1 過積載とは?
過積載とはどうゆう意味でしょうか。簡単に言いますとトラック等の荷台に積める最大積載量をオーバーした状態を過積載と呼びます。
過積載は道路交通法違反となり運転手、場合によっては事業者も罰則の対象となります。
なぜこのような事が起こるのでしょうか。背景には日本社会での深刻な人手不足があります。特に物流業界では『どのように効率良く配送を行うか』に注目しており、コスト削減、効率アップが常に目標とされています。
しかし、このような発想が度を過ぎると最大積載量を無視した過積載が行われてしまいます。そしてそれが原因で事故を起こした場合はドライバーへの罰則は当然の事、最悪の場合は事業主への事業許可の取消処分が行われます。
2 なぜ過積載は禁止されているのか
過積載は重大事故の原因になります。
2.1 制動距離が伸びる
制動距離とはブレーキをかけてから実際に止まるまでの距離です。下の図は10トン車の積載量と速度に対する制動距離の表になります。図を見て分かる様に定積を越えた過積載を行うと制動距離が長くなります。
注目すべきは80キロでの走行時、過積載180%では定積の距離から20メートルも制動距離が延びてしまいます。
2.2 ブレーキの負荷が大きく、全く効かなくなることも
過積載により『制動距離が延びる』という事はブレーキへの不可が増加するということです。
ブレーキに不可がかかるとブレーキディスクとブレーキパッドが常に接している状態になり摩擦力が低下します。そうするとブレーキを踏んでも止まらない『フェーン現象』が発生します。
2.3 バランスの悪化で横転も
過積載により横転をする可能性があります。荷物を大量に積載しようとするとどうしても荷物を高く積みがちになります。そうすると重心は高くなりカーブで横転する可能性があります。当然、車両の左側だけたくさん荷物を積んだり右側だけ荷物を積んだりする事も横転事故の原因になります。
過積載にならない様にまた重心を意識して積み付けを行う様にしましょう。
3 過積載は法律で罰則が定められている
知らないでは済みません。しっかり確認しましょう。
3.1 事業主への罰則
過積載運転が発覚した場合、事業主は公安委員会から運行管理改善を図る為、過積載を防止する為に必要な措置を取るように指示されます。さらにこの命令から1年以内に再度過積載を行うと車両使用制限命令が下されます。
・『自動車使用制限命令違反』は3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
・『自動車の使用制限に関する標章を破損、汚損、取り除いた場合』は2万円以下の罰金又は科料
・『過積載を下命・容認した場合』は6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金
初回の過積載であっても車両停止処分、再犯の場合は車両停止命令の大幅延長になる可能性があり、悪質な場合は事業許可の取り消し処分が下されます。
3.2 荷主への罰則
過積載をさせた場合、荷主も責任を追及される事になります。
道路交通法で荷主は過積載になると知りながら、積載物を売渡したり引渡したりしてはいけないと定められております。これに違反すると警察署長からの再発防止命令が出され、改善が無ければ罰則があります。
・『再発防止命令違反』6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金
3.3 運転手への罰則
過積載走行によって事故を起こすと違反点数、反則金の他に民事訴訟で損害賠償責任が生じることとなります。点数や罰金は次に紹介致します。
3.4 過積載の超過分の点数、罰金
過積載を行うと運転手は点数、反則金を支払う必要があります。
超過割合 | 大型車 | 普通車 | ||
5割未満 | 2点 | 3万円 | 1点 | 2万5千円 |
5割以上10割未満 | 3点 | 4万円 | 2点 | 3万円 |
10割以上 | 6点 | 罰則適用 | 3点 | 3万5千円 |
罰則は6点は免許停止、罰則は6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金
関連記事:過積載を防いで安全な運行を!過積載は交通違反、罰則も適用される!?
4 積載量の目安
貨物の積載量を紹介します。
小型トラックの場合
小型トラックの積載量は4トン以下、平均積載量は2トン~3トン程度になります。
車両の規格としては1番小さいサイズになりコンパクトで小回りが利きます。その為、住宅街でも問題なく配送することが出来ます。
中型トラックの場合
中型トラックの積載量は2トン以上5トン未満で平均積載量は4トン程度になります。
車両の規格としては真ん中のサイズになり、マルチに活躍する車両にななります。
大型トラックの場合
大型トラックの積載量は5トン以上になります。積載量は5トン以上20トン未満になります。
車両の規格としては1番大きなサイズとなり、企業間輸送などの物量が多い時に使用される車両です。
トレーラーの場合
トレーラーとは牽引をするトラクタと荷物を載せて牽引されるトレーラーに別れます。
積載量はトラクターまたはシャーシによって変わりますが、基本的には大型トラックでは運べない様な物量や重さのあるものを配送します。また、トラクター1台で異なる種類のトレーラーを牽引できるので輸送効率を高める事が出来ます。
ダンプカーの場合
ダンプカーとは、荷台を傾けることで積み荷を一気に降ろすことができるトラックです。
工事現場や建設現場で土砂や砕石などを運ぶときに使用されます。
関連記事:トラックの高さ制限はどれくらい?罰則や対処方法について解説
まとめ
本記事では、過積載について紹介しました。
トラックそれぞれの積載量の目安を把握し、交通違反や罰則にならないよう注意していきましょう。
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