電気主任技術者

電気主任技術者の年収は?電験三種・二種・一種の違いや年収アップのコツ

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ソーラーパネルと男女

電気主任技術者には大きく3つの種類があります。それぞれの年収は、電験三種が350万円〜500万円、第二種が500万円〜600万円、第一種が600万円〜が相場となっています。

他にもこの記事では、独立した場合の年収や、年収1,000万超えの可能性、年収を上げる方法、電気主任技術者になる際の注意点なども解説するので、参考にしてください。

電気主任技術者の年収

電気主任技術者を目指す男性(イメージ)

さまざまな電気施設や工事で必要とされる電気主任技術者ですが、その年収は資格の種類によって異なります。

第三種電気主任技術者(電験三種)の年収

種類平均年収
第三種電気主任技術者(電験三種)350万円〜500万円
日本人の平均年収 
※令和5年賃金構造基本統計調査の男女計の月間賃金を基に計算
381万円

第三種電気主任技術者(電験三種)の年収相場は、350万円〜500万円程度と言われています。日本人の平均年収が381万円であるため、低い人は平均年収以下、高い人は平均年収を大きく上回る年収となっています。

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

第二種電気主任技術者(電験二種)の年収

種類平均年収
第二種電気主任技術者500万円〜600万円
日本人の平均年収 
※令和5年賃金構造基本統計調査の男女計の月間賃金を基に計算
381万円

第二種電気主任技術者(電験二種)の年収相場は、500万円〜600万円程度と言われています。二種は三種よりも取得難易度が高く、資格を保有する人材の希少価値が高いため、給与水準が高く設定される傾向にあります。

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

第一種電気主任技術者(電験一種)の年収

種類平均年収
第一種電気主任技術者600万円〜
日本人の平均年収 
※令和5年賃金構造基本統計調査の男女計の月間賃金を基に計算
381万円

第一種電気主任技術者(電験一種)の年収相場は600万円からと高めです。取得難易度は二種よりもさらに高く、希少価値の高い人材であるため、給与面の待遇はかなり良いことがわかります。

参考:令和5年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

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電気主任技術者で年収1,000万超えは可能か

技術者が腕を組む様子

結論から言えば、電気主任技術者で年収1,000万円を達成するのは難しいと言えます。

第三種電気主任技術者の取得からスタートして、その後順調に第二種、第一種を取得できたとしても、年収の限界は600万円〜800万円ほどです。

中には大手企業に就職して役職に就き、年収1,000万円を達成している方もいるかもしれませんが、ほんの一握りでしょう。独立して個人事業主としてやっていく場合に関しても、同じことが言えます。

電気主任技術者として独立した場合の年収

作業員が横並びに立っている様子

電気主任技術者として独立した場合の年収は、約600万円から1,000万円程度と言われており、個人によって年収は大きく変わります。

案件を確保するためには定期的な営業活動が必要であり、案件が取れない場合は収入が減少するリスクがあります。

さらに大きく売上を伸ばしたい場合は、法人設立を検討し、より大規模なプロジェクトの受注を目指すことが効果的です。

年収アップが目的で電気主任技術者になる際の注意点

注意点

年収アップを目的として電気主任技術者を目指す場合、2つの注意点があるので解説します。

責任が重いと感じる可能性がある

電気主任技術者は、生活に欠かせない電気設備の管理と安全を担う仕事であるため、責任は重大です。また電気は扱いが難しく危険性もあるため、その操作や保守には高い専門性が求められます。

そのため、精神的なストレスや体力を要する現場作業が多いにも関わらず、「報酬が責任の大きさに見合わない」と感じる人も中にはいます。

ただし、それは言い換えれば、他の仕事に替えがたいやりがいがあることを意味するので、責任感が強い人には向いているでしょう。

資格の取得難易度が高いと感じる可能性がある

電気主任技術者の試験は、電気系資格の中でも特に難易度が高いことで知られています。

初級にあたる第三種でも合格率は10%未満と厳しく、より上級の第二種や第一種では、一次試験の合格率が約25%、二次試験が約15%となっており、年度による難易度の変動もあります。

このように取得が困難な資格であるにも関わらず、その難易度に見合った年収が得られないと感じる人も少なくありません。他の高難易度の士業と比較しても、必ずしも高収入とは言えない現状があります。

年収アップ以外の電気主任技術者の資格取得のメリット

電気主任技術者の仕事風景(イメージ)

電気主任技術者を取得することのメリットは、年収アップだけではありません。ここでは、資格を取得する年収アップ以外のメリットを6つ紹介します。

需要が安定している

電気は我々の生活に欠かせないものであり、住宅や病院、学校や公共施設、商業施設、オフィスビルなど、あらゆる場所で必要とされています。

また、自家用電気工作物は増加傾向にあり、経済産業省の発表によると毎年0.6%のペースで増加を続けていることが分かっています。

特に商業ビル関連は大きく増加すると予想されており、これらの保守点検に欠かせない電気主任技術者は今後ますます需要が高まるでしょう。

さらに、電気主任技術者の年齢層において、第一種・第二種・第三種共に60代が突出して多いです。今後は高齢世代の退職により人手不足が顕著になるため、需要はさらに高まるでしょう。

なお、経済産業省の調査によると、2030年には需要に対して約2,000人の技術者が不足すると予想されています。

参考:電気保安体制を巡る現状と課題|経済産業省

電験三種であれば未経験でも取得可能

第三種電気主任技術者の受験条件には実務経験が必要なく、専門の学科などを専攻している必要もありません。

そのため、まったくの別業界で働いている未経験の人であっても挑戦が可能です。就職に関しても未経験歓迎の求人は多いため、資格を取得すれば転職に成功する可能性も高くなります。

AIに職を奪われる可能性が低い

デジタル技術の進化により、コンビニのレジや会社の受付が自動化されるなど、多くの業務がデジタルツールに置き換えられています。このような技術革新が進む中で、近年特に目覚ましい発展を遂げているのが「AI」です。

「電気主任技術者の仕事もいずれAIに奪われるのでは?」と不安を抱く人もいるかもしれませんが、その可能性は極めて低いでしょう。

電気主任技術者が取り扱う高圧の電気工作物には危険が伴い、万が一ミスがあった場合の経済的損失は甚大です。

病院などが停電した場合は人命にも関わるため、このような重要な業務を完全にAIやロボットに任せることは現実的ではないと言えます。

高齢でも仕事を継続しやすい

電気主任技術者の仕事は、維持や保安、監督業務がメインとなるため、工事で作業をすることはそう多くありません。

責任は大きいものの、体力的な負担は少ないので、高齢になっても仕事を続けやすいと言えます。実際、電気主任技術者の中には、定年退職してからも同じ会社で働き続けている人も多くいます。

転職で有利

電気主任技術者は、実務経験を重ねることで専門技術が向上し、企業内での価値が高まります。特に電験3種の資格を持つ技術者は少なく、昨今の再生エネルギー施設の拡大に伴って需要が高まっている状況です。

そのため、経験豊富な電気主任技術者は、より給与が高く待遇の良い企業へ転職できる可能性があります。

活躍できる業界が増える

電気主任技術者は従来、工場やオフィスビル、商業施設で活躍することが多かった職種です。しかし、昨今の再生エネルギー施設の拡大に伴い、太陽光や風力発電設備といったエネルギープラントや化学プラントからの需要が増しています。

この傾向は今後も続き、電気主任技術者を必要とする業界はさらに多様化する可能性が高いです。

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電気主任技術者が年収をさらに上げる方法

部下に指導をする現場作業員

電気主任技術者となり、そこからさらに年収を上げる方法を5つ紹介します。

経験値を上げる

電気主任技術者として活躍する上で重要なのは経験です。保守点検や設計、工事の監督業務など、さまざまな業務で経験を積み、昇給・昇格を目指すことで年収アップが見込めます。

転職する場合にも、実務経験が多いほど給与は良い傾向にあります。第三種電気主任技術者になった後は、積極的にさまざまな仕事に挑戦しましょう。

上位資格を取得する

第三種電気主任技術者として働きながらキャリアアップを目指す方法として、第二種・第一種といった上位資格の取得もおすすめです。

取り扱える電気工作物の内容が変わるため、更に経験を積めるようになり、手当の金額も上がります。

関連資格を取得する

電気主任技術者として関連資格を取得し、業務の幅を広げれば、より年収が上がる可能性があります。以下は電気主任技術者に関連する主な資格とその特徴です。

  • 電気工事士

建設や鉄道の電気工事をおこなう資格で、一種と二種があります。二種は小規模な工事しかおこなえませんが、一種はビルや工場などの大規模な工事をおこなえます。

  • 電気工事施工管理技士

変電設備や照明設備の施工管理をおこなう資格で、一級と二級があります。二級は対応可能な工事の範囲が総額4,000万円未満という制限がありますが、一級にはありません。

  • 電気通信工事施工管理技士

固定電話やインターネット設備の施工管理をおこなう資格で、一級と二級があります。二級は対応可能な工事の範囲が総額4,000万円未満ですが、一級は4,000万円以上の工事を請け負うことが可能です。

  • 電気通信主任技術者

電気通信の設備工事や運用を監督でき、電気通信事業者は各設備についてこの資格者を配置する必要があります。

転職する

電気主任技術者の資格と実務経験がある人は、工場、オフィスビル、ショッピングセンター、再生エネルギープラントなど、多くの現場で需要があります。転職すれば、より良い待遇を受けられる可能性が高いです。

独立開業する

電気主任技術者として十分な実務経験を積んでいる場合、独立もできます。自営業であれば成果に応じて収入が変わるので、今より年収が上がる可能性があるでしょう。

関連記事:電気主任技術者とは?資格の取得内容や仕事内容を詳しく解説

関連記事:電験三種の給料は安い?リアルな実態や年収アップのコツも解説

電気主任技術者になるなら知っておきたい年収以外のこと

確認作業をこなす様子

電気主任技術者を目指すのであれば、年収以外にも知っておくべきことがあります。そこで、ここでは電気主任技術者に向いている人・向いていない人の特徴、電気主任技術者の1日の流れを紹介します。

電気主任技術者に向いている人と向いていない人の特徴

電気主任技術者に向いている人と向いていない人の特徴は、それぞれ以下の通りです。

  • 向いている人の特徴

電気施設を管理する立場にある電気主任技術者には、強い責任感が必要です。また、高電圧の電気設備の工事や保安業務に携わるため、冷静さや精密さも重要といえます。

さらに、現場でのコミュニケーションが多いため、人とのやり取りが得意な人も向いているでしょう。

  • 向いていない人の特徴

大雑把な性格の人は電気主任技術者に向いていません。電気設備の問題を見逃すと大きな事故につながる可能性があるため、注意深さが欠けている人には不向きと言えます。

また、毎日同様の業務を繰り返すため、常に新しい仕事や刺激を求める人にも向いていないでしょう。さらに、基本的にチームプレイで仕事に臨むため、単独で仕事をすることを好む人にも合わない可能性があります。

電気主任技術者の1日の流れの例

電気主任技術者の仕事は、工事の設計や計画、工事全体の管理、各施設の保守点検と、現場によってさまざまです。そこでここでは、保守点検を主におこなっている電気主任技術者の1日の流れを紹介します。

【電気主任技術者の一日の流れの例】

8:00:出勤後に朝礼をおこない、一日のスケジュールを確認

8:30~12:00:各施設の電気設備の確認や保守点検を巡回しながら見ていく

12:00~13:00:お昼休憩

13:00~17:00:午前中の続きで各設備に異常がないかの保守点検をおこなう

17:00~18:00:報告書などの書類作成や翌日の準備をして退社する

点検には月次点検や年次点検などがあり、時刻が決まっていることが多いため、時間管理が重要となります。なお、勤務先によっては時間が夜間や早朝になることもあります。

電気主任技術者の年収に関してよくある質問

電気主任技術者として働く男性(イメージ)

最後に、電気主任技術者の年収に関してよくある質問に回答します。

独立するなら電気主任技術者の経験を積んでからの方がいい?

独立を目指す場合、電気主任技術者としての経験が非常に重要です。独立するには経済産業大臣からの認可が必要となりますが、その条件として第三種電気主任技術者なら5年以上、第二種なら4年以上、第一種なら3年以上の実務経験が求められます。

認可が下りればいつでも独立が可能ですが、その後は自力で営業し、仕事を獲得しなければなりません。

もし仕事の獲得が難しい場合は、電気保安法人に登録して、保安管理業務を手掛けるのも一つの選択肢です。

ビルメンテナンスの仕事に就いているのですが、電験三種を取得すれば年収は上がりますか?

ビルメンテナンス業務に従事する人が第三種電気主任技術者(電験三種)の資格を取得すると、業務範囲が広がり、それに伴って年収も上がる可能性があります。多くの企業では、資格保有者に対して資格手当を出しているためです。

さらに、第三種電気主任技術者だけでなく、エネルギー管理士建築物環境衛生管理技術者(通称ビル管)の資格も、同様の効果を期待できます。

これらの資格はビルメンテナンス分野での専門性を高めてくれるので、より良い雇用条件を期待できるでしょう。

電気主任技術者はやめとけと言われるのはなぜですか?

電気主任技術者は比較的責任が重い仕事です。また、職場によっては勤務体系が不規則となることもあるので、そのような現実を知っている人が「やめとけ」とネガティブな発言をすることがあります。

しかし、どのような仕事にもネガティブな側面はあるので、それほど気に留める必要はないでしょう。

システムエンジニアと比べてどちらの平均年収が高い?

システムエンジニアの平均年収は450万円~500万円ほどと言われています。そのため、電気主任技術者と比べると若干高い可能性があります。

ただし、システムエンジニアも電気主任技術者も最初のうちは年収が低く、経験を積んでいくことで上がっていきます。

役職や労働時間によっても異なるので、一概にどちらの方が稼ぎやすいとは言い切れません。

電気主任技術者の年収についてのまとめ

電気主任技術者には第三種、第二種、第一種の3種類があり、それぞれ年収相場は異なります。一般的には上位の資格を持つほど、より高い年収を期待できます。

さらに、関連資格の取得や転職、独立などによって、年収はさらに上がる可能性があるでしょう。

電気主任技術者の仕事には高い専門性が求められ、また需要も多いため、今後も安定した収入を得られる見込みが高いです。

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