フォークリフト

フォークリフトのヒヤリハット事例と5つの対策を解説

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男性がビルを見上げる様子

フォークリフトは、重量物の搬送やトラックへの積み込みに欠かせない乗り物です。

運送業界や物流業界ではあらゆるシーンで使用されています。

その一方で、フォークリフトが関連する事故も多発しており、運転には細心の注意が必要です。

フォークリフトによる事故を防ぐには、ヒヤリハットの共有が大切です。

今回は、フォークリフトのヒヤリハット事例やその対策法について、分かりやすく解説していきます。

【この記事でわかること】
・屋内作業や運送業務におけるフォークリフトのヒヤリハット事例
・フォークリフトのヒヤリハット報告書の書き方
・フォークリフト事故の対策
・フォークリフトで多い事故の詳細

フォークリフトのヒヤリハット事例〜屋内作業編〜

工場の様子

フォークリフトは重量物を運搬したり、倉庫内の指定場所に荷物を蔵置したりするのに使用します。

一般的な乗り物とは運転内容や方法が異なるため、屋内での作業にはさまざまなヒヤリハット事例が存在します。

ここでは、屋内の危険箇所ごとに過去に発生した、ヒヤリハット事例を紹介していきます。

フォークリフトの死角

フォークリフトは、ヒトとの接触を避けるため、ミラーなどが設置してあり、死角が発生しないようになっています。

しかしながら、フォークリフトの大きさによっては、真後ろの確認が難しく、背の高い荷物を運んでいる際には前方が見えなくなります。

運搬中はバック走行が基本であるものの、積み込みの際に前進したところ、トラック運転手とぶつかりそうになるようなヒヤリハットが多発しています。

曲がり角

車の運転と同じく、接触事故が最も起きやすいと言えるのが曲がり角です。
倉庫内はさまざまな人が歩き回っているため、急に飛び出してきてぶつかりそうになるようなヒヤリハットは後を絶ちません。

また、スピードを落とさないまま曲がろうとしたところ、運んでいる荷物が遠心力により転倒しそうになるといった事例もあります。

物陰

工場内はさまざまな荷物がおいてあり、作業員がしゃがんで検品作業などを行っているケースがあります。

物陰などからの飛び出しによるフォークリフトとの接触事故は、毎年必ず発生しているほど多い事例です。

後退

荷物を運搬しているフォークリフトは、前方が全く見えないため、バック走行が基本です。

前進走行時よりも、視界が狭くなるため後退時のヒヤリハットも多く発生しています。

主な事例としては、歩いている作業員にぶつかりそうになったり、体制を変える際に運転操作を誤り、バランスを崩しそうになったりする事例があります。

前進

フォークリフトで荷物をすくった状態の場合、荷物で前方が全く見えなくなります。

運搬する際には、バック走行となるのですが、作業内容によっては前方走行を余儀なくされるシーンがあります。

事前に前方確認したものの、その後に人が歩いてきたため、接触しそうになるような事例は多く発生しています。

高所荷役作業

荷物を高い場所から降ろしたり、積み込んだりする場合にも注意が必要です。

フォークリフトの爪がパレットに入っているか分かりにくく、急にバックするとバランスを崩す恐れもあります。

また、上に集中し過ぎた結果、後ろにいる人に気付かないまま接触してしまうといった事故も発生しています。

荷物を蔵置する際も、荷物が棚枠に収まっておらず、そのまま前進したため荷物が潰れてしまうような事故にも注意が必要です。

段積み

パレット貨物は、2段積みすることがあります。

段積みする際は、荷物をすくった状態で前進するため、周りに人や障害物がないかの確認が必要です。

また、段積みする際にバランスを考えなかった結果、下の貨物が潰れてしまい破損するといった物損事故も多く発生しています。

重量物

重量物の積み込みや、運搬も危険度の高い作業の1つです。

フォークリフトは、車両サイズによって持ち上げられる重量が決まっています。

規定ギリギリの重量物の場合、ちょっとした段差でフォークリフトが浮いてしまう可能性があるため、注意が必要です。

また、積み込みの際には前方に倒れてしまう可能性もゼロではありません。

傾斜

フォークリフトを運転する際には、ちょっとした斜面にも注意が必要です。

縦長な形状であるフォークリフトは、ちょっとした傾斜でも横に倒れてしまう可能性があります。

また、傾斜を走行した際に発生した振動で、運中の荷物がバランスを崩しそうになるといったヒヤリハットも多く発生しています。

路面

倉庫内は、フォークリフトが走行することを前提に作られているため、運転に支障を来すような悪路はありません。

ただし、一般道などを走行する際には、くぼみや段差に注意が必要です。

数センチの段差でも、バランスを崩してしまい横転するといった事故は多く発生しています。

初心者

初心者に最も多いヒヤリハットは、接触に関する内容です。

バック走行に慣れておらず、ハンドル操作も未熟であるため、分かっていたとしても壁や人に接触してしまうようなことも珍しくありません。

特に大きな荷物の運搬中には、サイズ感覚が備わっていないため、曲がった際に荷物の角が壁にぶつかりそうになるといったヒヤリハット事例があります。

フォークリフトのヒヤリハット事例〜運送編〜

荷物をハンドリフトですくう様子

運送業界で多い業務が、トラックへの積み込み作業です。

ここではトラックへの積み込み時と、トラックヤードで過去に起きたヒヤリハット事例を紹介していきます。

積み込み

すくった状態の荷物をトラックに積み込む場合、前進走行しますが、全く前が見えていません。

必ず誘導者が付くものの、サイズが大きい場合には、トラックのあおりやウイングに接触してしまいそうになります。

また、積み込みに集中し過ぎてしまい、後ろにいる人に気付かずに接触する事故にも注意が必要です。

トラックヤード

トラックヤードには多くのトラックが駐車してあり、中には荷物を積み終わり発進しようとしている車両もあります。

また、車両の間から人が飛び出してくることも珍しくなく、接触しそうになるヒヤリハットは多く発生しています。

この他では、積み込みをしている間に後方へ別のトラックが駐車しており、気付かずにバックしてしまい、接触したといった事故も発生しています。

ヒヤリハットの事例紹介。トラック運転手にできる対策とは

フォークリフトのヒヤリハット報告書の書き方と例

勉強をしている様子

普段の業務で発生したヒヤリハットは報告書にして、全員で共有することが事故を防ぐ上で大切です。

しかしながら、記載内容が曖昧な場合、具体的な解決策や原因が伝わりません。

ここでは、ヒヤリハット報告書の記入項目や内容について、解説していきます。

最低限必要な項目

ヒヤリハット報告書を作成する際には、当時の状況を分かりやすく伝えるために、以下のような項目について記入していきます。

・作成日時
・運転者の情報(フォークリフト運転歴など)
・ヒヤリハットの内容
・発生原因
・再発防止策

状況や原因を正確に書く

ヒヤリハットの内容に関しては、業務内容だけでなく運転中にどのような操作をしていたのかまで、詳しく記載するようにしましょう。

また、なぜそのような操作をしたのか、考えなども記載してあるとより分かりやすくなります。

【ヒヤリハットの内容例】

・ヒヤリハットの内容
パレット荷物を高所ラックに蔵置しようとした際に、パレットの端に荷物がぶつかりそうになってしまった。荷物を上に持ち上げた状態で、爪の角度を操作しながら前進していたところ、荷物がぶつかりそうになっているのを責任者が見つけて注意した結果、事故には至らなかった。・発生原因
背の高い荷物であったにもかかわらず、思い込みでラックに収まると思い込んでしまい、高さのチェックをしなかった。高所への蔵置で高さや角度の調整が難しい作業であるにもかかわらず、誘導者を付けなかった。

再発防止策を書く

再発防止策に関しては、自分だけでなく全てのレベルの運転者が、事故を防ぐ方法を意識した上で考えるようにします。

「ちょっとだけ角度を上に調整して…」といった感覚に関する内容は、全員で共有できないため、防止策としてはふさわしくありません。

「高所に蔵置する際には、必ず近くの作業者に誘導してもらうようにする」といった内容です。

フォークリフトのヒヤリハット対策

男性作業員と女性作業員が話し込む様子

ヒヤリハットは重大な事故の一歩手前の事故ではあるものの、なるべく減らすべき事例です。

ヒヤリハット自体を少なくするために、必須と言える5つの対策について解説していきます。

死角を把握する

1つ目の対策は「死角を把握する」ことです。

倉庫内を歩いてみながら、フォークリフト運転手にとって死角となる場所を見つけていきましょう。

全ての死角を覚えるには時間が掛かるため、注意が必要な箇所には「警告テープ」を貼るなどの対策を行いましょう。

危険な作業や危険な場所を共有する

フォークリフトの運転中に、ヒヤリハットが起こりやすい場所や作業は、ある程度決まっています。

ベテラン運転手に、意見を募るなどして情報を集めた上で、全員に共有しましょう。

路面のくぼみや傾斜に関しては、気付きにくいため、警告の張り紙を近くに貼るなどして対策するのがおすすめです。

歩行者への教育を徹底する

フォークリフト運転手が気を付けていたとしても、全ての飛び出しなどに対応するのは限界があります。

また、急ブレーキは荷物が崩れる恐れがあり、なるべく避けなければなりません。

「急に飛び出さない・しゃがんで死角に隠れてしまわないようにする」といった教育を、歩行者にも行うようにしましょう。

歩行ゾーンとフォークリフト走行ゾーンを分けている工場もあります。

新人教育で事例を共有する

新人教育を行う場合には、正しい運転方法や注意事項を教えるだけでなく、過去のヒヤリハット事例の共有も行いましょう。

ヒヤリハット報告書の共有により、事故の疑似体験が可能であり、作業中の安全意識を高められます。

過去に発生した事例を、毎朝のミーティングで1日1つずつ紹介しているような企業もあります。

KY活動の推進

KY活動も、安全運転に対する意識づけに効果があり、未然に事故を防ぎやすくなります。

KY活動とは「危険予知活動」のことであり、倉庫内の一部や作業中の風景を移した写真をみんなで見ながらその後に起こり得る事故を予測します。

正解である必要はなく、1人1人が安全運転に対して考えることが大切です。

出典:労働災害防止対策のポイント|厚生労働省

フォークリフトの死亡事故事例ランキング

たくさんの荷物が置かれてる様子

最後は、ヒヤリハットではなく、被災者が死亡した重大事故で、特に多い事例についてランキング形式で紹介していきます。

具体的な事例も紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

1位「墜落・転落」

フォークリフト業務で最も多かった死亡事故の事例は「墜落・転倒」によるものです。

主に運送業でのフォークリフト業務で発生しており、具体的な事例には以下のような内容があります。

・敷地外の市道で荷物の積み込みを行い、後進したところ、道路脇にあった用水路にフォークリフトごと転落して下敷になった。

 

・高所に蔵置してある段ボールを取ろうと、フォークリフトの爪の上に作業員を乗せて上昇させたところ、高所から作業員が墜落してしまった

フォークリフトの積み込みでは、パレットの上に人が乗って作業することもあります。

車両を動かす際には、必ず人がパレット上や周辺にいないかを確認するようにしましょう。

2位「転倒」

二番目に多い死亡事故の原因は「転倒」によるものです。

運送業や倉庫業など、さまざまな業界で起こっており、具体的な事例には以下のような内容があります。

・荷物を運搬中に道路に落ちていた落下物を踏んでしまい、バランスを崩しフォークリフトが転倒してしまった。

 

・公道を運搬中、急な傾斜に片輪だけ乗り上げてしまい、転倒してしまった。

フォークリフトは、ちょっとした段差や傾斜でバランスを崩しやすい特徴があります。

公道などを運転する際には、路面にも注意しましょう。

ちなみに、公道をフォークリフトで走行するには、小型特殊免許か大型特殊免許が必要です。

3位「はさまれ・巻き込まれ」

三番目に多い死亡事故の原因は「挟まれ・巻き込まれ」による事故です。

製造業での事例が多いものの、運輸業などでも発生しており、具体的な事例には以下のような内容があります。

・母体コイルの搬送後、運転者が工場内を歩いていたところ、安全靴が落ちており、車両の下に作業者が巻き込まれているのを発見した。

 

・パレット荷物をトラックに積み込もうとしており、誘導者が荷台で誘導していたところ、荷物が倒れてきてしまい挟まれてしまった。

フォークリフトは重量物でも持ち上げられるよう、わざと車両を重くしてあります。

そのため、人とぶつかったとしてもほとんど衝撃がなく、エンジンタイプのフォークリフトは音もうるさいため、そのまま気付かない可能性があります。

走行中はもちろん、バック走行から前進走行に切り替えるタイミングなどは、必要に応じてクラクションを鳴らすなど、周りに注意喚起を行いましょう。

4位「激突され」

四番目に多い死亡事故の原因は「激突」によるものです。

巻き込みと同様に、走行してきたフォークリフトに激突されるようなケースです。

近くで検品作業や、梱包作業を行っているような職場で多く発生しています。

フォークリフト運転手の確認不足が原因であるものの、作業者のフォークリフトに対する配慮がなかったことも、事故に繋がった原因と言えます。

5位「飛来・落下」

五番目に多い死亡事故の原因は「飛来・落下」によるものです。

建設業や倉庫業などで多い事故であり、具体的な事故事例には以下のような内容があります。

・高所に蔵置してある荷物を取ろうとしたところ、バランスを崩した荷物がフォークリフト周りに落下してしまい、作業者の頭部に直撃した。

 

・バック走行していたフォークリフトが運転操作を誤ってしまい、蔵置ラックに激突。折れ曲がったラックから荷物が落下してきてしまい、頭部に直撃した。

飛来・落下系の事故のほとんどは高所作業中のものであり、多くの死亡事故では保護帽を着用していなかったことが分かっています。

屋根があるタイプのフォークリフトであったとしても、必ず保護帽は着用するようにしましょう。

参考:労働災害による死亡者数の推移と発生状況(令和元年)|フォークリフトDEPO

【2024年最新】フォークリフト事故がよく起きる原因と事故防止対策5選

フォークリフトのヒヤリハット事例についてのまとめ

遠くを見つめる作業員の様子

フォークリフトは荷物の運搬や蔵置、トラックへの積み込みなどで使用されるため、さまざまなシチュエーションでの運転があります。

車とは構造が全く違うため、フォークリフトならではの注意点があり、荷物の取り扱い方も含めたヒヤリハットが毎年発生しています。

重大な事故を防ぐためには、過去に発生したヒヤリハット事例の共有が重要です。

KY活動なども交えながら安全対策を行っていきましょう。

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