バス運転手の仕事はもちろんバスを運転することですが、実はそれだけではありません。
出発前・乗務終了後の車両点検・清掃やガソリンの補充、運行記録への記入なども行わなければなりません。
今回は、バス運転手の主な仕事内容を6つ、一日のスケジュールに沿って紹介していきます。
また、運行バス別の仕事内容も合わせて紹介していますので、バス運転手への就職・転職を検討している人は自分が働いている姿をイメージしながら読んでみてください。
バス運転手の仕事内容(一日の流れ)6選
バス運転手の仕事内容は大きく次の6つに分けられます。
基本的には毎日、以下の流れを繰り返すことになります。
- 運行前にバスの点検をする
- アルコール検査をする
- 点呼を取る
- 出庫し乗務を開始する
- 帰庫し運行記録の記入をする
- 業務を終える前にバスの点検・清掃をする
1.運行前にバスの点検をする
朝、出発する前に車両やエンジンなどの点検をするのも運転手の仕事です。
毎朝同じ項目をチェックするのは大変ですが、運転手は乗客の命を預かっているのですから、事故を起こさないためにもしっかり点検しましょう。
ルーティンワークが苦手な人や細かい部分に気づかない人は他の仕事に就くことをおすすめします。
バス運転手に向いていない人の特徴をもっと詳しく知りたい人は「バス運転手 やめとけ」をご覧ください。
2.アルコール検査をする
バス会社には安全のためにアルコール検査機器を置くことが義務付けられており、運転手が飲酒運転をしないよう、毎朝、点呼時に全員検査します。
検査に引っかかってしまった場合、当然、その日は運転できません。
バス運転手には、二日酔いなどで検査に引っかからないよう、アルコールを飲んでよい時間が「勤務開始前8時間まで」と決められています。
また、通勤などですでに飲酒運転していることが明らかな場合、警察に通報されます。
3.点呼をとる
バスに乗り込む前に点呼をとります。通勤しているかをチェックするだけではなく、身だしなみが整っているかもチェックします。
点呼とアルコール検査を同時に行う場合もあるかもしれません。
4.出庫し乗務を開始する
バスの点検・点呼・アルコールチェックが済んだら、いよいよバスに乗り込み、乗務を開始します。
決められたルートを通ってバス停や目的地に向かいます。
乗客と話をする機会もあるでしょうから、コミュニケーション能力も必要です。
5.帰庫し運行記録の記入をする
一日の運行を全て終えたら会社に戻り、その日の運行記録を記入します。
何かあった際に、後から見返して「いつ」「誰が」「どのバスで」「どこにいたのか」を証明できる重要な書類になりますから、偽りのないように正確に記入します。
6.業務を終える前にバスの点検・清掃をする
運行記録への記入や点呼などの事務作業が完了したら、再度、バス車内の点検や清掃をします。
車内をキレイにして、次の担当者にスムーズに引き継げる状態にしておくのです。
【運行バス別】バス運転手の仕事内容
ここまでバス運転手の主な仕事内容を紹介してきましたが、これは路線バスの場合です。
実は、バスには路線バス以外の種類もあります。
ここでは運行バスの種類ごとの仕事内容を紹介します。
運行バスの種類によって仕事内容や働き方、求められる能力などが大きく異なりますので、自分がどの種類に向いているのか考えながら読んでみてください。
- 幼稚園バスの場合
- 路線バスの場合
- 送迎バスの場合
- 観光バスの場合
- 高速バスの場合
バス運転手のなり方や資格、費用などについて詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
関連記事:バス運転手になるために必要な資格は?費用ゼロで取る方法も解説
幼稚園バスの場合
幼稚園バスの運転手は「幼稚園児をバスに乗せて運ぶ」仕事です。
毎朝、園児たちの家の前をまわり、園児たちを幼稚園まで乗せます。
また、夕方にそれぞれの家庭へと送り届けることもあります。
他にも幼稚園に関わる仕事を任されることもあります。
送迎以外の仕事としては、例えば以下の仕事が挙げられます。
- 幼稚園敷地内の清掃
- 幼稚園の備品管理
- 電気の取り換え
- 会議への出席など
バス運転手という職種ではありますが、運転以外の業務の方が多いのが実情です。
子どもと関わることや事務作業、雑務が好きな人は幼稚園バスの運転手に向いていると言えるでしょう。
路線バスの場合
路線バス(乗合バス)は、バスと聞いて最初にイメージするバスのことです。
朝、営業所を出発して各バス停留所を回り、乗客を目的地まで運送します。
また、乗務の前後に車両の点検や清掃、ガソリンの補充、運行記録への記入などを行います。
送迎バスの場合
幼稚園や停留所以外を回るバスを送迎バスと言います。
小・中・高等学校や大学、病院、自動車学校、ホテルなどから目的地まで乗客を送迎するのが主な仕事です。
また、大規模なイベントの場合、会場までの送迎のために臨時で採用されることもあります。
同じルートを繰り返し走ることになるため、ルーティンワークが好きな人に向いています。
観光バスの場合
ツアーや修学旅行など、観光を目的とした貸し切りバスのことを観光バスと言います。
バスガイドがついてくれることもあります。
誰でも乗れる路線バスとは異なり、あらかじめ決められた人しか乗れません。
出先で宿泊したり乗客から観光地について質問されたりすることも多いです。
長時間、運転しなくてはならない代わりに観光地をめぐれるため、旅行好きな人は楽しみながら働けるでしょう。
高速バスの場合
法律的には「高速バス」の定義はされていませんが、一般的には路線バスや観光バスのうち高速道路を走行するバスのことを高速バスと言います。
高速道路を走るため、基本的には長距離、長時間運転することになります。
また、乗客の乗り降りも路線バスほど多くはないでしょう。
運転技術に自信のある人は高速バスの運転手をやってみても良いでしょう。
バス運転手の職種に関する書き方は3種類ある
厚生労働省の「職業分類表」によると、バス運転手は3つの職種に分けられます。
- 路線バス運転手
- 貸切バス運転手
- 送迎バス運転手
①路線バス運転手
路線バスの他、観光路線バスや高速バスが含まれます。
②貸切バス運転手
貸切の観光バスが該当します。
③送迎バス運転手
シャトルバスや送迎バス、幼稚園バスが含まれます。
上記でお伝えした通り、それぞれの運転手に求められる能力や適性は異なりますので、向いている人の特徴も異なります。
バス運転手への就職・転職を検討している人は、自分がどの職種に向いているのか、改めて考えてみましょう。
参考:職業分類表|厚生労働省
バス運転手の仕事内容(一日の流れ)に関するよくある質問
ここでは、バス運転手の仕事内容に関するよくある質問を紹介していきます。
- バスの運転手は一日何時間働いていますか?
- バス運転手の年収は低いですか?
- バス運転手はどんな人が向いていますか?
- バス運転手は減っていますか?
- バス運転手になるには何年必要ですか?
バスの運転手は一日何時間働いていますか?
一日の拘束時間は13時間まで、渋滞などによって想定よりも運行が遅れる場合でも最大16時間が限度と決められています。
それ以上の拘束は違法になります。また、継続8時間以上の休息時間も必要です。
バス運転手の年収は低いですか?
はい、日本人の平均年収と比べると低めです。
厚生労働省によるとバス運転手の年間所得額は令和3年が404万円、令和2年が428万円と、いずれも平均年収よりも低い金額となっています。
バス運転手はどんな人が向いていますか?
バス運転手に向いている人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
- 乗客の安全を第一に考えられる
- ストレスを溜め込みにくい
- 時間管理ができる
- 体調管理ができる
- 1社に長く勤めたい
バス運転手は減っていますか?
収入が低いことに加えて、労働時間が不規則なこともバス運転手が減っている理由の1つでしょう。
バス運転手は労働時間が決められている一般的な会社員とは異なり、時給で報酬が決まるシフト制になっているバス会社が多いようです。
バス運転手になるには何年必要ですか?
バス運転手になるには4〜5年ほどかかります。
バス運転手になるためには「満21歳以上」で「普通免許・準中型免許・大型免許・大型特殊免許のいずれかを取得」していて「運転経験が3年以上」ある必要があります。
すでに上記条件を満たしている場合は各バス会社に応募すればすぐにバス運転手になれますが、
これから免許を取得する場合は、自動車学校に通う期間も考慮すると4〜5年はかかるでしょう。
バス運転手の仕事内容(一日の流れ)に関するまとめ
バス運転手の一日の仕事内容は基本的に6つに分類されます。まず、朝の出勤時にはバスの点検を行います。
エンジンやタイヤのチェック、ブレーキやライトの動作確認などが含まれます。
次に、ルートやスケジュールを確認します。運行中は交通ルールを守り、安全運転を心掛けます。
乗務終了後は点呼・運行記録への記入・車両の点検・清掃などを行います。
運行バスの種類には路線バスの他、観光バスや送迎バスがあります。
観光バスや高速バスなどの長距離の走行を前提としたバスでは長時間の運転が必要であり、乗客が快適に過ごせるような工夫も必要です。
また、送迎バスや幼稚園バスなどでは決まった人が乗ることが多いため、路線バスの運転手よりも高いコミュニケーション能力が求められます。
このように、バス運転手の仕事にはさまざまな要素が含まれるため、運行バスの種類ごとに適性も異なるのです。
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