一般的にタクシー運転手に向いている人の特徴には「運転が好き」「配慮ができる」「1人きりの時間が苦ではない」などがあります。
一方、これらの特徴の他にも現役のタクシー運転手だからこそ思う「向いている人の特徴」があるのも事実です。
本記事では、現役ならではのリアルな声、やりがい、向いていない人の特徴などを解説します。タクシー運転手を目指す方は、参考にしてみてください。
この記事でわかること
- タクシー運転手に向いている人の特徴
- タクシー運転手に活かせる経験
- タクシードライバーに向いていない人の特徴
タクシー運転手に向いている人の特徴|13選
タクシー運転手の仕事は運転ですが、運転スキルだけあればいいわけではありません。他のドライバー職と比べてお客様との距離が近いため、接客スキルも求められます。
一般的にタクシー運転手に向いていると言われる人の特徴をいくつか紹介します。
自己管理ができる
タクシー運転手は、わずかな運転ミスが命に関わる大事故につながりかねません。そのため、他の仕事以上に体調管理には万全を期す必要があります。
タクシー運転手の勤務形態は複数ありますが、主流となるのが「隔日勤務」であり、1回の勤務で約20時間ほど働きます。
勤務時間もバラバラであるため、生活リズムが乱れた状態での体調管理は容易ではありません。
また、プライベートでの運転に関しても、交通違反には人一倍の注意が必要であり、高い自己管理能力が必要と言えるでしょう。
運転が好き
タクシー運転手の理想的な特徴は「運転が好き」ということです。タクシー運転手はベテラン社員になったからといって、現場を離れてエスカレーター式の管理職になるわけではありません。
タクシー運転手になったからには、毎日長時間の運転をするのが日常になります。そのため、必須ではないですが、運転が好きである方がタクシー運転手に向いています。
コミュニケーションが好き
タクシー運転手は、お客様にくつろいでもらうのも大切な仕事です。
タクシーの客層は非常に幅広いため、どのようなお客様が乗車しても苦手意識を持たず、自然に話せる人がタクシー運転手に向いています。
特に、接客や営業の経験がある方は、コミュニケーションスキルを活かしてお客様を楽しませたり、適切な気配りをしたりできるため、タクシー運転手に向いているでしょう。
もちろん、接客業の経験がない方や「話すのは好きだけど接客はしたことがない」方でも、入社後に接客マナーの研修が用意されているので問題ありません。
「タクシー運転手は一人で黙々と仕事をしている」と思っている方も多いですが、実際はお客様とコミュニケーションを取る機会も多く、入社後にギャップを感じて辞める方もいます。
タクシー運転手は運転業務と同じくらい、接客業務も重要であることを理解しておきましょう。
細かな配慮ができる
タクシー運転手は車内でお客様にくつろいでもらうため、コミュニケーションを含めたさまざまな気配りが必要です。
大きな荷物を持っている場合はすぐにトランクを開けて積み下ろしを手伝い、車内の温度に関してもお客様に合わせた調整をおこないます。
このような細かい気配りを普段からおこなっていると、お客様からの予約で指名が入るようになるケースもあり、収入も上がりやすくなるでしょう。
気持ちの切り替えができる
タクシー運転手は自分の好きなタイミングで休憩を取ることが可能です。いつでも休憩できるからこそ、気持ちのオンとオフを瞬時に切り替える必要があります。
そのため、気持ちの切り替えが得意な人はタクシー運転手に向いています。
プライベートを大事にしたい
タクシー運転手の勤務形態として、隔日勤務を担当するのは珍しくありません。隔日勤務になれば、月に18日前後は休日になるので、一般的な会社員の方と比べると休日が多くなります。
そのため、プライベートを大事にしたい方、ワークライフバランスを取りたい方にも向いているでしょう。
規則正しい生活リズムを大事にしたい
昼日勤を選ぶのであれば、一般的な会社員と同様の時間帯で働くスタイルなので、生活リズムを安定させたい人にはおすすめです。
夕方以降には家事や育児、趣味などのプライベートな時間を確保できるため、特に女性にとって働きやすいと人気があります。
朝起きるのが苦手
夜日勤を選ぶのであれば、夕方から翌朝までの時間帯に働くスタイルなので、朝起きるのが苦手な方に向いています。
また、夜勤では終電後にタクシーを利用する方が増えるエリアがあり、深夜料金により収入が増えるチャンスもあるでしょう。
1人きりの時間が苦ではない
タクシー運転手はお客様と接する機会が多いとはいえ、勤務中は基本的に1人で業務をおこないます。
他の社員と協力しておこなう業務はほとんどありません。そのため、1人きりの時間が苦手でない方はタクシー運転手に向いています。
自分で計画を立てるのが好き
自分で考えて仕事をこなすのが好きな人は、タクシー運転手に向いています。出勤後、出庫してから会社に戻ってくるまで、どのような時間の過ごし方をするかは、運転手次第です。
1日のスケジュールや時間の配分をどうするかによって、売上は大きく変わります。
そのため、どうすれば売上を最大化できるのか、自分で計画を立てるのが好きな人はタクシー運転手に向いています。
安全運転を徹底できる
タクシー運転手は乗客の命を預かる仕事であるため、常に交通ルールを守り、注意深く運転することが求められます。
また、急ブレーキや急発進を避けるなど、乗客が快適に過ごせるよう配慮も必要です。さらに危険な状況を未然に防ぐため、周囲の状況を常に把握し、適切な判断を下す能力も重要です。
このように、安全運転を徹底できる人はタクシー運転手に向いています。
ストレスへの耐性がある
タクシー運転手は長時間勤務が当たり前です。休憩があるとはいえ、長時間集中し続けているとストレスも溜まります。
また、接客に関しては飲酒後のお客様を乗せる機会も多く、ときには理不尽な態度を取られることもあるでしょう。
このようなことがあっても冷静に頭を切り替え、目の前の業務に集中できるような方は、タクシー運転手に向いています。
勤務エリアに住んでいた経験がある
勤務エリアに住んでいた経験がある方は、そのエリアの地理や交通状況に精通しているため、目的地までの最適なルートを迅速に判断できます。
地元の細かな道や裏道、交通量の多い時間帯や渋滞を避ける方法などを知っていることで、お客様に対しスムーズで快適なサービスを提供しやすいでしょう。
また、地元の観光スポットや飲食店、おすすめの場所などの情報も豊富にあるため、お客様からの質問やリクエストにも柔軟に対応しやすいです。
さらに、地元の住民との共通点が多くあるので、お客さまとの距離を縮めるのにも役立ちます。
このように、勤務エリアに住んでいた経験があることは、タクシー運転手としての大きな強みとなるでしょう。
関連記事:【徹底解説】タクシードライバーはやめとけ?言われる理由と不安解消のコツ
関連記事:【徹底解説】タクシー運転手がきついと言われる理由と魅力について
タクシードライバーに向いていない人の特徴|7選
ここでは、タクシードライバーに向いていない人の特徴について7つ紹介します。
安全運転ができない
タクシードライバーの仕事では、安全運転がとても大切です。乗客を安心して目的地まで届けるのがタクシー運転手の基本です。
たとえば、急ブレーキや不注意な運転をすると乗客が不安を感じ、クレームにつながることがあります。タクシーの運転に少しでも自信がない場合は、運転の練習をしたり、運転のコツを学んだりして安全な運転を身につけましょう。
コミュニケーション能力に自信がない
コミュニケーション能力に自信がない方は、タクシー運転手に向いていない可能性があります。タクシードライバーは、乗客とのコミュニケーションが大切な仕事です。
そのため、観光客やビジネスパーソン、高齢者など、さまざまな方と接し、丁寧で柔軟な対応が求められます。たとえば、道案内やちょっとした会話が求められることもあるでしょう。
ただし、コミュニケーション能力がないとタクシー運転手になれないわけではありません。日常生活で練習を重ねて少しずつ慣れるようにしてみてください。
気が短く感情的になりやすい
タクシードライバーには、冷静さと落ち着いた対応が求められます。
このため、感情的になりやすいと、乗客とのトラブルやストレスが増え、タクシー運転手に向かない可能性があるでしょう。
交通状況の変化や乗客の要望にも冷静に対応する力が重要で、感情的な態度は仕事の評価や精神的な負担に影響を与えかねません。
自信が持てない場合は、工場勤務や警備員など他の職種を検討するのも一つの方法です。
道を覚えるのが得意でない
タクシー運転手に向いていない人の特徴の一つは、道を覚えるのが苦手なことです。
タクシー運転手は、乗客をスムーズに目的地へ届けるために、主要な道路や抜け道を把握する能力が必要です。
そのため、道を覚えるのが不得意だと、移動中に迷って乗客に不安を与えたり、クレームにつながったりするリスクがあります。
また、地図アプリやカーナビを活用しても、地理感覚がないと効率的な運行が難しい場合もあるでしょう。
しかし、カーナビを使えば対応できる場面もあるため、前向きに考えて取り組むようにしてみてください。
自己管理が苦手
タクシードライバーは、自己管理が苦手な人には向いていない傾向があります。
タクシー運転手は、勤務時間や休憩時間を自分で調整する必要があるため、計画的に動けないと収入が安定しづらいです。
また、不規則な勤務に対応するためには体調管理も重要です。安定して働きたい場合は、スケジュールを立てたり、健康を維持したりする工夫が求められるでしょう。
不規則な生活リズムが合わない
タクシー運転手は、不規則な生活リズムに適応できない人にはあまり向いていないでしょう。勤務は昼夜問わず変動する場合が多く、深夜や隔日勤務では特に生活リズムが乱れやすいです。
その結果、体調を崩したり、疲労がたまりやすくなります。実際に、昼間の仕事に慣れた人が転職後、「思った以上に生活リズムを変えられなかった」と退職するケースも見られます。
タクシードライバーを目指すなら、不規則な勤務に備えた健康管理が大切です。
ストレスに弱い
タクシードライバーは、ストレスに弱い人には向いていない可能性があります。乗客からの無理な要求や急かされる場面がある職業なので、精神的に負担がかかる状況も多くあるでしょう。
例えば、繁忙時に「早くして」と急かされ、事故に遭遇してしまう場面もあるかもしれません。
このため、ストレス耐性に自信がない方は、リラックス方法を見つけサポートが手厚い企業を選びましょう。心の健康を守りながら働ける環境づくりが大切です。
タクシー運転手は19歳以上で普通二種免許があれば誰でもなれる
タクシー運転手は、19歳以上で普通二種免許を取得すれば誰でも目指せる職業です。
普通免許を取得してから1年以上経過すれば受験可能で、多くのタクシー会社は取得費用を支援する制度を提供しています。
そのため、経済的な負担を抑えて挑戦しやすい環境ができつつあります。特別な学歴や経験が必要なく、やる気があれば誰でもキャリアをスタート可能です。
このようにタクシー運転手は、幅広い年齢層にチャンスを提供しており、免許取得後は働きはじめられる魅力があります。
参照元:旅客自動車運送事業用自動車の運転者の要件に関する政令の一部を改正する政令」を閣議決定|国土交通省
タクシー運転手に向いている人が感じる4つのやりがい
タクシー運転手に向いている人は、それぞれがやりがいを感じながら仕事をしています。ここでは、タクシー運転手に向いている人が感じるやりがいをいくつか紹介します。
頑張り次第で高収入を狙える
タクシー運転手の給与形態は複数ありますが、全国的な主流は歩合制です。そのため、仕事を覚えて結果を残せば、誰でも高収入を狙える可能性があります。
多くの出会いがある
タクシー運転手の仕事では、毎日異なるお客様を乗せることで、多種多様な人々と交流する機会をもてます。
ビジネスマンから観光客、お年寄りまで、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と接することで、新しい知識や刺激を得られるのが魅力です。
地理に詳しくなる
タクシー運転手はさまざまな場所へお客様を送り届けるため、自然と地理に詳しくなります。
普段出かけるときに役立つのはもちろん、お客様との会話の中で美味しい飲食店や隠れ観光スポットなども知ることが可能です。
直接感謝の声を聞ける
タクシー運転手はお客様を目的地まで安全かつ快適に運ぶことで、その場で「ありがとう」「助かりました」といった感謝の言葉をいただく機会があります。
自分の仕事が役に立っていると実感しやすく、日々の仕事に対するモチベーションを高めてくれます。
関連記事:タクシー運転手をすぐ辞めた人に多い5つの理由|辞めたい時は環境を変えるのも手
関連記事:タクシーの仕事は未経験者でも目指せる|なるための方法、求人の選び方
タクシー運転手に向いている人が知っておきたい仕事内容と1日の流れ
タクシー運転手に向いている人だとしても、いざ働き始めてから理想と現実とのギャップを目の当たりにするケースもあります。
ここからは、タクシー運転手の仕事内容や1日の流れ、勤務形態の種類を解説します。
仕事内容
タクシー運転手の仕事内容は、主に以下の3つです。
- 流し営業
- 付け待ち営業
- 配車予約
流し営業
街中を走りながら乗客を探す方法です。運転手は繁華街やオフィス街、観光地など、人が多く集まる場所を走行し、乗客を見つけます。
この方法は運転手の経験や勘が重要で、時間帯や季節によって効率的なルートを選ぶ工夫が必要です。
付け待ち営業
駅やショッピングモール、ホテルなどの施設で乗客を待つ方法です。この方法は、駅や空港など人の移動が多い場所での集客に向いています。
配車予約
事前に予約を受け付ける「配車予約」も重要な業務の一部で、電話やアプリを通じて予約を受けた乗客を指定の場所まで迎えに行きます。
1日の流れ
タクシー運転手はどの会社であっても、1日の流れに大きな違いはありません。隔日勤務の1日の流れは、以下のとおりです。
7:00〜出勤 | ・タクシー事業所に出勤後、アルコールチェックや健康状態の確認、点呼をする |
7:15〜車両点検 | ・乗務する前に車内外の掃除や、安全運行のための車両点検をする |
7:30〜営業開始 | ・事業所を出庫し、その日に決めた営業方法で乗客を見つけ、目的地まで送り届ける |
12:00〜休憩 | ・休憩時間は自分の好きなタイミングで決める |
13:00〜営業再開 | ・午前中と同様に乗客が見つけやすい方法で営業する |
17:00〜休憩 | ・夜の乗客が増える時間に備えて2回目の休憩を取る |
18:00〜営業再開 | ・仕事終わりのサラリーマンをターゲットに乗客を見つける |
21:00〜休憩 | ・隔日勤務の場合、休憩時間を合計3時間以上とる |
22:00〜営業再開 | ・飲み終わり帰宅する人をターゲットに営業する |
翌2:30〜帰庫 | 営業を追えて事業所に戻り、売上記録を提出する |
翌3:00〜退社 | ・隔日勤務の場合、次の勤務までに最低20時間の休息を取る |
隔日勤務の場合、主にこのような流れで働きます。仕事内容に大きな違いはありませんが、洗車や掃除などのタイミングはタクシー会社によって異なります。
関連記事:タクシー運転手の隔日勤務はつらい?労働時間の実態を徹底検証
参考元:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag|タクシー運転手
タクシー運転手に向いている人が知っておきたい勤務形態
タクシー運転手の主な勤務形態は、以下の3つです。
- 隔日勤務
- 昼日勤
- 夜日勤
それぞれ解説します。
隔日勤務
1回2日分働く勤務形態で、休憩を含めて16〜20時間ほど働きます。勤務が終わると次の勤務まで20時間以上の休息を取る必要があり、月の勤務回数は13日までに抑えなければいけません。
昼日勤
一般的なサラリーマンと似た勤務形態で、7〜8時から働きはじめて16〜17時に勤務終了となります。長時間労働ではなく昼夜逆転もしていないため、最も身体的な負担の少ない勤務形態と言えます。
夜日勤
夜日勤はいわゆる夜勤のことであり、16〜17時から働き始めて、翌1〜2時に勤務終了となります。
関連記事:タクシー業界はブラック?きついと言われる理由や良い会社を見つける方法も
タクシー運転手には適性診断が義務化されている
タクシー運転手は安全運行を確保するため、適性診断を受けるのが義務付けられています。
適正診断では視力や判断力、ストレス耐性などが評価され、長時間運転に必要なスキルや健康状態を確認します。
NASVA(自動車事故対策機構)による診断は法令に基づき行われ、運転手の安全意識を高めるのに必要です。
一部のタクシー会社では診断結果を活用し、教育プログラムを提供する取り組みもあります。
これからタクシー運転手を目指す方は、診断を活用して自身の改善点に取り組み、信頼されるプロのタクシードライバーを目指しましょう。
参考元:運転者適正診断の概要|独立行政法人 自動車事故対策機構
タクシー運転手に向いている人に関してよくある質問
ここでは、タクシー運転手に向いている人に関連してよくある質問に回答します。
- タクシー運転手に将来性はありますか?
- タクシー運転手の月収はいくらですか?
- タクシー運転手は専門性が高いですか?
タクシー運転手に将来性はありますか?
タクシー運転手は将来性が高い仕事です。近年、高齢化で免許返納が増え、地方では公共交通が少ないためタクシーの需要が高まっています。
一方、自動運転やライドシェアなど新しい技術が業界に変化を起こす可能性もあります。とはいえ、タクシー需要自体は高まっているので、チャンスを掴む場面とも言えるでしょう。
タクシー運転手の月収はいくらですか?
厚生労働省の調査によると、タクシー運転手の月収は約35万円です。年収相場で言うと、約419万円になります。
参照元:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag|タクシー運転手
タクシー運転手は専門性が高いですか?
タクシー運転手は、運転のプロとして高い専門性を持つ職業です。安全運転技術はもちろん、地理知識や接客能力も求められます。
特に都市部では、複雑な道路網や交通状況を熟知し、最適なルートを選択する力が必要です。また、多様な乗客に対応するためのコミュニケーション能力も必要になります。
タクシー運転手に向いている人に関するまとめ
タクシー運転手に向いている人は、運転が好きだったり、人と話すのが得意だったりする方が多くいます。仕事柄、長時間勤務でストレスも溜まりやすいので、自己管理ができてストレス耐性のある方も向いているでしょう。
人手不足からタクシー運転手の需要は年々高まってきており、将来的にも外国人観光客などが多く利用すると予想されているため、将来性の高い職種と言えます。
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