建設業界では近年の不況により、受注が減っている会社が多いのではないでしょうか?
しかし、デジタル化する現代の波に乗ることで、建設業界はさらに前進することができます。
今回、クロスワーク・マガジン編集部では、建設ドットウェブの三國社長が登壇された、利益を生み出す原価管理術の公開セミナーを取材しました。本記事では、建設業界が抱える課題とともに、利益を生み出すためには何が必要か、レポート形式でご紹介します。
売り上げが伸び悩んでいる建設業経営者や、業界のDX化について関心をお持ちのい方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
建設業界が直面する課題
いま、建設業界では大きな環境の変化に迫られています。
新型コロナウイルスの影響により受注数が減少し、さらには従業員や現場管理者などの深刻な人材不足にも悩まされています。
また、それだけではありません。
紛争などの影響によって建設資材の価格高騰も留まるところを知らず、右肩上がりで価格上昇を続けています。
さらに、今後の建設業界においては、システム・法改正の観点からCCUS・インボイス制度・電子帳簿保存法の3つへの対応も迫られています。
ここからは、建設業界が求められているこれらの対応について解説していきます。
CCUS対応
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、国と業界が一体となって推進しているシステムです。CCUSの目的は大まかに3点あります。
- 技能者の就業履歴を蓄積し、保有資格などと合わせて能力を評価することで処遇の改善を図る
- 技能者のキャリアパスを明確にし、若い世代の入職者を増やす
- 優秀な技能者を抱える専門工事業者の施工能力を見える化することによって事業者間の競争力を高める
CCUSが普及することによって技能者のキャリアパスが明確になり、若手の入職者が増えるうえに業界の健全化が高められますが、現場にはデジタル端末を使用したシステム登録の対応が求められます。
2023年度から、すべての工事現場におけるCCUSの完全実施が計画されています。
インボイス制度対応
インボイス制度とは、適格請求書等保存方式のことです。
2023年10月から請求書の様式に新たな要件が追加され、要件を満たすことができないと仕入税額控除の適用を受けることができなくなります。
インボイス制度のポイントは以下の4点です。
- 適格請求書は「登録を受けた事業者のみ」が交付可能
- 適格請求書には「一定の事項」を記載する必要がある
- 「仕入税額控除」を受けるためには、適格請求書等の保存が必要
- 免税事業者等からの課税仕入れに係る「経過措置」が設置
建設業者にとって特に対応が難しいのが、最後の4点目です。
インボイス(適格請求書)は、発行事業者の承認を受けている課税事業者にしか発行できません。一方、建設業界には一人親方が多くいます。発注側にとっては、インボイスが発行可能な課税事業者と取引したほうが仕入税額控除の適用によって節税できるため、免税事業者である一人親方は受注できる仕事の量が減ってしまう可能性があります。
また、そのほかにも適格請求書の発行には、売り手・買い手ともに準備が膨大です。
管理負担が増えると、人力での計算やチェックが重大なミスにつながります。そのため、インボイス制度に対応するにはシステムでの自動化が欠かせません。
電子帳簿保存法対応
これまで建設業界では、国税関係帳簿などを書類で提出していました。
しかし、電子帳簿保存法の適用によって、電子保存対応が必要になります。
また、電子帳簿保存法には罰則規定も制定されます。
データに不正があった場合には10%相当の重加算税が課されるようになり、さらには青色申告や連結納税の承認が取り消し処分となるリスクもあります。
法改正にはデジタル化が避けられない
CCUS・インボイス制度・電子帳簿保存法と、建設業界に求められる対応は山積しています。そしていずれも、これまでと同様の紙ベースのアナログ処理では対応できないものばかりです。
なかには電子帳簿保存法で制定されるような罰則規定もあり、建設業界には慎重かつ正確な対応が求められています。
これらをミスなく、そして既存業務の負担をかけず対応していくために、デジタル化は避けられません。
建設業界に潜む無駄
新しい法律やCCUSといったシステム対応といった課題のほか、建設業界には、実は多くの「無駄」が存在します。
会社を成長させるには、当然ながら利益が必要です。利益を確保してこそ、社員教育などにも資金を投下することができます。
利益を生むためには、受注を増やすことが大前提です。
しかし、そういった「攻め」の対策は簡単ではありません。まずは「守り」の対策として「無駄をなくすこと」から始めてみることが重要です。
利益を生むために、まずは無駄を見直す
自社に存在する無駄を見つけるために、金融機関が求める経営改善へのステップ例が参考になります。
ステークホルダーでもある金融機関においては、売上アップよりも原価低減計画を策定することが経営改善に直結しやすいと考えられています。
ステップの具体的な流れは後述のアーカイブ配信でご確認いただけますが、大まかには以下1〜3の流れで経営改善を図ります。
- 固定費の削減
- 変動費の削減
- 売上アップ
段階を踏まえたルールの策定を行い、それに沿って経営改善を進めることが基本です。
無駄の改善に必要なのは「業務効率化」と「お金の使い方」
無駄をできる限りなくすためには、「業務効率化」と「お金の使い方」が重要です。
まず、業務効率化にあたって活用すべきなのが、製造業で有名なECRSの原則です。
ECRSは、排除(Eliminate)・結合(Combine)・入替(Rearrange)・簡素化(Simplify)という4つの原則から成り立っています。
会社の現状を4つの原則に当てはめることで無駄な経費を削減し、それと同時に現場の業務効率化も図ることができます。
次に、お金の使い方について考えてみましょう。
お金の無駄を減らすには、変動費の削減が必要です。
変動費を削減するには、原価管理で工事原価の引き下げをすることや、事業計画の策定や目標管理が重要なポイントになります。
そして、業務効率化とお金の使い方を見直し、固定費と変動費を抑えることに成功すると、最終的に売上アップのステップに進むことができます。
経営改善ステップ例や原価管理術をアーカイブ配信で限定公開中!
経営改善ステップ例に基づいて会社の経営を見直すことで、今後の会社の方針を決めることができます。
さらに、原価管理術を知っておくことで、変動費を抑えることも可能です。
今回、セミナーの一部を本記事でご説明しましたが、建設ドットウェブのアーカイブ配信で本編のすべてを限定公開しています。
「自社の利益を上げたい」「課題に対する具体的な対策を知りたい」と考えている経営者の方は、この機会にぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか?
アーカイブ配信は、以下からお申し込みいただけます。
セミナー配信情報
編集部のまとめ
建設業界で利益を出すためには、まずは守りの姿勢で固定費や変動費の削減から取り組む必要があります。
なかでも原価管理に1%でも成功すると、売上を5%増やした場合と同等の収益を得ることができ、圧倒的に効率的です。
「自社にも無くせる無駄があるかもしれない」とお考えの方は、ぜひ建設ドットウェブのセミナーを視聴して経営改善のアイディアを見つけてみてください。