建物などを組み立てる職人として大工がいますが、その中に宮大工と呼ばれる人がいます。
今回は宮大工について仕事内容や収入、関連資格や将来性についてわかりやすく解説してきます。
宮大工とは:神社仏閣を支える伝統技術
建築業界の中には様々な職種があり、住宅などを建材の加工を行い組み立てる職人として大工がいます。
大工は、組み立てる建物などによりいくつかの種類に分けられており、仏閣や神社、城郭などを専門に建築したり補修を行う大工を「宮大工」と言います。
仏閣などの建築物は「木組み工法」が特徴であり継手や貫(ぬき)などを木材のみで組み合わせており釘や金具は一切使用しない、日本の伝統的な大工技術となります。
組み立てだけではなく木材の加工にも高い技術と知識が必要なため、一般的な大工が代わりに建築を行ったりすることは難しく、大工の中でも専門性が高いと言えます。
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宮大工の仕事内容
宮大工の仕事内容は、主に木材の加工と組立になります。
加工と言っても木材はその種類やどの部分を使うかによってその特性は違い、同じ種類だとしても木によって微妙な差があります。
ただただ正確に削ったりすればいいのではなく、木の特性を見極め数十年後にどのような変化をするかなどを予測し、仕口や継ぎ手などの加工も正確でズレのないように仕上げていきます。
また、組み立てや木材の加工の他にも木彫りによる芸術的なデザインを施すことも重要な作業であり、木鼻など柱の橋からはみ出た部分などに装飾を行います。
作業が終了したあとは、道具を丁寧にお手入れするのも大切な作業です。
職人それぞれが自分の好みに合わせて、研いだりして常に完璧な状態に道具を維持することにより、建物の品質を落とさず作業することが可能となります。
宮大工の一日の流れとしては朝7時前後に現場に到着し、朝礼などが終わると作業を開始します。
高所での作業があったり、重い木材をはこんだりと体力や高い集中力が必要となり、危険が伴う作業がおおいため昼休憩の他にも午前と午後で小休憩をいれて事故などを防ぎます。
作業が終わると、帰社して工具のお手入れなどを行い仕事が終了となります。
大工によってはその仕事内容によって夜間も作業をする場合がありますが、宮大工の場合はそのようなことはなく日中のみの作業となります。
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宮大工の年収:約300〜1,000万円
宮大工の年収は、その実力によって大きく変わります。
宮大工の見習いとして働く場合は年収で約300~400万円ほどとなり、一人前として働き始めると年収は600万円前後となります。
ちなみに大工の場合、工事全体を請け負うことがすくないため、工務店などから作業ごとに依頼を受けて仕事をこなすことも多いです。
そのような場合、一人前の宮大工で日当1万5千円ほどとなります。
宮大工の数はとても少なく、特に技術が高い職人になると年収が1,000万円ほどになることもあります。
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宮大工:2つの関連資格
宮大工になるために必要な資格や学歴はないのですが、建築関係の資格に挑戦することで更に知識や技術が増え、将来のキャリアアップにも役立ちます。
関連資格としては、以下のようなものがあります。
木造建築士
木造建築士とは、木造住宅専門の知識と技術証明するもので国家資格となります。
また、資格を取得することで工事自体の監理も行うことが可能でその内容は以下の通りとなります。
- 階数が2階建て以下
- 延べ床面積が300㎡以下
木造建築士は誰でも受験可能といったわけではなく、学歴などによって実務経験が必要となります。
- 大学、短大、高等専門学校の指定学科卒業者:実務経験必要なし
- 高等学校、中等教育学校の指定科目卒業者:実務経験3年以上
- その他の学歴:実務経験7年以上
この他にも建築整備士を取得していると実務経験は必要ありません。
試験は一次試験で木造建築に関する学科試験が行われ、二次試験で設計製図試験があり合格率は約30%ほどとなります。
2級建築士
建築士とは、建物の工事監理や設計が行える資格で、1級と2級があり国家資格となります。
木造だけに限定されず、鉄筋コンクリートやレンガ、無筋コンクリート造の建築物でも工事監理が可能で、延べ床面積が100㎡を超えたり、3階以上の建物でも工事監理が可能です。
また、木造の建築物であれば延床面積が300㎡を超えたり3階以上であっても工事監理が可能です。
2級建築士は学歴などにより受験資格が異なり、場合によっては実務経験が必要となります。
- 大学、短期大学、高等専門学校で指定科目を修めて卒業:実務経験必要なし
- 高等学校、中等教育学校で指定科目を修めて卒業:3年以上の実務経験
- その他都道府県知事が特に認める者、建築整備士:実務経験必要なし
- 建築関係の学歴がない場合:実務経験7年以上
2級建築士の合格率は、約20%程となります。
宮大工の現状と将来性について
日本の伝統的な建築方法である木組み工法で建築を行う宮大工ですが、最近では鉄骨・鉄筋の建物、ツーバイフォー工法が主流となり需要は昔に比べてかなり減少してきています。
そのため、中には宮大工業務の以外も取り扱う工務店や大工もいます。
ですが、既存の仏閣や神社はとても貴重な建物であり、その改修工事は定期的に必要なため、将来的にも仕事が全くなくなるといったことはありません。
また、様々な工法が生まれたことにより、木組み工法の素晴らしさに再度注目が集まりつつあり、一般住宅でも伝統的な木造の造りで依頼する人も増えてきています。
宮大工として技術や知識をしっかり学び、一人前となれば今後も十分に活躍する場があると言えます。
宮大工に関するまとめ
今回は、宮大工について解説してきました。
宮大工とは神社仏閣をなど日本の伝統的な木組み工法を用いた建物の建築や修繕を専門に行う大工のことを言います。
建材の加工と組立には高い専門知識と技術、経験が必要となります。
最近では鉄筋コンクリートなどの建物が主流となり、宮大工の仕事量は減少傾向にありましたが、重要な建築物に修繕、保護には欠かせない存在です。
また、その技術の高さによる建物の美しさに再度注目が集まりつつあります。
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