バスは地域に密接した交通手段であり、そこで働くバス運転手は多くの人にとって身近な存在です。
本記事では、そのような身近な存在であるバス運転手に必要な心構えや、求められる能力などを解説します。加えて、バス運転手になるための基礎知識や、バス運転手の一日の流れについても解説します。
本記事を読めば、バス運転手が心がけるべきことが分かり、バス運転手についての知識を深めることが可能です。
バス運転手の心構え〜働き方編〜
バス運転手は、お客様の安心安全を確保するため、日々の働き方を意識することが大切です。
ここでは、バス運転手として働く上で必要な心構えを1つずつ解説していきます。
全方位への思いやり
バス運転手として働く上で大切な心構えの1つ目は、全方位への思いやりです。
大きな車体でさまざまな道を走るバス運転手には、高い運転技術が求められます。しかし、それと同様に、歩行者や一般車、乗客、その地域で生活する人などへの思いやりが大切な仕事です。
これは、個々に寄り添い相手の立場にたって考えることで、他の車や歩行者の状況を把握しやすくなり安全運転に繋がるためです。
このように、全方位への思いやりの心を持って運転することは、バス運転手の大切な心構えとなっています。
チームワークを大切にする
バス運転手として働く上で大切な心構えの2つ目は、チームワークを大切にすることです。
日々の安全運行は、事務所の運行管理スタッフや整備士に支えられ成り立っています。道路状況の把握は運行管理スタッフとの連携が必要不可欠であり、安心して運転するためには整備士の堅実な仕事が欠かせません。
併せて、運転手同士で情報共有することや、声をかけて意識を高めあうことも重要です。
このように、バス運転手は常に仲間とのチームワークが大切な仕事なのです。
見直しと改善を繰り返す
バス運転手として働く上で大切な心構えの3つ目は、見直しと改善を繰り返すことです。
バス事業者は、国土交通省が定めた運輸安全マネジメント制度により、会社の経営陣から現場スタッフまでが一丸となって安全確保に努めることを求められています。
具体的には、安全に関する計画の策定(Plan)、実行(Do)、チェック(Check)、改善(Act)を繰り返し行うことで、安全の保持を推進します。
バス運転手は、経営者や周囲のスタッフと問題意識を共有し、見直しと改善を繰り返していくことが大切なのです。
危険な心の状態を把握しておく
バス運転手として働く上で大切な心構えの4つ目は、危険な心の状態を把握しておくことです。
バス運転手は常に冷静な状態でいるべきですが、時には気分の落ち込みやイライラ、悩み事などを抱える場合があります。
そのようなときは、判断ミスや認知ミスをしやすくなるため、普段よりも注意が必要です。
日頃から自分の特性を理解し、危険な心の状態を把握しておくことで、事故やトラブルのリスクを減らせます。
関連記事:バス運転手の大変なところは?実際の仕事と研修について
バス運転手の心構え〜責任編〜
バス運転手が交通事故を起こした場合、民事上(損害賠償)、刑事上(罰金・禁固・懲役)、行政上(運転免許の停止・取消)の責任を問われる可能性があります。
言うまでもなく、交通事故は被害者やその家族に苦痛を与え、その後の人生を大きく変えてしまいます。
また、運転手は社内で処分を受けるほか、信用を失ったバス会社が取引先から取引停止となることも珍しくありません。
バスの交通事故は多大な社会的影響をおよぼすため、バス運転手はその責任を自覚することが求められます。
関連記事:バス運転手はきついからやめとけ?本当に過酷仕事なのかと将来性
バス運転手に求められる3つの能力
バス運転手には、お客様を安全に運ぶための3つの能力が求められます。
第一に、バスの大きな車体をスムーズに運転する運転操作能力です。
次に、一般車や歩行者、障害物などの危険要素を正確にとらえて対応する、危険予測能力・判断能力です。
最後に、自分をコントロールして落ち着いた状態を保つ自制能力です。
このように、バス運転手はあらゆる場面で安全運転ができるよう、総合的な管理能力が求められています。
バス運転手の心構えと一緒に押さえたい基礎知識
実際にバス運転手になる上で、どのようなことが必要なのでしょうか。
ここでは、バス運転手に必要な資格や知っておくべき知識、1日の流れなどを具体的に解説します。
大型二種免許の取得が必須
バス運転手になるためには大型二種免許の取得が必須です。
大型二種免許は21歳以上で取得が可能となり、普通自働車免許を取得後に3年以上運転経験のある方が取得可能な資格です。
資格なしでバス運転手を目指す場合でも、バス会社によって大型二種免許の取得支援制度があるため、入社してからの資格取得も可能です。
一般車と大型バスとの違い
一般車と大型バスの違いは、タイヤや計器類、ミラーの数といった仕様です。大きなタイヤや専用の計器類は大型バス特有です。特に、ミラーは11個もあり、一般車と明らかに異なっています。
また、たくさんのお客様を乗せているときの重量感やブレーキの感じ方も、一般車では味わえない感覚です。
その分、高い技術や意識が求められており、すべての運転手に定期的な訓練が義務付けられています。
バス運転手はサービス業である
バス運転手は決められたルートを運転する運輸業ですが、それと同時にサービス業としての側面があります。
バスには、小さな子供や高齢者、車椅子利用者、障がいがある方などさまざまなお客様が乗車することから、一人ひとりに配慮してサービスを行う必要があるためです。
すべてのお客様が快適に利用できるよう努めるバス運転手の仕事は、まさしくサービス業であると言えます。
バス運転手の1日の流れ
バス運転手の1日の流れを、早朝勤務の例で解説します。
- 出勤前
まずは出勤前、自宅でアルコールチェックを行ってから車で事業所に向かいます。
- 出勤・準備
午前5時、営業所に到着してから再度アルコールチェックを行い、免許所を確認して出勤を記録します。
午前5時20分、運行前の車両点検を実施します。
タイヤやエンジンなど、バスの車体に不備がないかを細かくチェックしていきます。
- 点呼
午前6時、点呼を行い、運行管理スタッフから注意事項などの指示を受けます。このとき改めてアルコールチェックを行います。
- 乗務開始
午前6時30分、いよいよ乗務開始です。
- 帰庫・精算業務
正午、運行が終了し、車内点検をして忘れ物の確認と清掃を行います。昼の12時30分、事業所に戻り運賃を精算します。その後、終業点呼を行って状況を報告し、1日の業務は終了です。
バス運転手に向いている人の特徴
バス運転手に向いている人は、運転技術と人間性を兼ね備えている人です。
安全意識が高い
まず、安全意識が高く、冷静な判断力を持ち合わせていることは不可欠です。路上で予期せぬ状況に遭遇してもパニックに陥らず、迅速かつ適切な対応ができる冷静さが求められます。
集中力がある
また、高い集中力を持ち、長時間の運転にも疲れを感じさせない体力と精神力も必要です。さらに、人と接する仕事でもあるため、顧客サービスに対する意識も重要です。乗客一人ひとりに対して親切かつ丁寧な対応ができる、人当たりの良さやコミュニケーション能力も、バス運転手には求められる特徴の一つです。
責任感がある
加えて、時刻表に従った正確な運行を維持する責任感と、状況に応じて柔軟に対応できる適応力も不可欠です。
コミュニケーション能力がある
運転技術に加え、乗客とのコミュニケーションやチームワークも重要な役割を果たすため、協調性を持ち、組織の一員として協力して業務を遂行できる能力も必要とされます。
これらの技術的スキルと人間的な資質を兼ね備え、日々の業務に誇りを持ち、人々の生活に貢献する喜びを感じられる人物は、バス運転手に向いていると言えるでしょう。
バス運転手の心構えについてのまとめ
今回は、バス運転手の大切な心構えについて解説しました。
バス運転手の最も重要な仕事は、お客様を安全に運ぶことです。そのため、歩行者や一般車の立場にたって考えることや、他のスタッフとのチームワークが必要不可欠です。そして、大きな社会的責任を自覚し、落ち着いた状態での勤務を心がけることも必要になります。
こうしたバス運転手の心構えにより、日々の安全運行は守られ、地域の人たちの安心と信頼につながっているのです。
バス運転手の仕事に興味がある方は、本記事を参考にして、ぜひバス運転手の就職に挑戦してみてください。
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