自動車整備士とは別の資格である特殊整備士は、より専門的な知識やスキルが必要な箇所の整備で活躍できます。
整備士としてキャリアアップを目指すうえで役立つ資格と言えるでしょう。
資格取得を検討しており、合格率などが気になる人もいるのではないでしょうか。
今回は、特殊整備士の合格率を中心に、資格を取得する条件などを分かりやすく解説していきます。
【この記事で分かること】 ・特殊整備士試験の合格率 ・資格を取得するために必要な3つの条件 ・資格を取得するメリット ・特殊整備士に関するよくある質問 |
特殊整備士の合格率は60~90%
特殊整備士は、修理や点検を行う箇所によって「自動車電気装置整備士」「自動車車体整備士」「自動車タイヤ整備士」の3種類が存在します。
自動車タイヤ整備士に関しては、需要が低いこともあり平成12年を最後に試験は実施されていません。
特殊整備士の試験は、学科試験と実技試験に分かれており、合格基準は以下の通りです。
学科試験(40点満点) | 28点以上で合格 |
実技試験(40点満点) | 各科目の成績が40%を超えており、合計で32点以上あれば合格 |
学科・実技試験のいずれも、7〜8割の正答率であれば合格できます。
試験実施機関である「日本自動車整備振興会連合会」によると、過去に実施された各試験(学科試験)の合格率は以下の通りです。
自動車電気装置整備士 | ・令和4年度第2回試験:74.2% ・令和3年度第2回試験:66.6% ・令和2年度第2回試験:87.1% ・令和元年度第2回試験:79.2% ・平成30年度第2回試験:59.6% |
自動車車体整備士 | ・令和5年度第1回試験:79.9% ・令和4年度第2回試験:92.8% ・令和4年度第1回試験:66.8% ・令和3年度第2回試験:95.9% ・令和3年度第1回試験:67.8% |
自動車電気装置整備士・学科試験の合格率は60〜90%、自動車車体整備士・学科試験の合格率は70〜95%で推移しています。
実技試験に関しては、専用の講習を受講すれば免除になるため、受験者数が非常に少なく合格率は公表されていません。
特殊整備士の資格に合格するために必要な3つの条件
特殊整備士の合格率について解説しましたが、資格を取得するには以下の条件を満たす必要があります。
・受験資格
・学科試験の合格
・実技試験の合格
ここでは、試験に挑戦するための条件や、各試験の詳細について解説していきます。
1.受験するための条件を満たす
特殊整備士の試験は、誰でもすぐに挑戦できるわけではなく、学歴や実務経験に条件が定められています。
受験条件の詳細は以下の通りです。
受験者 | 受験資格 |
機械工学系の学校や自動車整備の学校を卒業していない人 | 自動車整備の業務で2年以上の実務経験が必要 |
自動車整備の学校で2級整備士課程を修了している人 | 自動車整備の業務で1年以上の実務経験があること |
自動車整備の学校で特殊整備士課程を修了している場合 | 実務経験なしで受験可能 |
ちなみに、年齢に関しては15歳以上と定められています。
上記条件からすると、特殊整備士になれるのは最短で17歳ということになります。
実務経験に関しては、国の認定工場・優良認定工場での仕事しか認められません。
カーショップなどで、ワイパー交換、カスタムパーツの取り付けなどを行っていても実務経験には認められないため注意が必要です。
実務経験の詳細に関しては、国土交通省の専用ページで確認できます。
2.学科試験に合格する
試験は、車体や電気装置、タイヤに関係なく、学科試験と実技試験に分けて実施されます。
【学科試験の科目】 ・構造や機能に関する取扱方法 ・図面に関する一般的な知識 ・整備用の機械に関する初等知識 ・材料の用法と性質 ・自動車整備に関する法規や保安基準 ・点検、調整、修理、完成検査の方法 ・整備で使用する試験機や計測器、工具などの機能や取扱い方法 |
【実技試験の科目】 ・整備で使用する計量器や工具、試験機の取扱 ・点検、調整、組立、分解および完成検査 ・修理作業 ・基本工作 |
実技試験に関しては「一種養成施設」または「二種養成施設」における所定の過程を修了すれば免除されます。
一種養成施設とは、これから整備士について学ぶ人が通う、専門学校や自動車短期大学などが該当します。
二種養成施設は、自動車整備の経験がある人が通う施設で、各都道府県にある自動車整備振興会の技術講習所のことです。
ちなみに、二種養成施設で受ける「自動車整備技術講習」で実技試験が免除になるのは、講習を受講してから2年間までです。
受講したうえで、受験時に免除申請すれば学科試験のみの合格で資格取得できます。
3.実技試験に合格する
自動車整備の学校を卒業しておらず、自動車整備技術講習を受けていない場合は学科試験にも合格しなければなりません。
【実技試験の科目】 ・整備で使用する計量器や工具、試験機の取扱い ・点検、調整、組立、分解および完成検査 ・修理作業 ・基本工作 |
学科試験は受験者数が少なく、公的なデータはないものの合格率は40%ほどと言われています。
特殊整備士資格に合格すると得られる3つのメリット
自動車整備は、自動車整備士の資格があれば従事できるため、特殊整備士は必須の資格というわけではありません。
しかしながら、特殊整備士資格を取得することで、以下のようなメリットがあります。
・専門性に磨きがかかり社内評価が上がる
・市場価値が上がり転職時に有利になる
・顧客の信頼感が得られる
自動車整備士としてのキャリアアップに、資格をどう活かせるのか、詳しく解説していきます。
専門性に磨きがかかり社内評価が上がる
この資格は、電気制御箇所やボディ、タイヤにおける専門的な知識や技術を証明するための資格です。
そのため、資格を取得することで自動車整備士としての評価を上げられます。
また「特殊整備工場の優良自動車整備事業社認定」を受ける条件には、電気装置整備士が2名以上在籍していなければなりません。
これから、特殊整備工場の認定を目指すような企業でも、重宝される資格です。
市場価値が上がり転職時に有利になる
近年、電気自動車の普及が進むにつれて、電気装置の構造は複雑化してきています。
1級・2級自動車整備士でも整備できるものの、詳しく点検したり問題を見つけたうえで修理したりするのは大変です。
今後も自動車の電気化は進むため、電気装置整備士の需要や価値も高まっていくと予想できます。
お客様に信頼してもらいやすくなる
特殊整備士は、専門的な整備作業の知識やスキルを証明できるため、顧客からの信頼感も得やすくなります。
専門的な知識を身に付けることで、車の症状などを説明する際もより分かりやすく伝えられるようにもなります。
特殊整備士の合格率に関するよくある質問
最後は特殊整備士に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・二級自動車整備士に落ちたら特殊整備士になれないですか?
・特殊整備士とは何ですか?
・特殊整備士は何曜日が休みですか?
特殊整備士の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
2級自動車整備士に落ちたら特殊整備士になれないですか?
2級自動車整備士でなかったとしても、受験条件を満たしたうえで試験に合格すれば、特殊整備士になれます。
ただし、特殊整備士の資格だけでは他の箇所の点検や修理ができません。
整備士として働く場合は、2級自動車整備士の資格も必要と言えるでしょう。
特殊整備士とは何ですか?
特殊整備士とは、特定の整備分野に特化した知識や技術を持っていることを証明するための国家資格です。
「自動車電気装置整備士・自動車車体整備士・自動車タイヤ整備士」の3種類が存在します。
自動車を整備するうえで必須となる資格ではないものの、携われる業務の幅を広げられます。
自動車整備士としてキャリアアップするうえで、おすすめの資格と言えるでしょう。
特殊整備士は何曜日が休みですか?
自動車整備士が休める曜日に関しては、法律で定められていないため、勤務先の勤務体系によって異なります。
ディーラーやカーショップは、土日の利用者が多いため平日休みが一般的です。
自動車整備工場は、曜日によって忙しさが変わらないため、土日を休みとしている会社もあります。
まとめ:特殊整備士資格に合格すると転職に有利になる
特殊整備士試験は、指定の学校を卒業するか実務経験を積む必要があり、誰でも挑戦できるわけではありません。
試験は学科試験と実技試験に分かれており、一定の条件を満たせば実技試験は免除できます。
全員が受ける学科試験の合格率は60~90%ほどで推移しており、難易度の高い資格というわけではありません。
自動車整備士として成長できて、キャリアアップにも役立ちますので、整備業界で働く人は取得を検討してみてください。
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