バスは、人々の交通手段として欠かせないものであり、バス運転手は需要の高い職種と言えます。
近年は、新型コロナウイルスの影響が限定的となり、インバウンド需要の増加から、都市部や観光地で運転手が不足している状況です。
運転手確保に向けた、資格取得支援制度の導入や、労働環境の改善に取り組むバス会社も増えてきています。
異業種から、バス運転手への転職を検討するうえで気になるのが「運転手の適性」です。
今回は、どのような人がバス運転手に向いているのか、仕事内容ややりがいを踏まえながら解説していきます。
【この記事で分かること】 ・バス運転手に向いている人の特徴 ・バス運転手に向いていない人の特徴 ・バス運転手の種類と仕事内容 ・バス運転手のやりがいや辛さ ・バス運転手の適性を確かめる方法 |
バス運転手に向いている人の特徴
バス運転手は、多くの乗客の命を預かることとなり、運行中はちょっとしたミスも許されません。
安全第一での運転はもちろん、時間通りに路線を回らなければならず、高度な運転スキルが求められます。
ここでは、どのような人がバス運転手に向いているのか、7つの特徴について解説していきます。
1人で仕事をするのが好き
1人で黙々と仕事をこなすのが好きな人は、バス運転手が向いています。
上司から指示されながら仕事をこなすのではなく、1人で黙々と運転するからです。
路線バスなどの場合は、運賃の収受業務などで必要最低限の接客があるものの、運転中に会話するようなことはめったにありません。
周りと連携して仕事をこなすのが苦手で、目の前の仕事に集中したいという人は、バス運転手に向いていると言えるでしょう。
運転が好き
バス運転手へ転職するうえで、必須の適性と言えるのが「運転が好き」ということです。
バス運転手は、仕事内容によっては一日に数百キロ走ることも珍しくありません。
車両点検や洗車といった業務もあるものの、仕事の大半は運転です。
運転が好きであれば、運転スキルがない場合でも仕事をこなす中で自然に成長していきます。
接客が得意
お客様と話したり、サポートしてあげたりするのが好きという人も、バス運転手が向いています。
路線バス運転手の場合、お客様との距離が非常に近く、乗り降りの際に会話することもあります。
小さな子供や高齢者が乗車した際は、その場に応じたサポートも必要です。
観光バス運転手に関しては、旅行で利用する人がほとんどであり、すてきな思い出にしてあげるためには、車内の雰囲気作りも大切です。
接客が得意で、人の役に立つのが好きという人は、バス運転手に向いています。
誠実である
日々、運転手として向上心を持つなど、誠実で愚直に仕事と向き合えるような人もバス運転手に向いています。
バス運転手は「出勤・点呼・車両点検・乗務・到着点呼」が主な流れであり、毎日この繰り返しとなります。
バス運転手になりたての頃は、覚えることが多く毎日が新鮮に感じられるものの、ルーティンワークで単調な仕事と言えます。
運転中は1人ですごすため、手を抜こうと思えばいくらでも手抜きできる環境と言えます。
そのような環境でも、自分と向き合いながら向上心を持ち、仕事と向き合えるような誠実な人はバス運転手に向いていると言えます。
さまざまなことを経験しながら、バス運転手として成長していけるでしょう。
時間に厳しい
時間に厳しい人もバス運転手に向いていると言えます。
バス運転手は、安全運転はもちろん時間通りに乗客を目的地まで運ぶ役割を担っているからです。
予定よりも遅く目的地に到着した場合、その後のスケジュールに影響が及びます。
特に路線バスは、数多くある停留所ごとに到着時間が定められており、早すぎても遅すぎてもいけません。
その日の天候や交通状況を事前に把握したうえで、時間を厳守できるような人はバス運転手に向いていると言えるでしょう。
体調管理が得意
体調管理が得意であり、病気などで欠勤したことがないような人も、バス運転手が向いています。
バス運転手は、人手不足ということもあり、他の職種と比べて拘束時間が長いと言われています。
通勤や通学に合わせて運行するため、早朝や夜遅くの勤務もこなさなければなりません。
運行中は座りっぱなしになることもあり、適度な運動も含めた健康管理が必要です。
自主的に睡眠や食事に気を配れるような人は、バス運転手に向いていると言えます。
ストレス耐性がある
さまざまなことが要因となる、ストレスの耐性がある人もバス運転手に向いています。
バス運転手は、以下のような内容が原因でストレスが溜まりやすいと言われているからです。
・生活リズムが崩れやすい
・拘束時間が長い
・事故のリスクと常に隣り合わせである
・乗客や一般車からのクレームが多い
特にクレームに関しては「到着時間が遅い」「バスに割り込まれた」といった内容が多くあります。
運転手が悪くないクレームもある中で、真摯に受け止めて日々運行を続けなければなりません。
考えすぎで落ち込むようなことがなく、平常心で働き続けられるようなストレス耐性のある人は、バス運転手に向いています。
バス運転手に向いていない人の特徴
バス運転手は、未経験で運転スキルがないまま入社した人でも、十分な社内研修が行われるため安心です。
しかしながら、適性がなく長く働き続けるのが難しいといえる人も少なからずいます。
ここでは、バス運転手に向いていない人の、6つの特徴について解説していきます。
日常的に飲酒する
日常的に飲酒しており、お酒が大好きな人は、バス運転手が向いていない可能性があります。
運転職にとって、お酒は天敵ともいえる存在であり、どのバス会社も厳格な飲酒チェックを毎日実施しています。
出勤時の点呼では、アルコール濃度が0ミリグラムでなければ乗務できません。
お酒が飲めないわけではないものの、飲酒量を調整しなければならず、好きなように飲めません。
日常的に飲酒しており、量も多いような人はバス運転手は向いていないと言えます。
運転が苦手
バス運転手へ転職するうえで、必須の適性と言えるのが「運転が好き」と解説したのとは逆で、運転が苦手な人はバス運転手に向いていません。
バス運転手は、長時間の運転が当たり前であり、多くの人が乗車しているため、ちょっとした事故も許されません。
普段の運転でよく車をぶつけたり、気付かないうちに交通違反をしてしまったりしがちな人は、バス運転手の適性がないと言えるでしょう。
運転が好きであるものの、運転技術がないような人は、研修などを通じて成長できるため問題ありません。
チームワークが好き
チームを組んで、周りと連携しながら仕事を進めるのが好きな人は、バス運転手の仕事を苦痛に感じてしまう可能性が高いと言えます。
バス運転手は、基本的に1人ですごすことが多く、職場の人とのコミュニケーションはほとんどありません。
貸切バスや観光バスの場合は、乗務員や交代用のドライバーと一緒に乗務するものの、協力し合う場面はそれほどありません。
ルーティンワークが嫌
ルーティンワークが苦手という人は、バス運転手は向いていないと言えます。
先ほど解説した通り、バス運転手は「出勤・点呼・車両点検・乗務・到着点呼」という流れで毎日の運行をこなしていきます。
乗務時間や運行する路線が若干変わることはあるものの、ルーティンワークであり仕事に大きな変化はありません。
さまざまなことを経験できるような仕事が好きな方にとっては、退屈に感じてしまう可能性があります。
どうしてもバス運転手に転職したい場合は、都度行き先が異なる観光バス運転手がおすすめです。
時間管理が苦手
バス運転手は、ダイヤ通りに運行しなければならず数分の遅れもクレームにつながるため、時間管理が苦手な人は向いていません。
あまり時間を気にする習慣がなく、細かい遅刻を何度もしてしまいがちな人や、時間を守るための計画を立てるのが苦手な人が該当します。
ただし、ある程度時間通りに運行できるようなスケジュールが組まれているため、心配し過ぎる必要はありません。
コミュニケーションが不得意
接客業務が苦手で、上手く人とコミュニケーションが取れないといった人も、バスの運転手には向いていないと言えます。
運転中は1人ですごすため、頻繁に会話があるわけではないものの、乗客の乗り降りの際は接客業務もあります。
両替やバスカードの販売、行き先に関する応答なども業務の1つであり、さまざまな人を相手にしなければなりません。
接客が上手である必要はないものの、コミュニケーション自体が苦手という人は、バス運転手に向いていない可能性があります。
バス運転手に向いている人必見・やりがいは仕事内容で変わる
バス運転手は、行き先や運行内容によって4つの種類に分けられます。
・路線バス
・高速バス
・観光バス
・送迎バス
どの運転手もメイン業務はバスの運転であるものの、具体的な業務内容や仕事の流れが異なります。
ここでは、各運転手の仕事内容について、適性も踏まえながら解説していきますので、転職先を決めるうえで参考にしてみてください。
路線バス
路線バス運転手は、定められた停留所で乗客を乗せながら、最終目的地まで向かうのが仕事です。
通勤や通学、各種施設への移動に使われやすく、幅広い年代の乗客が利用します。
朝や夕方は、利用者が多く立って乗車する人もいるため、必要に応じて安全に関する注意喚起をします。
乗客が乗り降りする際には、運賃の収受やバスカードの販売などの業務もあり、4種類の中で最も接客業務が多いことが特徴です。
人と話すのが好きで、お客様と関わりを持ちたい人におすすめです。
出典:職業情報提供サイトjobtag|路線バス運転手|厚生労働省
高速バス
高速バスの運転手は、都市間の運行が多く、4種類の中で最も長距離を運転することが特徴です。
深夜の便もあるため、昼夜逆転する可能性もあります。
高速道路の走行がメインであるため、狭い道を走行したり歩行者に気を付けながら運転したりすることは少ないと言えます。
一方で、80キロを超える速度で運転するため、ちょっとした油断が大事故につながりやすく、高い集中力が必要です。
必要最低限の接客しかないため、運転だけに集中したいという人におすすめです。
観光バス
観光バス運転手は、文字通り観光地を案内するのが目的のバスです。
地元の観光地を巡る運行と、貸切で依頼者が決めた行き先まで向かう運行があります。
時には数日間の旅行に同行することもあり、泊りがけでの運行もこなします。
行き先が決まっていないため、交通情報や最適なルートを毎回調べなければならない一方で、国内のさまざまな観光地に行けることが特徴です。
ルーティンワークをなるべく避けたいような人におすすめです。
送迎バス
送迎バス運転手は、学校の生徒や高齢者施設の利用者、企業の従業員といった特定の利用者を送迎します。
幼稚園バスのように、時間が限定されている運行と、目的地と迎えの場所を終日行き来する運行があります。
施設がバス会社に業務を委託していることが多く、路線バスのような料金の収受はありません。
利用者を自宅まで送り届ける場合は、各目的地までの最適な経路を考え、道順などを覚えなければなりません。
比較的余裕のある運行で、走行距離も短めであるため、体力的な負担を抑えたい方におすすめです。
出典:職業情報提供サイトjobtag|送迎バス等運転手|厚生労働省
バス運転手のやりがいと大変なところ
バス運転手へ転職するうえで、適性とは別に理解しておくべきことに「仕事のやりがいと大変さ」があります。
やりがいは、仕事を続けるモチベーションとなる重要なものであり、長く働き続けるのであれば、仕事の辛さも理解しておく必要があります。
現役運転手の声も踏まえながら、バス運転手の仕事について解説していきます。
バス運転手のやりがい
バス運転手のやりがいには、以下のようなものがあります。
- お客様との一期一会の出会いがある
- 交通機関として社会に貢献できる
- 直接お客様から感謝の言葉をかけてもらえる
バス運転手に従事していると、さまざまな人との出会いがあります。
路線バスの場合は、高齢者や学生が毎日のように利用するため、自然と親しい関係を築けるようになります。
観光バスは、旅行のサポートを通じての交流もあり、直接お客様から感謝の言葉をかけてもらえる機会が多い仕事です。
多くの人から感謝されることもあり、人々の生活に欠かせない交通機関として、社会への貢献を実感できるのも大きなやりがいと言えます。
この他では「家族を自分が運転するバスに乗せることができたのが一生の思い出」、「仕事先で美味しいものを食べられることがやりがい」といった声もありました。
バス運転手の大変なところ
バス運転手の辛さや大変さには、以下のような内容があります。
- 拘束時間が長い
- 常に集中しなければならず神経を使う
- クレームが多い
バス業界は、現役運転手の高齢化による人材不足が問題となっており、運転手1人あたりの負担が高まっています。
残業や休日出勤が常態化している地域も少なくありません。
運行中は、乗客の命を預かることになるため、交通事故を起こさないように常に集中しておく必要があります。
悪天候の日などは、道が混みやすくちょっとした遅れでクレームが入ることもあるため、精神的な負担が大きいと言えます。
この他には「さまざまな人が利用するため、乗客とトラブルになることがある」「生活が不規則で辛い」といった声もありました。
バス運転手にやりがいと感じられる人か確かめる方法
ここまでバス運転手の適性について解説してきましたが、大型車両の運転経験がなく、自分の判断だけでは不安という人もいるのではないでしょうか。
そのような人は、モニターとハンドルの付いた専用機械を用いた「適性診断」を受けてみましょう。
機械を操作する中で、動作の正確さや判断動作のタイミング、注意の配分といった項目ごとに測定が行われます。
診断は複数用意されており、現在の職種に関係なく誰でも利用可能です。
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バス運転手に向いている人の特徴に関するまとめ
バス運転手は、時刻表通りに目的地へ乗客を送り届けることが仕事であり、運行によっては早朝や夜間に運転することもあります。そのため、時間を厳守できて体調管理が得意な人が向いていると言えます。
また、多くの乗客と接する機会があるため、接客が好きでやりがいを感じる人も適性があると言えるでしょう。
一方で、周りと協力し合いながら仕事をこなすのが好きで、ルーティンワークが苦手というような人は、仕事が辛く感じてしまう可能性があります。
バス運転手には、路線バスや観光バスなどさまざまな種類が存在するため、具体的な業務内容も理解した上で、転職を検討してみましょう。
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