
子供の頃の憧れの職業としてバス運転手の仕事は、警察官や電車の運転手と同じくらい人気だったのではないでしょうか。
実際のバス運転手はお客様の命を預かる大変重要な使命がある反面、一期一会とはいえいろいろな人との出会いがあったりするなど、さまざまな面においてやりがいのある職業でもあります。
今回はかって憧れの職業でもあったバス運転手になるためにはどうしたらよいのかを、資格や免許・年収や福利厚生、そして気になるトイレ事情といったことまで、バス運転手のお仕事を丸裸にして詳しく解説していきます。
バス運転手の仕事に憧れている人やバス運転手に興味がある人はぜひ参考にしてください。
バス運転手に必要な資格・免許
どのような種類のバスを運転する場合であっても、バスの運転には資格や免許が当然必要になってきます。
バスを運転するために必要となる資格及び免許の種類は下の2種類です。
- 普通自動車免許(いわゆる普免)
- 大型自動車第二種運転免許
大型自動車第二種運転免許の資格は略して大型二種免許ともいいます。
大型二種免許は以下の条件や基準に当てはまる大型車(バスなど)を運転するのに必要な免許であり資格です。
➀乗車定員30名以上
②総重量11t以上
③最大積載量6.5t以上
大型二種免許を取得するためには、まず普通自動車免許の取得が必要となってきます。なぜなら普通自動車免許を取得しないと基本大型免許資格を得ることができません。
次に二種免許に限らず大型免許資格を取得するためには、普通自動車免許取得から3年以上経過していることが条件になります。よって普通自動車免許を最年少の18歳で取得したとしたら、一種、二種にこだわらず大型免許を取得する資格を得るのは21歳のときになります。よく免許取得の年齢が21歳以上と書かれているのはそのためです。
ちなみに大型二種免許の受験資格としては、普通自動車免許の他にも大型一種免許・大型特殊免許のいずれかを取得して3年以上(自衛官は2年以上)とあります。
大型特殊免許は大型一種免許と異なり、普通自動車免許を持っていなくても取得できる資格ですが、現実的に考えると普通免許から大型二種免許へと進むのがセオリーといえるでしょう。
大型二種免許の合格率
大型二種免許は受験自体のハードルは低い免許です。しかし、大型二種免許の試験を始めて受ける場合の合格確率は例年10%未満とされ、決して簡単な試験ではないことが伺えます。
参考資料
バスの仕事の種類
バスという乗り物はたくさんの人を一斉に目的地へ運ぶことに適した大型車の一形式ですが、バス自体はさまざまな用途に応じるために大きく4種類に分類されます。
その4種類とは路線バス・観光バス・高速バス・送迎バスのことを指します。
ここからは上記4種類のバスそれぞれの特徴について詳しくみていくことにします。
路線バス
みなさんにとってバスの中で一番よく利用するのがこの路線バスではないでしょうか。
路線バスは駅から各地域へ、または各地域間をを循環するといった用途に用いられ、決まった時間及び決まったルートで双方を結ぶ乗合形式のバスのことを指します。また移動距離が比較的短いのも特徴です。
主に街中を走るためスピードを出すことはあまりありませんが、運転中は常に並走して走る自家用車等に注意する必要があります。また料金授受などで乗客とのコミュニケーションも必要となってきます。
よって運転中における周囲への注意力だけでなく、コミュニケーション能力も必要となってきます。
路線バスを運転するための資格にとしては大型二種免許が必要になります。
観光バス
観光バスに乗っているときは、路線バスとは違って少しリッチな乗り物に乗っているような気がしませんか。
そのような気分にさせてくれる観光バスは、学生の修学旅行や社員旅行、そして旅行会社が企画したバスツアーといった団体での貸切りを対象にしており、主に観光目的で使用されるバスになります。
長距離移動が多くなるため、高速道路などでスピードを出して走行する場面も多く、また走行時間やルートもその都度異なります。さらに路線バスと比べると車体も大型でより多くの人を乗せることができます。
バスとしては大型の部類を運転するため運転技術が必要になってきますが、それ以外にも長距離運転によって眠気が起きないようにするといった集中力も大きなウエイトを占めます。
観光バスを運転するための資格としては、こちらも路線バスと同じく大型二種免許が必要となってきます。
高速バス
公式サイト:http://tabinori.net/nightbus/fukuoka.html
※画像は公式サイトより引用
お手頃な価格で長距離を移動できる高速バスは、旅行などが好きな人にとってはコスパが最高にいい交通手段の1つです。
高速バスは高速道路などを使用して都市間を結ぶ長距離移動をおこなうバスのことを指します。
朝から昼にかけて出発する高速バスのことを「昼行高速バス」と呼び、夜に出発し朝に目的地へ到着する高速バスのことを「夜間高速バス」とそれぞれ呼称します。
高速道路を主に走行するためスピードを上げて走る区間が多く、走行ルートは一定ですが長距離移動の割には途中停車する場所がさほど多くありません。
バスの種類に関しては観光バスと同程度の大型バスを使用しますが、車種によっては車内が仕切り等でプライベート空間が確保されているため、観光バスほど多くの乗客を乗せることはできません。
観光バスと同じく運転技術のほかに長距離及び夜間走行も多いため、眠気に対する集中力が必要になってきます。また長距離の割に停車数が少ないため、トイレに対する用心も心掛けなければなりません。
高速バスを運転するための資格としては、路線バス及び観光バスと同様大型二種免許が必要になってきます。
送迎バス
公式サイト:https://www.bus-trip.jp/magazine/aboutbus/buscollection/8504
※画像は公式サイトより引用
旅館及びホテルまたは幼稚園や保育園に通う園児たちの送り迎えなどに利用されるバスが送迎バスになります。
送迎バスに使用するバスとしては、路線バスよりもさらに小型のマイクロバスがよく使われますが、ミニバンやワンボックスカーが使用される場合もあります。
送迎バスを運転するための資格としては、普通自動車免許は必ず必要になりますが、大型二種免許に関しては必要なケースとそうでないケースとの2通りがあります。
まず大型二種免許の資格が必要でないケースとしては、送迎先から直接依頼を受けて送迎をおこなう場合です。
次に大型二種免許の資格が必要なケースとしては、送迎先から業務委託として仕事を請け負っている場合になります。
これは大型二種免許自体が、大型車を商業目的で運転する際に必要となる資格及び免許であることに起因しているのが理由です。
バス運転手になる方法
バス運転手になるためには普通自動車免許と大型二種免許の2つが必要です。
しかしバス会社に入社するまでに自分自身で大型二種免許まで取得しなければならないかというと、必ずしもそうではありません。バス会社に入社後でも大型二種免許を取得することが可能です。
ここからは大型二種免許資格に関して事前に免許を取得しておく場合と、入社後に取得する場合のそれぞれのケースについてみていくことにします。
事前に大型2種自動車運転免許を取得しておく
まず大型二種免許の受験資格としては、普通自動車免許・大型一種免許・大型特殊免許のいずれかを取得して3年以上であることについてはバスの運転手に必要な資格・免許の項で述べたとおりです。
では実際に大型二種免許資格を取得するための方法としては以下の3つのパターンがあります。
➀運転免許試験場で直接受験する
②公安委員会指定の教習所を受講する
③合宿免許
➀運転免許試験場で直接受験する場合は、公安委員会指定の教習所を受講する場合と比べて費用は少なく済みますが、合格する確率は非常に低いといえます。尚合格までに受験する回数は平均で約14回というデータが出ています。
②公安委員会指定の教習所を受講する場合は③合宿免許も含めて、直接受験と比べると合格率は80~90%と高いですが、その反面受講費用が約50~60万円とかなりの高額になります。ただし普通二種免許及び大型一種免許を保有している場合は受講費用が約25万円位になります。
事前に大型二種免許を取得する場合は、どのケースであっても一長一短があるのが特徴といえます。
入社後に会社の支援を得て取得する
多くのバス会社では大型二種免許取得制度をという資格支援制度を設けています。この項の冒頭で入社するまでに大型二種免許を無理に取得する必要はないと述べたのは、この資格支援制度があるからです。
資格支援制度の一環である大型二種免許取得制度はバス会社における福利厚生の1つで、会社の支援によって大型二種免許取得を目指すものです。
支援の内容としては資格及び免許取得後数年間は勤務するという条件付きながらも、教習中における費用について全額または一部負担をおこない、また教習中のために未資格の状態でも社会保険に加入することができるといった支援を受けることができます。
このような資格支援制度を設けているのは、自前の社員を育てたいという理由の他に、昨今の人手不足ために社員を確保する手段であったり、また働き方改革を実践している企業というクリーンなイメージを持たせるなどさまざまな狙いがあるといえます。
個人で大型二種免許の費用を支払うことが難しい場合は、バス会社の資格制度を活用するのも1つの方法といえるでしょう。
資格試験の難易度
大型二種免許資格を取得する手段としては➀運転免許試験場で直接受験する②公安委員会指定の教習所を受講する③合宿免許という大きく3通りの方法があることは先程述べましたが、ここではそれぞれの難易度に関して➀と②を中心にして解説していきます。
➀運転免許試験場で直接受験に関する資格取得への難易度は非常に高いのが現実です。参考として平成27年度の合格率は約7.2%で平均受験回数は約14回になっています。1回の受験で合格することはほぼ絶望的といってよいでしょう。
②公安委員会指定の教習所を受講に関する資格取得への難易度は➀とは対照的に非常に低くなっています。合格率に関しては約80~90%でほぼ1回の受験で合格することを意味しています。
近年では大型二種免許自体の合格率が上がってきています。平成17年での合格率が約30.2%であったのに対して、10年後の平成27年では合格率が約51.8%と上昇しています。その反面受験者が平成17年のときは約6万人であったのに対して、平成27年では約2万5千人と半減してしまっています。
資格試験の難易度として受験者が減少し合格率が上がっているということは、全体的に合格しやすくなったということがいえます。しかしバス運転手の人手不足がこのような形でも露呈していることがこの深刻な問題を物語っています。
バス会社は研修と福利厚生が充実
現在では多くのバス会社が、資格支援制度を始めとする研修や福利厚生を以前と比べてかなり充実させています。1つは人手不足による人材確保が理由になっています。
研修面では先程述べた大型二種免許資格取得制度以外にも多くの資格支援制度を設けています。資格支援制度の充実させる理由としては、自社におけるバス運転手を育てるだけでなく、運転手自体の運転技術の向上やそれに伴うバス会社自身の品質向上も図っていると考えられます。
次に福利厚生面では資格支援制度の他にも勤務時間及び休日設定の見直しや、有給休暇取得促進などが挙げられます。また女性専用の休憩所設置など、女性に配慮した福利厚生をおこなっているところもあります。
また給与面に関してもバス会社によって差はありますが、賞与や資格手当など各種手当も含めて平均年収が約500万円前後になるなど、充分に生活ができる額が支給されています。
トラック会社より社員の面倒見が良い?
バス会社と運送会社は資格・免許こそ一種と二種に別れますが、どちらも大型車を取り扱って事業を展開している業界です。
またバス会社と運送会社はどちらも近年における研修などの資格取得制度や、福利厚生の充実及び年収などの給与体系といった点に強化を図っています。それはどちらも人手不足による人材確保を気にしているからに他なりません。
よって社員の面倒見に対して一概にバス会社と運送会社を比較することは難しいといえます。どちらも社員の保護には力を入れているところが多いので、自分自身の相性にあった会社が面倒見が良い会社ということになるのではないでしょうか。
バス運転手の現状と将来性
よくニュースなどでバス運転手は人手不足のために将来の展望が見えにくいといわれることがあります。確かに人手不足の問題は事実ですが決して将来性がないわけではありません。
外国人観光客の増加によって観光バスの需要も増えていますし、鉄道会社が夜行列車を削減している中、逆に夜行高速バスの需要は上がってきています。
また給与面に関しても劇的に収入が増えることはありませんが、勤続年数が長くなるのと比例して年収も少しづつ上がっていきます。安定を求める人にとっては相性のいい職場といえます。
さらに大型二種免許を始めとする苦労して取得した資格や免許に関しては、一生モノの資格や免許が多くあります。これも長く働き続けることができる1つの要因といえるでしょう。
バス運転手のメリット
バス運転手のメリットは他の業界だけでなく、トラック運転手にもないメリットも多くあります。
・バス運転手のメリットとしては以下の6種類があります。
➀同じルートを走ることが多いので道順を覚えやすい
②基本1人勤務のため煩わしい人間関係によるストレスがない
③残業が基本的にはない
④乗客とのコミュニケーションを楽しむことができる
⑤就職または転職先が比較的多い
⑥子供たちの憧れの対象になれるかも?
この中で1つでも当てはまるものがあれば、あなたはバス運転手の仕事に向いているかもしれません。
バス運転手のデメリット
・続いてバス運転手のデメリットとしては以下の4種類があります。
➀正月・GW・お盆休みがない
②シフトを組むため急に休むことができない
③運転中は電話をとることができない
④運転中は事故のリスクと隣り合わせ
バス運転手だけでなくどんな仕事であっても必ずデメリットは存在します。しかしそれでも仕事を続けることができるのは、それ以上のメリットがあるからではないでしょうか。
運転中にトイレに行きたくなったら?
最後に番外編としてバス運転手のトイレ事情についてみていくことにします。
バス運転手は連続して運転をおこなえるのは4時間以内と法律で決められており、4時間を超えると30分以上の休憩をとる必要があります。言い換えるとバス運転手は原則4時間はトイレに行けなくなるともいえます。
そのためバス運転手は勤務前に以下のようなトイレ対策をおこなっています。
➀利尿作用のある食べ物を避ける
②利尿作用のある飲み物を避ける
➀の食べ物についてはワカメやひじき、大豆などが該当します。②の飲み物についてはカフェインが入ったもの(コーヒー、お茶など)等が該当します。
トイレは休憩所や終点まで我慢するのが基本ですが、もしどうしても運転中にトイレに行かざるを得ない状況になったときは、まずお客様に対してトイレに行く旨を説明し、公共施設などに停車した後お客様の安全を確保した上でトイレに行くようにします。
もし上記のような場面に遭遇したときは進んで協力していただけたら幸いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。以上ここまでバス運転手のことについて資格や免許・バスの種類・メリットやデメリットなどについて述べてきました。
運転するバスにはさまざまな種類がありますが、バス自体はとても公共性の高い乗り物です。その分バス運転手は運転技術だけでなく毅然とした対応も求められます。ある意味社会の模範ともいえる存在でなければなりません。
子供は両親以外にもそのような毅然とした対応をする人の背中を見て育つものです。もしそんな昔のことを思い出したのなら、今度は現在の子供の憧れの職業になるべく一度バス運転手を目指してみませんか。
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