整備管理者とはどのような仕事なのか、整備管理者になる方法、整備管理者の給料事情など、詳しく解説します。
運送業界でドライバー以外の職種を探している方や、将来的に昇進したい自動車整備士の方は参考にしてください。
この記事のまとめ
・整備管理者は試験のない国家資格
・自動車整備士の資格があれば研修なしで選任可能
・給料相場は高めである
整備管理者とは
整備管理者とは、貨物自動車運送事業者から選任された者を言います。
国家資格ですが試験はなく、規定の条件を満たしている状態で事業者から選任されれば、整備管理者になれます。
主な仕事内容は事業用自動車の点検管理、点検整備記録簿等の管理、整備実施計画の策定、車庫管理などです。
なお、一定台数以上のバスやトラックなどの車両または事業者用自動車を所有する事業者は、営業所ごとに一定の要件を満たした整備管理者を選任する必要があります。
整備管理者の仕事内容
整備管理者の仕事内容は、バスやトラック、事業者用車両の整備が正しくおこなわれているかを管理することです。
日常点検や定期点検の方法を適宜改善することも仕事となります。
また、整備がおこなわれた結果、車両が運行できるのか判断したり、問題があれば再度修理をするよう整備工場に依頼することも整備管理者の仕事です。
他にも自動車の車庫を適切な状態に維持・管理すること、点検整備記録簿を管理すること、自分以外にも整備要員がいれば監督指導すること、ドライバーを監督することも仕事となります。
整備管理者の選任人数
整備管理者は、各営業所ごとに1人配置している必要があります。
しかし、車両台数の上限は特に決まっておらず、50台以上保有していても整備管理者は1人いれば問題ありません。
事業の種類ごとに、整備管理者の選任が必要となる車両の台数を一覧にした表が以下となります。
ただし、現実的な問題として、保有台数が多ければ多いほど整備管理者の仕事が大変になるので、台数ごとに整理管理者または整備管理補助者の選任をするのが一般的です。
整備管理補助者とは、整備管理者が休日などで欠勤の際に業務を代行する者になります。
ただし、整備管理者と同じ権限があるではなく、日常点検に関する業務や車両が運行できるかどうかの判断程度しか権限がありません。
整備管理者になるためには
整備管理者になるための選任要件は、自動車整備士の資格を取得しているかどうかで変わります。
簡単に言えば、整備士の資格を取得している人は選ばれるハードルは低く、逆に整備士の資格がない人は選ばれるハードルが上がります。詳しくは以下の通りです。
自動車整備士の資格を取得している場合
自動車整備士の1級・2級・3級のいずれかを取得していれば整備管理者になることが可能です。
ただし、3級自動車整備士の場合は基本的に整備実務経験が1年以上経過していることが条件となります。
自動車整備士の資格を取得していない場合
もし自動車整備士の資格を取得していない場合は、2年以上の実務経験と整備管理者選任前研修を受けなければいけません。
2年実務経験では、整備管理を行う車両と同等の者を点検整備していること、または整備管理していることが条件となります。
「点検整備」とは、「整備工場などで整備要員として勤務していた」または「自動車運送事業者の整備実施担当として勤務していた」ことを指します。
また「整備管理」については「整備責任者として車両管理をしていた」、「整備管理者または補助者として車両管理をしていた」に該当することが条件です。
これら、「点検整備」か「整備管理」のどちらかを2年以上経験していることが条件となります。
なお、整備管理者選任前研修は各地方で実施されているものです。
研修内容は整備管理者の業務や権限、点検整備方法、整備管理者の関係法令などを学び、研修自体は半日程度で終わります。
取得後も研修を受けなければいけない
整備管理者に選任後も、2年に1回は整備管理者選任後研修を受けなければいけません。
研修は運輸支局にて定期的に開催されているので、会社の指示に従ってきちんと受講しましょう。
整備管理者になるために必要な資格の種類
整備管理者になるためは、選任届書の他に以下の書類提出が必要です。
自動車整備士の資格を取得しているかどうかで必要な書類が異なるため、それぞれ紹介します。
自動車整備士の資格を取得している場合
資格を持っている方は、資格を所有していることを証明できる合格証、または整備士手帳のコピーを提出します。
自動車整備士の資格を取得していない場合
資格がない方は、2年以上実務経験をした後に会社からもらえる実務経験証明書、さらに整備管理者選任前研修を修了した後にもらえる修了証、以上の2つの書類が必要です。
関連記事:運送業を始めるには許可が必要です!取得方法や条件、流れを細かく紹介しています
整備管理者の給料
整備管理者の年収は、およそ500〜700万円程度と言われています。
月収に換算すると40〜50万円程度で。手取りだと30〜40万円程度です。
一般的な企業よりも少し高めである理由は、現場を管理する能力、知識や経験が必要であるためです。
また、整備管理者となって働いている人に40歳以上が多いことも理由の1つです。
ある程度経験を重ねている方がほとんどであるため、自然と給料水準も高くなっています。
また、アルバイトや契約社員ではなく、正社員として働いている方が大半であるも理由の1つとなります。
関連記事:運行管理者の給料相場は?年収や求人例について詳しく解説
整備士の求人を検索する(無料)整備管理者に関してよくある質問
最後に整備管理者に関してよくある質問に回答します。
整備管理者の講習は義務ですか?
整備管理者が2年ごとに『整備管理者選任後研修』を受けることは、道路運送車両法第50条で規定されているため、義務となります。
整備管理者が不在だとどのような罰則がありますか?
整備管理者が必要であるにもかかわらず、管理者が不在であった場合、整備管理者選任等届出義務違反により30万円以下の罰金が科されます。
さらに、管理者が退職して現場にいないにもかかわらず、新たな管理者の選任届を提出しなかった場合、30日間の事業停止の罰が適応されます。
整備管理者は国家資格ですか?
はい、整備管理者は国家資格です。ただし、特別な試験はありません。
自動車整備士技能検定に合格した者や、2年以上の実務経験と研修の受講など、
選任要件を満たしている状態で選任されれば取得できます。
整備管理者と整備主任者の違いは何ですか?
整備管理者と整備主任者は、現場で管理監督を任される点では同じです。大きな違いは、その役割と職場になります。
整備管理者の役割は、一定以上の自動車を扱う事業所で、正しく点検がおこなわれるように整備するのが役割です。
一方で、整備主任者は国が認定した自動車整備工場で分解整備作業が正しくおこなわれるように管理するのが役割となります。
整備主任者に関しては、職場が「国が認定した自動車整備工場」に限られる点が特徴です。
整備管理者についてのまとめ
バスやトラックなどの事業者用車両の需要があり続ける限り、それらを現場で管理する整備管理者の仕事はなくなりません。
長年運転手として経験を積んできた方、自動車整備士の資格を活かしてキャリアアップしたい方は、ぜひ整備管理者を目指してみてください。
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