大型免許取得の費用や難易度が高いことから、運送業界では大型トラックドライバーが不足しています。
しかし、教育訓練給付制度を活用すれば、安く大型免許を取得できる可能性があります。
こちらでは制度の詳細や利用方法を解説するので参考にしてください。
この記事のまとめ
- 大型免許の助成金制度は2つある
- 教育訓練給付金制度なら費用負担が大幅減できる
- 資格取得支援制度がある企業なら全額負担も可能になる
大型免許の助成金制度は2つある
大型免許の助成金制度には、中小企業を対象とする人材開発支援援助助成金と、受験者を対象とする教育訓練給付金制度の2つがあります。
前者は、事業主のために経費や賃金の一部を国が助成する制度です。
後者は、労働者の雇用安定、再就職の促進を目的としておこなわれている雇用保険の給付制度になります。
これらの制度によって、具体的にどれくらいの費用を負担してもらえるのか、次章以降で解説します。
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助成金を活用できる大型免許とは
まず大型免許は、正式には「大型自動車第一種免許」と言います。
最大積載量6.5t以上、車両総重量11t以上、乗車定員30人以上の自動車が対象です。
具体的にはバスやトラック、タンクローリー、ダンプカー、ミキサー車などが該当します。
大型免許の取得条件
大型免許の取得条件は、大きく2つです。1つは「普通自動車免許・準中型免許・中型免許・大型特殊免許」のうちのいずれかを取得していることです。
もう1つは「運転経歴が通年で3年以上あること」になります。
また、身体的な条件もあり、原則として両目で視力が0.8以上(片眼が0.5以上)が必要です。
大型第二種免許の取得条件
普通免許や中型免許と違い、大型免許は1種か2種かで必要な運転年数に違いがありません。どちらも通算3年以上であれば取得が可能です。
大型免許で運転が可能な自動車
大型免許があれば運転可能な自動車は、以下となります。
- 普通自動車
- 原動機付自転車
- 小型特殊自動車
- 準中型自動車
- 中型自動車
- 大型自動車
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助成金を知る前に:大型免許の取得方法
大型免許を取得するには、大きく2つの方法があります。
普通自動車免許と同様に「自動車教習所に通う方法」「一発試験を受ける方法」です。
自動車教習所に通う
- 教習所に通い、学科教習と技能教習を受講し、卒業検定に合格すること
- 教習所を卒業後に免許試験場で適性検査を受け、合格すること
こちらの2つをクリアすれば、大型免許を取得できます。
なお、教習所で大型免許を取得するために必要な教習時間は、保有している免許の種類によって変わります。
以下の表を参考にしてください。
保有している免許の種類 | 学科教習 | 技能教習 |
普通自動車免許(AT限定) | 1時限 | 34時限 |
普通自動車免許(MT) | 1時限 | 30時限 |
準中型免許5t限定(AT限定) | 1時限 | 30時限 |
準中型免許5t限定(MT) | 1時限 | 26時限 |
準中型免許 | 23時限 | なし |
中型免許(MT) | 14時限 | なし |
8t限定中型免許(AT限定) | なし | 24時限 |
8t限定中型免許(MT) | なし | 20時限 |
一発試験
一発試験は、学科試験や技能試験、適性検査に合格すれば、教習所に通わず免許を取得できる方法です。
大型免許の場合、適性検査と仮免許試験に合格し、10時間以上の路上練習をおこない、その後本試験に合格して、指定の講習を受ければ取得できます。
ただし、大型免許の一発試験の合格率は技術的な難易度が高く、合格率は低いと言われています。
関連記事:大型免許って難しいの?合格率や取得のコツ、費用などを詳しく紹介
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助成金を知る前に:大型免許の取得にかかる費用
一般的に大型免許を取得する際にどれくらいの費用がかかるのか、教習所の場合と一発試験の場合とに分けて紹介します。
自動車教習所の場合
自動車教習所の場合は、教習所ごとに料金設定が異なります。また、教習料金以外にも、運転免許試験場で支払う各種手数料が発生します。
それらを合わせた費用の相場は以下の通りです。
- 普通自動車免許(AT限定):40万円前後
- 普通自動車免許(MT):35万円前後
- 準中型免許5t限定(AT限定):35万円前後
- 準中型免許5t限定(MT):30万円前後
- 中型免許:20万円~25万円程度
- 8t限定中型免許(AT限定):35万円前後
- 8t限定中型免許(MT):25万円~30万円程度
なお、免許試験場では1550円の受験料と2050円の免許証交付料がかかります。
一発試験の場合
一発試験では、以下のように仮免許試験と本試験でそれぞれ費用がかかります。
仮免許試験
- 受験料:2900円
- 試験車使用料:1450円
- 仮免許証交付手数料:1150円
本試験
- 受験料:4100円
- 試験車使用料:2500円
- 免許証交付手数料:2050円
ただし、一発試験の合格率はかなり低いため、高額な費用がかかったとしても自動車教習所に通うのが一般的です。
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資格取得支援とは、採用した社員が新しい資格や免許を取得する際に、金銭的な援助をしてくれる制度で、中には全額負担してくれる企業もあります。
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助成金を知る前に:大型免許の合格率は97.5%
警察庁交通局運転免許課の調査によれば、令和3年の大型免許の合格率は97.5%です。
かなり高い合格率ですが、その大半は教習所で免許を取得しています。
技能試験の難易度が高いことから、一発試験よりも教習所を選択する人が多いと言えるでしょう。
大型免許の助成金制度:人材開発支援助成金とは
2つある大型免許の助成金制度のうち、中小企業が活用できるものが「人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)」です。
こちらの制度のうち、若手の育成を目的とする取り組みを「若年人材育成訓練」と言い、原則として経費の45%を助成してもらえます。
例えば、中小企業が従業員に大型免許を取得させる際、教習所に支払う教習料金の45%が支給される仕組みです。
他には賃金に対する助成金もあり、1人1時間あたり760円が支給されたり、一定の条件を満たす場合に限り、1人1時間当たり960円が支給されたりもします。
若年人材育成訓練の対象になる従業員の要件については、厚生労働省の資料を参照してください。
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大型免許の助成金制度:教育訓練給付金制度とは
教育訓練給付金制度は、厚生労働省がおこなっている雇用に関わる助成金の一つです。
具体的には、働く方のスキルアップやキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職を促す事を目的とした雇用保険の給付制度となっています。
資格の取得にかかる費用を一旦自分で負担した後、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講・修了すれば、資格取得にかかった費用の一部を返してもらえる制度です。
中型免許や大型免許の取得にはそれなりの金銭的負担がかかるため、近年はこうした助成金制度を利用する人が増えています。
これからトラック運転手になりたい方、資格の取得を考えている方にオススメの制度です。
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大型免許の助成金制度:教育訓練給付金制度の利用方法
教育訓練給付金制度の利用を考えている方向けに、こちらでは具体的な利用方法、助成金を受け取るまでの流れについて解説します。
1.お近くのハローワークで支給資格の照会
まずは居住エリアを管轄しているハローワークで、自分が給付の条件を満たしているかを確認する必要があります。
大型免許の教習を受ける1ヶ月前までにハローワークへ行き、教育訓練給付金支給要件照会票に必要事項を記入して、受給要件を満たしているか照会しましょう。
2.入校の手続き
教育訓練給付制度の受給要件を満たしていることが確認できたら、教育訓練給付制度の対象になっている指定教育訓練校(教習所)への入校手続きを行います。
教習所では、教育訓練給付制度を利用して教習を希望している事を伝えて、入校手続きを行います。その際費用の支払いが生じますが、必ず領収書を受け取り、しっかり保存しておきましょう。
領収書は、教習終了後にハローワークで給付金申請手続きをする際に必要になります。
3.教習開始
教習が始まったら大型免許取得を目指して頑張りましょう。大型免許の教習にかかる費用は一旦自己負担し、あとで助成金を受け取る形になります。
4.教習所卒業
大型免許の教習が修了したら、指定教育訓練校(教習所)から教育訓練給付金支給申請書と教育訓練修了証明書、返還金明細書、教習受講料の領収書を交付してもらいます。
5.給付金の申請手続き
大型免許の教習が修了した翌日から1ヶ月以内に、必要書類を揃えてハローワークに行き、教育訓練給付金の申請をおこないましょう。
その際、指定教育訓練校(教習所)に作成してもらった書類および離職票、または雇用保険受給資格者証、本人確認証も提出します。
6.助成金の支給
ハローワークの審査が無事に通れば、教育訓練給付金を受け取れます。教育訓練給付制度の対象になっている指定教育訓練校は一例として以下があります。参考にしてください。
都道府県 |
訓練校名 |
秋田県 | |
秋田県 | |
秋田県 | |
栃木県 | 那須自動車学校・那須クレーン教習所 |
栃木県 | |
長野県 | |
新潟県 | |
京都府 | |
鳥取県 | |
徳島県 | |
愛媛県 |
以上の6つのステップを踏むことで、教育訓練給付金制度の利用が可能です。デメリットは、手続きが面倒でそこそこ時間もかかる点です。
「大型免許を取得する金銭的余裕はないし、給付金制度を利用するのも正直面倒」という方は、資格取得支援をおこなう企業への就職・転職を検討しましょう。
資格取得支援をおこなう企業であれば、採用した社員が新しい資格や免許を取得する際に、金銭的な援助をしてくれます。費用を全額負担してくれる企業も珍しくありません。
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大型免許の助成金制度:教育訓練給付金の給付条件
教育訓練給付金制度は資格取得者にとって経済的なメリットが大きい制度ですが、給付にはいくつか条件があるので、こちらで紹介します。
1.雇用保険に3年以上の加入されている方(在職者)
現在お勤めの方は、雇用保険の被保険者期間が3年以上ある事が給付条件です。
仮に途中で転職しても、継続して雇用保険に加入していれば期間は通算されます。ただし、加入期間のブランクが1年以上あった場合は通算されません。
注意したいのは勤務歴ではなく、雇用保険の被保険者の期間である点です。間違えないようにしましょう。
2.離職してから1年以内の方(離職者)
すでに会社を退職して失業中の場合、教習の受講開始日が被保険者の資格を喪失した日(離職日)から1年以内でなければなりません。
また、被保険者であった期間が1年以上ある事が給付条件になります。3.前回の給付から3年以上経過している事
今までに教育訓練給付金の給付を受けた事がある場合は、前回の助成金の給付から、今回の受講開始日前までに3年以上経過している必要があります。
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関連記事:玉掛け免許・資格を取るのにいくらかかる?玉掛け免許を増やせば収入を増やせる?
大型免許の助成金申請までの流れ
続いて、教育訓練給付制度の申請をするために必要な書類の紹介、また申請までの流れを解説します。
助成金を受けるために必要な書類
教育訓練給付制度の助成金を受けるには、受講が終わってから、複数の必要書類を提出しなければなりません。
まずは大型免許の講座(教習)を受講した指定教育訓練校(教習所)から「教育訓練給付金支給申請書」「教育訓練修了証明書」「返還金明細書」をもらいます。また、受講料を支払った際の領収書も必要です。
クレジットカードで支払いをおこなった場合はクレジット契約の明細書がもらえるので、紛失しないよう大事に保管しておきましょう。
さらに、本人確認と住所の確認が必要なので、「運転免許証」「健康保険証」「雇用保険受給者資格者証」「住民票の写し」のいずれかが必要になります。
最後に「雇用保険被保険者証」「雇用保険受給資格者証」の原本もしくはコピーが必要になるので、用意しておきましょう。
参考:ハローワーク教育訓練給付制度の申請について|厚生労働省
>(無料相談)大型トラック免許の助成金申請までの流れについて直接相談したい方はこちら
大型免許の助成金を申請できる場所
必要書類が準備できたら、ハローワークで助成金の受け取り申請をおこないます。
ハローワークで給付金の申請手続き
ハローワークでの助成金申請の手続きは、講座終了の翌日から起算して1ヶ月以内ですので、早めに申請しましょう。
ハローワークで先述した必要書類を揃えて、助成金の申請をおこなうと、1ヶ月以内に助成金が支払われます。
>(無料相談)大型トラック免許の助成金申請できる場所について詳しく知りたい方はこちら
大型免許の助成金制度に関するまとめ
昨今、運送業界ではアマゾンや楽天などのEC市場が拡大したことで、景気が上向きとなり、人手不足の状況が続いています。
特に大型トラックドライバーの需要は今後も継続する見込みが高いでしょう。
本来であれば高額な取得費用がかかる大型免許ですが、教育訓練給付金の制度や資格取得支援制度を活用すれば、金銭的な負担は大きく軽減できます。
特に資格取得支援制度がある企業に就職・転職できれば、金銭的な負担ゼロで大型免許を取得できる可能性もあるので、ぜひ一度求人情報をチェックしてみてください。
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