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カウンターフォークリフトとは?種類や危険予知訓練方法も

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カウンターフォークリフト(フォークリフト)が絡んだ事故はとても多く、年間で2,000件以上発生しています。そのため、事業者は事故が起きないように安全対策を行うことがとても重要です。

その安全対策の1つに危険予知訓練があります。この訓練が一体どういったものなのか?どういう訓練を行えばいいのか、実際の事例を出しながら紹介していきます。

最後には危険予知訓練以外に活用できる安全対策についても解説しています。現場で活用できることなので、ぜひ事業者の人たちにも共有していってください。

カウンターフォークリフトの危険予知訓練とは?

カウンターフォークリフトの外観

危険予知訓練とは、倉庫業や製造業などの仕事に携わる作業員達が、仕事中の事故や災害を起こさないよう未然に防ぐために、その作業に対する危険を予想してお互いに指摘しあう訓練のことを言います。

この訓練を行うことで日々の作業に対する危険が及んだ際、すぐに気付くことができる、できるだけ危険性を伴わないようにする、作業中に集中力が保てるようになります。

ローマ字で「Kiken Yochi Traing」を略してKYTと呼ぶほか、KY訓練、またはKY活動とも呼ばれます。

今回は実際に起きた事故を例に、危険が伴う作業をいくつか紹介します。どこに危険が潜んでいるのか、ぜひ職場にいる作業員達に共有して一緒に考えていってください。

カウンターフォークリフトの危険予知訓練の進め方

フォークリフトを運転している様子

危険予知訓練は以下の手順で進めていきましょう。

1.危険の及ぶ作業シーンをイラストシートに貼って皆に共有する。もしくは現場で似たような状況を作り出す。

2.危険要因(この状況下で災害や事故のもとになる可能性のある不安全行動や不安全状態)と、これでどのような事故が起きてしまうのかを職場の作業員達(人数が多ければ4人程度のグループに分ける。できる限りグループを組むのが良い)に話し合ってもらう。

3.話し合い方法としては、危険なポイント、予想される事故をいくつか案を出してもらい、最も考えうる案を決める。そのあと、その事故が起きないようにはどうすればいいのか、その対策を皆で話し合う。

4.案がまとまれば危険ポイントとその対策(事故を起こさないようにするためのチーム行動目標)を全員の場で共有する。

カウンターフォークリフトの危険予知訓練の事例

倉庫内の様子

それでは実際に起きた事故を例にした問題をいくつか出題します。問題として事故前の状況を紹介した後、どういうことになったのかを共有します。

事故前の状況を見て、どういった危険が潜んでいるのか、どういう事故につながりそうなのかを皆で考えてください。

工場内の照明器具を交換する作業

<状況>工場内にある照明器具のランプを交換するためにフォークリフトを使って交換しようとしています。ただし、照明器具は高所にあるため、パレットを10枚以上重ねないと交換できません。

<問題>この作業にはどのような危険が及んでいるのでしょうか?また、安全に作業を行うためにはどういった対策が考えられるでしょうか?

<実際に起きた事故内容>ランプの交換中、誤ってバランスを崩してしまい、7m下の床に落下してしまった。作業員は頭を強く打ったことによる影響で間もなく死亡が確認されました。

<対策>まずパレットの上で作業を行ってはいけません。まして積み重ねるような不安定な状況のもとで作業を行うことはもってのほかです。

高所で作業を行う場合は高所作業車を使うことが基本です。もしくは足場を組んで安全に作業ができる環境を整えなければいけません。

もしパレットの上で作業を行う場合は作業中に転落しないようにパレットの周囲に十分な高さのある柵を設けること。特に高さ2m以上の場所における作業については墜落防止のための柵のついた作業床を用いること。

フォークリフトで曲がり角を曲がった際に起きた事故

<状況>フォークリフトを運転して移動中建物の角を右折しようとしている。このフォークリフトは日常点検や月次点検が行われていない。

<問題>点検が不十分なフォークリフトを操縦し、曲がり角を曲がろうとした際に起きる事故はどういったものがあるのか?

<実際に起きた事故内容>作業員がフォークリフトを操縦し、角を右折しようとしたところ、タイヤがスリップしてフォークリフトごと転倒した。運転者は外に投げ出されてしまい、運悪くフォークリフトのヘッドガードの下敷きになってしまい死亡した。タイヤがすり減っており、溝がない状態であったのが原因の1つとされている。

<対策>フォークリフトの点検や整備を適切に行うこと。乗車前の指さし呼称、月次点検、年次検査を怠らない。角を曲がる際は遠心力がかかるため、十分に減速してから曲がる。

ボックスパレットを運搬中に起きた事故

<状況>プレス加工工場内においてフォークリフトでプレス加工された部品の入ったボックスパレットを運搬していた。ボックスパレットは4段積んでいたため、バックにて走行していた。

走行中に後輪が通路の溝にかぶせていた蓋を乗り越える際にフォークリフト全体に衝撃が起こりボックスパレットが右側に傾きかけてしまった。そこでボックスパレットを一度走路上に降ろそうとフォークリフトを一度停止させた。

すぐ横には通路に面した休憩所が設けられており、走路側は全面開放されており、特に

柵などが設けられていなかった。

<問題>パレットが傾いた状態、すぐ横には休憩所がある中でどういった事故が予見されるか。なぜパレットが傾いてしまったのかを考えてみましょう。

<実際に起きた事故内容>ボックスパレットが傾いてしまったので一度走路上に降ろそうとしたところ、ボックスパレットが崩壊してしまい通路に面している休憩所にいた作業員に直撃してしまった。直撃した作業員は死亡してしまった。

<対策>フォークリフトが走行するルートにはなるべく段差を作らない。もしフォークリフトの走行路に段差がある場合は、あらかじめ認識しておくこと、またはなにか目印となるものを設置する。段差を乗り越える際は十分に減速を行う。

荷物を運搬している際は積み荷を安定した状態に保つために、できるだけ重心位置を低くする。なるべく積み荷の段積みは低くしておく。

休憩所は安全な位置に設置する。開放面には強固な策を設置するなどして安全対策をきっちり行う。

フォークリフトで廃材を焼却ピットに投入していた際に起きた事故

<状況>型枠工事を行う会社の焼却場においてフォークリフトを使って廃材を焼却ピットに投入していた。焼却ピットは2mの深さがあるため、ごみを下に落とさないといけない中、操縦者はフォークを揺すってフォークに載せた資材を焼却ピットに振り落としていた。

なお焼却ピットの前には車止めが設けられていない。

<問題>廃材をフォークを揺すりながら投入することで何が起きてしまうのか。また、事故はフォークを揺することのみで起きてしまうのか?

<実際に起きた事故>フォークリフトを投入口の前に止めてフォークを揺すりながら廃材を焼却ピットに落としていたところ、フォークリフトが前に傾いてしまいフォークリフトごと焼却ピットに転落してしまい死亡した。

<対策>焼却ピットの投入口にはフォークリフトの転落防止のための措置をとる。例えば車止めや防護柵でこれ以上前進できない状況を作ること。ピット内への廃材投入作業について安全に作業を行うための作業手順書を作成する。

倉庫内で米袋のはい付け中に起きた事故

<状況>農協の低温倉庫内において米袋のはい付け作業(袋や荷物を一定の方法で規則正しく積み上げる作業)を行っていた。各生産者が運んできた米袋(1つ30㎏)はパレット1段につき7袋のせてあった。倉庫の1番奥から5段ずつはい付けしていたところ奥のパレット3段分の米俵が崩壊してしまった。

幸いその時近くにいた作業員は逃げられたので問題なかったが、その後散乱した米俵を片付けなければいけなかった。しかし、奥にはまだ崩れていないパレットが3段分残っていた。

なお片付ける際に保護帽子はかぶっていなかった。また、このはい付け作業は毎年恒例の作業だが、毎回同じ作業員が担当するわけではない。

<問題>片付けている最中に起きうる事故はなにか。片付ける前に何か行うことはないのか?

<実際に起きた事故>散乱した米俵を片付けている最中に崩れていなかったパレット3段分が崩壊し、近くで作業をしていた作業員1人が米俵の下敷きになり、頭がい骨骨折で死亡した。

<対策>1回目の崩落は、はいが不安定だったことが原因の1つのため、「はい」と「はい」の間隔や使用する機材、人員についてあらかじめ検討し、計画書を作成する。

1次崩落があった際に残った「はい」が安全であると判断せずに一度「はい」を崩して安全な状況を作ったうえで片付け作業を行う。

はい付けの作業ははい付け作業主任者のもと、初めての作業を行うものが安全に作業ができるようあらかじめ作業前に指導を行う。

エンジンを止めずに油圧ホースを交換しようとして際に起きた事故

<状況>フォークリフトを運転中に油圧ホースを交換しないといけないことを思い出し、エンジンを止めずにそのまま交換作業に入った。マストを少し離した状態で操縦席から身を乗り出して交換作業に当たっていた。

<問題>エンジンを止めないまま、作業を行うことによる危険はなにがあるのか。運転席から身を乗り出す状況では何が起こりうるのか。

<実際に起きた事故>油圧ホースを交換中、誤ってチルトレバーに触れてしまった。そのせいでマストが手前に動き、作業員の体がマストとヘッドガードの柱に挟まれてしまった。

<対策>どの場所で作業を行うにしても必ずフォークリフトのエンジンは停止すること。また、停止後はサイドブレーキをかけて動かない状況を作り出す。

挟まれるような場所や転落の恐れがあるところに乗って作業は行わない。今回であれば一度操縦席から離れること。届かない場所は作業台を使う。

空パレットを高く積み重ねたことによる事故

<状況>倉庫内で空のパレットをフォークリフトを使って積み重ねていた。通常は30枚のパレットを重ねているが、今回は60枚に積み重ねようとしていた。別の場所に30枚重ねてあったものを運搬して、30枚重ねてあるパレットの上に乗せようとしていた。

<問題>パレットの運搬している際や積み重ねる際に起きてしまうことは何か。高く積み重ねる際に注意すべきことはなにか。

<実際に起きた事故>パレットが30枚重ねてある上に別の30枚をフォークリフトを使って運搬し、載せた後にフォークを引き抜こうとした際に何らかの衝撃でパレットが崩れてしまった。その時にヘッドガードを越えて落下してきたパレットが逃げ出した作業員の頭に激突した。

<対策>原因としてはパレットの積み重ね方が不適切であったこと、通常は30枚しか重ねていないパレットに対して、60枚積み重ねようとしたため、フォークの位置が目視できなかったことである。

パレットを重ねる枚数をきちんと決めておくこと。バランスを崩して落ちてこない枚数やフォークが位置が全く確認できないような枚数にはしておかないこと。

パレットを高く積んで走行していた際に起きた事故

<状況>フォークリフトを使ってパレットを運搬する作業を行っていた。作業員は効率よく運搬するためにパレットを前方が見えなくなるほど高く積んで前進走行していた。

<問題>パレットを高く積み上げた際に気を付けるポイントは?

<実際に起きた事故>パレットを運搬中に前方にいた作業員に気付かずにいたため、パレットと作業員が衝突し、作業員は負傷した。

<対策>パレットを高く積み上げる際は前進走行をするのではなく、後進走行をして視野を広くする。フォークリフトが近づいてきたことを他の作業員に気付かせるために回転灯をつける、もしくは警告音がなるようにする。他の作業員はフォークリフトの走行ルートに立ち入らないようにする。

大豆粕のはい付け作業を行っているときに起きた事故

<状況>倉庫内にてパレット積みされていた大豆粕をフォークリフトを利用してはい付け作業を行っていた。パレットには大豆粕(20㎏)が80袋積まれており、3段ずつはい付けするようにしていた。2段積まれた状態から3段目を載せようとした時に一度運転席から離れて積まれたパレットの前に立った時にフォークリフトと積まれていたパレットに挟まれる事故が起きた。

<問題>運転席から離れた後になぜ挟まれる事故が起きたのか。

<実際に起きた事故>操縦者はエンジンを切らず、さらにはサイドブレーキをかけずにギアはニュートラルの状態で運転席を離れた。そのあとフォークリフトが動き出し、積み荷とフォークリフトに載せていた荷物に挟まれた。床が若干の傾斜があったためフォークリフトが動き出したと考えられる。

<対策>操縦者がフォークリフトから離れるときはエンジンを停止すること。必ずサイドブレーキをかけること。もし傾斜のある床であれば車輪止めをかけておくことが重要。

トラックの荷台へ荷物の積み込み中に起きた事故

<状況>お菓子の製造工場から流通倉庫へトラックでお菓子を運搬する際にトラックの荷台にフォークリフトを使ってお菓子の入ったダンボールを積んでいた。ダンボールはパレットに積まれており、トラックの荷台でパレットに載ったダンボールを積み降ろさないといけなかった。

積み下ろした後、エンジンのかかったフォークリフトの前面から直接運転席に乗りこもうとしているときに事故が起きた。

<問題>この状況下でどういった危険が起きるのか?どうすれば災害防止になるのでしょうか?

<実際に起きた事故>トラックの荷台から運転席に乗りこもうとしている時に、運転席のティルトレバーに足が誤ってあたってしまいマストが後傾してしまい、体が挟まれてしまった。

<対策>運転席から離れるときは必ずエンジンを止めないといけない。荷台から運転席に直接乗り込むといった横着なことはせずに、面倒でも一度荷台から降りてフォークリフトに乗り込むことを徹底する。

フレコンバッグを運搬中に起きた事故

<状況>工場内の敷地にある舗装路がいくつか崩れているほか、穴があいているため舗装工事を行わないといけなかった。舗装工事に必要なセメントをフレコンバッグに入れて、フォークリフトで運搬していたのだが、片方のフォークにのみ吊り下げていなかった。

<問題>片方のフォークにしかフレコンバッグの紐をさしていない状況ではどういった危険が起きるのだろうか。

<実際に起きた事故>運搬中、舗装路の少し崩れた部分でバランスを崩してしまい、そのまま横転した。操縦者は外に投げ出されてしまい、そのままフォークリフトの下敷きになってしまった。

<対策>まずフレコンバッグを吊り下げる行為が禁止されている。もしフレコンバッグを運搬するのであれば専用のアタッチメントを装着することが義務付けられている。

フォークリフトが横転した時に投げ出されないようにシートベルトを装着すること。舗装路に崩れた場所がないか前方をしっかり確認しながら運転する。

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危険予知訓練以外に行うべき安全対策

フォークリフト免許の種類は何種類?免許の取り方4ステップも合わせて紹介

事故を防ぐためには危険予知訓練がとても有効です。しかし、安全対策は訓練以外でもできることがあります。それらをいくつか紹介していきましょう。

フォークリフトの走行通路と歩行路を分ける

フォークリフト事故の多くは接触事故です。フォークリフトの走行路に人が立ち入ることで事故が起きているため、走行路と歩行路をきっちり分けておくことが大切です。テープやペンキなどで明示しておくようにしましょう。

指さし呼称の徹底

一番基本的な安全確認の方法が指さし呼称です。フォークリフト免許を取得するときに講習で習ったはずですが、実際の現場ではなかなか行われていません。

その理由として面倒や手間であるということがほとんどです。

しかし、指さし呼称をすることでフォークリフトの異常を確認したり、周囲の作業員との事故を防いだり、自分自身の体を守ったりできます。

上記で紹介した事故のいくつかは指さし呼称をすることで防ぐことができたはずです。

社内ルールとして指さし呼称の徹底を入れ込むこと、作業員に重要性を教育していくようにしましょう。

作業空間の改善

作業空間に死角があると事故が起きやすいです。荷物の積み方や積む場所を工夫し、なるべく死角を作らないようにすることが大切です。

どうしても死角ができるのであれば、ミラーを設置して死角を減らすといいでしょう。また、フォークリフトに回転灯をつける、または操縦中に警告音がなるようにすると他の作業員への注意喚起となるのでおすすめです。

日常点検と月次点検の徹底

フォークリフトの異常により事故が起きていることがあります。タイヤが摩耗していることでスリップし転倒することや、作業中に故障し事故につながることがあります。

毎日乗車前に点検することが重要ですが、細かい場所の点検まではできないかと思うので、月次点検や年次検査をしっかり行うようにしましょう。

基本ルールの徹底

基本的なところとして、構内での走行速度は10㎞/h以下にすること、規定以上の重量が積載されたパレットを運搬しないといったルールを徹底することが事故予防になります。

また、運転席から離れるときは必ずエンジンを切ること、作業員をツメに載せて作業をしないなどといった危険行為を行わないことも大切です。

効率よく作業を行うために以上のルールが破られがちになりますが、作業ルールをきっちり守ってもらい、作業効率よりも安全性を重要視できるような環境を作っていきましょう。

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カウンターフォークリフトの危険予知訓練についてのまとめ

カウンターフォークリフトの事故は年間2,000件以上発生しており、安全対策が重要です。その一環として危険予知訓練(KYT)を有効活用しましょう。

作業員が危険を予測し指摘し合い、事故を未然に防ぐことが重要です。

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