建設業界は世界中で欠かせない業界であり、今後もなくなることはないと言えます。
そんな建設業界について、業界の構造や将来性、働く上でのメリットなどについて解説していきます。
建設業界で活かすことのできる資格なども紹介していくので、既に従事している方はもちろん、今後働いてみたいと考えている方も参考にしてみてください。
そもそも建設業界とは?
「建設」=建物をつくる事業
建設業界とは、家や学校など全ての建物に関する建設や道路や水路などの土木工事などを施工する業界を言います。
小規模なものから数年掛けて建設する大規模なものもあり、工事が完成してもずっと形として残るのでやりがいを感じやすいことが特徴です。
最近では、東日本大震災や台風など震災による建物の倒壊などが発生しており、これらの復旧工事なども一つの事業となります。
建設と似た言葉に「建築」という言葉がありますが、建築とは土木工事を含まない建物の施工のみを指します。
建設業界が抱える課題
建設業界では現在、人手不足と高齢化が課題となっています。
職種などにもよりますが、多くの現場で人手が足りていない状態です。
その原因としてあるのが「3K」のイメージです。
3Kとは「きつい」「汚い」「危険」のことであり、昔から建設業界を象徴する言葉として使われています。
そのため、若年層の入職者が少なく業界全体の高齢化が進んでいるのが現状です。
これらの問題を受け、建設業界では新たな3Kとして「給与が高い」「休暇が取れる」「希望がありかっこいい」を設定し、労働環境などの改善に取り組んでいます。
どうなる?今後の建設業界
建設業界は国の発展に欠かせない存在であり、今後もなくなることはないと言えます。
その一方で、上記で解説したような人材不足などの課題を抱えており、その対策が急務となるでしょう。
建設業界では、労働環境の改善だけでなく「IT化による業務の効率化」も進んでいます。
時間をかけて行ってきた情報の整理や物の管理などは機械化も進んでおり、無駄な作業を減らすことが可能です。
また、新たな職種や人材の確報の手段として「e建機」なども注目を集めています。
e建機とは、現場などで使用するショベルカーなどの重機を遠隔で操作し、作業を行うことを指します。
子育てで長時間の拘束が無理な人や身体に障害があり働けない人など、今まで建設業界で働くことが難しかった人でもe建機を通して将来働けるようになるかもしれません。
以下のリンクから、e建機に関する取り組みの取材レポートをご覧いただけます。
【取材レポート】『e建機』を知っていますか?遠隔操作で建設現場の人材不足を解消する!
建設業界の業種構造
建設業界の特徴なのが、幅広い業種構造を持っている点です。総合工事業や設備工事業、職別工事業などといった様々な企業が関わることで、一つの建物が完成していきます。
建設業界はピラミッド型の下請け構造となっています。
工事を受注して、全体の工程管理や計画を決めて着工するのが総合工事業です。
一方、この下請けとして地盤改良や補強工事、基礎工事、内装や外装工事、外構工事など、各作業ごとに工事を行う専門業者は職別工事業にあたります。
また、電気の配線や水道などは設備工事業が施工を行います。
各事業について詳しく見ていきましょう。
ゼネコン(元請け)
「ゼネコン」という言葉を誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ゼネコンとは、ゼネラルコントラクターの略称であり、工事を受注し計画する総合工事業に分類される企業を指します。
不動産会社などから工事を受注し、設計や施工を行います。
また、明確な定義はないもののゼネコンでは工事の着工だけではなく、建築物の強化を図るための研究も行われています。
耐震技術の研究や強度のあるコンクリートを作り、業界全体にフィードバックする役割も果たしています。
ゼネコンの中でも特に売上が多く、技術力が優れている企業はスーパーゼネコンと呼ばれており、清水建設や大林組、鹿島建設、竹中工務店や大成建設がスーパーゼネコンに当たります。
サブゼネコン(下請け)
サブゼネコンとは、ゼネコンが受注した建設の施工業務を担っており、業界構造の中では職別工事業や設備工事業にあたります。
ゼネコンが提示した施工計画や設計図に基づき各工程ごとで作業を進めていく部門リーダーのような役割です。
そのため、ゼネコン1社に対して各工事に特化したサブコンが施工を受注して工事を進めていく流れとなります。
中小企業(下請け)
中小企業とは、建設業界だけに限った存在ではありませんが、資本金が3億円以下であったり従業員数が300人以下の規模にあたる企業を言います。
建設業界では、マンションや大型ショッピングモールなど大規模な工事ではなく、個人住宅など比較的小規模な工事を施工しています。
より顧客に近い存在であり、ニーズに合わせた施工を進めていくことから、労働者にとっては建設工事全体の経験を積みやすいという特徴があります。
マリコン(海洋土木)
マリコンとはマリンコントラクターの略称であり、港湾や海底トンネル工事、護岸工事など海洋土木に特化した建設会社を指します。
使用する機械も陸上とは違い、深層混合処理船や起重機船、浚渫船などとなっており、海洋土木に特化した技術と知識が必要です。
国内の主なマリコンとしては、五洋建設や東亜建設工業、東洋建設などがあります。
建設業界の特徴とメリット
建設業界で働くメリットや特徴は主に4つあります。
- 仕事が安定している
- 高収入を狙える
- 形に残る仕事ができる
- 様々な資格やスキルを身につけられる
これらについて詳しく解説していきます。
仕事が安定している
建設工事は日本各地で行われており、個人が依頼するものから公共事業など様々です。
消費者のニーズに左右されにくく、国からの投資もあるため今後も安定している業界と言えます。
最近ではどの業界もIT業界化が進んでおり、仕事の簡素化や機械化が進んできていますが、機械では代用できない技術に関しては今後もなくなる心配はないと言えます。
また、最近では建築だけではなくリフォームなどの需要も増えてきており、身につけた技術を様々な場所で活かすことができます。
高収入を狙える
建設業界の平均年収は、国税庁の民間給与実態統計調査結果によると約500万円となっており、全業界の平均年収を大きく上回っています。
年齢別においても、比較的若い年齢から高収入を狙いやすい業界と言えます。
会社の規模などによって収入は大きく変わるので、経験を積んだり資格を取得することで更に年収アップを目指すことも可能です。
形に残る仕事ができる
建設業界では様々な工事を行っていますが、完成してすぐに取り壊したりする建物は基本的にありません。
みんなが安心して生活できる大きなマンションや、物流を支えている空港など、工事後もずっと形として残ります。
自分が携わった建築物がその後も残り続けるということは、他の業界にはないやりがいを実感できます。
様々な資格やスキルを身につけられる
建設業界の仕事は誰にでもできるようなものではなく、専門知識や技術が必須となります。
現場での各作業に必要な技術や図面などの設計、施工管理など各作業を通して様々なスキルを身につけることができます。
これらの技術や経験を積み上げることで起業することも可能であり、生涯を通して建設業に携わることが可能です。
建設業界のデメリットや辛い点
建設業界で働くことで様々な知識やスキルを身につけられるだけではなく、携わった建築物はその後も長年にわたって残り続けるため、やりがいをもって働くことができます。
その一方で建築業界の辛い点やデメリットもあります。
- 仕事量が多い
- 責任が大きい
- 景気に影響を受けやすい
これらのデメリットについて詳しく解説していきます。
仕事量が多い
建築業界のデメリットとしてあるのが仕事量の多さです。
人材不足などにより人手が足りていない傾向にある上、工事には工期が付き物です。そのため、決められた時間までに必ず仕上げなければなりません。
材料の納入が遅れたり天候により作業が遅れてしまうと、その分予想以上に残業が続いてしまったりする可能性があります。
以前に比べると労働環境は改善傾向にはありますが、残業が多い業界と言えます。
会社や作業内容にもよるので、今後転職を考えている方で残業が苦手という方は、平均残業時間などは事前に調べておくといいでしょう。
責任が大きい
建設工事には上記で説明した通り、工程ごとに様々な業者が関わります。
自分が担当している箇所の工事が終わらないと、次の工程に進めないなど納期を厳守することはとても責任が大きく大変です。
また、欠陥などがあるとその後の利用ができなくなったり、人の命にかかわる可能性も十分にあります。
立派な仕事で後世に残る仕事である一方で、大きな責任も伴います。
景気に影響を受けやすい
建設業界に限ったことではないですが、景気が落ちるとその影響を受けやすい業界と言えます。
特に住宅やマンションは一生に一度の買い物と言えるほど高額なため、景気が落ち込むと購入に対する意欲が少なくなり影響を受けやすくなります。
公共事業などの依頼や国からの投資などがあるものの、常に仕事がたくさんあるというわけではありません。
また、左官工事や鉄筋のガス圧接、溶接関係、コンクリート打設関係の仕事は屋根がない場合、仕上がりに影響が出やすいので雨の日は作業ができません。
会社の雇用状態にもよりますが、日給で働いている場合は季節によって収入が下がる可能性もあります。
建設業界の職種と仕事内容
建設業界とは言っても様々な職種があり、仕事内容も力仕事の作業もあれば事務系の仕事もあります。
今回は建設業界に関連する7つの職種について紹介していきます。
建築士
建築士とは、建物の設計や工事監理を行う建築のプロフェッショナルであり、建築士法に定められた建築士の資格を取得しなければなりません。
建築士には資格によって3つの種類に分かれており、1級建築士、2級建築士、木造建築士があります。
具体的な仕事としては、規模や用途、予算に応じた基本設計を行い、設計平面図や模型などにより建物の完成後の姿を明らかにします。
この他にも、壁の材質など細かい部分の設計も行い、依頼主の要望になるべく応えられる知識と経験が必要です。
建築が始まると設計図面通りに作業が進んでいるか、品質管理に問題がないかなど作業員の工事を監督したり指示を出していきます。
一級建築士の試験は学科と設計製図に分かれており、どちらも合格することで取得可能です。
合格率は1級建築士で10%ほどと低く、難易度はかなり高いですが、その分高収入を狙いやすくなります。
CADオペレーター
CADとは、Computer-Aided Design(コンピューター支援設計)の略称で、コンピューターを使って設計やデザインを行うソフトウェアの総称です。
CADオペレーターはCADを駆使して設計などを行います。
建築業においては、建築基準法などの専門的な知識が必要となるため、主に設計補助と呼ばれる作業を担当していきます。
図面をコンピューター上で修正したり編集する作業がメインとなり、フリーで活躍することも可能です。
関連資格としては「建築CAD検定」や「CADアドミニストレーター」「2次元CAD利用者技術者試験」などがあります。
技術士
技術士とは、建設業界も含めた全ての業界において、技術的専門知識と高等の専門的応用能力及び、豊富な実務経験を持つ技術者の育成を図るために設けられた資格承認制度です。
建設業界では、公共事業全体の調査や計画、管理、評価、設計などを行う建設コンサルタントであったり、土木や一般住宅などの設計を行ったりと様々な活躍の方法があります。
転職はもちろん、起業も十分に狙うことができるほどの上級資格であり、試験の合格率は1割にも満たないほどの難しい資格です。
長く建設業界で働きながら取得を目指す資格となります。
施工管理技士
施工管理では、工事全体における品質や安全、工程、原価などの管理を行うのが仕事となります。
関連資格として管理技士があり、建設業界では下記の7種類があります。
- 土木施工管理技士
- 建築施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
- 建設機械施工管理技士
- 造園施工管理技士
建設業法では、建設工事の現場には監理技術者や主任技術者の配置が規模に応じて義務付けられており、上記資格を取得するとそういった役職に就くことができます。
資格を取得するには実務経験などを積む必要があり、誰でもすぐに取得できるわけではありませんが、建築業界でのキャリアアップにおすすめの資格です。
技術開発
建築業界における技術開発では、設計や施工、コンストラクション・マネジメントに関する技術面の検討や研修を行います。
工事全体の生産性工場が目的であり、基本的に建築現場ではなくオフィスで働きます。
建設業界ではDX化が進められており、これに関連する技術開発が求められており、上記で説明したeスポーツなど新たな雇用の創出やAIを活用して現場作業のシステム構築などがあります。
技術開発や解析、調査に携わる職種の平均年収は平均450万円〜500万円ほどです。
技能士
技能士とは、職業開発能力協会が実施する技能検定に合格することで与えられる国家資格であり、全部で127職種の試験があります。
型枠施工や建築大工、トビ、左官、ガラス施工、園芸など建設工事で行われるほぼ全ての職種に試験が用意されており、その実力を証明するために役立つ資格と言えます。
試験は実技試験と学科試験に分かれており、両方に合格することで取得が可能です。
技術士と似ていますが、技能士は厚生労働省が行う技能検定試験に合格した場合に与えられる称号であり、技術士は文部科学省が管轄している国家試験により与えられる資格となります。
建築業界に向いている人
建設業界の特徴として、高収入を狙えて様々な資格やスキルを身につけることが可能な一方で残業が多かったり、大きな責任が伴います。
職種により仕事内容は異なりますが、一般的に下記のような人が建設業界には向いていると言えます。
- 体力がある人
- プレッシャーに強い人
- コミュニケーション力が高く、リーダーシップがある
- 危機管理能力がある人
最初から全てを身につけている人は滅多にいませんが、このような性格の人は向いていると言えます。
職人として働きたい人は専門技術やスキル重視となる一方で、施工管理などの仕事を行う場合においては、危機管理能力やいろんな職人と話せるコミュニケーション力が特に必要となります。
将来性のある建築業界は魅力的!
今回は建築業界について詳しく解説してきました。
様々な建築物を作り上げる建築業界には、様々な職種が存在しており、その仕事内容は多岐にわたります。
近年では働き方が大きく改善されてきており、転職する人も増加傾向にあります。
建築業界の経験がない人であっても、未経験の求人や資格取得により、挑戦することは十分に可能です。
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