「運行管理者の資格更新ってどうすればいいのかな......」「更新しなかったら剥奪されるのかな......」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
資格に関しては、難しい文章ばかりが並んでいてわかりにくく困りますよね。本記事では、運行管理者の更新内容についてわかりやすく噛み砕いて解説します。
運行管理者になりたての方や今後目指している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事のまとめ
- 運行管理者の資格取得は実務経験が5年以上必要になる
- 運行管理者免許が失効したら運輸局で再交付の手続きをする
- 運行管理者資格者証の発行には約1ヶ月かかる
運行管理者とは:ドライバーの安全体制を維持する仕事
運送業を営む上で欠かせない資格は、運行管理者の存在です。
運行管理者は各ドライバーの乗務配置や運行記録の管理など多岐にわたる仕事をする必要があります。
運行管理者は物を運ぶ「貨物」と人を運ぶ「旅客」の2種類にわけられています。
貨物の場合であれば、営業所ひとつに対して運行管理者が1名以上配置しなければいけないルールがあるため注意が必要です。
また、運行管理者になるためには、国家試験に合格して資格を取得しなければなりません。
資格取得する方法としては、以下の一定条件をクリアする必要があります。
条件・方法 |
説明 |
・実務経験5年以上 |
・運行管理に関する実務経験が5年以上あることを証明する |
・基礎講習や一般講習を5回以上受講 |
・基礎講習や一般講習を合計5回以上正しく受講している。 |
運行管理者の資格取得についても理解しておきましょう。
関連記事:運行管理者資格の試験難易度を解説!資格取得の近道とは?
運行管理者資格の更新は基本的に不要
結論から言えば運行管理者に有効期限はありません。
一度資格を取得してしまえば一生運行管理者の資格を保持できます。
ただし、運行管理者として選任され続けるためには、2年に1度おこなわれる講習を受講しなければいけません。
運行管理者講習をサボると自動車の使用停止処分といった行政処分が下されるおそれもあります。
講習会について、以前は講習日などの通知が届いていたのですが、平成24年度から廃止されました。
「旅客自動車運送事業輸送規則」及び「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の一部改正(平成24年4月16日施行)並びに告示の制定に伴い、運行管理者が受講すべき一般講
習又は基礎講習に係る講習受講通知(特別講習を除く。)が廃止されました。つきましては、自動車運送事業者は受講時期を把握して自社で選任している運行管理者に講習を受講させる必要があります。なお、特別講習については、運輸支局長から運送事業者に対し、その旨の通知を行いますので、通知があった運行管理者を必ず受講させていただきますようお願い致します。
講習の受講期限を忘れないように自分できちんと管理しましょう。
運行管理者資格の基礎講習の義務と更新について
運行管理者が受講する講習は、一般講習と特別講習の2種類あります。
どのような内容になっているか紹介していきます。
一般講習
一般講習は、2年に1度受講しなければいけない講習のことです。
講習の内容としては、以下のとおりです。
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上記の内容を踏まえて合計約4時間程の授業があります。
基本的には2年に1度の受講で大丈夫ですが、新しく運行管理者として選任された場合は、受講した年度内に一般講習を受講しなければなりません。
特別講習
重大事故や法令違反によって、行政処分が下された運行管理者は特別講習を受講しなければいけません。
運輸局より行政処分を受けた運行管理者宛に通知書が届けられます。
特別講習は2日間で合計13時間おこなわれるので、長くしんどい講習となるでしょう。
関連記事:運行管理者の資格は試験を受けなくとも取得することができる!?
運行管理の更新:一般講習を受け忘れた場合の対処法
2年に1度の一般講習をすっかり忘れてしまった場合、免許が取り消しになるのか?と疑問があるかと思います。
しかし、講習を受け忘れたからといって、資格証が失効するわけではないので安心してください。
講習を受講すれば資格証の効力が再開するので、期限を過ぎてしまった場合は速やかに受講しましょう。
もし、期限を過ぎたまま運行管理者として業務を行っていると、返納処分が下されるおそれがあるので気をつけてください。
詳しくは次章で解説していきます。
関連記事:免許更新にかかる時間はどれくらい?費用や流れも詳しく解説
運行管理の更新と資格返納について
一度取得すれば一生有効な運行管理者の資格ですが、法律に違反するようなことをおこなえば資格を返納しなければいけません。
以下より一例を紹介していきます。
名義だけを貸している
運行管理者の業務をおこなわず、名義のみを貸して選任運行管理者として申請している場合は違反対象となります。
名義を貸した本人の資格返納処分だけでなく、借りた側の事業所も行政処分が下されることになります。
前任の運行管理者が退職、転勤など事業所から離れた場合、解任と届けがされていないケースでも同じことになります。
たとえ悪意がなくとも、資格剥奪となるので注意しておきましょう。
資格の不正取得をしている
運行管理者の資格取得条件として、実務経験を1年以上おこなう必要があります。
しかし、実際は1年以上の経験もなく、半年程度の実務経験であたかも条件を満たしていると虚偽の申告をし、返納処分されたケースもあります。
資格の不正取得は、絶対おこなわないように注意してください。
勤務時間の基準を違反している
国土交通省が定める「運転手の勤務時間および乗務時間に係る基準」を守らずにいると、返納命令が下される場合があります。
乗務時間や勤務時間を超えて仕事をおこなわせてしまうと、事故につながるおそれがあります。
運行管理者は、勤務時間に違反がないように労働時間の管理も徹底しておこなう必要があるでしょう。
点呼をおこなっていない
運送業界においては乗務員全員に対して、毎日点呼をおこなわなければなりません。
運転手の体調管理やアルコールチェックなどをおこなう点呼をサボると資格返納の対象となります。
昨今ではIT点呼を導入することで、だいぶ点呼が楽になってきたので、遵守することはさほど難しくないでしょう。
事業自動車を運転して違反している
運行管理者が事業用の車を運転し、重大な違反行為(飲酒運転、酒気帯び運転、薬物使用運転、ひき逃げなど)をしてしまった場合、ただちに資格の返納命令が下されます。
重大な違反行為をしないように運行管理者の方は、自覚を持って業務に臨むようにしてください。
ドライバーへ違反行為の指示をしている
運転手に過積載の指示や容認、スピード違反など、違反行為を指示した場合、返納の処分対象となります。
運行管理者は、違反をしなくてもスムーズに仕事が進むように前もって、運行計画を立てておきましょう。
運行管理者の返納命令がでている
運行管理者資格を取得した後も、一定の条件を満たさない場合、運行管理者資格者証の返納命令を受ける可能性があります。
以下のような違反行為がおこなわれたとき、返納命令の対象となります。
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実際に国土交通省の資料でも、以下のように記載があります。
1.運行管理者資格者証の返納命令発令基準関係
自動車運送事業者は、営業所毎に車両数に応じて国家資格を有する運行管理者を選任することが義務付けられています。これまで運行管理者に係る違反が一定以上であり、かつ、運転者に対する適切な指導及び監督を怠り悪質違反が行われた場合等には運行管理者資格者証の返納命令を発令していましたが、資格者として特に不適切と認められる次の場合にあっては直ちに返納命令を発令することとしました。① 事業用自動車の運転者が過労運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、薬物等使用運転 無免許運転 大型自動車等無資格運転 、、 、 ( 最高速度違反行為又は過積載運行 貨物関係)を引き起こした場合であって、資格者が当該違反行為を命じ、又は事業用自動車の運転者がこれらの行為をすることを容認していた場合
② 資格者が事業用自動車により、酒酔い運転、酒気帯び運転、薬物等使用運転、無免許運転、大型自動車等無資格運転又はひき逃げを行った場合
③ 運行管理者に選任されている資格者が、運転者に対する点呼を全く実施していない状態が認められる場合
④ 資格者が運行の安全確保に関する違反の事実若しくはこれを証するものを隠滅し又は改ざんを行う等これを疑うに足りる相当の理由が認められる場合
また、法律の観点でみた場合も違反者に対しては、貨物自動車運送事業法が適用されます。
第二十条 国土交通大臣は、運行管理者資格者証の交付を受けている者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、その運行管理者資格者証の返納を命ずることができる。
運行管理者は安全運行を担保する大切な役職であり、資格を持つ方には一定の基礎知識や実務経験が求められます。
資格を一度取得したからといって、気を抜かずに業務を遂行するようにしましょう。
出典:国土交通省「「道路運送法に基づく運行管理者資格者証の返納命令発令基準等について」等関係通達の一部改正の主な概要」
出典:法令検索E-GOV「平成元年法律第八十三号貨物自動車運送事業法」
運行管理者の資格と更新:失効したときの対応策について
運行管理者の資格が失効した場合、迅速な対応が必要です。
資格を失効した場合、運行管理者として業務を行うことはできません。
また、運行管理者として業務を行っている場合、運行の安全確保に支障をきたすおそれがあります。
運行管理者資格を失効した場合は、速やかに講習を受講し、資格の再取得をしましょう。
具体的には以下の方法でおこないます。
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参考:関東運輸局「運行管理者資格者証の訂正・再交付申請の書類と手続き」
運行管理者資格を再取得するためには、時間と労力がかかるため、失効しないように注意が必要です。
運行管理者としての業務を円滑に遂行するためにも、資格の有効期間や更新について正確な情報を把握しておきましょう。
運行管理者資格証の再交付について
資格者証を「紛失・破損」させてしまったときや結婚で氏名が変わったときも再交付を受けられます。
再交付に必要な物を以下より紹介していくので、参考にしてみてください。
再交付に必要なもの
運行管理者の再交付するのに必要なものは、以下のとおりです。
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申請前に忘れはないか確認しておきましょう。
再交付までの期間
上記の内容で運輸局に申請をおこない、受理されてからおよそ1ヶ月程が再交付される目安になります。
関連記事:運行管理者になるための勉強時間はどれくらい?試験対策や効率的な勉強方法などを紹介
運行管理者証の更新に関するよくある質問
運行管理者証の更新に関するよくある質問として、3つ厳選したので参考にしてみてください。
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運行管理者資格者証カードはいつ届きますか?
運行管理者資格者証カードは、申請が受理されてから約3週間程で届きます。
申請から1ヶ月以上経過しても資格者証カードが届かない場合は、運輸局に問い合わせましょう。
運行管理補助者5年の実務経験があると何がよいのですか?
運行管理補助者として5年の実務経験があると、運行管理者の資格取得において優遇される点が多いです。
実務経験は、運行管理者としての基本的な業務内容や実際の現場経験を積むことができます。
運行管理補助者としての実務経験を積むことは、運行管理者としての資格取得やキャリアアップにおいて非常に有益です。
将来的に運行管理者の資格を取得を考えているなら、まずは補助者としての経験を積むことをおすすめします。
運行管理者講習を受けないとどうなりますか?
運行管理者講習を受けないと、運行管理者資格の効力が消えて、運行管理者として業務をおこなうことができないです。
ただし、資格そのものは失効しません。
講習を受講すれば、再び運行管理者として業務に従事できるようになります。
一点だけ注意しておきたいのが受講期限が過ぎた状態で運行管理業務をおこなうと、行政処分の対象となります。
行政処分を受けると、特別講習を受講する必要が出てくるので大変です。運行管理者講習は法令でも義務付けられており、2年に1回受講する必要があります。
運行管理者講習についての情報は「運行管理者の取得は一般講習を5回受講すれば試験不要」の記事内でも解説しているので、参考にしてみてください。
運行管理者証の更新に関するまとめ
営業所のまとめ役として運行管理者はとても貴重で重要な存在です。
仕事は大変かもしれませんが、やりがいのある仕事です。
企業にとっても大切な存在なので、うっかり講習の受講を忘れて資格を返納しないといけなくならないように気をつけてください。
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