難易度が高いとされる、電験三種に挑戦するうえで気になるのが勉強時間です。全くの未経験で取得を目指す場合は尚更です。
自分に合った勉強時間を理解し、最適なスケジュールを立てれば、無理なく合格を目指せるでしょう。
この記事では、電験三種に合格するための勉強時間を中心に、独学で資格取得するのが難しいと言われている理由についても解説していきます。
【記事のまとめ】 ・初学者が電験三種を取得するための勉強時間は、1,000時間が目安 ・有識者である場合は、500時間が目安 ・電験三種は非常に難易度が高いため、科目別合格制度で数年かけて取得するのが一般的 |
電験三種の合格には最低でも1,000時間以上の学習が必要
三種試験とは、第三種電気主任技術者のことで、初学者が資格を取得するには最低でも1,000時間の勉強が必要と言われています。
【資格取得にかかる期間の目安】 ・1日2時間勉強した場合:1年5ヵ月ほど ・1日3時間勉強した場合:11ヵ月ほど ・1日4時間勉強した場合:8ヵ月ほど ・1日5時間勉強した場合:7ヵ月ほど |
試験は年に2回開催(2月と7月)されますので、一日の勉強時間を踏まえて無理のないスケジュールを組んでみましょう。
関連記事:
・電気主任技術者はやめとけ?そうとも言えない6つの理由やメリット・年収・将来性
関連知識が身についている人の学習時間は500時間が目安
既に電気を扱う会社で技術者として働いていたり、関連学科を学んでいたりする人の場合は、500時間を目安に勉強を進めていきましょう。
【資格取得にかかる期間の目安】 ・1日2時間勉強した場合:8ヵ月ほど ・1日3時間勉強した場合:6ヵ月ほど ・1日4時間勉強した場合:4ヵ月ほど ・1日5時間勉強した場合:3ヵ月ほど |
あくまでも目安であるため、過去問に挑戦したうえで、現時点での実力を確かめてからスケジュールを立てることが大切です。
初めて三種試験にチャレンジする場合にかかる期間は2〜3年が目安
電験三種は、電気業界における入門資格ではなく、キャリアアップを目指すために取得するような難易度の高い資格です。
出題範囲が広く、内容も上級者向けのものであるため、初めて勉強する人は合格に2〜3年はかかると言われています。
なるべく短期間での取得を目指したい場合は、適切なカリキュラムが組まれている「通信講座」がおすすめです。
近年はeラーニング教材も増えてきており、自分のスケジュールに合わせて学習を進められます。分からない箇所があった場合、講師陣に質問できることも大きなメリットと言えるでしょう。
電験三種に独学で合格するのが無理と言われている3つの理由
電験三種は、難易度が高く独学で取得するのはかなり難しいと言われています。具体的な理由は以下の通りです。
・10人に1人程度しか受からないほど難易度が高い
・モチベーションを維持しにくい
・出題範囲が広範囲
試験の合格率や、初学者が効率良く資格を取得する方法も踏まえながら、3つの理由について解説します。
10人に1人程度しか受からないほど難易度が高い
電気主任技術者は、あらゆる施設の電気工作物を保守・監督する役割を担う仕事です。万が一設備が故障した場合、多くの人に影響が及んでしまいます。
そのため、電気に関する幅広い知識を身に着けておく必要があることから、試験の難易度はかなり高いと言えます。直近の試験合格率は、以下の通りです。
実施年度 | 受験者数 | 全科目合格率 |
2023年上期 | 28,168人 | 16.6%(4,683人) |
2022年下期 | 28,785人 | 15.7%(4,514人) |
2022年上期 | 33,786人 | 8.3%(2,793人) |
2021年度 | 37,765人 | 11.5%(4,357人) |
2020年度 | 39,010人 | 9.8%(3,836人) |
合格率の平均は12%ほどで、1回で合格するのはかなり難しいと言えるでしょう。関連学科を学んだ人や、現役の技術者も受験していることを踏まえると尚更です。
技術者がキャリアアップを目指して取得を目指すような資格であることから、初学者が独学で合格するのはかなり難しいと言えるでしょう。
モチベーションを維持しにくい
電験三種は、出題範囲が広く内容が難しいため、一度参考書を読んだだけで理解できるようなものではありません。
試験も、年に2回しか開催されないため、不合格となった場合は半年間待つ必要があります。勉強を数年間続けるのは大変で、モチベーションが下がってしまい、途中で諦めてしまう人も少なくありません。
出題範囲が広範囲
電験三種試験の出題科目は「電力・理論・法規・機械」の4科目です。試験では計算問題も多く出題されることから、複雑な公式を全て暗記しなければなりません。
全ての科目で合格基準を上回らなければならず、満遍なく知識を身に着ける必要があります。
初学者が、電験三種を取得するのに2~3年かかるのは「科目別合格制度」も関係しています。この制度では、4科目のうち合格した科目は、最大2年間試験が免除されます。
初学者の場合、一発合格のハードルが高いため、あえて科目を絞り数回に分けて資格取得を目指す人がほとんどです。
関連記事:電気主任技術者に向いている人の特徴|ホワイトな職場の見つけ方
電験三種の試験内容の特徴
電験三種の試験内容の主な特徴は以下の4つです。
難易度が高く合格率は低い
電験三種の合格率は毎年10%以下で、1桁台になることも珍しくありません。
初心者の方は専門用語の理解から始める必要があり、独学での挑戦も可能ですが、内容の本質を深く理解することが重要です。
参考:令和6年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について p.2|一般財団法人 電気技術者試験センター
過去問そのままの出題は少ない
試験では過去問がそのまま出題されることはほとんどありませんが、計算問題を中心に類似問題が頻出します。
過去問を繰り返し解き、応用力を養うことが合格への近道です。
計算問題が中心
「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成され、特に「理論」では8~9割が計算問題です。
合格ラインを目指すためには公式の理解と計算問題の演習が欠かせません。
暗記力と幅広い知識が必要
計算問題だけでなく、暗記力を問う問題も含まれるため、幅広い知識の習得が求められます。
理系出身者に有利と言われますが、文系出身者でも十分な準備があれば合格を目指せます。
電験三種を独学で勉強する方法
独学で電験三種の合格を目指す際に役立つ勉強方法を紹介します。効率的な学習計画を立て、コツを押さえて進めましょう。
学習の順番を工夫する
電験三種の科目は「理論」「電力」「機械」「法規」の4つです。学習順序を工夫することで効率が上がります。
理論からスタート
理論はすべての科目の基礎となるため、最初に学ぶのがポイントです。ここでしっかり基礎を固めておくと、後の科目がスムーズに進みます。
電力と機械を次に学ぶ
理論を終えたら、電力と機械に進みましょう。この2科目は関連性があるため、苦手意識を持たないよう早めに取り組むことが重要です。
最後に法規を学ぶ
法規は法律知識が中心ですが、一部の計算問題で電力の知識を活用することがあります。そのため、電力を終えてから取り組むと効率的です。
公式をしっかり覚える
電験三種の試験では多くの計算問題が出題されるため、公式を覚えることが必須です。
関連付けて覚える
単に丸暗記するのではなく、公式同士の関係性を意識して学びましょう。関連付けることで記憶が定着しやすく、応用力も身につきます。
練習問題で活用
覚えた公式を実際の問題で使うことで、公式の使い方が身につき、試験本番での対応力が向上します。
過去問を活用する
過去問演習は電験三種の合格に欠かせません。
最低でも5年分を解く
過去問を5年分以上解くことで、試験傾向を把握できます。また、類似問題が出題されることも多いため、得点につなげるチャンスが増えます。
時間配分の練習
電験三種は問題数が多く時間が限られているため、時間配分も重要です。過去問を解く際に時間を計り、効率的に解く練習をしましょう。
最後の2ヶ月は過去問重視
試験直前の2ヶ月間は、過去問をひたすら解く時期と位置づけましょう。繰り返し解くことで自信がつき、本番でのミスを減らしやすくなります。
電験三種の勉強時間についてよくある質問
最後は、電験三種の勉強時間や難易度に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・電験三種の勉強時間は初心者や文系出身の人は何時間必要ですか?
・電験三種ではどの科目が一番難しいですか?
・電験三種はなぜ難しいのですか?
受験勉強のスケジュールを立てるうえで役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
電験三種の勉強時間は初心者や文系出身の人は何時間必要ですか?
初学者や文系出身の人の場合、試験に合格するための学習時間は約1,000時間と言われています。あくまでも目安であるため、700時間で合格する人もいれば、1500時間ほどかかる人もいます。
ちなみに、独学で電験三種に合格するための勉強法には、以下のような内容があります。
・参考書と過去問で勉強する ・専門学校や通信講座を利用する ・動画教材で勉強する |
近年は、各資格の出題内容について解説する動画がYouTubeなどに多く投稿されています。リアルタイムで質問することはできないものの、勉強法の1つとしておすすめです。
なるべく取得にかかる期間を短くしたい場合は、通信講座や専門学校への通学を検討してみましょう。費用はかかるものの、半年で合格を目指すカリキュラムも多く存在します。
電験三種ではどの科目が一番難しいですか?
試験で出題される項目の中で、最も難易度が高いと言われているのは「理論」です。他の科目の基礎となる科目で、電気の性質や回路に関する幅広い知識を身に着けなければなりません。
計算問題も多く、公式も全て暗記する必要があるため、一番難しいと感じる人が多い科目です。
知識が全くない状態で勉強を始める場合は、理論を理解してから電力・機械・法規の順番で進めると効率的です。
電験三種はなぜ難しいのですか?
電験三種が難しい理由は、出題範囲が広く過去問と同じような問題が出題されにくいことがあります。
内容が難しく、理解するのが難しいものばかりであるため、勉強時間も長くなりがちです。
ただし、受験に特別な条件がなく誰でも挑戦できて、科目別合格制度があることを踏まえると、初学者でも取得を目指せる資格と言えるでしょう。
電験三種の勉強時間に関するまとめ
電験三種は、電気関連の資格の中でも難易度が高く、取得するための勉強時間の目安は1,000時間ほどです。
既に電気関連の技術者として働いていたり、関連する学科を学んでいたりする場合は、500時間を目安にスケジュールを立ててみましょう。
初学者の場合、一発合格を狙うのではなく科目別合格制度で複数回に分けて資格を取得するケースがほとんどです。学習に当てられる時間を踏まえて、無理のないスケジュールを立ててみてください。
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