バス運転手

バス運転手の連続勤務日数は13日まで|上限を守る対策3選

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バスを運転する様子

バス業界は人手不足が問題となっており、近年はインバウンド需要の回復で、各地で交通機関の混雑が起こっている状況です。

このような現状もあり、長い連勤が当たり前になっているようなバス会社も珍しくありません。

しかしながら、安全運行の確保には、定められたルールの遵守が重要です。

長い連勤が増えてきており、関連の法律について気になっている事業者の方もいるのではないでしょうか、

今回は、バス運転手の連続勤務日数のルールを中心に、分かりやすく解説していきます。

この記事で分かること
・バス運転手の連続勤務日数の上限
・状況別での連続勤務日数の上限
・バス運転手が連続勤務日数を超えた場合のリスクと処罰
・連続勤務日数を超えないための対策
・改善基準告示見直しのポイント
・連続勤務日数に関するよくある質問

バス運転手の連続勤務日数は13日まで

運転手がパネル操作する様子

バス運転手の連続勤務日数は、13日までとルールで定められており、その詳細は以下の通りです。

事業者は、運転手に対して毎週最低でも1回の休みを与えないといけない

このルールを見て「それでは13日も連勤させるのは違法?」と考える方もいるかもしれませんが、そうではありません。

シフト勤務の実例をもとに、その詳細について見てみましょう。

日曜日月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日土曜日
休み出勤出勤出勤出勤出勤出勤
出勤出勤出勤出勤出勤出勤休み

上記勤務例の通り、週の始まりを日曜日とした場合に、初日を休みにして次の週の土曜日を休みにすれば毎週休ませていることになります。

これにプラスして、以下のようなルールも存在します。

・休日出勤は、2週間に1回を限度に拘束時間の限度内であれば従業員にお願いできる。

 

ただし、休日前後の勤務ではしっかり休息させなければならない。

このルールを適用すれば、先ほどのシフトで土曜日を休日出勤にしても法律上の問題はありません。

そのため、バス運転手の連続勤務日数は13日まで可能です。

【状況別】バス運転手の連続勤務に関する日数について

バス運転手が手を振る様子

バス運転手の連続勤務日数に関するルールは、働き方によって異なるため、どのバス会社でも13日までとなるわけではありません。

連続して働ける日数は、主に3つのパターンに分かれます。

・通常勤務の場合
・変形休日制の場合
・変形労働時間制の場合

各働き方における連続勤務日数のルールについて見ていきましょう。

通常勤務の場合

通常勤務とは、前述したような働き方で週に1回の休みを運転手に与えなければなりません。

そのため、12勤務までが限度となるものの、休日出勤をお願いすれば最高13連勤まで違法にはなりません。

ただし、休日出勤は2週間に1回が限度であり、別で定められた拘束時間を超えないように注意が必要です。

変形休日制の場合

変形休日制とは、通常勤務とは別に労働基準法で定められたルールで、以下のような内容です。

・4週で4日以上の休日があれば「毎週1回の休日」というルールが適用とならない

このルールを適用すると、最高24連勤までならば違法ではありません。

変形休日制の具体的なシフト例は、以下の通りです。

 日曜日月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日土曜日
1週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
2週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
3週目出勤出勤出勤出勤出勤出勤出勤
4週目出勤出勤出勤休み休み休み休み

4週間(28日間)の中で4日休みを与えれば問題ないため、上のようなシフトも可能です。

ただし、連続勤務による疲労を考えると現実的とは言えません。

変形労働時間制の場合

変形労働時間制とは、事業に繁忙期や閑散期があり繁忙期に労働時間を長くする代わりに閑散期を短時間労働にするといった働き方です。

観光バスや貸切バス事業で用いられることの多い働き方と言えるでしょう。

1年単位の変形労働時間制を採用している場合、通常の連続勤務日数は6日までしかできません。

ただし、繁忙期といった特定期間に関しては、12日間までの連続勤務が可能です。

バス運転手が連続勤務日数の上限を超えてしまった場合のデメリット4選

バスが高速道路を走る様子

バス運転手の連続勤務日数は、労働基準法によって定められたルールがあるため、上限を超えてしまうのは法律違反です。

それ以外にも、以下のようなデメリットやリスクがあります。

・6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金になる
・人手不足につながる
・うつ病や過労死につながりかねない
・労災事故が発生する可能性がある

ここでは、デメリットやリスクの詳細について解説していきます。

6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金になる

連続勤務日数のルールを守らなかった場合、労働基準法違反となり30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役に科されることになります。

人手不足につながる

長期間にわたる連続勤務は、体力的にも精神的にも非常につらいものであり、バス運転手の不満が溜まりやすくなります。

そのため、長期の連続勤務が常態化するほど、運転手の退職が増加する可能性が高まります。

また、法律違反となった場合は、業界内で噂が広がるため新たに転職してくる人も減り、人材不足に陥る可能性もゼロではありません。

うつ病や過労死につながりかねない

長期間の連続勤務は、運転手への負担が高まるため、うつ病や過労死といった事態を招くリスクもゼロではありません。

バス運転手に限らず、長時間労働や長い連続勤務が原因と推測される病気の発症や過労死は各業界で少なからず発生しています。

病気を発症すると人手がより不足するのはもちろん、運転手の後の人生にも大きな影響がでてしまう可能性があります。

労災事故が発生する可能性がある

長い連続勤務は、運行中に発作などを起こす可能性も増えるため、重大事故にもつながりかねません。

過去には、長時間労働や連続勤務による過労が原因で起こった事故も実際に発生しています。

三重県四日市市・東名阪自動車道での観光バスによる事故

 

7月中旬、2泊3日の観光ツアーを行っていた観光バスが、東名阪自動車道で大型ダンプカーに衝突した。

この事故で、乗客など23人が重軽傷を負っている。

集中力の欠如などが主な原因と推測されており、調べによるとバス運転手は11日連続の勤務であったことが明らかになった。

11日連続勤務自体は、違法にはならないものの、このような事故のリスクが高まるため十分な配慮が必要です。

バス運転手が連続勤務日数の上限を超えないための対策3選

運転手が車内を案内する様子

バス運転手における連続勤務日数の上限を超えないためには、普段から対策を立てておくことが大切です。

具体的な対策には、以下のような内容があります。

・ITツールを活用した勤怠管理をする
・従業員の意識を変える
・正確な勤務日数を記録する

ここでは、各対策の詳細について解説していきます。

ITツールを活用した勤怠管理をする

勤怠管理に関するITツールを導入すれば、より効率良く各運転手の連続勤務をチェックできるようになります。

忙しい中で、多くの従業員の勤怠管理を適切に管理するのはとても大変です。

特にバス運転手は、オフィスで一緒に働くわけではなく、観光バス事業は運行内容が毎回変わるため、さらに勤怠管理が難しいと言えます。

ITツールにより勤怠管理を行えば、紙ベースではなくクラウド上での情報管理ができます。

そのため、誰でも簡単にバス運転手の勤務状況を確認できるようになり、アラーム機能などを活用することで所定の連続日数超えの防止も可能です。

従業員の意識を変える

適切な勤務形態を維持するには、事業者側はもちろん従業員の意識を変えることが大切です。

長く働くほど、長時間労働や連続勤務が当たり前の感覚になってしまいやすく、自分で違法であることに気付かない可能性があります。

関連のルール紹介や連続勤務のリスクに関する講習を開くなどして、各運転手の意識を変えてみましょう。

正確な勤務日数を記録する

ITシステムなどの導入が難しいような場合は、勤務日数を正確に記録することから始めていきましょう。

当たり前のことに思えますが、同じオフィスで働かず、出勤時間も異なるバス運転手は勤怠管理が難しいと言えます。

1人で勤怠管理するのではなく、2重チェックで記入漏れを防ぐといった工夫をしてみましょう。

バス運転手の改善基準告示見直しに関する8つのポイント

バス運転手が笑っている様子

連続勤務日数の上限について解説してきましたが、2024年4月より改善基準告示見直しが適用されます。

バス運転手の場合は、以下のような内容に変更があります。

・1年の拘束時間
・1ヶ月の拘束時間
・1日の休息時間
・運転時間
・連続運転時間
・予期し得ない事象
・特例
・休日労働

ここでは、各項目の変更点について解説していきます。

安全な運行を維持する上で大切な内容ですので、必ず理解しておくようにしましょう。

1年の拘束時間

拘束時間とは、出勤してから退勤するまでの時間が該当します。

年間の拘束時間は、これまで3,380時間まででしたが、2024年4月からは原則3,300時間以内に抑えなければなりません。

1ヶ月の拘束時間

1ヶ月の拘束時間は、4週で平均を取った場合に1週間あたり65時間までであり、月に換算すると281時間が限度です。

また、特例により延長した場合も最大で294時間までが上限です。

1日の休息時間

休息時間とは、仕事が終って次の勤務に出勤するまでの時間が該当します。

これまでは途切れることなく8時間以上の休息がルールでしたが、2024年4月からは9時間以上となります。

また、継続して11時間の休息が取れるように、事業者は努めなければなりません。

運転時間

1日の運転時間は、計算日の前後で平均をとった際に、どちらかが1日あたり9時間になっていなければなりません。

前日特定する日翌日 
9時間の運転9時間の運転10時間の運転特定日と前日の平均が9時間なのでOK
10時間の運転9時間の運転11時間の運転特定日前後ともに9時間を超えているのでNG
11時間の運転8時間の運転10時間の運転特定日とその翌日の平均が9時間なのでOK

また、4週間で平均をとった場合に1週間の運転時間が40時間以内でなければいけません。

ただし、特例により44時間まで延長することもできます。

連続運転時間

運行中の連続運転時間は、4時間が限度です。

到着が遅れていたり、始業前に十分休んで疲れていなかったりしても、連続運転時間が4時間を超えてはいけません。

バス運転手は、4時間の中で30分の休憩を取る必要があり、1回あたり10分以上であれば分割もできます。

予期し得ない事象

バス運転手を拘束できる時間や運転時間の上限を紹介してきましたが、以下のようなケースでは、このルールが適用されません。

・運転中にバスが突然故障してしまった

 

・運行の中で乗船予定だったフェリーが欠航した

・走行中の道路で事故などが起こり封鎖や渋滞が起きた

・大雪などで正常な運転が難しくなった

ただし、勤務終了後は、仕事が終った時間に関係なく9時間以上の休息を与えなければなりません。

特例

観光バスで遠方まで向かう運行など、これまで解説してきたルールを守るのが難しい場合に限り、以下のような特例が設けられています。

休息時間の分割休息時間を連続で9時間取れない場合は、1回4時間以上の休息で2分割にできる。

 

ただし、分割した休息の合計が11時間以上でなければならない。

2人での乗務バスに2人の運転手が乗務する場合、拘束時間を19時間まで伸ばして、休息時間は5時間まで短縮できる。

 

ただし、体を伸ばして休めるリクライニング方式の座席があることが条件。

隔日勤務隔日勤務形態の場合は、拘束時間を21時間までとし休息時間は20時間以上与えなければならない。
フェリー乗船運行中にフェリーへ乗船する場合、その間は休息時間にできる。

 

ただし、残りの休息時間はフェリーを降りてから勤務が終わるまでの時間の半分を下回ってはいけない。

休日労働

休日出勤は、2週間で1回までが限度であり、月の拘束時間を超えてはいけません。

出典:バス運転者の改善基準告示が改正されます:厚生労働省

バス運転手の連続勤務日数に関するよくある質問

バスが夜間に走行している様子

最後は、バス運転手の連続勤務日数に関する、4つのよくある質問について答えていきます。

・2024年問題でバス運転手の労働時間はどうなりますか?
・バスの運転手は1日何時間運転できますか?
・バスの運転手は1日何時間働いていますか?
・13連勤は違法ですか?

バス運転手の働き方のルールに関する内容ですので、参考にしてみてください。

2024年問題でバス運転手の労働時間はどうなりますか?

2024年問題でバス運転手の労働時間は、短くなります。

一定の残業や休日出勤は認められているものの、人手不足を理由に長時間労働が連日続くようなことはなくなります。

その一方で、これまで通りの運行が難しくなるため、バス路線の減少や路線の廃止が増えるといったことを懸念する声も少なくありません。

バスの運転手は1日何時間運転できますか?

バス運転手は1日あたり最高で15時間の拘束が許されていますが、起算日前後の運転時間の平均が1日あたり9時間以内でなければいけません。

そのため、12時間運転した日があった場合、前後日は6時間までしか運転できません。

バスの運転手は1日何時間働いていますか?

バス運転手は、基本的に15時間までしか拘束できません。

ただし、観光バスや貸切バスなどで隔日勤務の形態を導入している場合は、21時間まで拘束できます。

隔日勤務の場合、勤務終了後の休息時間は20時間以上与えなければなりません。

13連勤は違法ですか?

2024年3月時点で、バス運転手の13連勤は違法ではありません。

また、変形休日制であれば、最高24連勤まで可能です。

ただし、長い連勤はバス運転手の負担が高まるため、なるべく短いスパンで休ませてあげることが理想と言えるでしょう。

まとめ

バスが横に並ぶ様子

バス運転手の連続勤務は13日間までなら違法になりません。

ただし、長期における連続勤務はうつ病や疾患の原因になりやすく、事故リスクも高まります。

違法でないからといって、連勤を強いるのはなるべく避けるべきと言えます。

また、連続勤務とは別に2024年4月より運転手の働き方に関するルールが大きく変わります。

自社の運行内容と照らし合わせながら、問題がないかチェックしてみましょう。

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