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バス運転手の仕事は10年後に約3万6,000人不足する理由

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夜中にバスが走行している様子

バスは人々の交通手段として欠かせない存在であり、都市部や観光地を中心に、電車の通っていない地方での需要もあります。

近年は、インバウンド需要が回復してきたこともあり、さらに需要が高まってきている状況です。

その一方で、バス業界は人手不足が続いており、近い将来さらに深刻化すると言われています。

これからバス運転手への転職を検討しており、バス業界の将来が気になるという人もいるでしょう。

今回は、バス運転手の仕事が10年後にどう変わっているのか、詳しく解説していきます。

この記事で分かること
・10年後のバス業界について
・バス業界が終わると言われている5つの理由
・バス業界の将来性について
・バス運転手として10年後も生き残る方法
・バス運転手の将来に関するよくある質問

バス運転手は10年後に約3万6000人不足する

バスが横に並ぶ様子

近年、新型コロナウイルスの影響が限定的になり、インバウンド需要が回復してきたことから、バス運転手不足が各地で問題となっています。

「日本バス協会」が2023年9月に発表した予想によると、2030年には約3万6,000人の運転手が不足するとしています。

この理由としては複数あるものの、最も影響すると言われているのが「現役運転手の高齢化」です。

平成25年における、バス運転手の年齢構成は以下の通りです。

・40~44歳:約22%
・45~49歳:約18%
・50~54歳:約13%
・55~59歳:約12%
・35~39歳:約12%
・30~34歳:約8%
・60~64歳:約8%

定年の年齢はバス会社によって異なるものの、約10年以内に約4割近くの運転手が引退していくことが分かります。

一方で、若手人材の参入が全く増えていないのが現状です。

これらの理由により、バス運転手は10年後あたりに3万6,000人ほど不足すると言われています。

参考:深刻化するバス運転手不足、期待される「自動運転技術」も実用化の道遠く|日経XTECH
参考:バス事業の現状について|国土交通省

10年後にバス業界が終わると言われている5つの理由

バス運転手がパネル操作する様子

バス業界を含む運送業界は、2024年4月より施行される改善基準告示により、大きな影響を受けると言われています。

具体的な影響は実施されなければ分からないものの、「10年後にバス業界は終わる」といった声も少なくありません。

その理由としては、主に5つあります。

・地方のバス乗客者数が減少している
・バス運転手が人手不足になっている
・マイカーの利用が増えて利用者が減少している
・2024年問題で時間外労働の規制が始まる
・全体的なコストが増加している

ここでは、各理由についてバス業界の現状を踏まえながら解説していきます。

地方のバス乗客者数が減少している

通勤や通学、病院への移動など、バスはあらゆる人が利用する交通手段です。

しかし、最近では、地方のバス利用者が減少傾向にあります。

利用者が減っている原因は、日本の人口減少と人口が都市部に集中していることがあります。

これにより、各地方では赤字路線が年々増えてきており、廃止となる路線が増えている状況です。

10年後には、都市部でしかバスが運行していない可能性もゼロではありません。

バス運転手が人手不足になっている

バス業界では、現役運転手の高齢化とは別に、若手人材の参入が増えないことが問題となっています。

参入が増えない理由として最も大きいのが「労働環境の悪さと収入の低さ」にあります。

人手不足が続いているバス業界では、1人あたりの負担が徐々に増えてきており、長時間拘束が当たり前になっています。

また、観光バスや高速バスは、長距離運転が当たり前であり、泊りがけでの運行も珍しくありません。

その一方で、収入面は全く上がっておらず「労働時間と収入が見合っていない」といった声も少なくありません。

このまま改善が進まなければ、いずれバス運転手はいなくなるといった声もあるほどです。

マイカーの利用が増えて利用者が減少している

近年は、乗用車の安全性に関する機能が充実してきたこともあり、車で移動する人が増えてきています。

また、地方都市を中心に交通渋滞が問題となっており、ダイヤ通りに路線バスを運行するのが難しくなったことも、マイカー利用をより増加させています。

2024年問題で時間外労働の規制が始まる

2024年4月1日より、改善基準告示が運送業界で施行されます。

バス運転手の拘束時間や、運転時間に関する制限を強めることで、労働環境を良くする狙いがあります。

しかしながら、ルール改正によってバス事業者の利益が減ってしまい、バス運転手の待遇がさらに悪くなるといった声も少なくありません。

また、労働時間の制限が強まることで、これまで以上に運行数が減ってしまう可能性が高く、利用者がさらに減る可能性もあります。

そのため、2024年4月以降、さらにバス業界の問題が深刻化する恐れがあります。

全体的なコストが増加している

バス会社は、新型コロナウイルスの影響が限定的になったこともあり、近年は売上高が大幅に上がってきています。

しかしながら、2022年度の決算では、約3割のバス会社が赤字となりました。

その理由としてあるのが「コストアップ」です。

バス会社の経費として大きな割合を占めるガソリン代は、世界情勢の悪化により高騰が続いています。

運賃を上げすぎると、利用者の減少にもつながるため、利益を上手く出せていないのが現状です。

バス業界はやばくない?将来性がある3つの理由

バスのハンドルを握る様子

ここまでバス業界の問題点や懸念について解説してきましたが、将来性が全くないわけではありません。

問題が改善されて、バス業界の需要が高まっていくといった声も少なくありません。

バス業界に将来性があると言える理由は、以下の通りです。

・AIでの自動運転だけではできない部分もある
・少子高齢化社会において需要は増える
・観光や旅行の需要が増える

バス需要の動向も踏まえながら、3つの理由について解説していきます。

AIでの自動運転だけでは対処できない部分もある

バスの利用者は、年々減少しているものの、全く需要がなくなることは考えにくいと言えるでしょう。

通勤や通学で乗用車を利用できない人は非常に多く、一定の需要が必ずあるからです。

近年はバス運転手不足の対策として、AI技術を駆使した自動運転が注目されていますが、全て自動で運行するには限界があります。

働き方が今後変わっていったとしても、バス運転手の需要自体がなくなることは考えにくいと言えるでしょう。

少子高齢化社会において需要は増える

近年、少子高齢化が問題となっていますが、高齢者にとってバスは安全に移動できる貴重な交通手段と言えます。

高齢者の運転操作ミスによる事故も各地で発生していることから、バスやタクシーでの移動を推奨する声も高まってきています。

そのため、路線バスの需要は将来的に上がっていくと言えるでしょう。

観光や旅行の需要が増える

近年、新型コロナウイルスの影響が限定的になってきていることから、旅行や観光に出かける人が増えてきています。

特に顕著となっているのが「インバウンド需要」で、日本は人気の旅行先でもあることから、各国から旅行者が訪れるようになりました。

都市部はもちろん、地方の観光地でも需要が高まっており、観光バスや貸切バス事業の需要は、今後も高い状態で推移すると予想されます。

バス運転手として10年後も生き残る方法3選

バスを運転している様子

バス業界では、人手不足の解消や、より効率的な働き方を実現するため、さまざまな取り組みが進められています。

働き方が変わっていく中で、バス運転手として長く活躍していくには、個人のスキルを高めていくことが必須と言えます。

具体的には、以下のようなポイントを意識するようにしましょう。

・AIにはできない仕事をする
・乗客や社員から信頼を獲得する
・専門的な資格を取得する

ここでは、バス運転手として生き残っていく、3つのポイントについて解説していきます。

AIにはできない仕事をする

乗り物の自動運転に関する研究開発が進められている中で、実用化の壁となっているのが「適切な判断」と「危険予知」です。

あらかじめ定められたルートを走行するといった性能はクリアしているものの、路面状況に応じた運転方法の変更などはAIによる代行が難しいといえます。

また、時間帯や周りの状況によって「人が飛び出してくるかもしれない」といった危険予知を適切に行うことは、経験豊富なバス運転手にしかできません。

バス運転手として今後も生き残っていくには、安全面や快適なサービスに対する配慮を意識するようにしましょう。

乗客や社員から信頼を獲得する

将来的にも必要とされるバス運転手でいるには、乗客や社員からの信頼を獲得することも大切です。

ただ運転をこなすだけでなく、乗客と積極的にコミュニケーションを取りながら、快適なサービスの提供を意識しましょう。

また、日々安全な運行を意識しながら、会社内でバス運転手としての信頼を築いていくことも重要です。

専門的な資格を取得する

運送業で役立つ資格を取得しておくこともおすすめです。

安全な運行を維持する上で欠かせない「運行管理者」や、万が一の事態に備えて救急措置のトレーニング受講などがおすすめです。

資格取得を目指すことで、仕事に対する気持ちの強さのアピールにもなります。

バス運転手の10年後がどうなるかについてよくある質問

バス運転手が乗客を案内する様子

最後は、バス運転手の10年後に関する、5つのよくある質問に答えていきます。

・バスの運転手はいつかなくなりますか?
・バスの運転手が減っている理由は何ですか?
・バス運転手不足は今後どうなりますか?
・2024年問題でバス業界にどのような影響がありますか?
・自動運転に運転手は必要ですか?

バス業界の現状や将来性に関する内容ですので、転職を検討するうえで参考にしてみてください。

バスの運転手はいつかなくなりますか?

バス運転手は、将来的に需要が減っていく可能性はあるものの、高齢者や観光客といった人たちの需要が一定数あるため、仕事自体がなくなることは考えにくいと言えます。

現在、AI技術を駆使した自動運転技術の研究が進められているものの、安全性の確保が難しく、実用には時間がかかると予想されています。

バスの運転手が減っている理由は何ですか?


バスの運転手が減っている理由は、運転手不足により1人あたりの負担が増えてしまっており、収入が見合っていないことなどが考えられます。

職業情報提供サイトjobtagによると、令和4年におけるバス運転手の平均年収は398万7,000円です。

これは、全産業の平均年収を大きく下回っており、決して高収入とは言えません。

あくまでも平均であり、年収が500万円を超えている運転手もいるものの、仕事量に見合っていないという声は少なくありません。

出典:職業情報提供サイトjobtag・路線バス運転手|厚生労働省

バス運転手不足は今後どうなりますか?

バス運転手が不足している現状を受けて、バス会社では労働環境の改善などが積極的に進められています。

転職を検討している人に向けては「資格取得支援制度」を用意する会社が多く、普通運転免許さえ取得していれば、未経験者でも応募可能です。

この他にも、ICT技術を駆使した運転効率の向上など、さまざまな取り組みが行われています。

2024年問題でバス業界にどのような影響がありますか?

2024年4月より施行となる改善基準告示では、バス運転手の労働に関するルールがより厳しくなります。

これにより、長時間労働がなくなり運転手の負担が下がる一方で、人手不足によりこれまでのような運行ができなくなる可能性があります。

また、バス事業者の利益が減ることで、結果的にバス運転手の待遇がより悪化するといった予想もあり、反対する声も少なくありません。

自動運転に運転手は必要ですか?

自動運転の運用が開始されたとしても、完全な無人化は難しいと言えるでしょう。

運転中には、子供が急に飛び出してきたり、天候が悪化してきたりといった、予想の難しいことが起こる可能性もあります。

状況に応じた適切な判断をAIが行うのは難しく、人による最低限のサポートが必要と言われています。

まとめ

バス運転手がこちらを見ている様子

バス業界は、人手不足が問題となっており、高齢の運転手が引退することで、将来的により深刻化すると予想されています。

人口減少により地方では、路線バスの利用者も減ってきており、赤字路線が増えている状況です。

しかしながら、インバウンド需要が回復してきており、乗用車の運転が難しい高齢者などの需要があるため、バス運転手の仕事がなくなることは考えにくいと言えるでしょう。

近年は、未経験者を歓迎する求人も増えてきており、転職のタイミングとしては決して悪くないと言えます。

今回紹介したバス運転手の現状も踏まえながら、転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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