「これから物流業界を目指します」という方の中には、「物流営業ってなに?」と考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、物流営業の仕事内容、物流営業の仕事をするメリット・デメリット、物流営業に必要なスキルや資格などについて解説します。
物流営業とは:法人向けに物流サービスを販売する仕事
物流営業とは、物流業界において、「新規顧客の開拓」や「既存顧客との関係維持・強化」を行う営業職のことを指します。
物流営業担当者は、顧客のニーズに応じた物流サービスを提案し、物流コストや配送効率の最適化を図ることが主な業務です。
関連記事:物流コンサルタントとは?仕事内容や将来性をわかりやすく解説
物流営業の仕事内容
物流営業担当者の主な仕事内容は以下の通りです。
- 新規顧客の開拓:顧客のニーズを把握し、適切な物流ソリューションを提案することで、新たな顧客との取引を開始させることを目指す
- 既存顧客との関係維持・強化:顧客との良好な関係を維持し、継続的な取引を促進するために、顧客の物流ニーズに対応したサービスの提供や問題解決に取り組む
- 物流サービスの提案:顧客企業の物流ニーズに合ったサービスを提案することで、物流コストの削減や効率化を実現する
- 営業戦略の策定・実行:顧客の獲得や売上目標達成のために、市場調査や競合分析、営業戦略の策定などを行う
このように、物流営業担当者は物流業界の知識や経験だけでなく、コミュニケーション能力や交渉力、問題解決能力なども求められます。
関連記事:物流業界の志望動機の書き方とは?良い例と悪い例も紹介
物流営業の年収:約400〜500万円
大手転職サイトdodaの2021年9月~2022年8月の調査では、営業系職種の平均年収は439万円となっています。
加えて、物流部門を持つ総合商社の営業の平均年収は479万円と、営業全体の平均よりもやや高めの結果です。
企業規模の大きい総合商社というアドバンテージこそありますが、物流営業は営業という職種の中では比較的高めの年収を得られる可能性があります。
出典:doda「平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】」
出典:libertyworks「物流営業とは?物流業界の営業職に有利なスキルと確実な転職成功法」
物流営業の仕事をする3つのメリット
物流営業は、商品の移動や保管など、物流に関する一連の業務を手がける重要な業種の1つです。そんな物流営業のメリットを3つ紹介します。
成長産業であるため需要が高い
物流営業の仕事をするメリットの1つ目は、成長産業であるため需要が高いことです。
近年、EC(電子商取引)の普及により、インターネットを介した商品取引が急速に増加しており、それに伴って物流業界も成長を続けています。
このような背景から物流営業は安定した需要が見込まれ、将来性が非常に高い職種と言えます。
就職先次第では大規模なプロジェクトに携われる
物流営業の仕事をするメリットの2つ目は、就職先次第では大規模なプロジェクトに携われることです。
物流業界には大手企業や国際的な事業を展開している企業が多く、これらの企業で働くことによって、
国内外をつなぐ物流プロジェクトや大規模なサプライチェーン管理に関わるチャンスが増えます。
そして、こうしたプロジェクトに携わることで、ビジネスや物流業界に対する理解を深め、貴重な経験やスキルを習得することができます。
また、大規模プロジェクトでは多様な業界のクライアントとのやり取りがあるため、幅広い人脈を築くことも可能です。
やりがいを感じやすい
物流営業の仕事をするメリットの3つ目は、やりがいを感じやすいことです。
物流営業では、お客様とコミュニケーションを取りながらニーズを把握し、それに応じた効率的な物流プランを考案することで、お客様のビジネスの成長やコスト削減に直接貢献しています。
また、物流業界の営業職は、新規取引先の開拓や既存取引先の維持など、自社の成長に貢献することができるため、達成感や喜びを感じやすく、やりがいのある職種と言えます。
物流営業は時には困難な課題に直面することもありますが、それを乗り越えることで自己成長を感じることができ、長期的なキャリア形成にも繋がります。
関連記事:物流管理とは?具体的な仕事内容と物流管理システムについて
物流営業の仕事をする2つのデメリット
このように、あらゆる面でメリットがある物流営業の仕事ですが、一方でデメリットも存在します。
ここでは、物流営業の仕事をするデメリットを2つ紹介します。
他業界への理解が必要
物流営業の仕事をするデメリットの1つ目は、他業界への理解が必要なことです。
物流営業は、さまざまな業界のクライアントと取引を行うため、お客様のビジネスモデルや業界動向を把握することが重要です。
そのため、物流営業担当者は単に物流業界の知識だけでなく、幅広い業界に関する知識や情報収集が求められます。
このような他業界への理解が必要とされることは、物流営業の魅力である一方で、知識やスキルの習得に多くの時間と労力を要することからデメリットと捉えられることもあります。
ただし、多様な業界に精通することで、柔軟な発想力や幅広い視点を持つことができるため、長期的なキャリア形成には有益な経験となります。
予期せぬトラブルや天候の影響を受けやすい
物流営業の仕事をするデメリットの2つ目は、予期せぬトラブルや天候の影響を受けやすいことです。
物流業界は、商品の輸送や配送に関わるため、運送中の事故や遅延、悪天候などの外的要因によって、予定通りのサービスが提供できないことがあります。
物流営業担当者は、こうした予期せぬトラブルに対処し、クライアントに適切な対応を提案する責任があります。
しかし、このような状況下での対応力や問題解決スキルを身につけることは、自己成長や他業界での転職にも有益な経験となり得ます。
物流営業に向いている人の特徴
物流営業に向いている人には以下のような特徴が共通しています。
- コミュニケーション力がある
- 問題解決能力が高い
- 学習意欲がある
- 誠実さと責任感がある
これらの特徴に当てはまる人は、物流営業の仕事に適性があると言えます。
物流営業に必要な3つのスキル
物流営業に自分が向いているかどうかわかって実際に物流営業の仕事に就きたいと思った方もいるでしょう。
そこでここでは物流営業に必要なスキルや資格を5つ紹介します。
会話力
物流営業に必要なスキルや資格の1つ目は、会話力です。
物流営業担当者は、顧客や取引先とのコミュニケーションが日常業務の中心となります。
そのため、会話力が求められることが多いです。
会話力とは相手の話を丁寧に聞くリスニング力や、自分の意見や提案をわかりやすく伝えるスピーキング力の他、適切な言葉遣いや表現力を持って、
相手に好印象を与えることができる能力です。
また、質問力や相手の意見に対して適切なフィードバックを行うことも、円滑なコミュニケーションを実現する上で重要です。
論理的思考力
物流営業に必要なスキルや資格の2つ目は、論理的な思考力です。
物流営業担当者は、顧客の物流ニーズを解決するために、効率的で最適な物流ソリューションを提案する役割を担っています。
そのため、情報を整理し、論理的に考える力が重要となります。
論理的な思考力とは、情報を収集し分析し、筋道を立てて考えることができる能力です。
物流営業では、顧客からの情報や業界の動向をもとに、適切な物流戦略や施策を立案する必要があります。
その過程で、論理的な思考力を駆使して、効果的な提案を組み立てることが求められるのです。
提案力
物流営業に必要なスキルや資格の3つ目は、提案力です。
物流営業担当者は、顧客の物流ニーズや課題に対して、効果的で最適な物流ソリューションを提案する役割を担っています。
そのため、顧客に納得感を持ってもらえる提案を行う力が重要です。
提案力とは、顧客の要望や課題を正確に把握し、それに対する解決策を明確に提示できる能力です。
具体的には、顧客の現状を分析し、目標や期待に沿った提案を行うことが求められます。
また、提案内容をわかりやすく説明し、顧客が納得できる理由やメリットを明示することも重要です。
提案力を高めるためには、物流業界や取引先業界の知識を深めることはもちろん、営業手法やプレゼンテーション技術の習得が不可欠です。
また、顧客との信頼関係を築くことで、提案の成功率も向上することが期待できます。
物流営業に必要な3つの資格
物流営業に必要な3つの資格は、以下のとおりです。
- 物流技術管理士
- 通関士
- 貿易事務検定
物流技術管理士
物流営業に必要なスキルや資格の1つ目は、物流技術管理士です。
物流技術管理士は、物流業務に関する専門知識や技術を有することを認定する資格で、業界内で広く認知されています。
物流技術管理士は、物流の企画・管理・運用に関する知識や技術、物流コストやリードタイムの削減、物流品質の向上などについての理解が求められます。
また、この資格は、物流に関連する法令や基本的な経済・経営知識もカバーしています。
物流営業担当者が物流技術管理士の資格を取得することで、顧客の物流ニーズや課題に対してより適切な対応を取れるようになるのです。
通関士
物流営業に必要なスキルや資格の2つ目は、通関士や貿易事務検定の資格です。
これらの資格は、国際物流や貿易に関する知識を証明するもので、特に国際物流を扱う企業の営業担当者にとって有益です。
通関士は、国際貿易における関税や輸出入の規制、通関手続きに関する専門知識を認定する資格です。
通関士の資格を持つ営業担当者は、顧客に対して関税や通関手続きに関する正確なアドバイスができるため、信頼性が向上します。
貿易事務検定
貿易事務検定は、国際取引に関わる一連の業務手続きや文書処理、貿易法規や金融商品などの知識を測る資格です。
貿易事務検定を取得することで、顧客への提案やサポートがよりスムーズに行えるとともに、国際物流に関するトラブルの対応力も向上します。
通関士や貿易事務検定の資格を持つ物流営業担当者は、顧客から高い評価を受けることが期待でき、競争力を向上させることができます。
なお、通関士の詳細に関しては税関のサイトをご覧ください。
物流営業が活躍できる職場
物流営業が活躍できる職場は、物流業界の多様な企業や組織に広がっています。以下に主な職場の例を挙げます。
- 物流会社
- 製造業
- 商社・流通業
- 物流システム開発企業
これらの職場で、物流営業は顧客の物流ニーズや課題を解決し、業務効率や利益向上に貢献する役割を担っています。
物流業界の発展と共に、物流営業が活躍できる職場はさらに多様化することが予想されます。
物流営業でキャリアアップする方法
物流営業がキャリアアップするには、以下のポイントに注意して、自己研鑽と経験を積むことが重要です。
知識・スキルの向上 |
・物流業界の動向や最新技術、関連法規などの幅広い知識を身につけることが求められる |
資格取得 | ・物流技術管理士や通関士、貿易事務検定などの資格を取得し専門知識を証明することで、市場価値を高められる |
経験の積み重ね |
・物流営業としてさまざまな業界や企業との取引を経験し、実績を積むことで信頼性が向上する |
ネットワーク構築 | ・物流業界内外の人脈を築くことで、新たなビジネスチャンスや情報収集の機会が広がる ・業界団体やセミナーなどで積極的に交流し人脈を広げる |
管理職・リーダーシップの習得 | ・営業チームのマネジメントや新人育成など、リーダーシップを発揮する機会を増やすとキャリアアップの道が開ける |
これらのポイントを意識しながら、物流営業としての実力を磨いていくことで、キャリアアップが期待できます。
物流業界の発展と共に、自身のスキルや経験を活かして、さらなる成長を目指しましょう。
物流営業に転職する場合の志望動機の書き方と例文
物流営業の職種に限らず、志望動機のクオリティは面接や書類選考の合否を分ける大きなポイントとなります。
そこで、ここでは物流営業に転職する場合の志望動機の書き方と実際の例文を紹介します。
志望動機の書き方
物流営業の選考を受ける際、志望動機は「何故物流業界なのか」「何故その物流企業を選んだのか」「何故営業職にしたのか」の3つを軸に考えると書きやすくなります。
まず、物流業界の特徴や現状を理解したうえで志望動機を考えてみましょう。
そして企業ごとに研究して自分の考え・やりたいこととの共通点を見つけましょう。
志望動機の例文
志望動機の書き方が分かったところで次は実際に書いていきましょう。
ここでは様々なパターンの例文をご紹介しますので、是非活用して下さい。
物流営業の経験がある人
私は、これまでの物流営業経験を活かし、新たな環境で顧客の物流課題に挑戦し、成果を出すことに喜びを感じます。
以前、ある食品製造企業の物流コスト削減プロジェクトを担当した際、輸送ルートの最適化や効率的な在庫管理を提案し、同社の物流コストを20%削減することに成功しました。
この経験から、物流営業の仕事が顧客のビジネスに直接的なインパクトを与えることを実感し、さらなる成果を求める意欲が高まっています。
また、御社の多様な物流サービスや国際展開に魅力を感じ、自身の市場価値を向上させたいとも考えています。
具体的には、御社が展開する最先端の物流技術やソリューションを活用し、顧客の物流課題をより効果的に解決することを目指しています。
御社で働くことにより、これまでの経験を活かしながら、新たなスキルや知識を身につけ、物流営業として更なる成長を遂げるつもりです。
他業界で営業経験がある人
私は、これまで別業界で培った営業経験を活かしつつ、物流業界で新たな挑戦をしたいと思い御社を志望しました。
私が従事していたIT業界での営業では、顧客とのコミュニケーションを大切にし、ニーズに応じた提案を行うことで、継続的な取引を築いてきました。
特にある大型プロジェクトでは、顧客のシステム導入に伴う課題を解決する提案を行い、受注に成功したことがあります。
この経験が営業力を高め、多様な課題解決に自信を持つきっかけとなりました。
物流業界は、グローバル化やeコマースの発展に伴い、今後も需要が増え続けると考えています。
そんな成長産業で営業活動を展開することで、自身の市場価値を向上させるチャンスがあると感じております。
御社の幅広い物流サービスや国際的な展開に魅力を感じ、自身の営業力を最大限に発揮できる環境だと思います。
御社で働くことでこれまでの営業経験を活かしながら、物流業界の専門知識を習得し、より幅広い分野での営業活動を通じて、顧客の物流課題解決に貢献できると確信しています。
物流業界で他職種の経験がある人
私は、これまでの物流業界での職種経験を活かし、営業という新たなチャレンジを通じて顧客の物流課題解決に貢献したい想いで御社を志望しました。
以前は物流業界で倉庫管理業務に携わっていましたが、その経験を通じて、顧客の物流ニーズに直接寄り添う営業の重要性を痛感しました。
ある時、緊急の在庫切れが発生した際に、営業担当が迅速かつ的確に対応し、顧客の信頼を維持できたエピソードが印象的でした。
その時から、自身も営業職にチャレンジして物流課題の解決に貢献したいと思いました。
物流業界の経験を活かし、御社の営業チームに加わることで、顧客の物流ニーズに対する理解力や効率的な運用提案ができると確信しています。
御社の幅広い物流サービスや国際的な展開に魅力を感じ、自身の業界経験を最大限に活かせる環境だと感じております。
御社で働くことによって、これまでの業界経験を活かしながら、営業スキルを磨き、顧客とより密接な関係を築くことができると考えています。
物流業界の求人の動向と将来性
ここまでは、物流営業の仕事を具体的に解説してきましたが、物流業界そのものの現状や将来性はどのようになっているのでしょうか。
物流業界の求人の動向
物流業界の市場規模は確実に拡大しています。理由としては新型コロナウイルス感染症の拡大や、インターネットサービスによる通販市場が拡大したことがあげられます。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、リモートワークやオンライン授業が増え家で過ごすことが多くなり、日用品をインターネットで購入する人が増加しました。
また、インターネットを通じてどこでも手軽に物のやり取りができるようになったことも大きいでしょう。
物流業界の将来性
物流業界の将来性として今後はAmazonや楽天で物流システムや物流ロボットの導入、トラックの自動運転やドローンの活用、そしてAI技術を利用した業務効率化が進んでいくでしょう。
法改正により少しずつこれらが進んでおり、業界全体の効率化や働きやすさなどどんどん進化を遂げていくと考えられます。
物流業界は私たちの生活になくてはならない存在であり、今後なくなることは考えにくいです。
インターネットサービスも更に普及して物流業界は発展していくことでしょう。
物流営業に関してよくある質問
ここでは、物流営業に関してよくある質問に回答します。
物流営業は未経験でもなれる?
物流営業は未経験者でもなれる職種です。
多くの企業では、新入社員や転職者に対して研修プログラムを用意しており、物流業界の基本知識や営業スキルを身に付ける機会が提供されています。
研修期間中に、物流に関する専門知識や業界動向、営業戦術を学び、先輩社員から実践的なアドバイスを受けることで、未経験者でも物流営業として活躍することが可能です。
また、営業経験がある場合や、他業界での知識やスキルが物流営業に活かせる場合もあります。
コミュニケーション能力や問題解決能力、交渉力などは、営業職に共通するスキルですので、未経験者でもこれらの能力があれば、物流営業で成功するチャンスがあります。
さらに、継続的な自己研鑽や業界情報の収集を行うことで、物流営業としての専門性を高めることができます。
国際物流の営業の仕事内容は?
国際物流の営業の仕事内容は、主に国際的な物流サービスを提供する企業や取引先との関係構築、既存顧客のフォローアップ、新規顧客開拓などが含まれます。
具体的には以下のような業務が挙げられます。
- 国際物流に関する顧客ニーズの把握と提案活動
- 顧客との契約交渉
- 国際物流に関する法規制や手続きのサポート
- プロジェクト管理
- 営業戦略の立案と実行
国際物流の営業では、輸出入に関わる法律や規制、通関手続き、国際取引に関する知識が求められるため、これらの専門知識を身に付けることが大切です。
また、英語やその他の外国語が必要になる場合もあるため、語学力の向上も重要です。
物流営業向けの営業のコツは?
物流営業のコツとしては、成約の見込みが高い顧客を把握して、その顧客を中心に営業アプローチをしていくことがあげられます。
これにより営業効率を改善することができ、人手不足の解消にも繋がります。
また、WebサイトやSNSを活用しオリジナルコンテンツの発信や自社商品の紹介を積極的に行うことで新規顧客をゲットすることが出来ます。
オンライン商談システムを導入するのも一つの手段です。
物流営業は他の業界の営業職とどう違う?
物流営業は他の業界の営業職と違って物流営業ならではのアプローチ方法やマーケティング方法があります。特に顧客とユーザー両方の満足が求められます。
他の業界の営業職は顧客が満足していれば成功となりますが、物流営業はそう簡単にはいきません。
顧客の要望を第一に考えつつ、商品やサービスを利用する人が満足しているかも重要になってきます。
物流営業に関するまとめ
今回は物流営業の仕事について解説しました。
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