フォークリフトは、重量物の積み降ろしや運搬、倉庫内での蔵置に使用される車両です。
さまざまな業種に欠かせない存在であり、利用シチュエーションに応じて複数の種類が存在します。
力を使うことなく重量物を扱える一方で、労働災害も発生しており、乗務する際には注意が必要です。
特に工場や倉庫内では作業員も多く、運転するには複数のルールがあります。
今回は、フォークリフトの操作方法や乗務ルールを中心に、分かりやすく解説していきます。
【この記事で分かること】 ・フォークリフトの基本的な操作方法 ・フォークリフトを運転する際のルール ・フォークリフトを運転する際の注意点 |
フォークリフトの基本的な操作方法
フォークリフトを運転する場合、乗車前や乗車中などに意識すべき、操作のポイントがあります。
ここでは基本的な操作方法について、解説していきます。
点検
フォークリフトに乗り込む前には、車両の点検を行います。
【フォークリフトの乗車前点検】
- オイル漏れがないか
- タイヤや作業装置に異常がないか
- 周りに障害物はないか
- ブレーキランプや方向指示器は点滅するか
最初のうちは時間が掛かるかもしれませんが、必ず以上の有無をチェックするようにしましょう。
乗車
乗車する際には運転席の左から乗り込むようにします。
アシストグリップやドライバーシートを掴みながら、転倒しないように注意しましょう。
シートに座った後は、自分の運転しやすいようにシートの位置や角度を調整してからシートベルトを着用します。
発進前には、必ず周囲を確認しましょう。
発進・停止
発進する際には、フォーク(爪)が地面に当たらないように、床面から10センチほど上げます。
また、傾斜などがある場合には、爪の角度を10度ほど上に傾けることで、地面と接触しにくくなります。
基本は前進走行ですが、荷物をすくった際には前方が見えなくなるため、バック走行で運搬を行います。
駐車
駐車する際には、爪を閉じた上で歩行者が爪につまずかないように、角度を下げて地面に設置した状態にします。
タイヤがまっすぐであることを確認した上で、サイドブレーキを引きエンジンを止めてから降車します。
フォークリフトを操作する上でのルール
フォークリフトは誰でも乗れるわけではなく、安全に乗務するためには複数のルールを守る必要があります。
ここでは、全ての職場に共通したルールについて解説していきます。
運転可能なのは有資格者のみ
フォークリフトで作業を行う場合、フォークリフト運転や操作に関する知識やスキルが欠かせません。
そのため、乗務する場合には運転免許を取得しなければなりません。
【フォークリフト運転に必要な資格および受講内容】 ・1t未満:フォークリフト特別教育の受講 ・1t以上:フォークリフト運転技能講習の受講 |
フォークリフトの運転免許の正式名称は「フォークリフト運転技能講習修了証」で、労働安全衛生法に基づく国家資格です。
講習では学科・実技に関する講習を受けた後に、各試験に合格する必要があります。
合格後、フォークリフトに乗務する際には必ず修了証を携帯していなければなりません。
保護具を着用する
フォークリフトを運転する場合は、業務内容や職場に関係なく必ず保護具を着用します。
作業着に関しては、職場によって異なりますが、運転しやすい物を選ぶようにしましょう。
この他ではヘルメットや安全靴を着用します。
制限速度を守る
フォークリフトは車両によって最高速度が異なり、大型車両となると35km/h以上にもなります。
労働安全衛生法では、最高速度が10km/hを超えるフォークリフトを運転する場合、適正な制限速度を定めることを義務付けています。
具体的な速度は職場によって異なるものの、8km/h前後が一般的です。
制限速度以内であったとしても、曲がり角を運転する場合などは、必要に応じて減速するようにしましょう。
視界を遮られる場合は後進する
フォークリフトは荷物をすくって運搬する場合、前方が荷物によって見えなくなります。
荷物の大きさにもよりますが、荷物の運搬中はバック走行が基本です。
荷物をすくった状態で前進しなければならない場合、クラクションを鳴らし注意喚起をした上で、別の作業者に誘導をお願いするようにしましょう。
停止時に逸走防止措置を徹底する
フォークリフトを停止した際には、必ずレバーをニュートラルにした上でサイドブレーキをかけるようにしましょう。
作業場に傾斜があるような場合、フォークリフトから離れている間に動き出してしまう恐れがあります。
また、他のフォークリフトがぶつかった際にも動きやすくなるため、サイドブレーキやレバー操作は必ず行うようにしましょう。
作業計画に従う
労働安全衛生法では、フォークリフトを用いて作業する場合に、以下の3点に適応した作業計画を立てておくことを義務付けています。
- 荷物の形状や種類
- フォークリフトの種類や能力
- 作業場所の地形や広さ
軽い貨物なのに必要以上に大きいサイズの車両に乗ったり、高所作業に適さないフォークでラックから荷物を降ろしたりすると、事故の発生に繋がります。
必ず職場ごとの作業計画に従った乗務をするようにしましょう。
作業指揮者を配置する
労働者が複数で荷役作業を行う工場や倉庫では、作業指揮者の配置が義務付けられています。
運転する際には、必ず作業指揮者の指示に従うようにしましょう。
フォークリフトを操作する際の注意点
フォークリフトは、さまざまな荷物を扱うために複数の機能が搭載されています。
労働災害を防止するためには、以下のような注意点を守るようにしましょう。
・曲がる際は後部に注意する
・マストごしに荷物を触らない
・用途外の使用は禁止
なぜこのような注意点を守る必要があるのか、実際に起きた労働災害も踏まえながら解説していきます。
曲がる際は後部に注意する
フォークリフトは狭い場所でも小回りできるように、後輪でかじを取ります。
乗用車は前輪が動くため、普段の感覚で運転すると、後部が大きく外側に振られてしまいます。
ハンドルに関しても、フォークリフトは2回転半回るため、慣れないうちはゆっくり曲がるようにして、周りに接触しないように注意しましょう。
マストごしに荷物を触らない
フォークリフトにはフロントガラスがなく、身を乗り出すと前の荷物に触れます。
フォークリフトが起動した状態で手を伸ばすと、マストが動いた際に手を挟んでしまう恐れがあるため危険です。
荷物が倒れそうになったとしても、全体にマストごしに手を伸ばさないようにしましょう。
用途外の使用は禁止
フォークリフトの運転や荷役作業に関しては、適切な方法が定められており、それ以外の使用法は禁止されています。
「荷物が不安定だから」と荷物と一緒に爪に作業員を乗せたり、シートの後ろに人を乗せたりするようなことはしないようにしましょう。
用途外の使用が原因の労働災害は多く発生しています。
フォークリフトの操作に関してよくある質問
最後はフォークリフトの操作に関する、2つのよくある質問に答えていきます。
・フォークリフトの運転が下手な人の特徴は?
・フォークリフトのハンドルを戻すタイミングは?
フォークリフトの操作が下手な人はどのような特徴があるのか、ハンドル操作のコツなどに関する内容ですので、参考にしてみてください。
フォークリフトの運転が下手な人の特徴は?
フォークリフトで荷物を倒したり、事故を起こしたりしがちな人にはいくつかの共通する特徴があります。
- 急な操作が多い
- 荷物をすくう際に爪の差し込みが浅かったり深かったりする
- 必要以上にハンドルを切りすぎる
- 重量やバランスを把握できていない
緊張している人に多いのが、急な操作やハンドルの切りすぎです。
レバーを必要以上に引きすぎたり、急にハンドルを何回転も切り過ぎたりします。
車両が急スピードで動いてしまうため、荷物の転倒リスクが高まります。
感覚が掴めないうちは、何も荷物をすくわない状態で試し運転をしながら、慣れていくようにしましょう。
フォークリフトのハンドルを戻すタイミングは?
フォークリフトは急旋回できるように2回転半回るようになっているものの、一般的な90度の曲がり角であれば約1回転半で曲がれます。
戻すタイミングは、ボディ後方にあるバランスウエイトの中心が、後方の通路の真ん中あたりに差し掛かったタイミングでゆっくり戻していきます。
狭い場所での運転が不安な場合には、ロープなどで仮の道路を作り練習するなどして慣れていきましょう。
フォークリフトの操作についてのまとめ
フォークリフトは、乗用車と全く仕組みが異なり、ハンドル操作だけでなく、レバー操作もしなければなりません。
まずは、技能講習を受講した上で、最低限必要な知識やスキルを身に付けることから始めて行きましょう。
運転や操作に慣れないうちは、1つ1つの動作を確実にこなしていきます。
また、労働災害を防ぐため、職場内で決められたルールを必ず守るようにしましょう。
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