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ライドシェアにおける事故の責任は誰が取る?合法化の課題を解説

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ライドシェア危険な状況

2024年4月にライドシェアが日本でも限定的に解禁されます。そのため、ライドシェアに登録したい人はもちろん、タクシー業界で働いている人もライドシェアに関心を持たざるを得ない状況となっています。

本記事では、ライドシェアの運行において、事故の責任は誰が取るのか、白タクとされているライドシェアをどう合法化させるかなどについて解説していきます。

また、事故に遭った際にライドシェアでも適応可能と考えられる自動車保険などもご紹介します。

2024年4月からライドシェアの運転者、事業者を考えている方は、本記事をぜひ参考にしてください。

ライドシェアでの事故の責任に関する自交総連の見解

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ライドシェアでの事故の責任に関する自交総連の見解はどうなっているのでしょうか。

事故の際のさまざまな問題点を含めて、自交総連がライドシェアに反対する理由や、代替案として挙げているものなどを解説していきます。

ライドシェアは白タク行為である

現在の法律では、道路運送法第72条により、ライドシェアは白タク行為とみなされます。

2016年の法改正により、観光地や過疎地など国が定めた特区では、自家用有償運送ができるようになりましたが、まだ全国区ではありません。

ライドシェアでは、配車を希望する人が専用のアプリで依頼をし、ライドシェアに登録している近くの一般車が迎えに行き、目的地まで乗車させます。

支払いはクレジットカードなどで行われ、ライドシェア仲介業者が仲介料を差し引き、ドライバーへ支払われます。

ライドシェアの仕組みはすでにできていますが、ライドシェアをアメリカなどと同じく導入できるように日本の法律が変わったということではありません。

仲介業者は事故の責任を負わない

ライドシェアの仲介業者は、事故の責任を負いません

ライドシェアの仲介業者はあくまで客とドライバーの配車の橋渡しをするだけで、ライドシェア登録者は基本的に個人事業主として仲介業者に登録します。

ライドシェアのドライバーは自動車保険に入っていることがほとんどだと考えられますが、事故が起こった際、その保険がライドシェアの乗客の治療費などを補償してくれるとは限りません。

事故や車の破損などによる怪我や遅延などに責任を負い、輸送の安全の確保を第一に考える、日本のタクシーやバスなどの公共交通機関との大きな違いです。

5つの危険性がある

ライドシェアを日本で導入する際に、知っておきたい5つの危険性があります。

  1. ライドシェア運転者は第二種免許を持っていない一般ドライバーである。
  2. ライドシェア運転者は、タクシー乗務員のようにアルコールなどの乗車前検査が義務付けられていない。また、休息時間や拘束時間などの規定も設けられていない。
  3. ライドシェア用の車はあくまで自家用車扱いであり、タクシーのように厳しい車検や点検、清掃などの規定が義務付けられていない。
  4. タクシーでは事故が起こった際にそのタクシー会社が事故の後処理にあたりますが、ライドシェアの運転者は個人事業主のため、個人の責任となる。
  5. ライドシェアの運転者の自動車保険では、事故による乗客の怪我や損失などは補償してもらえない可能性がある。

ライドシェアを導入した国々でもこういった問題は発生しており、裁判になったケースも多数見られます。

また、問題を重く見たヨーロッパなどの国々では、ライドシェアが規制されたり禁止となった地域もあります。

ライドシェアに頼らない方法がある

自公総連では、ライドシェアに頼らない方法があると訴えています。

その一つが、タクシーやバスなどの公共交通機関への補助金の制度を抜本的に見直して、安全な交通サービスを提供するよう努めることです。

自公総連の組合が山形県鶴岡市で経営破綻したタクシー会社を引き継ぎ、市と連携して、利用者の自宅を巡って、目的地まで送り届けるサービスを行っています。

過疎地域での交通機関の確保はとても難しい問題ではあります。

しかし、それが安全をないがしろにして効率化だけを求めるライドシェアを解禁する理由であってはならない、というのが自公総連の見解です。

ライドシェアにおける事故の責任に関する東大後藤教授の見解

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ここで、ライドシェアにおける事故の責任に関する、東大後藤教授の見解をご紹介します。

後藤元氏は、東大大学院法学政治学研究科の教授で、自動運転やライドシェアでの事故の際の法律的な問題点などを研究しています。

サービス事業者は旅行業者としての責任しか負わない

今の日本の法律の下では、ライドシェアを実際に展開するサービス事業者は、旅行業者としての責任しか負わないというのが現状です。

旅行業者は、客を輸送する自動車の運転手へ安全運転を求める義務はありません。また、乗客を安全に送り届けたかどうかをドライバーに報告させる責任もありません。

あくまで、事故や故障はライドシェアの運転者本人の責任となり、賠償請求なども運転者になされるものと考えられています。

自家用車による有償運送には課題が残る

自家用車による有償運送には、いくつもの課題が残っています

旅客運送法においても、自賠責の面から言っても、ライドシェアの事業者は運転者と客との橋渡しをしただけであって、運行を指示するなどの行為はありません。

したがって賠償上、ライドシェア運転者と利益を共用する者とはみなされず、事故が起きた際や運転者に安全運転を怠った過失があったとしても、責任は負わないのです。

つまり、事故が起こった際の補償を運転者個人が行うには限界があり、巻き込まれた同乗者は、泣き寝入りをしなければならないことも大いに考えられます。

完全自動運転車が普及すれば問題はさらに複雑化する

たとえば、完全自動運転車が普及すれば、ライドシェアの問題はさらに複雑化の様相を呈してきます。

完全自動運転車をライドシェア事業者が所持していて事故を起こした場合は、責任は事業者が負うこととなります。

また、自動車のシステムに過失があれば、その欠陥の有無を自動車メーカーに求めるのは事業者です。

しかしアメリカでは、自動運転車が歩行者を傷つけたとしても、その責任を負うことはありません。システムの過失の有無も、怪我を負った歩行者自身が確かめなければなりません。

また、完全自動運転車をライドシェアの運転者個人で所有して運行している場合は、有人のライドシェアの場合と同じように、自身で賠償責任を負うこととなります。

ライドシェアでの事故の責任を巡る各国の規制状況

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次に、ライドシェアでの事故の責任を巡る、各国の規制状況を見ていきましょう。

2014年にフランスでパリ地裁がライドシェアを違法とみなした判決を下したことを筆頭に、スペインやアメリカのネバダ州でもサービスの仮差し止め処分が行われています。

また、2015年には中国、ドイツ、ブラジルのリオデジャネイロなどで、ライドシェアのサービスの提供が禁止されました。

隣国の韓国では、自家用車での配車サービスを行った代表が検察に起訴されています。

ライドシェアにおける事故の責任は誰がどう取るのか

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それでは、ライドシェアにおける事故の責任は、誰がどう取るのでしょうか。

タクシーの場合とライドシェアの場合を比較して見ていきます。

タクシーの場合

タクシーの場合、ドライバーと利用者双方が事故などでケガを負った場合、タクシー会社へ治療代などを請求することが可能です。

また、タクシー会社は、事故が起こった際などに補償が手厚い事業用保険に加入することが義務付けられています。

法律や制度によって、利用者の安全も、ドライバーの雇用や労働環境も守られています。

ライドシェアの場合

ライドシェアの場合は、事故などによる運転者自身のケガは、加入している保険で賄われます。

ただし、ライドシェアに同乗していた利用者までその補償の範囲にあるかどうかは、運転者が加入している保険の内容次第なのです。

また、事業用保険などに加入することや乗務前のアルコールチェック、過労防止なども義務付けられていません。

ライドシェアの場合、不慮の事故だけでなく、運転者の過失による事故も利用者に補償されない可能性があるのです。

適用される可能性がある自動車保険

ライドシェアでも、事故などに遭った際に補償が適用される可能性がある自動車保険があります。

  • 自賠責保険
  • 対人賠償責任保険
  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 無保険者傷害保険
  • 自損事故保険

どの保険も、運転者と同乗者までを対象に、事故の際のケガの治療費や死亡による慰謝料などが補償されます。

ただし、どこまでの保険に入るかはライドシェアの運転者に任されるところであり、強制する法律がない点が問題視されているのです。

ライドシェア合法化における課題

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ライドシェア合法化における課題は、未だ山積みです。

利用者の安全性、車両の安全性、タクシーとの棲み分けなどが大きな問題です。

以下で、それぞれについて詳しく考察していきます。

利用者の安全の確保

ライドシェアの導入において一番の懸念材料は、利用者の安全の確保です。

ライドシェアをすでに行っている海外では、運転者がライドシェアのアプリに登録する際、事故の相手方や同乗者にも補償が及ぶよう、任意保険の加入を義務付けている場合があります。

また運転者が乗客を運送し終えるまで、仲介業者が加入している保険の補償が適応されるようなシステムもあるようです。

日本でも、ライドシェアが導入され、全国的に広がりを見せるならば、利用者の安全性を保つような法律や制度の整備が早急に必要と言えます。

車両の点検・整備

車両の点検・整備は、タクシーなどの公共交通機関の場合は厳しい決まりがあります。

ライドシェアは、普通自家用車と同じく、3年または2年に1度の車検点検が義務付けられているだけで、他に特に点検・整備についての義務はありません。

海外では、ライドシェアの車両の整備不良による故障や事故が増えていると言われています。

日本でも、日頃からの点検の義務付けや、車検をタクシー事業者などと同じく1年ごとに実施するなどの対策が必要になってくるでしょう。

タクシー業界からの反発

ライドシェアの導入にあたっては、競合するタクシー業界からの反発が根強く存在します。

ライドシェアの開始にあたり、東京23区などではタクシーの初乗り運賃が引き下げられました。

ライドシェアの料金が、通常のタクシーの運賃とあまり変わらなければ、より安全性とサービスの良いタクシーが選ばれる可能性は高いのではないでしょうか。

海外ではかなりの差があるライドシェアとタクシーの料金が、日本ではどのように決着するのかに注目が集まります。

ライドシェアにおける事故の責任についてのまとめ

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今回は、ライドシェアにおける事故の責任についてまとめてきました。

本記事を参考にして、ライドシェア事業の導入を検討してみてください。

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