建築に関する技術やルールは日々進化しています。
多くの人が利用する建築物において、これらのルールが適切に守られなければ、人々の命にも関わります。
このような事態を防ぐために、建築士法によって定められたのが「建築士定期講習」です。
建築士定期講習は、全ての建築士が受講しなければなりません。
しかし、定期講習の時期を忘れており、期限が間近であったり既に期限が切れたりしている人も中にはいるのではないでしょうか。
今回は、建築士定期講習の期限が切れてしまった場合の罰則や、講習の申込方法などを中心に解説していきます。
建築士免許:3年ごとの更新制
全ての建築士が受講する建築士定期講習は、3年ごとの更新制です。
建築士の資格や経験年数などによって変わることはありません。
建築士資格を取得したばかりで、一度も受講履歴がない場合、試験に合格した翌年度の4月1日から起算します。
過去に受講したことがある場合は、受講した年の翌年度4月1日からの起算となります。
ちなみに、免許更新の通知は建築技術教育普及センターで定期講習を受講した場合に限り、対象年度の4月頃に通知があります。
それ以外の施設で受講した場合、通知がないため期限切れに注意が必要です。
建築士免許の定期講習:期限切れになった場合に起きること
建築士定期講習の受講は、建築士法によって定められており、全ての建築士が対象です。
3年ごとに受講していなかった場合は、罰則もあります。
ここでは、定期講習を期間内に受講しなかった場合の罰則について解説していきます。
建築士法における罰則がある
建築士定期講習を3年の期間内に受講しなかった場合、建築士法違反となります。
違反した場合、建築士法第10条の規定に基づき「戒告または60日間の業務停止処分等」の対象となります。
戒告処分を受けると、情報が残るため仕事の受注などに大きな影響が及ぶ可能性があるため、必ず期限内に受講するようにしましょう。
免許を失効するわけではない
建築士定期講習を受講しなければ、業務停止や戒告処分などの罰則がありますが、免許失効となるわけではありません。
罰則を受けてしまったとしても、その後に受講すればこれまで通り建築士として活躍できます。
建築士免許の定期講習:更新が不要な人もいる
全ての建築士が受講しなければならない定期講習ですが、例外もあります。
建築事務所といった会社に所属しておらず、建築士の仕事をしていない人の場合は受講の義務がなくなります。
ただし、会社の所属建築士であり、建築士以外の仕事をしている人に関しては、受講しなければなりません。
現在別の仕事をしており、定期講習の更新が不要であった場合も、自主的な受講は可能です。
今後、建築士の仕事に復帰する可能性がある場合は、定期講習を受けておくようにしましょう。
ちなみに、定期講習は全国どこでも受けられます。
建築士の定期講習:期限切れの前に受ける方法
建築士定期講習は自分で受講手続きをしなければなりません。
受講タイミングは複数あり、申込方法などにも指定があるため、事前に理解した上で受講するようにしましょう。
ここでは、建築士定期講習の申し込み方法や講習の概要について、解説していきます。
講習を受けるタイミング
建築士定期講習を受講するタイミングは、3つのパターンに分かれます。
受講対象となる人 | 受講のタイミング |
建築士になり初めて定期講習を受講する人 | 試験に合格した翌年度4月1日から3年以内 |
2回目以降の定期講習を受ける人 | 前回受講した翌年度の4月1日から3年後の3月31日まで |
建築士事務所で再度働き始めた人 | 事務所に所属後、速やかに受講 |
3年後の受講ではなく、3年以内の受講となるため、間違わないようにしましょう。
申し込み方法
建築士定期講習は、建築技術教育普及センターや国土交通大臣の登録を受けた講習機関が実施します。
建築技術教育普及センターの場合、建築士の定期講習は、対面方式とオンライン方式の2つの方法があります。
対面方式の場合は郵送申込となり、オンライン方式はインターネット申し込みとなります。
【対面方式の申込方法】
1・建築技術教育普及センターの公式HPで受講申込書をダウンロードする 2・申込書に必要事項を記入後、写真を添付する 3・所定の振込用紙で受講手数料を納付する 4・各都道府県の建築士会または建築事務所協会へ申込書を簡易書留郵便で郵送する 5・受講票の発行 |
申込書の記入事項や写真に関する注意点などは、建築技術教育普及センターの公式HPに記載されています。
申し込みは、センター窓口に直接持ち込むことも可能です。
オンライン方式の申し込みは、建築技術教育普及センターの公式HPより手続きできます。
申請後にテキストが届き、講習動画を視聴し田植えで修了考査を受験する流れです。
普及センター以外で受講する場合、機関によって申込方法に違いがあるため、注意が必要です。
講習の内容
定期講習の受講内容は「建築施工・建築設計・建築構造・その他分野」の4つに分かれています。
受講すれば修了証がもらえるわけではなく、講習後には修了考査(〇×による解答)が行われ、合格しなければなりません。
講習時間は、1級建築士で6時間以上、2級建築士で5時間以上と定められています。
定期講習の費用
建築士定期講習の費用は、受講期間によって異なります。
建築技術教育普及センターの場合の受講費用は以下の通りです。
対面方式:12,980円(税込) オンライン方式(紙のテキスト付):12,000円(税込) オンライン方式(電子テキスト):11,300円(税込) |
一度納付された手数料は、返金されないためスケジュールを確認した上で申し込むようにしましょう。
建築士免許の定期講習と期限切れに関するよくある質問
最後は建築士定期講習に関する、2つのよくある質問に答えていきます。
・どうしても定期講習の受講が難しい場合は?
・定期講習で合格基準に達しなかったらどうなる?
受講が難しい場合や修了考査で合格基準に満たなかった場合に関する内容ですので、参考にしてみてください。
どうしても定期講習の受講が難しい場合は?
病気での入院や、海外出張などで定期講習の受講が難しい場合、住んでいる地域を管轄する国土交通省地方整備局に相談しましょう。
状況に応じた対応をしてもらうことが可能です。
ちなみに、指定した日の受講が難しくなった場合、受講日の変更ができます。
対面方式の場合は、電話により手続きを行いオンライン方式の場合は、自身のマイページから変更可能です。
定期講習で合格基準に達しなかったらどうなる?
定期講習を受けた後には、修了考査を受けなければなりません。
修了考査で合格基準に達しなかった場合、再度講習を受講しなければなりません。
再受講に関しては、申し込みから行う必要があり、受講費用も別途必要です。
再受講する場合に、前回使用したテキストを持参したとしても、手数料の減額等はありません。
建築士免許の定期講習と期限切れについてのまとめ
建築士定期講習は、現役で働く建築士全員が受講しなければなりません。
3年に1度の更新が必要で在り、指定の期限を過ぎた場合には戒告または60日間の営業停止処分となるため注意が必要です。
受講は国土交通省が指定した機関であれば、受講可能であり場所の指定もありません。
オンラインと対面による受講がありますので、期限内に申し込むようにしましょう。
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