無事に内定が決まったものの、内定後に何をしないといけないのか気になる方もいるのではないでしょうか。
内定後は、転職先の労働条件を確認したり、他の内定待ちの会社と比較検討したり、内定通知の返信をしたりと、何かと作業が多いものです。
手順を間違えたり、対応に抜け漏れがあったりすると、思わぬ問題やトラブルに発展する可能性があります。内定承諾するかしないかでも、準備することなどは異なるため、しっかりと理解しておくことが大切です。
そこで本記事では、内定後の大まかな流れを「内定を承諾する場合」と「辞退する場合」とに分けて解説します。
特に、内定承諾書を提出した後に内定を辞退する場合、再応募時に不利になったり、最悪損害賠償請求をされたりする恐れもあるので、十分に注意が必要です。
他にも記事内では、退職する会社から受け取るべき書類や、自分で用意が必要な書類など、転職を控えている方は必見の情報が満載です。
新しい職場でスムーズにスタートを切るために、準備をしっかり整えましょう。
内定後の流れ〜承諾する場合〜
内定通知書を受け取ってから初出社をするまでに何をすればいいのか、内定を「承諾する場合」の流れを解説します。
内定通知書を受け取る
内定が決まると、採用担当者からメールや電話で連絡がきます。具体的には「面接に合格しました」や「当社で働く意思があれば、採用とさせていただきます」などの内容です。
この時点で、具体的な労働条件がまだ明示されていない場合もありますが、そのまま待つのではなく、必ず会社に詳細な労働条件を文書で提供してもらうように依頼しましょう。
たとえば、「内定のご連絡ありがとうございます。条件を確認した上で判断したいので、詳細を文書かメールでご提示いただけますでしょうか」のように、丁寧に伝えてみてください。
雇用条件を確認する
内定通知書や採用通知書、または雇用契約書には、労働契約の期間や賃金などの労働条件が記載されています。これらの内容をしっかりと確認した上で、内定を承諾するか辞退するかを決定しましょう。
どちらの選択をする場合でも、まずは電話で連絡をおこない、担当者に繋がらなかった場合はメールで対応するようにしましょう。
内定の承諾や辞退の連絡方法や返答期限は、会社から指示されることが多いため、しっかりと確認することが大切です。
特に指示がない場合でも、会社に問い合わせるか、1週間以内に返答するのが望ましいです。もしエージェントサービスを利用している場合は、担当キャリアアドバイザーを通じて返事をしましょう。
内定の可否について返事をする
もし返答を待ってもらいたい場合は、返事に時間がかかる理由を会社に説明し、了承を得た上で、遅くとも2週間以内に連絡をしましょう。
また、内定を承諾する場合は、契約書への署名や返送などの手続きを速やかにおこなうことが大切です。
入社日の決定
入社日は、面接時にヒアリングした内容を基に決められるのが一般的です。
内定後に入社日を変更してもらうことも可能ですが、極力会社の指示に従いましょう。入社可能時期が面接時に伝えた時期と大きく異なると、会社に良い印象を与えない場合があります。
転職活動を始める前に、現在の会社の就業規則を確認し、退職に必要な期間を把握しておくことが重要です。
なお、退職日は現在の職場の上司と相談して決めますが、退職日が入社日前日となるよう調整できると良いでしょう。
退職日と新しい職場の入社日が空くと、国民健康保険や年金に関する手続きを自分でおこなう必要が出てくるため、注意が必要です。
雇用契約の締結
雇用契約を結ぶタイミングは会社によってさまざまです。内定通知書を承諾した時点で契約が成立する場合もあれば、内定通知書の確認後に改めて雇用契約書に署名する場合もあります。
注意点として、いったん入社を承諾した後(契約書にサインした後)に辞退するのは、極力避けてください。
会社側は採用できたと思っているので、採用活動をやめたり備品を準備したりと、入社の準備を進めています。契約後の辞退は会社に大きな迷惑をかけることになります。雇用契約を締結する際は、入社する意思を十分に固めておくことが大切です。
退職準備をする
転職する場合、退職の意向はまず直属の上司に伝えることが基本です。その後、上司や人事と相談しながら退職日の調整や業務の引き継ぎを進めつつ、同僚や関係者に退職の挨拶をおこないましょう。
転職先については、トラブルを避けるために、直属の上司以外には具体的に伝えない方が無難です。
内定式に出席する
内定式は会社が内定を正式に通知する場であり、同期入社する内定者との交流の機会でもあります。
また、採用担当者以外の社員と知り合える場でもあり、入社後に役立つ人脈を築ける可能性があります。
そのため、特別な事情がない限り、積極的に参加しましょう。やむを得ず欠席する場合は、必ず事前に会社に連絡を入れてください。
内定後の流れ〜辞退する場合〜
続いて、内定後に辞退する場合の流れを解説します。
電話で辞退する
内定を辞退する場合は、まず電話で会社に連絡を入れるのが基本です。担当者が不在の場合に限り、メールでの対応を検討しましょう。以下は、電話での辞退連絡の例文です。
お世話になっております。内定の通知をいただきました、〇〇と申します。
採用担当の□□様はいらっしゃいますでしょうか?
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変申し上げにくいのですが、検討の結果、今回の内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
選考のためにお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような結果となってしまい、誠に申し訳ございません。
本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところ、電話でのご連絡となり恐れ入ります。
それでは失礼いたします。
メールで辞退する
電話がつながらなかったり、担当者が不在で連絡が取れなかったりする場合は、メールで内定辞退の意思を伝えましょう。以下は、メールでの辞退連絡の例文です。
件名:内定辞退のご連絡/〇〇
□□株式会社
人事部 採用担当 ●●様
お世話になっております。内定の通知をいただきました、〇〇です。
先ほどお電話を差し上げましたが、ご多忙のようでしたので、メールにて失礼いたします。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
誠に恐縮ですが、検討の結果、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
お忙しい中、選考のためにお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような形となり、大変申し訳ございません。
本来であれば貴社にお伺いし、直接お詫びすべきところですが、メールでのご連絡となりましたことをご容赦いただければと存じます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
〇〇
〒100-XXXX
東京都△△区〇〇X-X-X
電話番号:-**-***
メール:***@.com
内定承諾書の提出後に辞退するリスク
内定承諾書を提出した後でも、基本的に辞退は可能です。法律上、労働者は入社予定日の少なくとも2週間前までに辞退の意思を伝えれば、一方的に労働契約を解除することが認められています。
そのため、法的には問題ありませんが、会社にとっては採用活動や準備に費やした時間やコストが無駄になる可能性があり、迷惑をかけることになります。
内定承諾書を提出した後に辞退する場合、以下のようなリスクがあることを考慮しておきましょう。
- 損害賠償が発生する可能性
内定辞退を入社日より2週間以上前におこなえば法律的には問題ありません。しかし、会社側が採用のためにおこなった準備や費用(講習費用、名刺や制服の発注など)がある場合、それらの費用を請求されるリスクがあります。
特に、入社予定日まで2週間を切ってから辞退する場合、会社に実質的な損害を与える可能性が高く、損害賠償が発生するリスクが高まるでしょう。
- 再応募時の不利な状況
内定を辞退した会社に再度応募することは可能ですが、内定辞退によって会社側に悪い印象を与えている可能性があります。
また、別の応募者がすでに採用され、再応募時に採用枠がなくなってる可能性もあるでしょう。
このようなリスクを避けるためにも、内定承諾書を提出する前に、しっかりと意思を固め、後悔のない判断をすることが重要です。
内定後の流れで必要な書類
内定後は、退職する会社や転職先の会社とさまざまな書類のやり取りが発生します。
対応漏れがあると入社手続きや退職に支障をきたす可能性があるので注意が必要です。
そこでここでは、内定後に準備する書類や注意点を解説します。
退職する会社からもらう書類
まず退職する会社からもらう主な書類が
- 基礎年金番号通知書
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
以上の3つです。以下で詳しく解説します。
基礎年金番号通知書
元々、転職先での年金加入手続きには基礎年金番号を確認するための年金手帳が必要でした。そのため、転職後は会社に年金手帳を提出するかコピーを渡すのが一般的だったのです。
しかし、令和4年(2022年)4月以降、冊子型の年金手帳の交付は廃止されています。
令和4年度以降に転職する人は、代わりに発行される基礎年金番号通知書を会社に提出または提示が求められるため、覚えておきましょう。
参考:令和4年4月から年金手帳に代わり基礎年金番号通知書を発行|日本年金機構
源泉徴収票
年末調整の際に転職先の会社に提出する必要がある書類です。通常は退職後1ヶ月以内に前の会社から交付されます。退職時に、いつ頃送られてくるかを確認しておくと安心です。
もし発行されない場合は、すみやかに税務署や労働基準監督署に相談してください。
提出期限に間に合わない場合は、転職先に提出が遅れる旨を連絡しておきましょう。年末までに提出できれば大きな問題はありませんが、場合によっては自分で確定申告をする必要があります。
雇用保険被保険者証
退職時に会社から返却される書類で、雇用保険に加入していることを証明するものです。ハローワークが発行したものを会社が保管しており、転職時にはそのまま転職先に提出することで雇用保険が引き継がれます。
紛失した場合はハローワークで再発行してもらえますが、時間がかかるため注意が必要です。
転職後に自分で用意する書類
続いて、転職後に自分で用意する書類は、
- 給与振込先届出書
- 健康保険被扶養者異動届
- 扶養控除等申告書
- マイナンバーが確認可能な書類
の4つです。以下、詳しく解説します。
給与振込先届出書
給与を振り込むための銀行名や口座番号などの情報を記入する書類です。書類は転職先の会社から渡されるので、必要事項を記入して提出しましょう。
会社によっては、指定された銀行への振り込みが求められることもあるため、事前に確認し、必要に応じて口座を開設する必要があります。
健康保険被扶養者異動届
扶養家族がいる場合に、健康保険へ加入する際に必要となる書類です。転職先の会社から書類を受け取り、記入して提出します。
場合によっては、戸籍謄本や戸籍抄本、または住民票の写しの提出が求められることがあるので、事前に確認して準備しておきましょう。
配偶者や子どもを被扶養者として登録することで、被扶養者は保険料を負担せずに保険の給付を受け取れますが、年収130万円未満などの制限があるため注意が必要です。
扶養控除等申告書
扶養控除や配偶者控除などの税控除を受けるために必要な書類です。扶養家族がいるかどうかにかかわらず、転職先に提出する必要があります。
給与振込先届出書や健康保険被扶養者異動届と同様に、転職先から用紙が渡されるので、必要事項を記入して提出してください。
マイナンバーが確認可能な書類
社会保険や雇用保険の手続きをおこなう際には、マイナンバー(個人番号)が必要となります。
正確な番号を確認できる書類として、マイナンバーカードのコピーや住民票などを提出しましょう。マイナンバーカードのコピーを提出する場合は、表裏の両面を用意する必要があります。
その他の書類
他にも必須ではないものの、提出を求められる場合がある書類、また会社側から渡される可能性がある書類を紹介します。具体的には
- 免許や資格の証明書
- 健康診断書
- 雇用契約書
- 入社承諾書
- 身元保証書
- 卒業証明書
- 退職証明書
などです。
雇用契約書が交わされていなくても、雇用契約自体は成立しますので、法的に作成義務があるわけではありません。しかし、転職先で配布された場合には、署名や押印をして提出する必要があります。
また、労働条件については労働基準法第15条に基づき、必ず明示されるべき事項です。会社側は必ず雇用契約書などの書面などで条件を提示する義務があります。
さらに、前職での在職期間が短い場合や第二新卒としての採用の場合には、最終学歴の卒業証明書や成績証明書の提出が求められることもあります。
履歴書に記載した免許や資格についても、転職時に証明書の提出が必要な場合が多いため、虚偽の記載は絶対に避けましょう。
内定後の流れで注意したいこと
内定後は安心感から油断しないことが肝要です。内定通知書の保管や、提出書類の期限を守るなどはもちろんのこと、内定辞退を考える場合、できるだけ早く連絡を入れる必要があります。
そこでここでは、内定後の流れで注意したいことを4つ紹介します。
内定辞退は早めに連絡する
内定を辞退することを決めたら、できるだけ早く会社に連絡を入れましょう。会社は入社に向けた準備を進めているため、辞退の連絡が遅れるほど担当者に迷惑がかかります。
入社日の2週間前までには必ず辞退の意思を伝えるように心がけてください。
なお、内定辞退の連絡は、基本的に電話でおこなうのがマナーです。電話での連絡は、謝罪の気持ちや誠意を直接伝えられるので、採用担当者に与える印象も良くなります。
また、電話で内定辞退を伝えた後に、お詫び状を送ることをおすすめします。
特に、家族や知人からの紹介で応募した場合は、お詫び状を送るのが常識的と言えるでしょう。
お詫び状は手書きで、ビジネス向けの白い封筒に入れて送るのが一般的です。辞退理由は簡潔に触れつつ、誠意を持って謝罪の意を伝えましょう。
内定通知書は保管しておく
内定通知書は、紙であれ電子データであれ、必ず保存しておくことが重要です。特に、メールやPDFなどの電子媒体で受け取った場合は、誤って削除しないよう注意してください。
内定通知書を紛失しても内定が無効になるわけではありませんが、不当な内定取り消しを受けた際に、訴訟で重要な証拠として使用できる場合があります。
※PDF(Portable Document Format):文書を印刷したときと同じレイアウトで保存でき、どんなパソコンやスマートフォンでも基本同じように見ることができる電子文書のこと。
書類提出の期限を厳守する
転職先から書類の提出を求められた場合は、必ず期限を守りましょう。期限を守らないと、社内の受け入れ準備が遅れ、業務に支障が出る可能性があります。
さらに、仕事への姿勢が疑われ、入社前から評価が低くなる恐れもあります。入社前に関係部署へ迷惑をかけないためにも、提出期限は厳守しましょう。
内定取り消しにならないようにする
会社が内定者の同意なしに内定を取り消すことは基本的に違法です。しかし、内定者が何らかの不適切な行動を取った場合、内定取り消しが認められることもあります。
例えば、提出書類に虚偽の記載があったり、会社の信用に影響を与えるような行動が発覚したりした場合です。内定を受けた時点から、会社の一員としての自覚を持ち、注意して生活しましょう。
内定後の流れに関してよくある質問
最後に内定後の流れに関してよくある質問に回答します。
別の会社の選考結果を待ってから返事をしたいのですが…
内定通知の返事を遅らせる場合は、会社の印象を損なわないよう配慮することが大切です。まず、内定への感謝を伝え、具体的な回答日を提示して、その日まで待ってほしいとお願いしましょう。あくまで「待っていただけますか?」とお願いする姿勢が重要です。
「他社と条件を比較して慎重に判断したいので、あと×日間お時間をいただけますか?」とお願いするのも一つの方法ですが、比較する会社によっては転職の軸を疑われることがあるため、注意が必要です。
口頭での説明でのみ「内定」と言われました。まだ内定承諾書が送られてこないので不安です。
書面での契約書がなくても入社扱いとなるケースもありますが、その際も労働条件をしっかり確認しておくことが重要です。
入社を承諾する前に、労働条件面はメールや書類など、形に残る方法で提示してもらうようお願いしましょう。後々のトラブルを避けるためにも、明確な記録を残しておくことが大切です。
入社の承諾をしたのですが、やっぱり辞退したいです。
内定承諾書を提出した後でも、内定辞退は法的に認められています。しかし、信義に反する行為と見なされる場合には、不法行為や債務不履行として損害賠償責任が発生する可能性があるので注意しましょう。
たとえば研修に参加した後に、入社直前で理由もなく突然辞退するなどです。なお、損害賠償の範囲は、新たな採用活動に要した費用程度に限られることが一般的です。
このように、法的な問題がないとしても、トラブルに発展するリスクが完全にないわけではないため、内定辞退は慎重に判断する必要があります。
内定承諾後、引っ越しが必要な場合、会社からサポートはありますか?
内定承諾後に引っ越しが必要な場合、会社がサポートを提供しているかどうかは会社によって異なります。まずは、内定通知書や雇用契約書に引っ越しに関するサポートが記載されているか確認しましょう。
記載がない場合でも、会社に直接問い合わせてみることをおすすめします。
内定後の流れについてのまとめ
内定後の流れには、内定通知の受け取りから入社日まで、さまざまな重要な作業が含まれます。特に、労働条件の詳細を確認し、自分に合った条件かどうかを慎重に判断することが不可欠です。
もし、内定を辞退する場合には、会社への影響を最小限に抑えるため、早めに連絡し、誠意を持って対応しましょう。
転職は人生の大きな転機であり、成功させるには計画的に取り組む必要があります。
もし、転職活動や内定~入社まで不安に感じている場合は、転職エージェントサービスを活用するのも一つの方法です。
転職エージェントサービスを利用すれば、内定承諾や辞退の連絡を代わりに伝えてくれたり、入社前に不安なことを企業に聞いてくれるため、不安解消につながります。
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