バス運転手は、トラック運転手のように力仕事がない一方で、多くの乗客を乗せることもあり、高度な運転技術が求められます。
観光バスや高速バスの場合、夜間の運行も珍しくなく、高い集中力も必要です。
バス運転手への転職を検討しており、何歳までなら採用してもらえるのか、いつまで働けるのか気になる方もいるでしょう。
今回は、バス運転手の年齢事情について分かりやすく解説していきます。
【この記事で分かること】 ・バス運転手の採用年齢の上限 ・バス運転手における年齢制限 ・バス運転手として採用されるための条件 ・高齢の人がバス運転手として採用されにくい理由 ・高齢のバス運転手でも働きやすい職場の特徴 |
バス運転手は何歳まで採用される?運行バス別の特徴
一口にバス運転手といっても、運行内容によって5つの種類があります。
運転がメイン業務であることに変わりはないものの、運行の特徴によって運転手に求められる適性が異なります。
各バス運転手の、採用に関する傾向は以下の通りです。
・送迎バス(高齢でも採用されやすい)
・観光バス(運行ルートによっては採用される)
・路線バス(健康状態によっては採用される)
・高速バス(基本採用されない)
・夜行バス(基本採用されない)
各バス運転手の仕事内容も踏まえながら、採用事情について解説していきます。
ちなみに、年齢や健康問題による懸念が大きい応募者の場合、不合格となるか研修期間などを通じて採用の可否が判断されます。
送迎バス(高齢でも採用されやすい)
送迎バスは、幼稚園の園児や各種施設の利用者を、自宅まで送り届けるのが仕事です。
運転するバスは、中型バスが多く大型の車両と比べて運転しやすいと言えます。
また、朝や夕方のみといった時間指定の仕事もあり、拘束時間も短めであることから、高齢でも採用されやすいと言えます。
大型バス運転手の、定年後の転職先としても人気です。
観光バス(運行ルートによっては採用される)
観光バスは、観光地をめぐる運行に乗務するバス運転手で、遠方の観光地を巡ることもあれば、近距離のケースもあります。
貸切で遠方まで向かうような運行をメインとしているバス会社は、長距離運転が当たり前であるため、高齢者の採用は少ないと言えます。
一方で、近場の観光スポットを巡る運行がメインである場合は、体力的な負担も少ないため、高齢の人でも採用されやすいと言えるでしょう。
路線バス(健康状態によっては採用される)
路線バス運転手は、あらかじめ決められているルートを走行しながら、乗客を目的地まで送り届ける役割を担っています。
通勤通学や各施設への交通手段として、多くの人が利用するため、大型車両が一般的です。
運転距離が短く、体力的な負担が少ないものの、交通量の多い場所を運転することが多く、採用時には応募者の健康状態が重視されやすい傾向です。
人手不足を理由に、再雇用の年齢を引き上げる会社が増えてきています。
高速バス(基本採用されない)
高速バスは、高速道路を走行して都市間を行き来するのが仕事です。
5種類の中で最も運転距離が長く、朝方に目的地へ到着する夜間の運行も珍しくありません。
また、運転スピードも他の運行と比べて早いことから、高い集中力と体力が必要であり、基本的に高齢者の採用は行っていません。
夜行バス(基本採用されない)
夜行バスも、高速バスと同じ仕事内容であり運転距離が長く、視野が狭まる夜間運転が続くため、高齢者の採用は行っていません。
また、夜行バス運転手は「特定業務従事者」に該当するため、他のバス運転手と異なり年に2回の健康診断を受ける必要があります。
ちなみに、日中に働くバス運転手は年に1回の健康診断が義務化されています。
バス運転手は何歳まで採用される?年齢制限について
バス運転手の採用事情について解説してきましたが、そもそもバス運転手の年齢制限に関する法律はあるのでしょうか。
また、各バス会社の年齢制限が気になるという方もいるでしょう。
・法律上の制限は免許により違う
・採用は60歳までにしている企業が多い
・バス運転手の平均年齢は53歳になっている
ここでは、上記3つの項目について、バス業界の傾向を踏まえながら解説していきます。
法律上の制限は免許により違う
運転免許の年齢制限は、普通運転免許の場合は18歳以上、大型二種免許は最短でも19歳以上でなければ取得できません。
しかしながら、運転年齢の上限に関しては条件が定められておらず、大型車両の場合も同じです。
そのため、運転免許さえ取得していれば70歳や80歳を超えていても、法律違反になることはありません。
採用は60歳までにしている企業が多い
法律上は何歳になってもバス運転手としての乗務が可能ですが、高齢になるほど当然事故のリスクは上がります。
そのため、バス会社では60歳を採用の目安としていることが多い傾向です。
しかしながら、定年後の再雇用枠で70歳までバス運転手を採用しているような会社も中にはあります。
バス運転手の平均年齢は53歳になっている
バス運転手は、高齢になるほど採用される確率が低くなると解説してきましたが、現役運転手が若い年代の人たちばかりというわけではありません。
厚生労働省が公表している令和3年度・バス運転者の平均年齢は53歳であり、他の業界と比べてもかなり高齢です。
そのため、50歳を超えても乗務自体は十分可能と言えます。
バス運転手は何歳まで採用される?3つの採用条件
バスの運転に法的なルールは存在しないため、採用する基準はバス会社によって異なります。
バス会社が、高齢の人を採用する際に重視する内容は、以下の通りです。
・バス運転手として経験があり即戦力で働ける
・必要な免許を取得している
・規定の視力がある
各採用条件の詳細について解説していきます。
バス運転手として経験があり即戦力で働ける
高齢の人をバス運転手として採用する場合、過去に運転手としての乗務経験があるかが重視されます。
未経験の場合、バス運転手として乗務するには長期的な研修が必要であるからです。
年齢が高くなるほど、運転手としての経験がなければ採用確率が下がってしまいます。
重視されるのは運転経験であり、トラックの運転手などであれば、採用される確率が上がります。
必要な免許を取得している
バス運転手として乗務するには「第二種大型自動車免許」が必要です。
これは、大型トラックを運転するのに必要である「第一種大型自動車免許」とは全く別の免許です。
近年は、資格取得支援制度を設けているバス会社が多いものの、高齢の場合は必要な免許を持っている方が採用されやすくなります。
規定の視力がある
バス運転手は、いち早く渋滞や事故に気付く必要があり、視力が衰えていると安全な運行が難しくなります。
他にもさまざまな健康チェックが行われますが、視力は最も重視される項目と言えるでしょう。
具体的な基準は、バス会社によって異なるものの、乗用車の運転時に支障が出ているような場合、バス運転手への転職はおすすめしません。
バス運転手は何歳まで?高齢バス運転手の採用をためらう3つの理由
現役運転手の平均年齢が高いのにもかかわらず、バス会社が同年代の運転手の採用を控える理由は主に3つあります。
・聴力・視力の低下により事故を起こす可能性がある
・体力の低下により長時間の運転に耐えられない場合がある
・認知症が発作しとっさの判断ができない可能性がある
上記3つの理由について、具体的なリスクも踏まえながら解説していきます。
聴力・視力の低下により事故を起こす可能性がある
高齢になると聴力や視力の低下により、反応速度が遅くなります。
反応速度の低下は、渋滞や事故といった急な交通状況の変化に気付くのが遅れるため、事故のリスクが高くなります。
聴力の低下は、クラクションや警告音を聞き逃す恐れもあり、バス運転手として乗務するのは危険です。
中には、視力や聴力が衰えていない人もいますが、高齢者の採用は少ない傾向です。
体力の低下により長時間の運転に耐えられない場合がある
バス運転手は一日中運転をこなすため、高い集中力と体力が必須と言えます。
体力がなくなると、集中力が落ちるだけでなく判断力も低下するため、非常に危険です。
安全な運行を確保するため、十分な休憩が用意されてはいるものの、体力の低い高齢者は採用されにくいと言えます。
脳や心臓の疾患を発症させるリスクが高い
高齢になるほど発症するリスクが高まる「生活習慣病」の中には、自覚症状がなく、急に発生するような病気もあります。
主な内容として「心疾患・脳疾患」などがあり、過去には運転中の発作などが原因で大事故を引き起こしたような事故も多く発生しています。
若いから大丈夫というわけではないものの、高齢者の方が発症しやすいため、採用を控えるバス会社も少なくありません。
バス運転手は何歳まで?高齢のバス運転手が働きやすい職場の特徴|4選
高齢のバス運転手は採用されにくいと解説してきましたが、全ての運行において当てはまるわけではありません。
近年では、高齢のバス運転手に配慮した働き方を用意している会社も増えてきています。
高齢でも働きやすい職場の特徴は以下の通りです。
・短時間のみ勤務ができる
・サポート体制が整っている
・昼間のみ勤務ができる
・短距離の定期路線で運転ができる
ここでは、バス会社の取り組み内容を踏まえながら、高齢者の運転手でも働きやすい環境について解説していきます。
短時間のみ勤務ができる
バス運転手の求人には、フルタイムではなくパートタイムのものも多くあります。
特に多いのが送迎バスの運転手で、朝や夕方のみ勤務が一般的です。
一日中働くわけではないため、家族の用事や趣味を両立させやすいことも魅力と言えるでしょう。
サポート体制が整っている
運転手の負担を軽減する、さまざまな取り組みを進めているバス会社が増えてきています。
運行効率を良くするICT技術の活用などがメインであるものの、負担の少ない運転席に変更するのも1つの方法です。
定期的に受ける健康診断に関しても、病気の早期発見ができるように、高齢者専用のメニューを用意しているバス会社もあります。
昼間のみ勤務ができる
夜間勤務のないバス会社であれば、体力的な負担も比較的小さいため、働きやすいと言えます。
バス運転手はシフト制が一般的ですが、日勤のみに指定ができるようなバス会社がおすすめです。
短距離の定期路線で運転ができる
短距離の定期路線をメイン事業としているバス会社もおすすめです。
定期路線であれば、道順などを都度覚える必要がなく、走り慣れた道での運行となるため負担も最小限に抑えられます。
万が一体調が悪くなったとしても、短距離であれば、他のドライバーと交代するといった対応もしやすくなります。
バス運転手の乗務年齢に関するよくある質問
最後は、バス運転手の乗務年齢に関する、5つのよくある質問に答えていきます。
・バス運転手は70歳でも働けますか?
・バス運転手の最高年齢はいくつですか?
・バス運転手の求人は何歳までですか?
・バスの運転手の平均年齢は?
・バスドライバーの年齢分布はどうなっていますか?
バス運転手の年齢事情に関する内容ですので、転職を検討するうえで参考にしてみてください。
バス運転手は70歳でも働けますか?
バス運転手は65歳を定年としている会社が多いものの、退職後も再雇用制度で70歳近くまで働いている運転手もいます。
なるべく長く働きたい場合は、転職する際に再雇用に関する規則を確認したうえで応募するようにしましょう。
バス運転手の最高年齢はいくつですか?
バス運転手の最高年齢に関する公式なデータはないものの、再雇用で70歳近くまで雇用しているバス会社が増えてきています。
そのため、現役運転手の最高齢は70歳前後と推測されます。
バス運転手の求人は何歳までですか?
バス運転手の求人は、60歳まで応募可能としている企業がほとんどです。
ただし、年齢の上限に関するルールがあるわけではないため、パート運転手などであれば60歳以上でも応募可能としている求人があります。
バスの運転手の平均年齢は?
厚生労働省が公表した、令和3年度におけるバス運転手の平均年齢は53歳です。
全産業の平均年齢が43.4歳であることから、バス業界は運転手の高齢化が顕著であると言えます。
近い将来、多くの運転手が定年を迎えるため、2030年あたりにはバス運転手の数が全国で約3万6,000人不足すると予測されています。
バスドライバーの年齢分布はどうなっていますか?
国土交通省が公表したデータによると、平成25年におけるバス運転手の年齢構成は以下の通りです。
・20~24歳:約1% ・24~29歳:約3% ・30~34歳:約8% ・35~39歳:約12% ・40~44歳:約22% ・45~49歳:約18% ・50~54歳:約13% ・55~59歳:約12% ・60~64歳:約8% ・65~69歳:約3% |
最も多いのは40代前半で、次いで40代後半・50代と続きます。
運転免許の取得が必要であることも影響して、20代の運転手はほとんどいないことが分かります。
バス運転手の乗務年齢に関するまとめ
バス運転手の年齢を制限する法律はなく、各社が設けた基準で採用されているのが現状です。
60歳まで応募可能としているバス会社が多いものの、パートタイムでの勤務などであれば、より高い年齢でも応募できます。
高齢になってもバス運転手として働き続けたい場合は、短時間の勤務があったり、短距離での路線を扱っていたりするバス会社がおすすめです。
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