぎてしまうと合格が無効になります。絶対に忘れないようにしてください。
5年の実務経験と5回講習の参加経験がある人の場合
こちらの場合は資格を交付するにあたって運輸支局に資格証の交付申請を行います。実務経験の証明書は会社に発行してもらいましょう。
「運輸管理に関する実務経験証明書」という書類にハンコを押してもらい、この書類を提出した後、資格が交付されます。
資格が届いた後
資格が届いた後は運行管理者として選任したという届出を行わなければ正式には認められません。
貨物の場合は選任から1週間以内に、旅客の場合は15日以内に届け出を行いましょう。届け出先は国土交通大臣です。ただし手続きを行うのは運輸局の支局になります。
届出の際に必要なものは下記のとおりです。
・運行管理者選任・解任届出書
・運行管理者資格者証の写し
この選任・解任の届出書は国土交通省や運輸局のHPからダウンロードできます。
運行管理者の配置人数
運行管理者はバスやタクシーなど人を乗せて賃金をとる「旅客」とトラックや軽バンなどに荷物を載せて運ぶことで賃金をとる「貨物」の2種類があります。
運行管理者は営業所に配置しなければいけませんが、人数は保有している車両の数によって異なります。同じ車両数でも旅客と貨物では異なります。詳しく解説していきましょう。
貨物
1~29台:1名
30~59台:2名
60~89台:3名}
以降30台増えるたびに1名追加
旅客
旅客のなかでも貸切バスと乗合バスで少し条件が異なります。
タクシー/乗合バス
1~39台:1名
40~79台:2名
80~119台:3名
以降40台増えるたびに1名追加
貸切バス
1~39台:2名
40~59台:3名
60~79台:4名
以降20台増えるたびに1名追加
運行管理者の注意点
運行管理者に選任されたあと、気をつけるべき点について紹介していきましょう。
運転手との兼任はできない
運行管理者は基本的にドライバーを担当することができません。運行管理者は点呼だけでなく、運行中の状況確認や渋滞時などの対応策の検討・指示、その他電話対応など行わなければいけない仕事が多いです。
特に営業所によっては運行管理者が1人しかいない場合があります。ドライバーの人員不足だからといって運転をしてしまうと点呼や運行業務が行えなくなります。
もし営業所に2人以上運行管理者がいる場合や、運行管理者の補助者がいる場合は運転手を行える場合があります。ですが、運行管理者はなるべく営業所にとどまる方が業務の支障が起きにくいでしょう。
2年に1回講習を受けないといけない
運行管理者の資格は一度取得すると一生ものです。ただし、選任時は年度内(4月~翌年3月)、そのあとは2年に1回の講習を受講しないといけません。
運行管理者が受講する講習は「基礎講習」と「一般講習」、「特別講習」の3種類あります。
この場合の講習は一般講習に当たります。以前は講習の受け忘れがないように通知が来たのですが、今は通知が送られないようになりました。手帳に書き込む、カレンダーに記すなど自分なりの対策を行いましょう。
もし受講を忘れてしまった場合には行政処分(自動車等停止処分)が下される可能性があります。この行政処分を受けた場合、特別講習を受講しなければいけません。
この特別講習は重大事故や法令違反によって行政処分を受けた運行管理者が受講しなければいけないものです。2日間にかけて合計13時間の講習があります。
また、行政処分を受けてしまうと国土交通省のHPに掲載されて
しまいます。もし掲載されてしまうと顧客から信頼性を失ってしまい、損害が出てしまう可能性があります。くれぐれも忘れるといったことはないようにしましょう。
まとめ
運行管理者の資格を取得する方法として一般的なのは資格試験を受験することです。その理由としては、資格取得に時間がかからないためです。
しかし、すぐに資格を取る必要がない人や資格を取るか決めていない人は、今回のような5年の経験と5回の講習参加という方法もおすすめです。
運行管理者の補助者として仕事を続けていき、取得したいと思ったタイミングで資格の手続きを行えばいいだけです。資格試験の勉強の必要もないので、気楽に取得できる方法でしょう。
どちらの取り方の方がいいとかはないので、1つの方法として知っておいていただければ幸いです。
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