建設業で週休2日が導入されると給料が減る?義務化はいつから?
近年、労働者の健康とワークライフバランスの向上を目指し、さまざまな業界で働き方改革が進められています。その中でも建設業界では、2024年に週休2日制が導入されることが決定されました。
この変革は多くの労働者にとって待望の動きである一方、給与面においては懸念の声も挙がっています。実際に週休2日制の導入によって、建設業の労働者の給与はどのように影響を受けるのでしょうか。
本記事では、建設業で週休2日が導入されると給料が減るのか、週休2日が必要である理由、週休2日が定着しにくい理由などについて解説します。
令和6年4月から義務化開始:建設業の週休2日制導入とは
まずは、建設業で週休2日が導入されると、給料が減るのかどうかについて説明します。
週休2日の義務化は2024年から
2024年4月1日から、建設業界において週休2日の制度が正式にスタートします。この新たな取り組みは、時間外労働の上限を設定するための措置として導入されます。
以前は、特定の条件下で個別の契約を結んだ場合に限り、残業の上限を設けることなく労働を行うことが許容されていました。しかしこの新制度のもとでは、どのような特約があったとしても、時間外労働には一定の上限が設けられます。
違反を犯すと、6か月以下の懲役や30万円以下の罰金が科される可能性があるため、十分な注意が求められます。
もちろん、すべての状況でこの規定が適用されるわけではありません。例えば、大きな災害が発生した際の復旧作業などは、この時間外労働や休日労働の制約から除外されることが考えられます。
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給料が減る可能性はある
週休2日の制度導入に伴い、労働時間が減少することから給与にも影響が出る可能性があります。
特に、建設業界は日当の労働者も多いため、直接的に勤務時間の短縮が給与の減少となるため、収入が減る恐れがあると言われています。
さらに、一定の残業が前提とされている労働者の場合、時間外手当の減少も考慮しなければなりません。
ただし、この影響は業務内容や契約形態、会社の経営状況などさまざまな要因によって変わるため、一概にすべての労働者に適用されるわけではありません。
関連記事:2024年から建設業の残業規制により給料が減る人の特徴
建設業に週休2日がないと給料が減る:週休2日が必要な理由
続いて、建設業に週休2日が必要である理由を2つ紹介します。
長時間労働の解決
建設業に週休2日が必要である理由の1つ目が、長時間労働問題を解決するためです。
建設業は多くの場合、長時間労働が常態化していると指摘されています。
長時間労働は、労働者の身体的・精神的な健康を損なう原因となるだけでなく、作業中のミスや事故を引き起こす可能性が高いです。さらに、過度な労働はモチベーションの低下や技能者の業界離れを引き起こし、中長期的には業界全体の人材不足や技術力の低下を招く恐れがあります。
これらの問題を解決するためには、労働時間を適正に管理し、労働者の生活バランスを向上させることが不可欠です。そのため、建設業においても週休2日制の導入は、長時間労働問題の解消をはじめとした多くのメリットをもたらすと考えられます。
イメージの回復
建設業に週休2日が必要である理由の2つ目が、イメージを回復するためです。
建設業界は、過酷な労働条件や長時間労働が常態化しているイメージが一般的に広まっていますが、このイメージは、新たな人材の獲得や若者の参入を阻害し、建設業界の発展に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのイメージを払拭するために週休2日制を導入することで、労働者の働き方や生活環境が向上し、業界のイメージも良好な方向へと変わることが期待されます。
そのためには、建設業の魅力を再認識し、多くの人材がこの業界を選択する背景として、働きやすい環境の整備が不可欠です。
従って、週休2日制の導入は、建設業界のイメージを回復し、新しい人材を惹きつける手段として極めて重要と言えるでしょう。
建設業に週休2日がないと給料が減る:週休2日のメリット
続いて、建設業における週休2日のメリットを2つ紹介します。
休暇が増える
建設業における週休2日のメリットの1つ目は、休暇が増えることです。
休暇の増加は、身体的・精神的な回復期間をしっかりと確保できるため、日々の疲労の蓄積を防ぐ助けとなります。
また、充実した休日を過ごすことで、労働者のモチベーションや満足度も向上し、翌週の業務に対する意欲や生産性の向上が期待されます。
さらに、家族や友人との時間を増やすことで、プライベートな関係の充実や新しい趣味・習慣の発見など、生活の質全体が高まることが考えられるのです。
長く働き続けやすくなる
建設業における週休2日のメリットの2つ目は、長く働き続けやすくなることです。
定期的に休息日を確保することで、身体的および精神的なストレスの蓄積を抑え、適切なリカバリーの時間を持つことができるため、長期間の健康維持が期待されます。また、職場の離職率の低下やスキルの長期的な維持・向上にも寄与する可能性もあります。
このように、週休2日制は持続可能な労働環境を実現するための鍵となり、建設業界全体の持続的な成長をサポートする役割を果たすことが期待されるのです。
建設業に週休2日がないと給料が減る:週休2日のデメリット
続いて、建設業における週休2日のデメリットを3つ紹介します。
給料が減る
建設業における週休2日のデメリットの1つ目は、給料が減ることです。
特に、給与が日給や時間給で計算されている場合や、休日労働の割増賃金に頼っている労働者にとっては、週の労働日数が減少することで月収が減少するリスクが生じます。
また、週休2日制が導入されることで工事の進行スケジュールに変動が生じ、それに伴い労働時間の確保が難しくなる場合も考えられます。
このような背景から、週休2日制の導入には、従業員の収入を維持するための適切な対策やサポートが必要となるのです。
サービス残業の増加
建設業における週休2日のデメリットの2つ目は、サービス残業の増加です。
週休2日制となることで、週の労働日数が短縮されるため、同じ期間内での工事完了やタスク達成のプレッシャーが高まる可能性があります。
その結果、労働者が正式な残業として報酬を受け取らないまま、無償で追加の作業を行うケースが増加する恐れがあります。
このようなサービス残業は、労働者の過労の原因となるだけでなく、給与の未払い問題とも繋がり、長期的には業界の健全な発展を妨げる要因ともなり得るのです。
管理職への負担が増える
建設業における週休2日のデメリットの3つ目は、管理職への負担が増えることです。
週の労働日数が短縮されることで、各プロジェクトの進行スケジュールや人員配置に関する調整がより複雑になるため、管理職は労働計画の見直しや、タスクの効率的な割り振りに頭を悩ませることが増えます。
さらに、短縮された労働時間内での作業完了を追求する中で、品質の確保や安全管理といった業務への注視が欠けてしまうリスクも生まれます。
このような状況は、管理職のストレスや過労を増加させる可能性があり、組織全体の運営にも影響を及ぼす恐れがあるのです。
建設業に週休2日がないと給料が減る:週休2日が定着しにくい理由
続いて、建設業で週休2日が定着しにくい理由を6つ紹介します。
人手不足だから
建設業で週休2日が定着しにくい理由の1つ目は、人手不足だからです。
近年の建設業の労働者不足は、各プロジェクトの進行を円滑に行う上での人員配置が難しくなっています。
週休2日を取得すると、週の労働日数が短縮されるため、同じ量の作業を完了させるためには一日当たりの労働量を増やさなければなりません。しかし、人手が不足している現状では、既に多くの現場で労働力の最大化が実施されているため、さらなる作業の効率化や人員の増加は難しい場合が多いです。
そのため、業務量の増加と人手不足という二つの要因が組み合わさり、週休2日の導入や定着が業界内で難しくなっているのです。
工期を圧迫するから
建設業で週休2日が定着しにくい理由の2つ目は、工期を圧迫するからです。
建設プロジェクトは、契約に基づき決められた期間内に特定の作業を完了することが求められるため、工程管理は非常に厳密です。そのため、週休2日を取り入れると週の稼働日数が減少し、結果として1日あたりの作業量が増大することになります。
1日辺りの作業量の増加は、予定されていた工程計画の遅延や変更を招くリスクを増大させ、プロジェクト全体のスケジュールに影響を及ぼす可能性があります。
このような工程への影響を避けるため、週休2日の導入が慎重になる傾向が強いのです。
発注者の理解を得られないから
建設業で週休2日が定着しにくい理由の3つ目は、発注者の理解を得られないからです。
多くの場合、建設プロジェクトの発注者は、コストや工期などの契約条件に厳しく、労働者の休日や労働環境の改善といった点は二の次となりがちです。
週休2日を実施することによる工期の延長やコスト増に対する理解が得られないと、業者側は発注者との契約を逸するリスクを背負うことになります。
このため、発注者の理解や協力なしに労働環境を変えることは難しく、週休2日制の普及が遅れる要因となっているのです。
管理が煩雑になるから
建設業で週休2日が定着しにくい理由の4つ目は、管理が煩雑になるからです。
建設プロジェクトは多くの人員と専門的な技能を要するため、作業の進行や各作業者のスケジュール調整は非常に複雑です。
週休2日制を導入することで、休日の取得が不規則となり、スケジュール調整や代わりの人員の手配など、さらに細かい管理が必要となることが予想されます。
このような管理の難しさから、現場の管理者や経営者は週休2日制の導入に消極的となることが考えられるのです。
日当月給の文化が根付いているから
建設業で週休2日が定着しにくい理由の5つ目は、日当月給の文化が根付いているからです。
建設業の多くの労働者は、一日の作業に対して日給として給与が支払われるシステムが一般的であり、そのため労働者の収入は働いた日数に直結しています。
このような収入構造の下では、週休2日制を導入することで月収が減少する可能性が高く、労働者自身が休日を増やすことに消極的になる場合があります。
また、長らくこの日当月給の文化に慣れ親しんできた経営者や管理職も、制度変更に対して抵抗感を持つ可能性も高いです。
このように、建設業界特有の給与文化が週休2日制の浸透を妨げている側面があるのです。
ICT機器を導入できない現場があるから
建設業で週休2日が定着しにくい理由の6つ目は、ICT機器を導入できない現場があるからです。
近年、多くの産業でICTの活用が進み、効率的な業務遂行や遠隔作業が可能となっています。しかし、建設現場の特性上、すべての現場で先進的なICT機器を導入し、その恩恵を受けるのは容易ではありません。
特に、地域や現場の規模、プロジェクトの性質によっては、必要な設備投資が大きくなったり、導入後の維持・運用が難しくなることが考えられます。
その結果、労働時間を短縮しても効率的に業務を進めるためのサポートが得られない場合があり、週休2日制の導入が遅れる背景となっているのです。
建設業に週休2日がないと給料が減る:定着させるために必要なこと
続いて、建設業が週休2日を定着させるために必要なことを4つ紹介します。
工期の見直し
建設業が週休2日を定着させるために必要なことの1つ目は、工期の見直しです。
これまでの建設業界では、厳しい工期とその達成を重視する文化が根付いており、これが長時間労働を生む大きな要因となっています。
そのため、工期の適切な見直しを行うことで、現場の作業をより合理的かつ効率的に進める余地が生まれ、従業員の過重な負担を軽減することが可能になります。
また、発注者や関係各所との協議を通じて、実際の作業時間や人手、気象条件などの要因を考慮した柔軟な工期設定を進めることは、週休2日制の導入をサポートし、従業員の健康と生産性の向上にも寄与するのです。
給与形態の見直し
建設業が週休2日を定着させるために必要なことの2つ目は、給与形態の見直しです。
建設業界では日当制や月給制に基づく報酬が主流となっているため、これまでは働き方の柔軟性が制限されてきました。
しかし、給与形態を見直し、労働時間や成果に応じた報酬制度を導入することで、従業員が働きやすい環境を作り上げることができます。
具体的には、労働時間が短くなることによる給与の減少を補完するためのインセンティブを提供するとともに、質の高い仕事を重視する給与体系への転換を進めることが求められます。
これにより、従業員は働く意欲やモチベーションを維持しつつ、健全なワークライフバランスを追求することが可能となるのです。
業務委託の活用
建設業が週休2日を定着させるために必要なことの3つ目は、業務委託の活用です。
従来の働き方を維持しつつも、特定の業務を外部の専門家や企業に委託することで、社内の従業員の業務量や負担を適切に調整することが可能です。
例えば、設計や監理、環境調査などの専門的な業務を外部のエキスパートに依頼することで、社内のリソースを効率的に活用し、従業員の休日を確保することが可能です。
また、業務委託を利用することで業務の専門性を高めるとともに、新たな技術や知見を取り入れることも可能となります。
これにより、従業員は週休2日制の恩恵を受けつつ、業務の質を維持、または向上させることができると言えるでしょう。
IT化による業務効率化
建設業が週休2日を定着させるために必要なことの4つ目は、IT化による業務効率化です。
近年のテクノロジーの進化により、建設業界においても多くの業務がデジタル化されつつあります。
例えば、クラウドベースのプロジェクト管理ツールやBIM(Building Information Modeling)の活用により、計画から施工、運用に至るまでの業務プロセスが大きく変革されています。
このようなIT化の取り組みによって、従来手作業や紙ベースで行われていた業務が効率化・自動化されることで、時間的な余裕が生まれるとともに、従業員一人ひとりの業務負荷を軽減することが可能です。
これにより、週休2日制の導入に向けた環境が整備されるとともに、業界全体の生産性の向上も期待できるでしょう。
建設業に週休2日がないと給料が減る:優良な会社を見分けるコツ
続いて、建設業で働く上で優良な会社を見分けるコツを3つ紹介します。
勤怠管理システムがあるか
建設業で働く上で優良な会社を見分けるコツの1つ目は、勤怠管理システムがあるかです。
勤怠管理システムを導入している会社は、従業員の労働時間を正確に記録・管理していることの証明とも言えます。同時に、企業が法令順守を重視し、長時間労働や過労によるリスクを回避しようとする姿勢を示しているとも解釈できます。
また、勤怠管理を徹底している会社は、労働者の健康やワークライフバランスを尊重する文化を持っている可能性が高く、長期的なキャリアを考える際に安心して働ける環境が整っていると言えるでしょう。
バックオフィスの構築が進んでいるか
建設業で働く上で優良な会社を見分けるコツの2つ目は、バックオフィスの構築が進んでいるかです。
バックオフィスとは、主に経理、人事、総務などの内部管理業務を担当する部門のことを指し、これらがきちんと整備・構築されているかは、会社の経営基盤や組織の健全性を示す重要な指標となります。
実際に、バックオフィスが整備されている会社では、従業員の給与計算や福利厚生、教育研修などが適切に行われており、労働者の権利を守る体制が整っています。
また、問題が発生した際の対応も迅速かつ適切であることが期待できるため、安心して長く働くことができる環境が提供されている可能性が高いです。
残業があるか
建設業で働く上で優良な会社を見分けるコツの3つ目は、残業があるかです。
残業が頻繁に発生する企業は、労働時間の管理が適切でないか、業務の効率化が進んでいないことを示唆する場合があります。
一方、適切な労働時間を守りつつ業務を遂行できる会社は、職員のワークライフバランスを尊重し、健康を損なうような過度な労働を避ける姿勢があると言えるでしょう。
ただし、業務の特性上、繁忙期には多少の残業が発生することも考えられるため、残業の有無だけで判断するのではなく、その内容や理由も深堀りして詳細を確認することが重要です。
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建設業の週休2日導入で給料が減ることについてのまとめ
今回は、建設業の週休2日導入について解説しました。
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