物流業界

【取材レポート】DX推進・人材育成・M&Aに悩む方必見!成功企業と経営コンサルのプロがノウハウを提供

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今後の事業先行きを不安視している物流企業は多くあります。人員不足や人件費・燃油の高騰、利益率の低下、後継者など、あなたの会社もこれらの問題が当てはまるのではないでしょうか?

長期的に経営していくには、ビジネスモデルの転換や企業体質の強化が欠かせません。

成功企業の秘策が多数公開された『物流フォーラム』が開催

国内物流会社の決算数値を分析すると、営業利益率5%以上の会社は全体の約14%、営業利益率10%以上の会社は全体の約5%しかありません。

今後は、人材確保のためにも、給与水準の引き上げや、働く環境改善への投資や自動化、デジタル化のための投資も重要です。

今回、日本の経営コンサルティングのパイオニアであるタナベ経営が『物流フォーラム』を開催しました。DX推進・人材育成・M&Aにおいて成功しているフジトランスポートや日立物流、また物流業界のDX推進における権威である東京大学の西成活裕教授が登壇し、サステナブル・ロジスティクスの実現を目指すうえで必要なポイントについて講演されました。

本記事では、それらの講演内容を詳しくレポートしています。

運送業に限らず、製造業・卸売業・小売業など、物流部門をお持ちの企業や荷主企業で課題をお持ちの方もぜひ最後まで読み進めてください。

【講演レポート】フジトランスポート社長登壇!コロナ禍でも成長する運送会社の仕組み

フジトランスポート株式会社 代表取締役 松岡 弘晃 氏

フジトランスポートはコロナ渦でも積極的に事業を進め、今や全国116拠点まで拡大を続けている総合物流企業です。本フォーラムでは代表取締役の松岡 弘晃氏が登壇し、フジグループが奈良の地場運送会社から全国にネットワークを広げるほどに成長を遂げた現在までの取り組みが明かされました。

フジグループの会社概要

会社名フジホールディングス株式会社
代表取締役松岡 弘晃
本社所在地東京都港区海岸1丁目4-22 SNビル 7階
設立年月日2011年10月28日
資本金4,000万円
取引先約800社
グループ年商485億円(2022年6月決算)
従業員数2,830名(2022年8月1日)
車両台数2,420台(2022年8月1日)
ホームページhttp://www.fujitransport.com/

コロナ禍のピンチをチャンスに!フジトランスポート成功の秘訣

2020年から新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るう中、この2年間でフジグループ全体の売上はなんと約130億円まで増加しました。また、多くの企業が倒産したリーマンショック直後にも、フジグループは売上を30億円アップさせることに成功しています。他社との明暗を分けた理由は一体、何なのでしょうか。

フジグループ拡大の秘訣とも言える松岡氏の取り組みについて、本記事では4点ご紹介します。

秘訣1:積極的なM&A

フジグループがネットワークを拡大できた1つ目のカギは、積極的にM&Aを行ってきた点です。

ただし、闇雲にM&Aを行うのではありません。松岡氏は、M&A後に買収した企業の管理を細かく行ってきました。

  • 従業員と個人面談を行い、会社の問題や改善点をヒアリング
  • どういった仕事を行っており、それらがどこからどこまで運んでいるかの動態管理を行う
  • ドライバーと社長がLINE友達となり、問題があればすぐに解決に動く

こういった現場レベルでの細かい管理を行うことで買収企業の立て直しにも取り組み、M&Aを次々に成功させてきました。

秘訣2:車両への積極投資

2つ目は車両への投資です。フジグループは、この2年間で約600台ものトラックを購入しました。

松岡氏は、「単にトラックを購入するのではなく、最大公約数の車両を用意することが大事」といいます。

運送業の場合、運送会社側が荷主の荷物に合わせた車両を用意することが一般的です。しかしながら、その案件が無くなった場合、購入済みの車両は同様の荷物にしか対応できません。

どんな荷物にも柔軟に対応すべく、以下の条件に適した車両を用意すべきです。

  • 取引先専用車両でないこと
  • 積載効率の良い10mボディ車
  • 効率化で回送コストを下げられること
  • 乗務員の労働生産性の向上が実現できること
  • 仕事の増減に対応できること

これらをポイントとして、フジグループは2010年にスーパーマルチトラックを完成させました。

「低床車両・荷台全長10m・エアローラー」のトラックを導入したことでさまざまな案件に対応できるようになり、空車回送を低減することでフジグループの生産性が格段に上がりました。

秘訣3:整備工場・給油所の自社保有

3つ目は整備工場のM&Aを積極的に行い、整備の内製化を進めた点です。

整備を内製化すると、コストが3〜4割削減できます。また、整備士が必要とする道具や設備を積極的に導入して職場環境を整えることで、良い人材が集まってきます。

また、給油所を自家用にすることで年間で2億円のコストセーブを達成しました。給油額が抑えられるだけでなく、自社内に給油所を設けることによって、ゆくゆくはドライバーの労働時間短縮にもつながります。

初期投資はかかりますが、年間コストや従業員の労働時間を考えると、給油所を自社保有するメリットは大きいと松岡氏は話します。

秘訣4:トラック・コストの「見える化」

4つ目はDX化の導入です。

フジグループは車両位置などをGoogleMap上に表示する動態管理システムを自社開発しました。この自社開発したシステムはM&Aをした会社にも導入し、そうすることでフジグループ全体の動態を適切に把握できているといいます。

運賃・請求や給与計算、支店採算や労務管理なども、フジグループは自社開発のシステムで行っています。これによってコストの見える化が進み、採算の改善を実現しました。

人材が集まる会社を目指して

フジグループでは、こういった事業に対する取り組みだけでなく、現場を動かすドライバーの採用にも力を入れています。

「将来のビジョンを数字にして明確にする」など、応募を検討するドライバーが見るホームページの内容にこだわっているほか、SNSも活用しています。

Facebookやインスタなどで社内の行事を紹介したり、現役ドライバーがYoutuberとして、現場の声を発信しています。実際の働き方が目に見えてわかることによって、長距離トラックに興味をもつ若者などが多く集まり、求人への応募が大幅に増加しました。

【講演レポート】日立物流が明かす!事故リスクの大幅低減に成功した秘訣

株式会社日立物流 営業統括本部 輸送事業強化PJ SSCV強化グループ長 南雲 秀明 氏

次に、日立物流の営業統括本部・南雲氏による「輸送事業の課題解決に向けて~DX化による事故リスク低減と輸配送業務効率化の取り組み~」をテーマにした講演です。

輸送課題を解決する「SSCV-Safety」という自社開発システムの紹介や、それを活用した取り組みについて明かしました。

日立物流の会社概要

会社名株式会社日立物流
代表者髙木 宏明
本社所在地東京都中央区京橋2丁目9番2号 日立物流ビル
設立年月日1950年2月
資本金168億200万円
売上収益7,436億円(2022年3月期)
連結社員22,918人(2022年3月末現在)
HPhttps://www.hitachi-transportsystem.com/jp/

日立物流が自社開発した「SSCV-Safety」

SSCV-Safetyとは、ドライバーの健康と安全を同時に見守り、事故リスクを予測する‘‘事故を未然に防ぐこと‘‘を目的に日立物流が開発したソリューションです。

開発のきっかけとなったのは、同社のとある営業所で、半年間に3件もの追突事故が連続して発生したことでした。

そこで、事故車両を運転していたドライバーへ事後ヒアリングを行ったところ、いずれも事故の直前にスマホ操作や居眠り、脇見運転をしていないことが判明しました。代わりに浮かび上がったのは、「奥さんが闘病中で悩んでいた」「親の介護で慢性的に精神疲労を抱えていた」といった背景です。こういった通常の出発前点呼では把握できない機微な背景が間接的な原因となって、運転中に「見ているようで見えていない」漫然運転の状態を引き起こし、事故に繋がっていました。

SSCV-Safetyは、こういった体調起因の事故からドライバーを守るために開発されました。

ドライバーを加害者にも被害者にもさせない!事故未然防止への取り組み

1件の重大事故を防ぐためには、その裏にある300件のヒヤリハットを全滅させることができれば論理的に回避することができます。

そのため、テクノロジーを活用して300件のヒヤリハットをリアルタイムで可視化することで未然に防ぐことを考えました。

日立物流は納得のいくソリューションを求め、産官学との連携で共同開発に着手しました。

SSCV-Safetyの機能

SSCV-Safetyには3つのDXが備わっています。

機能1:予測する"DX"

出発前にドライバーの体温や血中酸素濃度、血圧などを測定します。SSCVのダッシュボードには、体調総合判定とヒヤリハット予報が表示され、管理者にも共有されます。
ここで注意と表示されれば、点呼時に手厚くフォローを行い、事故を未然に防ぎます。

機能2:見守る"DX"

カメラ付きの通信型ドラレコやバンド型デバイスによって、運行中のドライバーの危険運転や危険状態を検知することができます。また、脈拍センサーで疲労度をチェックするなど、ドライバーの疲労を個人別に判定し、明らかに普段と異なる場合は音声で通知し、状態の改善を促すことができます。

さらに危険な状況が発生した場合には、管理者への通知も行います。

機能3:振り返る"DX"

帰着後、1日の運行の軌跡をマップで表示し、あらゆるヒヤリハットを簡単に振り返ることができます。

ヒヤリハットのあった場所の画像や動画を切り出し、その部分について、管理者がドライバーと共有し、教育することができます。

帰着時の点呼は形骸化されがちでしたが、振り返るDXによって当日のヒヤリハットをその日のうちに確実に潰し、翌日以降の改善に繋げることができました。

導入後の実績

SSCV-Safetyの導入後、日立物流では2016年以降漫然運転に起因した車両事故が0件となったほか、ヒヤリハットイベントの総発生件数が94%も減少しました。

また、「ドライバーとのコミュニケーションが活性化した」、「公正な評価が可能となった」、「教育の質が上がった」などの効果も現れています。

2021年には国土交通省の実証実験にも点呼の確実性を測る手段として採用され、SSCV-Safetyはドライバーの健康と安全を同時に見守りつつ、事故リスクを予測することができる唯一無二のソリューションとしての役割を担っています。

【講演レポート】東京大学の西成教授が「物流に必要な第3の人材」を解説

東京大学 先端科学技術研究センター 教授 西成 活裕 氏

ゲストとして最後に登壇したのは、東京大学の西成活裕教授です。「物流業界のDX推進のための人材育成について」をテーマに講演しました。

西成教授について

西成教授は東京大学先端科学技術研究センターで、「車・人・モノ」の流れをスムースにする科学「渋滞学」の第一人者として研究を行っています。

人やモノの流れをいかにスムースにするかをテーマとした西成教授の研究は30年にもわたります。過去には渋滞学という著書において講談社科学出版賞を受賞、科学技術振興機構「さきがけ」や企業との共同研究を行っており、その数は100社以上を誇ります。

西成教授のその他の経歴はこちら

DX推進には「文理融合型」の第3の人材が求められる

物流業界はこれまで文系の人材が多く、理系の参入は多くありませんでした。

現場業務だけでなく経営側にも、現場で経験を積んだ「第1の人材」が多くいるのがこれまでの物流業界でした。

しかしながら、今後DXの活用は物流業界にも不可欠であり、DX戦略の構築と推進を図るためにIoTやAIといった理系分野に知見を持った「第2の人材」も必要です。

そこで、第一と第二の両方を兼ね備えた、つまり現場への知見を持ちつつも、プログラミングやAIに長けた分離融合型の「第3の人材」こそが、今もっとも物流業界に必要だと西成教授は話します。

今後の物流業界は「全体最適化」がキーであり、これを実現する第3の人材育成と輩出を目的として、東京大学では先端物流科学寄附講座が開講されています。ここでは数学やロボットをテーマにした講義だけでなく、実業団による講義も行っています。そうすることで、理系知識のみならず、物流会社・国の取り組みや課題を把握できる高度物流人材を育成しています。

実際に、西成教授のもとで物流科学を学んだ東京大学の学生のうち、物流業界に就職を決めた方もいます。今後、東京大学以外の大学・大学院もこうした文理融合の分野に特化したカリキュラムを準備することで、製造・倉庫・輸送交通といった全体を見渡すことのできる大局観を持った高度人材を国全体で増やしていくことが重要です。

【講演レポート】タナベ経営直伝!顧客にも従業員にも選ばれる会社に不可欠な中期ビジョンの重要性

株式会社タナベ経営 北陸支社長 物流経営研究会 サブリーダー 番匠 茂 氏

フォーラムの最後には、タナベ経営の北陸支社長を務める番匠氏が「人が集まる物流会社のビジョン構築」をテーマに講演されました。

人が集まる物流会社を目指すには、ビジョン構築が必須!

優秀な人材・顧客に支持される会社になるためには、自社のビジョンを「顧客・社員・社会」に広く知ってもらうことが重要です。

ビジョンが明確でなければ、会社と同じ方向に向かって社員を成長させたり、取引先と協業していくことはできません。

支持される会社になるためには、中期ビジョン・中期経営計画を構築することです。とりわけ、「ビジョン2030」を策定することが理想的です。

「ビジョン2030」とは、2030年に自社のありたい姿を考え、ビジネスモデル(事業の強み)や組織、資本、DXといったことをその「ありたい姿」に揃えて検討する長期経営計画です。

こういった先々のビジョンを明確に立てることによって、以下のメリットがあります。

  • 価値観の違う社員を、目的共有の同志・パートナーとして繋ぐことができる
  • レールを敷くことによって、脱線した状態に気づくことができる
  • 全社員の道しるべが作られ、未来先行型の経営ができる

社員と共に自社の「未来を創る」のが、中期経営計画です。あるべき姿・ありたい姿を考えてから、そこから逆算することでプロセスが明確になり、社員や顧客の支持を得た会社となることができます。

編集部のまとめ

長期的に安定した経営を進めるためにはビジネスモデルから検証していかないといけません。

DX化やM&Aといった手法も重要ですが、しっかりとしたビジョンを掲げることも大切です。

ビジョン構築について、作り方がわからない、どこから手をつければいいかわからないという方はタナベ経営が開催している「物流経営研究会」の入会をおすすめします。

物流経営研究会では、"選ばれる物流会社"をテーマに年6回、視察・講演会を開催しています。

経営者の講義を受けたり、参加企業との交流をはかったりすることで自社の価値の見直しを行い、企業の良さを再認識すると同時に、さらにヒト・顧客・社会から、"選ばれる"会社を作り上げるノウハウを学ぶことができます。

参加方法に関しては物流経営研究会のホームページから申し込みことができます。
物流経営研究会の申し込みはこちら

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