トラックの高さ制限は、道路交通法で原則として3.8mまでと定められています。本記事では、トラック高さ制限で注意すべき点や超過した時の罰則、対処法について解説します。トラックに乗る仕事をする人は、参考にしてみてください。
トラックの高さ制限の規定について
トラックと普通車は『長さ』、『幅』『形状』等、様々な違いがあります。もちろんトラックの『サイズ』で変わりますが、『幅』や『長さ』等、トラックは普通車と比べて気をつけなければらない部分が多くあります。
特に忘れてはならないのは、『トラックの高さ制限』です。このトラックの高さ制限を見誤ると、トラックを運転時思わぬ事故、トラブルを引き起こす事になりかねません。
今回の記事では、トラックの高さ制限について道路法できめられている『規程』や『罰則』、『対処法』を解説していきます。まずは、トラックの高さ制限が記されている『道路法』について紹介します。
トラックの高さ制限に関する道路法
道路法は『道路網の整備』、『交通ネットワークの機能を充実』させる事を目的とする法律で、その所管省は『国土交通省』です。道路法は路線の指定および「認定」「管理」「構造」「保全」「費用」の負担の区分等に関する事項が定められ、これを実現するため道路を『4種類』に分類、法律で定めています。
この4種類の道路とは、『高速自動車国道』、『一般国道』、『都道府県道』、『市町村道』で、道路法の一部には車両制限令があり、大型などのトラックの高さ制限、トラックの積載量の制限等を規定しています。
その他の道路、例えば街路道、農道等は道路法でなく、他の法律で規定され、概要は次の通りになっています。
基本法
基本法とは国の「制度」「政策」に関する理念、基本方針が示されており、その方針に沿った措置を構ずべきことを定めている法律です。法律の題名に基本法という名称をもつ法律は数多くあります。
その中で、旧道路法に変わり昭和27年に制定された道路に関する基本法が現在の『道路法』になります。今回のテーマであるトラックの『高さ制限の条項』も、道路法で規定しています。
都市計画法
都市計画法は都市の健全な発展と秩序ある整備、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進を目的とした法律です。『街路道』は道路法ではなく、この都市計画法で規定しています。
森林法
森林法は森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とした法律です。『林道』は道路法ではなく、この森林法で規定されています。
土地改良法
土地改良法は農業の生産性の向上、農業総生産の増大、農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善に資することを目的とした法律です。『農業用の道路』(農道)は道路法でなく、この土地改良法で規定しています。
トラックの高さ制限がある理由について
乗用車では高さ制限を意識するシュチュエーションは立体駐車場ぐらいで、普段の生活の中、高さ制限を意識する事は少ないのではないでしょうか。ところがトラックでは高さ制限を意識せざる負えないシチュエーションが数多く存在します。
例えば、運転中に高速道路、電車の高架下など、『トラックの高さ制限の標識』を目にする機会は多いのではないでしょうか。普通車を運転中には気にせずに通り過ぎてしまうかもしれません。
ところがトラックを運転しているとトラック自体の車高の高さもあり、途端にトラックの高さ制限が気になるようになります。トラックに乗ると高さ制限のある高架下やトンネルは意外とあり、通行して大丈夫かな?と感じる事シュチュエーションが多くなるのです。
トラックの運転は、まずトラックの高さ制限を意識し運転しなければ、思わぬ事故、トラブルを引き起こすリスクが大きくなります。
トラックは構造上、トラックの『幅』や『長さ』、トラックの『高さ制限』を意識した運転がとても大事です。道路法にトラックの高さ制限の条項があるのは、道路を運行する車両(トラック等)を『保護』するという観点からきています。
関連記事:大型トラックの駐車場の設置に必要な寸法や詳しいルールを解説
高さ制限3.3メートル
『トラックの高さ制限3.3m』=『3.3m以上の高さのある車両』(トラック)は通行禁止です。トラックの高さ制限はいくつかあり、トラックの『高さ制限3.3m』は『かなり昔に作られたトンネルや看板のある場所』であり、当時はトラックの高さ制限を考えて作られていない事が多い為、高さ制限を加えています。
トラックの3.3mという高さ制限は『大型トラック』はほとんど引っかかってしまいます。この3.3mの高さ制限はトラックで通行する際、相当に圧迫感があり、トラックドライバーにとって不安を感じる高さです。
古い建物が多い場所、高速道路等の高架下、看板の多くある地方の都市等はトラックの高さ制限があるところが非常に多く、トラックで通る際はトラックの高さ制限には注意が必要です。
もしトラックで走行するルート上に3.3mのトラックの高さ制限がある場合、ご自分の運転する『トラックが通れるかどうか」や「迂回路の有無を確認』し、走行するトラックがその3.3mの高さ制限がある場所を回避する事ができるルートを考えた方が良いでしょう。
高さ制限3.8メートル
『トラックの高さ制限3.8メートル』=『3.8m以上の高さのある車両(トラック)は通行禁止』、です。平成16年3月の道路交通法の一部改正まではトラックの高さの最高限度は3.8m(現在は4.1m)でした。
この3.8mの高さ制限は、トラックの荷台に『荷物を入れた状態』でもトラックの高さを3.8m以下にしなくてはならない規定になります。とはいえ、やむ終えずトラックの荷台に積載する荷物が3.8mの高さ制限を超えてしまう事もあるかもしれません。
その場合は事前に『特殊車両通行許可証』の届出を行ない、届出が通れば3.8mのトラックの高さ制限があってもトラックで走行できる場合があります。ただ気をつけなければならないのは、許可証を持っていても『物理的な高さの問題』で、トラックでは通行できない高架橋やトンネルは存在します。
トラックで実際にその場所を走行する場合は事前にトラックの走行ルートの確認はしっかり行っておきましょう。
高さ制限4.1メートル
平成16年3月まではトラックの高さ制限の最高限度は3.8mでした。その後の改正でトラックの高さ制限の最高限度は『4.1m』になってます。もちろんだからといって全ての道路をトラックで4.1mの高さで走行可能な訳ではありません。
橋の下や高速道路の高架下などには事前に標識などで『3.3m』や『3.8m』などのトラックの高さ制限が設置されています。その場合、標識の高さ制限が優先されますので、ご自分が『運転するトラックの高さ』、『通行する場所の高さ制限をしっかりと把握する』必要があります。
トラックの高さ制限に関する事故事例
トラックに背の高い貨物を積み込んで走行する場合、一般車両には無い高架下などへの衝突にも注意が必要となります。
過去に高さ制限を守らなかったことによる事故は多く発生しています。
2021年5月に東京で起きた事故では、高さ制限4Mと記載された高架下をトラックが走行しようとした結果、荷台に積んであった重機の一部が接触し、トラックが挟まってしまいました。
このような高さ制限に関する事故で、よくある運転手の発言としては『通れると思っていた』というものです。
背の高い荷物を乗せる場合は、出発前にかならずチェックを行い、制限内であってもギリギリだという場合はなるべくそのような制限のあるような場所を通らないようにしましょう。
他にも注意が必要なのがクレーンなどの格納忘れです。
大阪府で発生した事故では、クレーンでの積み込み後にクレーンを直したと思い込みそのまま出発してしまったため歩道橋にクレーンが衝突してしまいました。
出発前にはトラック全体に何か異常がないかなど、一度確認することでこのような事故は防ぐことができます。
トラックの高さ制限を超えた場合の罰則
トラックの高さ制限に違反した場合には、罰則の規定があります。トラックの高さ制限に違反した場合の罰則の内容は次のようになります。
100万円以下の罰金
道路法では車両(トラック)の高さ制限等の違反の罰則を次の様に規定しています。
※『道路法第104条第1項による罰則』・・・『車両の幅』・『長さ』・『高さ』・『重さ』・『最小半回転半径』等で、『制限を超える車両を道路管理者の許可なく通行させた者』、または『許可条件に違反して通行させた者』は『100万円以下の罰金』
免許証:減点1点
トラックの高さ制限の違反点数は『減点1点』になっています。罰金及び減点があります、トラックの高さ制限には注意しましょう。
関連記事:軽トラの積載量はどれくらい?サイズなども詳しく解説
トラックの高さが制限以上になる場合の対処法
トラックの高さ制限で、トラックの荷台に荷物を積む時、路面から積載物までの高さ制限は『3.8m~4.1m』になっています。トラックの高さ制限をオーバーした時には『罰金や罰則の対象』になります。
ですが、荷物の量によってはトラックの高さ制限を超えてトラックに荷物を積まざる負えない時もあります。そんな時、何か対処法はあるのでしょうか?ここからは高さ制限をオーバーしてトラックの荷台に荷物を積まなければならない時の対処法を紹介します。
警察署に「制限外積載許可証」を申請する
トラックの高さ制限をオーバーして荷物を積む時、『特殊車両通行許可証』を事前に申請すればトラックの高さ制限をオーバーして積むことができます。ただし、許可されるのは『4.1m』までです。
これでも荷物が積載できない時には『制限外積載許可証』を申請しましょう。
「制限外積載許可証」申請に必要なもの
- 『制限外積載許可証』
- 『特殊車両通行許可証』
- 『車検証のコピー』
- 『出発地から目的地までの経路図』
- 『荷積みの全体図』
- 『実際に運転する運転手の免許証』
制限外積載許可証はネットでダウンロード可能。
申請は警察の申請窓口でする
高さ制限をオーバーし、トラックに荷物を積む場合、『特殊車両通行許可証』の申請窓口は道路管理者(各地方整備局)になる訳ですが、『制限外積載許可証』の申請窓口は『警察署』になる点は注意が必要です。
申請から許可が下りるまでの期間や条件
制限時間外積載許可証が届くまでの日数は新規申請、変更申請は『3週間以内』、更新申請は『2週間以内』です。必ずしも許可が下りるとは限りません。使用する車両(トラック)が以下の条件を満たしている事が必要です。
- 長さは車体(トラック)の長さの2倍以下、はみ出しが0.5以下、全長が20m以下である事
- 幅は車体(トラック)の幅+1m以内(3.5m以内)である事
- 高さは4.3m以内である事
高さ制限の1割をオーバーは「通行許可の申請」が必要
トラックの荷物が高さ制限、もしくは長さをオーバーしている場合、超えている部分が『1割以内』なら『赤い布』をつければ違反にならない場合があります。
一方、トラックの荷物が高さ制限の1割をオーバーしている時には『通行許可の申請』が必要になります。
トラックの高さ制限:積載可能な荷物
トラックにはウイング車など屋根があるタイプのトラックの他に、平ボディという屋根がないタイプの車両もあります。
屋根が無いので特に高さ制限に注意が必要な車両であるのですが、積載可能な荷物の高さに関してはトラックのサイズによって変わります。
全ての車種で同じということではないので注意が必要となりますが、おおよその高さは以下の通りとなります。
【トラックのサイズごとの積載可能な荷物の高さ】
・小型トラック:2,800~2,900mm未満
・中型トラック:2,800~3,000mm未満
・大型トラック:2,400~2,950mm未満
トラックのサイズとは別に、荷台の高さは高床・低床・全低床などの種類があるので事前に調べておきましょう。
関連記事:過積載を防いで安全な運行を!過積載は交通違反、罰則も適用される!?
トラックの高さ制限に関するまとめ
トラックの高さ制限が記されている道路法は安全のためにはなくてはならない法律になります。
ここまでトラックの高さ制限の規定や罰則、トラックの高さ制限についての対処法を解説しましたが、特に『中型トラック』、『大型トラックを運転』する場合、『高さ制限を意識する事』がトラックの運行を行う上でとても重要になってきます。
トラックドライバーが法律を遵守し、安全運転を心がける事は一般ドライバにとってもよい見本で、それが事故防止に繋がります。そういった意識をもって日頃の業務に励んでもらえれば幸いです。
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