路線バスは、交通手段の一つとして私たちの生活に欠かせない存在になっています。
しかし、バスを利用するお客さんが増える一方で、バス会社では運転手不足が懸念されています。
そこで本記事ではバス運転手の中でも路線バスを運転するために必要な免許や取得の条件などについて解説していきます。
路線バスの運転に必要な免許は「普通免許+大型二種免許」
路線バスの運転をするには、以下の2つの免許が必要です。
- 普通自動車免許
- 大型自動車二種免許証
それぞれ順番に解説していきます。
普通自動車免許証
路線バスを運転するには、普通自動車免許証は必要不可欠です。
しかし、普通自動車免許証だけでは路線バスを運転することはできません。
普通自動車免許証で運転できるバスは、9人乗り以下のマイクロバスや送迎などに使われるシャトルバスなどの小型のバスに限ります。
路線バスの運転は普通自動車免許だけでは不可能ですが、自動車を運転するためには必ず必要になる免許です。
大型自動車第二種免許証
大型自動車第二種運転免許証は、路線バスを運転するうえで必要不可欠な免許です。
大型自動車第二種運転免許証は、普通自動車免許証とは異なり、取得に筆記試験や実技試験だけでなく技能検定が科せられています。
そのため、普通自動車免許証よりも取得のハードルは高くなっています。
大型自動車第二種免許証は普通自動車免許証では運転できない路線バスだけでなく、大型トラックや建設機械の運転が可能になるため、交通や建設関係で有利になるのです。
路線バスの回送は大型自動車第一種免許証で運転できる
路線バスの回送は大型自動車第一種免許証でも運転できます。
大型自動車第一種免許証は大型自動車第二種免許証に比べて、高い運転技術や経験が重視されます。
そのため、大型自動車第一種免許証の取得の難易度は高いと言われています。
しかし、バスなどを運転する場合は「お客さんを乗せて運転する」ことはできません。
路線バスにお客さんを乗せて運転するには、大型自動車第二種免許証が必要となります。
そのため、一般的な路線バスの運転手は大型自動車第二種免許証を取得しています。
しかし、お客さんを乗せていない状態の路線バスの回送であれば、大型自動車第一種免許証で運転が可能です。
路線バス免許の取得条件は4つ
路線バスを運転するのに必要な大型自動車第二種免許証ですが、取得には以下の4つの条件があります。
- 年齢が満21歳以上である
- 運転経歴が通算して3年以上ある
- 両眼で0.8以上かつ1眼で0.5以上の視力がある
- 色彩識別能力・深視力・聴力・運動能力の測定に合格する
それぞれについて解説していきます。
年齢が満21歳以上である
路線バス免許の取得条件1つ目は、年齢が満21歳以上であることです。
普通自動車免許証を取得できる年齢は18歳以上のため、18歳で普通自動車免許を取得したとしても、3年間は路線バス免許の取得はできません。
この年齢制限は運転技術や経験がある程度習得していることや、責任を適切に果たせるかなどによって定められています。
日本だけでなく、外国でも21歳以上にならないと大型自動車第二種免許証の取得ができない国は多いです。
一方、成人済みの状態であれば講義や訓練を受けることで取得は可能です。そのため、年齢の上限は設けられておらず、30代や40代からでも挑戦できます。
運転経歴が通算して3年以上ある
路線バス免許の取得条件2つ目は、運転経歴が通算して3年以上あることです。
路線バスを運転するにあたって、道路標識や速度制限など基本的な知識だけでなく、ある程度の運転技術も必要になります。
取得可能年齢が満21歳以上だった理由も、18歳で普通自動車免許証を取得してから3年が過ぎている状態だからです。
ここで気になってくるのが「ペーパードライバーでも取得可能なのか?」ということです。
運転経歴は運転免許を取得してからの実際の運転経験となるため、ペーパードライバーの場合はそれに該当しない可能性があります。
路線バスの免許取得を検討する際は、住んでいる地域や関連機関などに確認しておきましょう。
両眼で0.8以上かつ1眼で0.5以上の視力がある
路線バス免許の取得条件3つ目は、両眼で0.8以上かつ1眼で0.5以上の視力があることです。
安全に運転するために、大型自動車第二種免許証を取得するには普通自動車免許証よりも視力が0.1以上必要になります。
普通車を運転するよりも車両が大きくなることや、自分以外の誰かを乗せて運転することから、視力に関しては厳しく判定されます。
事前に眼科を受診するなど、自分の視力がいくつなのかを把握しておきましょう。
色彩識別能力・深視力・聴力・運動能力の測定に合格する
路線バス免許の取得条件4つ目は、色彩識別能力・深視力・聴力・運動能力の測定に合格することです。
色彩識別能力は、信号や標識を正しく判断できる能力のことで、安全運転を行う上で必要不可欠な能力です。
深視力は、車両の前後や周囲との距離を正確に測るために必要な能力です。
聴力は、普通自動車免許証と同じように警報音などを判断するために必要な能力で、低下している場合は免許を取得できない場合があります。
運動能力も、普通車よりも大きな車体を運転するためにアクセルやブレーキなどを制御しなければならないため、ある程度は必要な能力です。
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路線バスの免許試験によくでる問題|5選
路線バスの免許試験は〇×形式です。
- 問題1
- 問題2
- 問題3
- 問題4
- 問題5
実際にどんな問題が出るのか見ていきましょう。
問題1
1問目は、「路線バスの専用通行帯は、たとえ指定時間外であっても普通自動車の通行は認められていない。」です。
正解は「〇」です。
路線バスの専用運行帯は表示されている指定時間外であれば、通行できます。
出典:学科試験問題出題ジャンル「路線バス」|運転免許学科試験オンライン
問題2
2問目は、「高速道路の路線バスの停留所は、バスの運行時間外であっても駐停車してはいけない。」です。
正解は「×」です。
バス停が立っているところでは駐車できません。
出典:学科試験問題出題ジャンル「路線バス」|運転免許学科試験オンライン
問題3
3問目は、「路線バス等優先通行帯を通行中に後方から通学・通園バスが近づいてきた場合も通行帯から出なければならない。」です。
正解は「〇」です。
通学・通園バスも路線バスに含まれるため、ルールが適用されます。
出典:学科試験問題出題ジャンル「路線バス」|運転免許学科試験オンライン
問題4
4問目は、「停留所の止まっている路線バスが発進の合図をしたときには、急ブレーキ、急ハンドルで避けなければならない状況を除いて路線バスの進路を妨げてはならない。」です。
正解は「〇」です。
路線バスの進行は、緊急時や危険な状況以外では妨げてはいけません。
出典:学科試験問題出題ジャンル「路線バス」|運転免許学科試験オンライン
問題5
5問目は、「交通の混雑時など、路線バス等優先通行帯から出られなくなるおそれがある時には、その通行帯を通行してはいけない。」です。
正解は「〇」です。
優先通行帯で優先されている車両の通行は妨げないように運転する必要があります。
出典:学科試験問題出題ジャンル「路線バス」|運転免許学科試験オンライン
路線バス免許に関するよくある質問
最後に、路線バス免許に関するよくある質問を見ていきましょう。
- 路線バスの免許維持路線とは何ですか?
- 路線バスの免許制について詳しく教えてくれませんか?
- 路線バスとタクシーに共通する免許は何がありますか?
それぞれ順番に解説していきます。
路線バスの免許維持路線とは何ですか?
免許維持路線とは、1日または1週間の運行本数が極めて少ないバス路線のことです。
1日に2往復以下のバス路線を免許維持路線と呼ぶことが多いですが、1週間に1本しか運行しないバス路線も存在します。
なぜ、免許維持路線が存在するかというと、バス路線を廃止するよりも手続きが簡単だからです。
バス路線を廃止するには国土交通省への手続きだけでなく、自治体やその路線近くの住人へのお知らせや調整などが必要となり、膨大な時間と手間がかかります。
一方で、1日の運行本数を減らすことは廃止の手続きよりも簡単であるため、利用者がいなくても運行するバス路線が多数存在しているのです。
路線バスの免許制について詳しく教えてくれませんか?
路線バスを運転するには「普通自動車免許証」と「大型自動車第二種免許証」が必要ですが、さらに「バス運転士免許」という免許も必要です。
バス運転士免許は、路線バスや観光バスの運転手として働く上で必要不可欠な免許で、大型自動車第二種免許証を取得後に教習などを受けて取得します。
現在ではバス会社に就職した後に、会社がバス運転士免許の取得をサポートしてくれるところもあります。
路線バスとタクシーに共通する免許は何がありますか?
路線バスとタクシーの運転手に共通する免許は、普通自動車免許証です。
また、タクシー運転手もバス運転手と同じように「タクシー運転士免許」が必要になります。
路線バス免許に関するまとめ
今回は、路線バスの免許について解説しました。
ハードルが高いと思われがちな路線バスの運転手ですが、免許取得をサポートしてくれる会社も増えています。
バス運転手への転職を検討されている方は、本記事を参考にして、ぜひ免許取得に挑戦してみてください。
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