タクシー運転手の仕事は中途採用数が多く、未経験者でも歓迎している会社が多いため、別業界からの転職を検討している方も少なくありません。
特に近年はコロナウイルスの影響が限定的となったことにより、タクシー需要も高まってきています。
しかし未経験者の場合、「本当にこの先タクシー運転手としてやっていけるのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
今回はタクシー運転手に向いている人の特徴や、タクシー運転手の仕事のやりがいについて、分かりやすく解説していきます。
この記事でわかること
・タクシー運転手に活かせる経験
・タクシー運転手の仕事内容ややりがい
・タクシー運転手に向いていない人が感じる辛さ
タクシー運転手に向いてる人の6つの特徴
タクシー運転手とは文字通り、タクシーを運転して乗客を目的地まで送り届ける仕事です。
仕事のメインとなるのが運転である一方で、他のドライバー職と比べて最もお客様との距離が近く、乗客が目的地までくつろげるような接客スキルも求められます。
そのようなタクシー運転手に向いていると言われる人の特徴は、主に6つあります。
・コミュニケーションが好き
・配慮ができる
・自己管理ができる
・1人きりの時間が苦ではない
・ストレスへの耐性がある
タクシー運転手として仕事をこなす中で、このような特徴がどう役立つのか、タクシー運転手の業務内容を元に解説していきます。
運転が好き
タクシー運転手になる上で必須とも言える特徴が「運転が好き」ということです。
タクシー運転手は毎日長時間の運転が当たり前で、ベテラン社員になったからといってデスクワークなど別の仕事を担当するようになるわけではありません。
そのため、運転が好きだという人には最適な職種だと言えるでしょう。
中には「運転は大好きだけど操作は苦手」という方もいるかもしれませんが、毎日運転し続ける中で自然と運転スキルが身に付いていきます。
入社段階では「運転が好き」という気持ちがあれば、運転スキルについて気にする必要はありません。
ただし、運行中は乗客の命を預かることとなるため、過去に何度も交通ルールに違反しているような人はおすすめしません。
コミュニケーションが好き
タクシー運転手は乗客にくつろいでもらうのも大切な仕事であり、お客様に合わせてコミュニケーションを取る必要があります。
タクシーの利用客層は非常に幅広いため、どのような人であっても苦手意識を持たず、自然に話せる人がタクシー運転手に向いています。
「話すのは好きだけど接客はしたことがない」という方でも、入社後に接客マナーなどの研修が用意されているため問題ありません。
一方で「周りに気を遣うのが嫌で、接客業務をしたくない」ような人には向いていないと言えるでしょう。
タクシー運転手は常に1人で仕事をしていると思っている人が多く、入社後のギャップで辞めていく人も少なくありません。
タクシー運転手は、接客業務も運転と同じくらい行うことを理解しておきましょう。
配慮ができる
タクシー運転手は車内で乗客にくつろいでもらうため、コミュニケーションを含めたさまざまな気配りが必要です。
大きな荷物を持っている場合はすぐにトランクを開けて積み下ろしを手伝い、車内の温度に関してもお客様に合わせた調整を行います。
このような細かい気配りを普段から行っていると、お客様からの予約で指名が入るようになるケースもあり、収入も上がりやすくなるでしょう。
一方で、周りの些細な変化に気付くのが苦手だったり、気配りが苦手だったりする人は乗客と揉めてしまいやすく、当然売り上げも伸びません。
配慮ができなければタクシー運転手はできないわけではありませんが、転職するのであれば意識して改善していきましょう。
自己管理ができる
タクシー運転手は、わずかな運転ミスが命に関わる大事故に繋がります。
そのため他の仕事以上に、体調管理には万全を期す必要があると言えるでしょう。
タクシー運転手の勤務形態は複数種類ありますが、主流となっているのが「隔日勤務」であり、1回の勤務で約20時間ほど働きます。
勤務時間もバラバラであるため、体調管理をすることも簡単ではありません。
また、プライベートでの運転に関しても、交通違反には人一倍の注意が必要であり、高い自己管理能力が必要と言えるでしょう。
自己管理能力は努力次第で改善できますので、苦手だという方は転職前から意識して直しておくようにしましょう。
1人きりの時間が苦ではない
タクシー運転手はお客様と接する機会が多いとはいえ、仕事に関しては別の社員と協力して行うわけではありません。
タクシー事業所を出発すると、全てのことを自分1人で判断していく必要があります。
そのため1人きりの時間が苦手でなく、自分で考えて仕事をこなすのが好きな方にタクシー運転手は向いています。
一方で仲間と話しながら協力して仕事をこなすのが好きな人には、向いていない可能性があります。
ストレスへの耐性がある
タクシー運転手は長時間勤務が当たり前であり休憩があるとはいえ、長時間集中し続けているとストレスも溜まります。
また、接客に関しては酔っ払っている人を乗せる機会も多く、理不尽な態度を取られることも珍しくありません。
毎日この繰り返しとなるため、一定以上のストレス耐性は必須と言えるでしょう。
嫌なことがあっても冷静に考え、すぐに切り替えられるような人はタクシー運転手に向いています。
一方で、乗客との揉め事などをすぐに忘れられず、必要以上に考え込んでしまうような人は耐えられない可能性があります。
タクシー運転手に向いてる人が活かせる経験
過去に運転系の仕事経験がない人であっても、タクシー運転手に過去の経験が活かせる可能性があります。
タクシー運転手の仕事で活かせる経験は主に2つあります。
・営業エリアに住んでいた経験
このような経験がタクシー運転手の仕事でどのように活かせるのか、解説していきます。
接客や営業の経験
取り扱う商品に関係なく営業経験や接客経験が過去にある方は、身に付けたコミュニケーションスキルをタクシー運転手の接客でも活かせます。
タクシー運転手は1日に20組前後の乗客を接客します。
乗客が求める接客はそれぞれであり、一概に明るく話しかければ良いというわけではありません。
乗客の雰囲気を見極めた上で、最適だと感じた接客態度で接する必要があります。
このような相手の求めていることを雰囲気で感じ取る能力は、過去に接客や営業の経験がある人の方が長けていると言えます。
住んでいた経験
タクシー営業エリア近辺に住んでいた、仕事でよく運転していたといった経験はタクシー運転手の仕事で活かせます。
タクシー運転手は駅や病院だけでなく、さまざまな場所へ乗客を送り届ける必要があるからです。
目的地までのルートはただ近い道を選べばいいわけではなく、時間帯などによって混みやすい道を避けなければなりません。
最善のルートで向かっていても、交通トラブルで別ルートを考え直さなければならないこともあります。
その土地に普段から住んでいたり仕事で行くことが多かったりして土地勘があるようなら、ナビに頼らずに、最短でお客様を目的地へと運べるでしょう。
タクシー運転手の仕事内容
タクシー運転手に向いている人の特徴について解説しましたが、適性を知るには仕事内容や特徴について理解しておくことも大切です。
ここではタクシー運転手の種類や勤務形態、1日の流れについて、詳しく解説していきます。
タクシー運転手のタイプ
一口にタクシー運転手といっても、運用形態や利用する乗客によって大きく3種類に分けられます。
【一般タクシー】
街を走りながら乗客を探す「流し営業」や、駅などの施設で乗客を待つ「付け待ち営業」を行うのが、最も多いタクシー運転手の部類となります。
最近では許可を得た上で個人事業主として働く「個人タクシー」が増えてきています。
【ハイヤー】
ハイヤーは一般タクシーと営業形態が異なり、利用は完全予約制となります。
日常生活で一般の人が利用するのではなく、会社役員や海外から来日した取引先の方がほとんどです。
そのため日常の移動ではなく、おもてなしの1つとして利用されます。
【専門タクシー】
専門タクシーとはさまざまな搬送に特化したタクシーであり、「介護タクシー」や「観光タクシー」が該当します。
利用する人の負担がないように、車いすごと乗れるなどの機能が搭載されています。
観光タクシーでは、乗客に移動中も楽しんでもらえるようにガイド業務も行うため、より専門的な知識が必要です。
タクシー運転手の勤務形態
タクシー運転手の勤務形態は主に3種類あります。
【隔日勤務】
1回で2日分働く勤務形態で、休憩を含めて16〜20時間ほど働きます。
出勤時間も会社によって異なり「7:00〜翌3:00」「16:00〜翌12:00」などのシフトがあります。
勤務が終わると次の勤務まで20時間以上の休息を取る必要があり、月の勤務回数は13日までに抑えなければなりません。
【昼日勤】
一般的なサラリーマンと似た勤務形態で、7〜8時から働き始めて16〜17時に勤務終了となります。
長時間労働ではなく昼夜逆転もしていないため、最も身体的な負担の少ない勤務形態と言えます。
【夜日勤】
夜日勤はいわゆる夜勤のことであり、16〜17時から働き始めて、翌1〜2時に勤務終了となります。
飲み歩いて帰宅するサラリーマンがメインの乗客で、深夜割増料金に切り替わるため、最も売り上げを立てやすい時間帯です。
タクシーの利用客は、他の公共機関が動いていない時間帯に利用されやすく、多くの会社が24時間営業です。
どの時間であっても運転手が不足することのないよう、隔日勤務が主流の勤務形態となっています。
タクシー運転手の1日の流れ
タクシー運転手はどの会社であっても、1日の流れに大きな違いはありません。
具体的な1日の流れは以下の通りです。
7:00・出勤 | タクシー事業所に出勤後、アルコールチェックや健康状態の確認、点呼を行います。 |
7:15・車両点検 | 乗務する前に車内外の掃除や、安全運行のための車両点検を行います。 |
7:30・営業開始 | 事業所を出庫し、その日に決めた営業方法で乗客を見つけ、目的地まで送り届けます。 |
12:00・休憩 | 休憩時間は自分の好きなタイミングで決められて、休憩場所に指定もありません。 |
13:00・営業再開 | 午前中と同様に、乗客が見つけやすい方法で営業します。 |
17:00・休憩 | 夜の乗客が増える時間に備えて2回目の休憩を取ります。 |
18:00・営業再開 | 仕事終わりのサラリーマンをターゲットに、乗客を見つけ目的地まで送り届けます。 |
21:00・休憩 | 夜間帯に向けて休憩します。隔日勤務の場合、休憩時間は合計3時間以上となり、事務所で横になって休む運転手もいます。 |
22:00・営業再開 | 飲み終わり帰宅するサラリーマンをターゲットに、営業を行います。22時からは深夜割増料金となるため1日の中で最も稼ぎやすい時間帯となります。 |
翌2:30・帰庫 | 営業を追えて事業所に戻り、その日の売上記録を提出し洗車や掃除を行います。 |
翌3:00・退社 | 隔日勤務の場合、次の勤務までに最低20時間の休息を取る必要があり、退勤日に再度働くことはありません。 |
参考元:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag|タクシー運転手
隔日勤務の場合、主にこのような流れで働くこととなります。
仕事内容に大きな違いはありませんが、洗車のタイミングなどは会社によって多少違いがあります。
タクシー運転手に向いてない人が感じる辛さ
ここまでタクシー運転手に向いている人の特徴や仕事内容について解説してきましたが、転職者の中にはすぐに辞めてしまう人も多少います。
退職理由は人それぞれですが、仕事をこなす中で辛いと感じた主な内容は以下の通りです。
・事故が起きるリスク
・理不尽なお客様への対応
どのようなことが辛いと感じたのか、それぞれ詳しく解説していきます。
労働時間が長い
多くのタクシー運転手が隔日勤務の労働形態で働いており、1回の勤務で他の仕事の倍近くの時間働きます。
1回の勤務時間が長い分、休息時間も長く設けられており、仕事が終わればゆっくり休めます。
しかしながら、運転業務は常に集中しておかなければならず、17時間も働き続けるのは決して簡単なことではありません。
仕事に慣れて生活リズムが整ってくれば、楽になるとは言われているものの、辛さに耐えきれず辞めてしまう人も少なくありません。
事故が起きるリスク
運転職で避けて通れないリスクが交通事故です。
どれだけ気を付けていたとしても交通事故の可能性をゼロにするのは難しく、内容によっては免許停止になる可能性もあります。
免許停止となればタクシーを運転できなくなるため、ある日突然仕事を失うリスクもあります。
最近では運転手をサポートする、さまざまな機能が車に搭載されていますが、リスクの大きさに辛さを感じる人も中にはいるでしょう。
理不尽なお客様への対応
タクシーの乗客には急いでいる人が多く、早く目的地に着きたいからと理不尽な要求をしてくる人がいます。
夜間には酔っ払ったお客様も相手にするため、暴言を吐かれることも珍しくありません。
中には暴力を振るわれるといった悪質な事例もあります。
このような乗客はごく一部ではあるものの、日頃の接客でストレスを溜め込んでしまい、仕事が辛いと感じてしまう人もいます。
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タクシー運転手に向いてる人が感じるやりがい
タクシー運転手の辛い点を3つ解説してきましたが、もちろん辛いことしかないわけではありません。
タクシー運転手ならではのやりがいやメリットもあります。
・出会いがたくさんある
・地理に詳しくなる
この3つのやりがいやメリットについて、詳しく解説していきます。
頑張り次第で高収入を狙える
タクシー運転手の給与形態は複数種類ありますが、歩合制が主流となっています。
そのため、仕事を覚えて結果を残せば過去の経験や勤務経験に関係なく、誰でも高収入を目指せます。
都市部で働くタクシー運転手の中には、年収1,000万円前後の人もいるほどです。
また、会社員として経験を積めば許可を取って個人タクシーを営むことも可能です。
頑張り次第ですぐに高収入を目指せるのは、大きな魅力と言えるでしょう。
出会いがたくさんある
タクシー運転手は毎日多くの乗客と接するため、仕事を通してさまざまな会話ができます。
定期的に利用するお客様も多く、普段の業務の中で仲良くなることも珍しくありません。
お客様と距離が近いため「ありがとう」と直接言葉をかけてもらえる時もあります。
誰かの役に立っていると実感しやすく、やりがいを持って働き続けられます。
地理に詳しくなる
タクシー運転手はさまざまな場所へお客様を送り届けるため、自然と地理に詳しくなります。
普段出かけるときに役立つのはもちろん、お客様との会話の中で美味しいお店や隠れ観光スポットなども知ることができます。
タクシー運転手に関してよくある質問
最後はタクシー運転手に関するよくある質問について答えていきます。
これから転職を検討している方に役立つ内容のため、ぜひ参考にしてみてください。
誰でもタクシー運転手になれますか?
運転免許を持っていれば誰でもタクシー運転手になれます。
今回解説してきた通り、向き不向きはあるものの求人のほとんどは未経験者でも応募可能であり、特別な条件はありません。
タクシー運転手として乗務するには普通自動車二種免許が必要ですが、入社後に取得するのが一般的です。
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タクシー運転手に向いてる人に関するまとめ
今回はタクシー運転手に向いている人の特徴について解説してきました。
タクシー運転手はドライバー職の中でも特に乗客との距離が近い特徴があるため、運転が好きで人と話すのが得意な人が向いています。
仕事柄、長時間勤務でストレスも溜まりやすいので、自己管理ができてストレス耐性のある人も向いていると言えるでしょう。
タクシー業界や需要が高まってきており、将来的にも外国人観光客などが多く利用すると予想されているため、将来性の高いおすすめの職種です。
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