バス運転手への就職・転職を検討している人にとって、勤務先での宿泊を伴う「泊まり勤務」の有無は重要な要素です。
今回は、バス運転手の泊まり勤務の有無や勤務形態、休暇や残業事情といった働き方について解説していきます。
バス運転手に泊まり勤務はある
バス運転手にも泊まり勤務はあります。泊まり勤務とは、勤務先での宿泊を伴う勤務のことです。
長距離の走行が前提の観光バスや高速バスはもちろんのこと、路線バスでも泊まり勤務はあります。
ただし、勤務時間や働き方については勤務形態によって異なります。次項では、バス運転手の主な勤務形態を紹介します。
バス運転手の基本的な勤務形態
一口にバス運転手と言っても、勤務形態は多岐にわたります。ここでは路線バスの主な勤務形態を4つ紹介します。
- 早番勤務
- 遅番勤務
- 通し勤務
- 中休勤務
また、観光バスと高速バスでも異なる場合があります。
早番勤務
早番勤務は早朝からお昼まで勤務する担当です。勤務時間は、大きく次の2つに分けられます。
- 朝5時~13時までの8時間
- 朝6時~14時までの8時間
この時間帯のバスは主に通勤、通学にバスを利用する学生や社会人、午前中に買い物や通院をする高齢者に利用されます。
お昼過ぎには帰宅できるため、他にやりたいことがある人におすすめな勤務形態です。
遅番勤務
早番勤務とは反対に、夕方から夜にかけて働く「遅番勤務」もあります。遅番勤務の時間帯は以下の2通りです。
- 15時~24時まで
- 16時~翌日の1時まで
会社や学校、出先から帰宅する人が主な乗客になります。
通し勤務
バス運転手には一日を通して働く「通し勤務」もあります。
しかし、1日の拘束時間が13時間(最長でも16時間)までと決められているため、それ以上の時間、拘束されることはありません。
目安としては、朝の6時〜19時くらいまでの10時間ほどとみておけば良いでしょう。
中休勤務
中休勤務(ちゅうきゅうきんむ)は早番勤務と遅番勤務を合わせた、バス運転手特有の勤務形態です。
朝からお昼ごろまで働き、一度帰宅し、夕方、再度出勤して夜まで働く形になります。
朝と夕方に多くなり日中は少なくなる、バス利用者の動きに合わせた働き方です。
「お昼に一度帰宅するとはいえ、実際の拘束時間は16時間を超えているのではないか」と問題視している人もいます。
路線バスは働く時間によって「早番勤務」「遅番勤務」「通し勤務」「中休勤務」の4つに分けられます。
自分のライフスタイルに合わせた勤務形態を選ぶのが良いでしょう。
観光バスの勤務形態
同じバス運転手でも、路線バスと観光バス、高速バスとでは働き方が異なります。
まずは観光バスの場合について解説していきます。
路線バスと観光バスで特に違うのは、運行距離と乗務時間です。
観光バスの場合は修学旅行やツアーなどでの長距離の移動がメインになるため、乗務時間も長くなりがちです。
生活リズムも不安定になりやすいと言われています。
しかし、全国各地の観光地を巡ることができるため、旅行や観光が好きな人は楽しみながら働けるでしょう。
高速バスの勤務形態
次は、高速バスについて解説していきます。
高速バスは、日中の業務がメインの「昼行(ちゅうこう)高速バス」と夕方から夜にかけての業務がメインの「夜間高速バス」に分けられます。
どちらも勤務時間は8時間程度です。
高速道路を利用するため、長距離移動することが前提となります。
そのため、働き方としては路線バスよりも観光バスに近いと言えるでしょう。
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・バス運転手の連続勤務日数は13日まで|上限を守る3つの対策
バス運転手:泊まり勤務の事例
ここでは、バス運転手における泊まり勤務の実態を紹介していきます。泊まり勤務をするのは基本的に長距離運行する高速バスや観光バスの運転手です。
高速バスの中距離路線の場合
高速バスには、運転手が1人で運行するワンマンバスと、2人の運転手が交代しながら運航するツーマンバスがあります。また、途中で交代する「乗り継ぎ運行」も行われます。
中距離(片道100kmから250km程度)時間にして片道2〜4時間程度のルートでは、ワンマンバスが1日に1往復する「日帰り仕業」が一般的です。中距離路線の例としては、以下のものが挙げられます。
- 東京から福島県南部、長野県、静岡県への路線
- 大阪から岡山県や鳥取県、徳島県、香川県への路線
ワンマンバスの運転手の一日の流れは、路線バスの運転手と同様、以下の通りです。
- 出勤→バスの点検、清掃→点呼、アルコールチェック→出発
- 乗務、休憩→目的地に到着
- 乗務、休憩→帰社→バスの点検、清掃、燃料の補充など
また、ツーマンバスの場合、自分の担当が来るまでは休憩できます。
高速バスの長距離路線の場合
片道250km以上、特に所要時間が6時間を超える400km以上の路線では夜行がほとんどです。
長距離高速バスの運転手は夕方に出勤し、車内の点検や清掃、点呼をします。アルコールチェックを通過したら、いよいよ出発です。
2人の運転手が交代しながら運転し、朝方、目的地に到着します。
夜に再び出発するまでの間、現地でしっかり仮眠、休息を取れます。
バス運転手の休暇事情
ここまでバス運転手の働き方について解説してきました。最後に、休暇と残業の事情を見ていきましょう。
バス運転手の休暇の規定は会社ごとに違いますが、4週8休制を取っているところが多いようです。
4週8休制とは、4週間(28日)のうち8日が休みになる制度です。
週休2日とは異なり、毎週休みがあるとは限らないのが特徴です。
この4週8休制は路線バス、観光バス、高速バスなど、どのバスの運転手でもほとんど共通しています。
また、有給休暇については労働基準法に則っていることがほとんどですが、会社によって規定は異なります。
就職・転職を検討している人はあらかじめ各会社のホームページなどで確認しておきましょう。
バス運転手の残業事情
バス運転手の勤務時間は運行ルートなどからあらかじめ決められていますが、天候や災害、渋滞などによって想定通りに走行できない場合があり、その場合は残業することになります。
そのため、渋滞などの影響を受けやすい観光バスや高速バスは残業しやすく、逆にあまり影響を受けない路線バスは長時間の残業は発生しにくいと言えるでしょう。
残業代については「固定残業代制」を取っているところが多いようです。
固定残業代制とは、ある程度の残業を前もって想定しておき、その分の残業代を給与に含めている制度です。
会社によっては実際の勤務時間と見比べて調整してくれるところもあるため、会社のホームページなどで確認しておきましょう。
参考:改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A|厚生労働省
バス運転手の泊まり勤務についてのまとめ
今回は、泊まり勤務を含むバス運転手の働き方について解説してきました。
バス運転手の労働環境は運行距離や天候、渋滞、乗客の行動など、さまざまな要素によって変わります。
自分のライフスタイルに合った働き方をするとともに、どんな状況でも臨機応変に対応できるスキルを身につけるのが良いでしょう。
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