汚水処理をおこなうバキュームカーの仕事の給料事情を解説します。
また、主な業務内容、バキュームカーの運転手になるメリット・デメリット、求人情報の例も紹介します。
バキュームカー運転手の仕事に興味がある方は参考にしてください。
この記事のまとめ
・バキュームカー運転手の給料は比較的高い
・待遇や福利厚生が良い会社が多い
・きつい面もあるが働く人の満足度は高い
バキュームカー(汲み取り屋)運転手の年収:約350〜500万円
バキュームカー運転手の給料は、雇用形態や年齢層、経験年数、中型以上の自動車免許の資格の有無などによって差があります。
また、バキュームカー運転手の魅力の1つは、基本給とは別に賞与を含めた各種手当が充実していることです。
1ヶ月の給料では少し不満になりがちですが、賞与を踏まえて年収面で見た時には他の業種よりも多いと感じる人もいます。
そこで、こちらでは年代別にバキュームカーう運転手の給料と年収相場を紹介します。
アルバイトとしてバキュームカー運転手のお仕事をする場合
バキュームカー運転手はは社員を募集している所が多いですが、少なからずアルバイトも募集している会社も存在します。
他の企業よりも時給が高く、短期でも稼ぎやすいのが魅力です。
時給は1,300円~1,800円が相場で、アルバイトとして入社を検討している人も意外と多くいます。
20代の給料と年収
【20代】バキュームカー運転手の給料 | |
月収 | 20万円〜25万円 |
賞与込み年収 | 380万円〜430万円 |
初任給から20代後半まで経験を積んだバキュームカー運転手の平均月収ですが、やはり賞与や各手当によって年収が多くなる傾向にあります。
30代の給料と年収
【30代】バキュームカー運転手の給料 | |
月収 | 23万円〜30万円 |
賞与込み年収 | 400万円〜500万円 |
バキュームカー運転手として経験年数を重ねた30代は、給料が20代よりも大幅に増える傾向にあります。
40代の給料と年収
【30代】バキュームカー運転手の給料 | |
月収 | 25万円〜45万円 |
賞与込み年収 | 400万円〜500万円 |
バキュームカー運転手を20代から始めて40代まで続けると給料に大きく変化が現れます。
ボーナスと退職金
多くの排水処理会社には、賞与(ボーナス)と退職金制度があります。
ボーナスの平均値は給料の約2ヶ月分を年2回です。また勤続年数によって年々と賞与額が上がることが多いようです。
賞与や退職金制度に関して求人募集に記載されていない会社もあるので、面接の際にしっかりと聞いておく必要があります。
中にはボーナスや退職金が出ない会社もあるので、必ず確認しましょう。
バキュームカー(汲み取り屋)運転手の年収:求人情報の参考例
こちらではバキュームカー運転手の求人情報の例を3つ紹介します。
A社(埼玉県・年収396万円)
勤務地 | 埼玉県 |
雇用形態 | 正社員 |
給与 | 月給33万円〜 |
勤務時間 | 7:30~17:00 |
休日 | 土・日・祝休み(月1回土曜出勤あり)、夏季・年末年始休暇有 |
待遇・福利厚生 | 賞与年2回、交通費規定支給、社会保険完備、入社祝金5万円 |
賞与は年2回とのことで、最低でも1ヶ月分の給料が賞与としてもらえると仮定すると、年収は392万円となります。
B社(三重県・年収280万円〜329万円)
勤務地 | 三重県 |
雇用形態 | 正社員 |
給与 | 月給 20万円〜23.5万円 |
勤務時間 | 8:00~17:00 |
休日 | 日曜・祝日・第2,第3土曜、年末年始 夏季 |
待遇・福利厚生 | 交通費支給、扶養手当、昇給年1回、賞与年2回、退職金制度有、資格手当、各種社会保険等 |
こちらの求人は賞与が年2回あります。
最低でも1ヶ月分の給料が賞与としてもらえると仮定すると、年収は280万円〜329万円となります。
C社(愛知県・年収350万円)
勤務地 | 愛知県 |
雇用形態 | 正社員 |
給与 | 月給 25万円 |
勤務時間 | 8:00~17:00 |
休日 | 隔週休2日制(日曜+隔週土曜) |
待遇・福利厚生 | 賞与年2回、GW休暇、夏季休暇、年末年始休暇、有給休暇 |
賞与は年2回とのことで、最低でも1ヶ月分の給料が賞与としてもらえると仮定すると、年収は350万円となります。
年収以外に知っておきたいバキュームカー(汲み取り屋)運転手の仕事内容
バキュームカー運転手は、バキュームカーに乗って汚水を回収して回るのが主な仕事です。
また、汲み取り作業だけでなく、浄化設備の点検や車両の清掃などもバキュームカー運転手の仕事になります。
そこでこちらでは、バキュームカー運転手は日々どのような業務をおこなっているのかを紹介します。
バキュームカー運転手の仕事は産業廃棄物処理業
様々な事業活動によって発生したゴミのことを「産業廃棄物」と言います。
その種類は事業によって様々で、少なくとも法令で定められているものだけで20種類が存在します。
たとえば、鉄くずや木くずを処理する建設業、廃油や汚泥を処理する石油業、紙くずを処理する印刷業などです。
それに対して、産業廃棄物ではなく一般家庭で発生するゴミは「一般廃棄物」となります。
可燃や不燃などの一般ごみのほか、バキュームカー運転手が処理をする糞尿などの排泄物も含まれます。
汲み取り屋の仕事内容は、大きく以下の3つです。
- 現場までの運転
- 浄化槽の汲み取り
- 保守点検
それぞれについて解説します。
現場までの運転
浄化槽のある汚水回収の対象現場まで、バキュームカーで運転することから始まります。
運転している間は汲み取り作業と比べると気が楽になると思われますが、現場によっては道中の道幅が狭い所や駐車が困難な現場もあるので、油断はできません。
バキュームカーのサイズは小型車から大型車まで存在し、通る道に応じて適切に使い分けられています。
バキュームカー運転手として全てのバキュームカーに乗るには、大型車の免許を取得する必要があります。
浄化槽の汲み取り
バキュームカー運転手としての主な業務とも言うべき汲み取り業務は、浄化槽が設置されている現場へ行き、トイレで流されている糞尿の回収をおこなうことです。
主な処理方法は、バキュームカーに設置されているホースを用いて浄化槽の吸い取り、側面に付着したゴミを取り除き内部洗浄をしていきます。
浄化槽には糞尿のみを処理する「単独処理浄化槽」と台所の流し、洗濯、浴槽の排水処理をおこなう「合併処理浄化槽」が存在しますが、いずれも作業工程に大差はありません。
汲み取りの際には、し尿だけでなく衛生上好ましくないゴキブリ・蛆・蠅などが大量に発生している場合もあるので、殺虫をしながら作業を進めるのが一般的です。
関連記事:バキュームカー(吸上車)の構造や仕組み、歴史はどうなっているの?
保守点検
バキュームカー運転手の業務は、浄化槽に対する保守点検も含まれます。
浄化槽の働きによって汚水を浄化し、川や海などの自然に流す大切な役割を持っているため、常に正常に作動していなければいけません。
そのためには浄化槽を定期的に点検し、内部の清掃や修理等をおこなう必要があるのです。
年収以外のバキュームカー(汲み取り屋)運転手になるメリットとデメリット
バキュームカー運転手の仕事は、臭いや汚れなどのデメリットばかりが注目されがちですが、きちんとメリットもあります。
そこで、こちらではバキュームカー運転手になるメリット・デメリットを紹介します。
バキュームカー運転手になるメリット
学歴は関係ない
バキュームカー運転手の勤務先は、自治体が運営している所と一般企業の2種類があります。
自治体で公務員として働くには高卒以上の学歴が必要ですが、一般企業であれば特に学歴は求められません。
バキュームカーを運転できる人材が求められるので、学歴よりも中型以上の自動車免許を保有していることが重要です。
就職希望者が少ないので内定率が高め
バキュームカー運転手の仕事は、自ら進んで転職の対象とする人は少ないのが現状です。
入社希望者が少ないだけあって内定率が高めとなっており、入社するハードルが低いことがバキュームカー運転手の大きなメリットと言えます。
会社によっては50代の転職でも積極的に受け入れているところがあります。
車内にも臭いがなく清潔に仕事ができる
バキュームカー運転手の仕事と聞くと、「臭いが取れないのではないか?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、一昔前と比べるとバキュームカーの車内環境は格段に改善されています。
技術の発達、設備投資によって消臭機能が充実し、近頃のバキュームカーは車内に異臭が漂うことが少なくなっているのです。
作業は手袋を装着した上で器具を使うので、汚水に直接触れることはなく、基本的には清潔な仕事と言えます。
ただし、機械の取り扱いや作業工程を間違えると、汚水が周囲や身体に付着してしまうことがあるので注意が必要です。
バキュームカー運転手になるデメリット
肉体労働である
バキュームカー運転手の仕事は、重たい吸引器のホースの引っ張りやマンホールの開閉など、肉体的な負担が大きい作業が発生します。
また、夏場は汲み取りの際に激臭が漂うことがありますし、冬場は寒気にも耐えながら汲み取り作業をおこなうため、やや過酷な肉体労働とも言えます。
しかし、臭気には慣れる人が多く、あとは体力に自信がある人であれば大きな問題はないでしょう。
作業中は臭いに耐える必要がある
バキュームカーは年々進化しており、汚れることなく作業ができるだけでなく、車内に臭いが漂うことがほとんどなくなりました。
ですが、浄化槽の中身を汲み取る作業中は、どうしても臭いが漂うため耐える必要があります。
また、汲み取り清掃業者は中小企業が多く、会社によっては最新の車両でなかったり、設備が整っていなかったりすることもあるでしょう。
年収以外で重要なバキュームカー(汲み取り屋)運転手の資格
バキュームカー運転手の求人は、基本的に普通自動車免許や中型免許があれば応募可能であることが多いです。
ただし、中には「浄化槽管理士」という国家資格を必須とする会社も少なくありません。
浄化槽管理士とは浄化槽の点検、整備、水質管理などのプロフェッショナルです。
試験は年に一回で、東京都、愛知県、大阪府、福岡県、宮城県などで受けられます。
学歴や勤務歴を問わず誰でも受けることができる資格試験なので、バキュームカーのドライバーへの転職を考えるなら、受験をするのも手です。
詳しくは試験を主催する公益財団法人日本環境整備教育センターのWebサイトを参照してください。
参考:令和元年度浄化槽管理士試験 実施要領|公益財団法人日本環境整備教育センター
年収以外で気になるバキュームカー(汲み取り屋)運転手の口コミ
「バキュームカー運転手の仕事はきつそう」というイメージをもつ人は少なくありません。
そこで、実際にバキュームカー運転手として働く方々の声を紹介します。
【バキュームカー運転手の口コミ1】臭いはきつくない。ただしイメージは悪いと感じる
yam********さん 2010/9/1820:21:37
以前、古いし尿処理施設に勤務していました。そして、現在、新しいし尿処理施設を建設する仕事をしています。
し尿処理施設は私たちが生活をする上で必要不可欠であるにもかかわらず、迷惑施設であり嫌われ者です。
確かに扱っているものがモノだけに、施設内の一部では臭いはしますが、それも場所によって違いますし、最近の施設は脱臭設備が完備していますので、日常業務空間ではほとんど臭いません。
人の役に立つ施設であるという誇りを持って勤務されてください。
【バキュームカー運転手の口コミ2】きつくはあるがホワイトな労働環境。
手取り5万増えるとしても、ブラックには行きたくないです。
人間関係悪かったらストレス溜まるばかりになります😓し尿処理という、臭い、汚い、きついの3Kは伴うけど、それも配慮され、この業種未経験でも賃金待遇もいい✨✨
この職場に骨をうずめられるよう、一生懸命やります😊— 真 @ 鬱から人生這い上がり中😊 (@KENNY_PENGUIN_) 2019年11月23日
バキュームカー運転手の仕事は、確かにきつい側面もありますが、衛生環境、労働環境のどちらも改善が進んでおり、働いている方の満足度は高いことがわかります。
バキュームカー(汲み取り屋)運転手の年収についてのまとめ
バキュームカー運転手の仕事に対して、ネガティブなイメージを持っている方はまだまだ多いでしょう。
しかし、本記事で伝えた通り、近年はバキュームカー運転手の労働環境が格段に改善されており、中には給料面で好条件な会社もあります。
「安定した仕事に就きたい」「今よりも収入をあげたい」「ドライバーとしてのキャリアを活かしたい」、そのような方はぜひバキュームカー運転手への転職を検討してみてください。