CADオペレーターはCADソフトを使い、建造物や機械などの設計図を作成しています。
CADオペレーターと言えば建設業界で働いているイメージを持たれていますが、実際はさまざまな業界で活躍しています。
この記事ではそんなCADオペレーターの年収事情、仕事内容や将来性について解説します。
CADオペレーターの年収
政府統計の総合窓口(e-Stat)が公表しているデータと厚生労働省が毎年発表している賃金構造基本統計調査のデータから、令和4年度のCADオペレーターの平均年収を計算すると449万円でした。
なお、CADオペレーターが多く在籍する建設業界全体の平均年収は337万円でした。
建設業界の中には施工管理技士や建築士、技能士などの職種が含まれています。建設業界全体からCADオペレーターの平均年収を見ると、平均より高めの数値です。
それでは年代別、地域別での平均年収を紹介していきましょう。
年代別
CADオペレーターの平均年収を5歳ごとに分類し表にまとめました。
年代 | 平均年収 |
~19歳 | 221万円 |
20~24歳 | 293万円 |
25~29歳 | 336万円 |
30~34歳 | 359万円 |
35~39歳 | 394万円 |
40~44歳 | 431万円 |
45~49歳 | 445万円 |
50~54歳 | 467万円 |
55~59歳 | 507万円 |
60~64歳 | 373万円 |
見習い期間である20代前半までは200万円台と決して高い水準ではありません。しかし、年齢を重ね、経験を積み、スキルや知識を身に着けていくことで徐々に年収は上がっていきます。
地域別
CADオペレーターの平均年収は地域でどれくらい差があるのか比較してみましょう。
地域 | 平均年収 |
北海道・東北 | 499万円 |
甲信越・北陸 | 470万円 |
関東 | 473万円 |
東海 | 419万円 |
関西 | 460万円 |
中国 | 433万円 |
四国 | 491万円 |
九州・沖縄 | 445万円 |
全国で最も平均年収の高い地域は北海道・東北でした。その中でも青森県が566万円と全国トップの水準を誇っています。
一方、最も年収が低い地域は東海、都道府県では滋賀県の383万円でした。
雇用形態別
正社員と非正社員ではどれくらい年収に差があるのか見ていきましょう。
正社員 | 非正社員 |
406万円 | 196万円 |
正社員と非正社員では210万円の差があります。
金額だけ見ると大きな差があるように感じますが、アルバイト・パートの平均時給は約1400円と決して低くはありません。
スキルや経験によってはさらに高い時給を稼ぐことも可能です。
男女別
CADオペレーターの平均年収を男性と女性に分けて紹介します。
年代 | 平均年収【男性】 | 平均年収【女性】 |
~19歳 | 216万円 | 227万円 |
20~24歳 | 280万円 | 307万円 |
25~29歳 | 368万円 | 305万円 |
30~34歳 | 406万円 | 312万円 |
35~39歳 | 476万円 | 312万円 |
40~44歳 | 503万円 | 360万円 |
45~49歳 | 537万円 | 353万円 |
50~54歳 | 545万円 | 390万円 |
55~59歳 | 609万円 | 405万円 |
60~64歳 | 444万円 | 303万円 |
年齢計 | 471万円 | 342万円 |
20代前半までは女性のほうが年収が高い結果となりました。
しかし、20代後半から男性の方が年収が高くなり、徐々に差が生まれていき、50代では200万円以上年収に差があります。
この差が発生した理由は、女性の中で結婚・出産により、短時間労働に切り替えた人が多いからと考えられます。
関連記事:工場勤務で年収800万は可能?給料が高くなりやすい理由とは
関連記事:工場勤務の年収ランキング|年収アップに役立つ資格とは?
CADオペレーターの年収に影響する仕事内容
CADオペレーターが普段どういった仕事を行っているのか詳しく解説していきましょう。
そもそもCADとは
CADとはコンピューター支援設計(Computer-Aided Design)の略称です。コンピューター技術を活用し、設計を行うためのソフトウェアや技術を総称したものになります。
CADがなかった時代は、全て手書きで図面が書かれていました。それには深い知識と膨大な時間が必要です。
しかし、CADを用いることで様々な分野の設計を効率よく行えるようになりました。例えば建築設計では建物の内外装、構造、配管などの設計を行うことが可能です。
また、CADには2次元CADと3次元CADの2種類あり、図面の用途で分けられています。
2次元CADでは平面図や断面図などを、3次元CADでは立体の製図を行う時に使用されます。
仕事内容
CADオペレーターはCADソフトウェアを使用して、設計図を作成しています。
主な仕事内容は以下の通りです。
設計図の作成:CADを使い、建物や機械、電気経路などの設計図を作成する
図面の修正:既存の図面を修正しなければいけない時にCADを使い、修正を行う
図面の確認:出来上がった図面を確認し、設計に問題がないのか検証する
図面データの管理:作成した図面を管理する。顧客や現場にデータを渡した後も修正や確認が必要なことがあるため、すぐに対応できるよう図面データの管理を行うこともCADオペレーターの仕事である
設計士との違い
CADオペレーターと設計士は同じくCADを使って仕事を行いますが、担当する業務が異なります。
設計士は顧客の要望をヒアリングした上で、設計コンセプトの作成や詳細な設計プランの作成を行います。
CADオペレーターは設計士が作成した設計プランをもとに、CADを使用して図面を作成することが仕事です。
関連記事:機械設計って何?仕事内容や収入、関連資格などを詳しく解説!
CADオペレーターの年収に影響するスキルや資格
CADオペレーターに必要なスキルや資格を詳しく解説していきましょう。
CADソフトのスキルを身に付ける
CADオペレーターとして働くためには、少なくともCADソフトを扱えるようにならないといけません。
CADソフトの扱い方は独学でも可能ですが、専門学校で習うとスムーズにスキルを習得できます。
関連資格の取得
CADオペレーターになるために必要な資格はありません。しかし、関連する資格を取得することで実務や転職に役立ちます。
おすすめの資格は「CAD利用技術者試験」です。CADの基礎から応用まで知識が問われるので、取得しておくと実務で活かせるでしょう。
CADオペレーターの年収に影響する建設以外の業界
CADオペレーターが働いている現場として代表的なものは建設業です。しかし、CADオペレーターが活躍している場所は建設業以外にもたくさんあります。
例えば製造業では機械部品や製品の設計を行います。他にも自動車業界、電子機器業界、航空宇宙業界などCADオペレーターの仕事は多岐にわたっており、需要は決してなくならないでしょう。
CADオペレーターが年収をアップさせる方法
CADオペレーターで年収を上げていくための方法は主に下記の2つです。
扱えるCADソフトの幅を広げる:CADソフトといっても様々な種類があります。その中でも「3FDCAD」と「BIM」は需要が高まっているので、使いこなせるようにしましょう。
関連資格を取得する:今の仕事と関連する資格を取得すれば資格手当がつき、年収アップを目指せます。例えば「建築士」や「建築CAD検定試験」などがあります。業務に関連する知識を深めることで会社にとって希少性が高まるので、昇給・昇格もしやすくなるでしょう。
年収を考慮したCADオペレーターに向いている人の特徴
CADオペレーターに向いている性格や特徴を紹介していきましょう。
ものづくりに関心がある
CADオペレーターはCADを使用し、ものづくりの大元になる設計図を描く人です。そのため、自分が作成した図面からどんなものができるのか興味関心を持って行う人は、分かりやすい図面を描くことができますし、何より楽しく仕事が行えます。
几帳面である
CADオペレーターの仕事には正確で細かい作業が求められます。図面が間違っていた場合、大事故に繋がる恐れがあるので、丁寧な作業を行える几帳面な性格の人が向いています。
作業スピードが早い
どの仕事にも共通してあるものが納期です。CADオペレーターは設計士からの細かい注文の下、納期までに設計図を作っていかなければいけません。
出来上がったとしても修正があれば早急に対応する必要があるので、素早い仕事ができる人が向いています。
想像力がある
CADオペレーターは設計士からの指示を元に図面を描き上げていくのですが、完成図を想像できる人とそうでない人では仕事のスピードが変わっていきます。
0の状態から作図が始まるため、想像力のない人はどこから始めればいいのか戸惑うかもしれません。
CADオペレーターの年収に影響する将来性
CADオペレーターは今後も安定して需要があるのでしょうか。
将来性について詳しく解説していきましょう。
AIに仕事を奪われる心配はない?
CADオペレーターはAIに仕事が奪われると一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。あ
2007年に野村総合研究所とオックスフォード大学が行った共同研究によると、10~20年後に日本国内にある49%の職業が人工知能、またはロボットで代替可能であるという発表をしています。
代替可能な職業の1つにCADオペレーターが含まれていたため、いずれはCADオペレーターが不要になるのではないかと噂が出たのかもしれません。
しかし、AIに仕事が奪われるかどうかについて、結論から言えば、可能性は低いでしょう。なぜならCADオペレーターの仕事には、AIにはできない内容が含まれるからです。
全ての仕事が代替できないわけではなく、図面修正やトレース作業といった単純作業はAIに奪われる可能性があります。
ただ、人とコミュニケーションが必要かつ細かい要望を聞きながら行う設計作業は、AIにはできないとされています。
参考:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~|野村総合研究所
オペレーターとして市場価値を上げる
CADオペレーターとして将来性を確保するためには市場価値を上げることが必要です。
具体的にはAIにはできない技術を身に着けることです。AIは単純なルーティンワークが得意分野で、そこは人間には太刀打ちできないでしょう。
しかし、これまでにない新たなものはAIには作り出せません。創造性のある設計や革新的な発想は人間にしかできないので、常にアンテナを張り、新たな知識をインプットし続けることが重要です。
他業界への応用が効きやすい
上述したようにCADオペレーターは幅広い業界で活躍しています。
これまでの経験が無駄になることはありません。建設業界がダメになったとしても製造業界、電子機器業界など様々な業界で活躍できるところがCADオペレーターの強みです。
CADオペレーターの年収に関してよくある質問
CADオペレーターに関してよくある質問をまとめました。
CADオペレーターに転職する人は多いですか?
CADオペレーターになるためにはCADソフトを使用できるようにならないといけませんが、未経験歓迎と書いている求人はたくさんあります。
未経験から転職している人は、決して少なくありません。
CADオペレーターは何歳までできますか?
一般企業であれば定年まで働くことは可能です。独立した場合、年齢に限りはありません。
ただし、クライアントからの要望に応えるには相応の技術やスキルが必要なため、年齢を重ねても常に知識のアップデートが必要になります。
CADオペレーターで年収1000万円は可能ですか?
結論から言えば可能です。
大手自動車メーカーや医療機器メーカーの管理職となれば年収1000万円を稼ぐ可能性は十分にあります。
ただし、管理職は実務だけでなく、マネジメントや部下の指導も行わないといけないので、相応の能力が必要です。
関連記事:CADオペレーターは辛いのか?仕事内容や年収の実態を解説
関連記事:CADオペレーターはやめとけ?実態やメリット・将来性を解説
関連記事:工場勤務で年収1000万はいける?年収アップのコツを解説
CADオペレーターの年収についてのまとめ
CADオペレーターは様々な業界で活躍できる魅力的な職種です。CADソフトは年々進化しているので、自身も知識のアップデートが必要になります。
しかし、実力が全ての世界だからこそ、努力し続ければ年収を上げられる可能性も高いです。
そのためには、いかに汎用性の高いスキルや経験を積み重ねるかが重要になります。
自分がどのようなCADオペレーターになりたいのか、理想の姿を思い浮かべながら経験を積み、昇格・昇給を目指していきましょう。
施工管理のお仕事をお探しの方へ
建職キャリアは、建設業界に特化した転職支援サービスです。
- 希望条件に合う求人のご紹介
- 履歴書など書類作成のサポート
- 企業との条件交渉/面接日程の調整
無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
求人を検索する(無料)