工場勤務の手取りはいくら？平均と計算方法を解説

工場勤務における手取り給与は、多くの労働者にとって非常に重要な問題です。

手取り給与は、税金、社会保険料、その他任意の控除項目などが天引きされるため、状況によって金額は大きく異なります。

本記事では、工場勤務の手取り平均、工場勤務の給料から天引きされるものなどについて解説します。

工場勤務の手取り平均

国税庁の発表によると、工場勤務（製造業）で働く男性の平均年収は577万3000円、女性は302万3000円であり、男女を合わせた全体の平均は501万4000円です。これは、正規雇用者全体の平均年収496万円を上回る金額です。

製造業における年収の分布を見ると、最も一般的な年収の範囲は300万円～400万円以下で、その割合は16.8%です。次に多いのが400万円～500万円以下で16.2%、続いて200万円～300万円以下が13.7%、そして800万円を超える年収が12.8%となっています。

全体の平均で800万円を超える割合が9.2%であることから、製造業は平均よりも高収入の割合が多いと言えます。

なお、ここで言及されている年収は総支給額で、これには残業手当や通勤手当などが含まれています。実際に手元に残る額、すなわち手取り額は、総支給額から所得税や住民税、社会保険料などが引かれた後の金額になります。

一般に、手取りは総支給額の約8割で計算されることから、製造業の平均的な手取り年収は約400万円程度となります。

出典：令和2年分　民間給与実態統計調査｜国税庁

工場勤務の学歴別の手取り平均

続いては、工場勤務の学歴別の手取り平均について解説します。

大学卒の場合

大学卒の人が令和3年4月に支給された平均給与は下記の通りです。

企業規模	平均給与額
50人以上100人未満	30万6248円
100人以上500人未満	32万7362円
500人以上	38万329円

このように、企業規模が500人以上の企業と50人以上100人未満の企業では、同じ学歴でも平均給与額は7万4081円の差があります。

出典：令和2年分　民間給与実態統計調査｜国税庁

高校卒の場合

高校卒の人が令和3年4月に支給された平均給与は下記の通りです。

企業規模	平均給与額
50人以上100人未満	29万1429円
100人以上500人未満	30万6808円
500人以上	36万3693円

このように、企業規模が500人以上の企業と50人以上100人未満の企業では、同じ学歴でも平均給与額は7万2264円の差があります。

出典：令和2年分　民間給与実態統計調査｜国税庁

工場勤務の手取りの計算方法

会社から支給される手取り給与は、基本給から税金や社会保険料などの法定控除額が差し引かれた後の金額です。給与総額からこれらの控除額を差し引いた後の金額が、実際に従業員が受け取る手取り額となります。

加えて、労働組合費や共済費など、法的に定められていない控除項目が給与から差し引かれることもあります。これらの控除は会社の規則や従業員の選択に基づいており、控除されるかどうか、また控除額は会社ごとに異なります。

そのため、計算式としては下記の通りとなります。

「手取り給与＝額面給与－（税金・保険料・労働組合費・共済費）」

そのため、手取りの給与は、額面金額の8割程度になることが一般的です。

工場勤務の給料から天引きされるもの

続いて、工場勤務の給料から天引きされるものを紹介します。

所得税

工場勤務の給料から天引きされるものの1つ目は、所得税です。

所得税は、個人が一定の期間に得た収入に対して課される税金で、個人の年間総所得に基づいて計算され、その所得から基本控除や各種の所得控除を差し引いた課税所得に対して課されます。

所得税の計算では、給与所得、事業所得、不動産所得、利子や配当などの金融所得など、さまざまな種類の所得が考慮されます。税率は累進課税制度に基づいており、所得が多いほど高い税率が適用されます。

所得税の申告と納税は通常、年に一度行われます。サラリーマンや公務員などの場合、所得税は源泉徴収という形で給与から自動的に差し引かれ、年末調整や確定申告によって精算されます。自営業者やフリーランサーなどの場合は、自ら所得と支出を計算し、確定申告を行って所得税を納付します。

住民税

工場勤務の給料から天引きされるものの2つ目は、住民税です。

住民税は、日本において市町村や都道府県が徴収する地方税の一種で、その年の1月1日時点での居住地に基づいて課され、主に前年度の所得に応じて計算されます。

住民税には「所得割」と「均等割」の二つの部分があります。所得割は、個人の年間所得に応じて計算され、所得が多いほど高い税額が課せられます。一方、均等割は所得の大小に関わらず、すべての納税者に一律に課せられる固定額の税金です。これにより、住民税は累進課税的な性質を持ちつつ、基本的な公共サービスへの貢献としての性格も併せ持ちます。

住民税の納付方法は、自営業者やフリーランサーなどが直接市町村へ納付する方式と、サラリーマンのように雇用主を通じて給与から天引きされる源泉徴収の方式があります。雇用主を通じて徴収される場合、住民税は毎月の給与から一定額が控除され、その金額は年末調整や確定申告によって精算されます。

社会保険料

工場勤務の給料から天引きされるものの3つ目は、社会保険料です。

なお、社会保険料は「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「介護保険」に分かれています。一つずつ解説します。

健康保険

健康保険は、加入者が医療機関を利用した際に発生する費用の一部を保険組合や国が負担し、加入者の負担を軽減することを目的としています。

特に、社会保険は、フルタイムで働いているサラリーマンや公務員などが加入する制度で、職場を通じて加入します。これは、加入者と雇用主が保険料を分担し、加入者は医療費の一部を負担します。

健康保険の適用範囲には、診療費、薬代、入院費などが含まれますが、美容整形や健康診断など、一部の医療サービスは適用外の場合もあります。また、健康保険は、出産手当金や高額医療費の支援など、さまざまな福利厚生も提供しています。

厚生年金

厚生年金は、日本における社会保障制度の一環として設けられた公的年金制度の一つで、主に企業に勤務する従業員や公務員などが加入対象となります。

厚生年金の保険料は、加入者の給与に基づいて計算され、給与から自動的に天引きされます。同時に、雇用主も加入者の保険料に相当する額を負担します。加入者が退職後、あるいは一定の年齢に達すると、これまでの加入期間や保険料の納付額に基づいて年金が支給されます。

年金の支給額は、加入期間の長さや納付した保険料の総額によって異なり、長期間厚生年金に加入しているほど、また高い給与で働いているほど、受け取れる年金額は多くなります。また、厚生年金は国民年金と併せて支給されるため、退職後の生活の基盤となる重要な収入源です。

雇用保険

雇用保険は、働いている人々が一定の条件下で職を失った際に、一時的な失業給付を受け取ることができる保険制度です。

雇用保険には、正社員だけでなく、パートタイムや契約社員など、一定の条件を満たすすべての労働者が加入することが義務付けられています。保険料は、雇用主と労働者が共同で負担し、労働者の給与から自動的に控除される形で納められます。

失業給付の支給は、失業者が新たな職を探す間の生活を支えるためのもので、支給期間と金額は、加入期間や年齢、離職の理由などによって異なります。また、雇用保険は単に失業給付を提供するだけでなく、職業訓練やキャリアアップのためのサポートも行い、失業者が再就職を目指す際の支援も提供します。

介護保険

介護保険は、高齢者や障害者が必要とする介護サービスを支援するための日本の公的な保険制度です。介護保険制度は、40歳以上のすべての国民が保険料を支払い、加入することになっています。

介護保険制度を利用するには、まず介護が必要であると認定される必要があります。認定は、申請者の身体的、精神的状態を評価し、どの程度の介護が必要かを決定します。この認定に基づいて、介護サービスの利用計画が作成され、利用者は在宅介護やデイサービス、ショートステイ、介護付き老人ホームなど、さまざまな介護サービスを受けることができます。

介護保険は、利用者が自己負担をする形でサービスを受けられるように設計されていますが、費用の一部は保険から支給されます。この自己負担の割合は、利用者の所得によって異なり、低所得者はより低い割合でサービスを受けることができます。

その他の天引き

その他の天引きされるものとしては、「労働組合費」と「共済費」があります。

労働組合費は、労働組合のメンバーが支払う会費で、組合が運営するための基本的な資金源です。この費用は、組合が行う様々な活動、例えば労働条件の交渉、労働者の権利保護、職場の改善提案、労働関連の教育やトレーニングなどに使用されます。

一方、共済費は、労働者が加入する共済組合に定期的に支払われる費用で、主にメンバーの福祉や互助を目的としています。共済組合は、病気や怪我、退職、その他の緊急の事態に対して、経済的な援助やサポートを提供することが主な目的です。

工場勤務は手当で手取りが増えることもある

工場勤務において、基本給に加えて支払われるさまざまな手当は、総収入を大幅に増やす可能性があります。例えば、時間外労働や休日労働に対する残業手当、特定のスキルや資格に対する技術手当、夜間や早朝の勤務に対する夜勤手当などがこれに該当します。

これらの手当は、通常の勤務時間を超えた労働や特定の条件下での労働に対して支払われるため、労働者がこれらの条件を満たす場合、その結果として手取り額は増加します。特に、一定の条件下で定期的にこれらの手当が支払われる場合、工場勤務者の月収は基本給だけではなく、これらの手当によって大きく左右されることになります。

したがって、工場勤務では、これらの手当が収入に大きな影響を与える要素となるのです。