不動産業界への就職、転職を考えている求職者には「業界への転職を検討しているけど、自分に向いているのか、やっていけるかなど少し不安」などと悩みを抱えている人もいるでしょう。
実際に、不動産業界への就職には、多くのメリットならびにデメリットもあります。しかし、デメリットについて事前に把握しておければ、不動産業界とのミスマッチも少なくなります。
不動産業界は活躍次第で大きくキャリアアップできる業界のひとつです。この記事では、不動産業界への就職を検討している方へ向けてどのような業界構造になっているかや、向いている人の特徴まで詳しく解説します。
ぜひ、不動産業界へのキャリアパスを考えたい人は最後まで読んでください。
不動産業界の主な7つの仕事内容
不動産業界には、土地や建物などの不動産に関する幅広い事業があります。不動産業界は、大きく分けて、仲介・管理・開発・販売(メーカー)の4つです。さらに、仕事内容ごとでは、7つに分類されます。
- 不動産の仲介
- デベロッパー
- ハウスメーカー
- 管理
- 投資のサポート
- コンサルティング
- 新規事業
就職の参考になるように、それぞれについて解説します。
1.不動産の仲介
不動産の仲介は、不動産の売買や賃貸の取引を仲立ちする仕事です。売りたい人や貸したい人と、買いたい人や借りたい人をマッチングさせて、契約の手続きをサポートします。
不動産の仲介は、市場動向や法律事項に精通している必要があり、宅地建物取引士の資格が役立ちます。
不動産の仲介には、売買仲介と賃貸仲介の2種類があります。売買仲介は、不動産を買いたい人に対して、要望に合った物件を紹介して販売する仕事です。売買仲介に従事する際は、金融や税務などの幅広い知識も必要です。また、個人だけでなく、企業や金融機関などとの交渉もあります。
一方で、賃貸仲介は、不動産を借りたい人に対して、要望に合った物件を紹介して契約を獲得する仕事です。賃貸仲介は、売買仲介に比べて金額が小さく、契約の手続きも簡単と言われていますが、住む人の入れ替わりが激しく、多くの物件や顧客と接する必要があります。
2.デベロッパー
デベロッパーは、土地や建物を開発する仕事です。土地の仕入れから建物の設計・施工・販売までを一貫して行います。業務内容を大きく分けると、用地取得・企画開発・販売管理の3つです。
デベロッパーは、マンションや戸建て、アパートのほか、商業施設やオフィスビルなども手掛けるので、街づくりに欠かせない存在と言われています。
3.ハウスメーカー
ハウスメーカーは、住宅を建築する仕事です。ハウスメーカーは、自社で設計した住宅のプランを提供し、お客さまのニーズに合わせてカスタマイズします。主に、新築住宅や注文住宅を手がけることが一般的です。
ハウスメーカーは、木造や鉄骨造などの構造や、デザインや機能性などの特徴で区別されています。
ハウスメーカーで働くと、自分の仕事の成果が形に残り、お客さまの笑顔を見られます。しかし、人口減少や高齢化に伴い、住宅の需要は減少傾向にあり、競争も激しいので、仕事の責任やプレッシャーも大きいようです。
4.管理
管理は、不動産の維持・運営をする仕事です。管理には、不動産オーナーに代わって賃貸物件の入居者の募集や契約、家賃の回収やトラブルの対応などの賃貸管理と、共用部分の清掃や点検、修繕などの建物管理があります。
管理は、不動産オーナーから委託を受けて行うケースが一般的です。管理の仕事をするにあたって、不動産オーナーと入居者の両方から信頼される必要があります。また、法律や市場の変化にも対応できる知識や技術が必要です。
5.投資のサポート
投資のサポートとは、不動産投資に関するアドバイスやサービスを提供する仕事です。一般的に、アセットマネージャーと呼ばれています。投資のサポートの例は、不動産の価値や収益性の分析、物件の売買、資金調達や税務の相談などです。
個人から法人の投資家までの幅広い層を対象にして、投資のサポートが行われています。
投資のサポートは、不動産投資市場の拡大に伴って需要が高まっている仕事です。不動産のプロフェッショナルとして、投資家の利益最大化がミッションであり、やりがいのある仕事と言えるでしょう。
6.コンサルティング
不動産に関する専門的な知識やノウハウを活用して、お客さまの課題を解決したり目標達成をサポートしたりする仕事です。コンサルティングには、不動産の有効活用や最適化、さらには売却や譲渡、他にも相続や贈与などのテーマがあります。そのため、一般的に、不動産オーナーや相続人などを対象にして、コンサルティングは行われています。
コンサルティングの場合は、独立開業して、年収を上限なく伸ばせる可能性もあるでしょう。
7.新規事業
新規事業は、不動産業界で、新しい価値やサービスを創出する仕事です。たとえば、近年の不動産業界での新規事業として、不動産のシェアリングやコワーキング、不動産のオンライン取引やマッチング、不動産のテクノロジー活用などが挙げられます。
新規事業は、不動産業界の変化やニーズに応えるための重要なミッションを担っています。
不動産業界に就職する前に知りたい職種一覧
不動産業界に就職する場合、担当できる職種は次の4つのいずれかです。
- 営業職
- 企画・開発職
- 管理業務
- バックオフィス
職種ごとの特徴を踏まえて就職活動できるように、それぞれについて解説します。
営業職
営業職は、不動産の売買や賃貸の仲介をする職種です。お客さまのニーズに合わせて物件を紹介したり、契約の手続きをしたりします。不動産営業の役割は、国にとって大事な資産である不動産を有効活用する社会的意義もあります。
仲介手数料や売買手数料が、営業職における収入の主な源泉です。営業職では、宅地建物取引士などの資格が重宝されます。
営業職のメリットは、お客さまの満足や感謝を直接感じられることや、成果に応じて収入が上がる点です。一方で、デメリットは、競争が激しいことや、仕事の時間がお客さまの都合によって左右されるため不規則な点です。
一般的に、営業職は、対人コミュニケーションが得意で、交渉力や説得力がある人が向いていると言われています。
企画・開発職
企画・開発職は、不動産の開発プロジェクトを企画・推進するため、業界の中でも上流に位置する職種です。土地の仕入れや設計・施工の管理、販売戦略の立案などをします。開発物件の売却や運用が、企画・開発職における収入の主な源泉です。企画・開発職には、建築士や土地家屋調査士などの資格が有効と言われています。
企画・開発職のメリットは、自分のアイデアやビジョンを形にできることや、大規模なプロジェクトに携われる点です。一方で、デメリットは、規模の大きさゆえにリスクが高い点や、長期的な視点が必要な点です。
また、企画・開発職は競争率も激しく、入社や転職は狭き門と言えます。
一般的に、企画・開発職は、分析力があり、将来の市場動向を予測できる洞察力がある人が向いていると言われています。不動産の価値を最大化するために、さまざまな課題に挑戦するやりがいのある職種です。
管理業務
管理業務は、不動産の管理や運営をする職種です。賃貸物件の入居者募集や契約更新、家賃回収や修繕などをします。管理委託料や管理費が、管理業務における収入の主な源泉です。管理業務には不動産管理士やマンション管理士などの資格が有効です。
管理業務のメリットは、業務内容が安定的であり、収入の変動が少ないことです。一方で、デメリットとして、入居者などとのトラブル対応やクレーム処理が多い点や、業務内容が単調な傾向にある点があります。
一般的に、管理業務は、組織で働くのが好きな人やトラブル解決能力があり、物事を細かく管理できる人に向いていると言われています。
バックオフィス
バックオフィスは、不動産業界の経営や運営を支える職種です。経理や人事、法務や広報などの業務を担います。業務内容が直接、売上や利益に影響を与えることの少ない仕事です。バックオフィスには、簿記や社労士などの資格が有効だと言われています。
バックオフィスのメリットは、専門的なスキルが身につく点や、業務時間が比較的規則的な点です。一方で、デメリットは、現場との温度差があったり、評価が分かりにくかったりする点です。
一般的に、バックオフィスは、細かい作業やルーティンワークが得意で、組織内の円滑な運営をサポートできる人が向いていると言われています。
バックオフィスは、不動産取引の裏方として、重要な役割を果たしています。バックオフィスの業務が適切にされると、会社の発展やお客さまの満足度向上につながるでしょう。
不動産会社に就職する人が知りたい働き方の5つの特徴
不動産会社に就職する場合、事前に業界特有の働き方を知っておくことでミスマッチを減らせます。
不動産会社の働き方の特徴は主に5つです。
- 営業職の募集が多い
- 歩合制が多い
- 個人にスケジュール管理が任される
- 平日休みが基本
- クライアントとのやり取りが多い
不動産会社にミスマッチなく転職できるように、それぞれについて解説します。
1.営業職の募集が多い
不動産業界では、営業職の募集が多いです。不動産会社の主な収益源は、物件の売買や賃貸を仲介するサービスから生まれます。したがって、お客さまのニーズに合わせて物件を紹介したり、契約の手続きを行ったりする営業職が重要な役割を果たしています。
不動産市場は常に変化しており、新しい物件や顧客を獲得するには、積極的な営業活動が必要です。また、不動産業界は、仲介や販売、管理などさまざまな事業を展開しています。そのため、不動産会社では、営業職の募集が多いです。営業力が企業の業績に直結するため、不動産会社では人材確保に注力しています。
2.歩合制が多い
不動産会社で働く場合、給与形態は歩合制である場合が多いです。不動産会社の営業職における給料は、基本給に加えて、成約した物件の価格や賃料に応じて歩合給が設けられている場合が多くあります。
歩合制が多い背景には、不動産営業では、扱う商品が高額で営業社員ごとの売上の差が大きいことが挙げられます。
歩合制は、営業職の成果に直結する報酬形態であり、高いモチベーションや自己管理能力が必要です。歩合制は、不動産会社の利益にも貢献するため、多くの不動産会社が採用しています。
3.個人にスケジュール管理が任される
不動産会社の仕事は、個人にスケジュール管理を任されるケースが多いです。不動産会社の営業職は、お客さまの都合に合わせて物件の案内や契約の調整を行う必要があります。そのため、自分のスケジュールを柔軟に管理する能力が必要です。
不動産会社では、営業職に対して、一定の目標や報告義務は設定されていますが、具体的な営業活動の方法や時間は個人に一任しています。不動産会社の営業職は、自由度が高い反面、自己責任が重い働き方と言えるでしょう。
4.平日休みが基本
不動産会社の休日は、平日であることが一般的です。不動産会社の営業職は、お客さまの多くが休日に物件を見に来ることを考慮して、土日祝日に出勤としている場合が多いです。
したがって、必然的に平日休みが基本になります。平日休みは、混雑を避けて買い物や旅行を楽しめるメリットがありますが、家族や友人との予定が合わないデメリットもあります。また、平日休みは必ずしも固定されているわけではなく、お客さまの状況によって変わることもあるようです。
5.クライアントとのやり取りが多い
不動産会社の仕事は、クライアントとのやり取りが多いです。特に、不動産会社の営業職は、物件の仲介だけでなく、お客さまのライフスタイルや希望に合わせてコンサルティングも行います。また、契約後のアフターサービスやトラブル対応も、業務の一環です。
不動産会社の営業職には、日頃からお客さまとのコミュニケーション能力や信頼関係の構築が求められます。また、クライアントとのやり取りが多く、業務を通じてやりがいや達成感は感じられますが、同時にストレスや責任も大きいようです。
不動産業界に就職する5つのメリット
不動産業界に就職を検討する場合は、事前にメリットを把握して面接などで深みのある志望動機を伝えられるようにしておきましょう。
- お客さまにとって一生に一度の買い物に関われる
- 頑張りが給料に反映される
- 未経験でチャレンジできる
- 若いうちから昇進や昇格のチャンスがある
- 地域の発展に貢献できる
就職活動に役立つように、それぞれのメリットについて解説します。
1.お客さまにとって一生に一度の買い物に関われる
マンションや戸建て住宅などの不動産購入は、一般的な消費者にとって、人生で最も高額な買い物です。お客さまの夢や希望を叶えるために、不動産の相談や契約手続きは、やりがいのある仕事です。不動産の営業を通して、お客さまの笑顔や感謝の言葉を直接聞けるでしょう。
2.頑張りが給料に反映される
不動産業界は、成果主義の業界と言われています。取引件数や取引金額に応じて、歩合給などのインセンティブが支払われるケースが一般的です。自分の努力やスキルが報われると、仕事へのモチベーション向上につながります。また、自分の収入を自らコントロールできる自由度も魅力です。
不動産の営業で積極的に成果を出し、お客さまの信頼を得られれば、高収入が期待できるでしょう。
3.未経験でチャレンジできる
不動産業界は、学歴や経験よりも、成果が重視される業界です。そのため、中途採用の選考基準で学歴や経験以上に、人柄やコミュニケーション能力を求められる場合が多くあります。実際に、不動産の営業に従事する人のうち、37.7%は高卒です。
不動産や法律の知識は業務を遂行するにあたって必要ですが、入社後の研修や勉強会で身につけても遅くはないでしょう。実際に、多くの企業で、研修プログラムやOJT(On-the-Job Training)を提供しており、基礎から学べる環境があるようです。
不動産業界は未経験でも、やる気と向上心があればチャレンジできます。不動産業界への就職を考えているならインターンの参加も検討してみてください。
参考:住宅・不動産営業 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
参考:【現役インターン生が紹介】不動産のおすすめ長期インターン5選!東京も大阪も!|ココシロインターン
4.若いうちから昇進や昇格のチャンスがある
不動産業界は、年功序列ではなく実力主義の業界です。したがって、自分の成果や貢献に応じて、早期に昇進や昇格のチャンスがあります。
若いうちからリーダーやマネージャーの役割を担うことで、さらなるキャリアアップやスキルアップが見込めます。
5.地域の発展に貢献できる
不動産業界は、地域の住環境や都市計画に関わる業界です。新しい住宅や商業施設の提供は、地域の活性化や魅力向上に貢献します。また、災害や環境問題に配慮した対応は、地域の安全や快適さの向上にもつながります。
地域の発展を支えている実感は、仕事のやりがいにもつながるでしょう。
不動産業界に就職すると考えられる4つのデメリットや注意点
不動産業界への就職は多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。
主なデメリットならびに注意点は4つです。
- 飛び込みやテレアポなど営業スタイルがきついことも
- ハードワークで残業や土日出勤がある
- 景気に左右されやすい
- 職種によっては離職率が高い
不動産業界への就職後、後悔しないために、デメリットならびに注意点について解説します。
飛び込みやテレアポなど営業スタイルがきついことも
不動産業界では、物件の売買や仲介を行う営業職が主な職種です。不動産業界の営業はかなりハードと言われています。たとえば、物件の所有者やオーナー、購入希望者や入居希望者を探すために、飛び込みやテレアポなどの営業活動を行わなければなりません。
また、お客さまのニーズに応えるために、時間や場所を選ばずに対応しなければいけないケースもあるでしょう。ハードな営業スタイルは、肉体的だけでなく精神的にも負担が大きく、ストレスや疲労が溜まりやすいです。
営業が苦手な人や、プライベートな時間を大切にしたい人には、向いていないかもしれません。
一方で、不動産会社によっては、来店型や反響型などと呼ばれる受け身の営業スタイルをメインにしている場合もあります。また、近年では、SNSなども発展しており、苦手な営業スタイルを避けて、口コミや紹介などで成果を出す営業職の人も多く存在します。
ハードワークで残業や土日出勤がある
不動産業界では、ノルマや成果に応じて給与が決まる場合が多く、売上を伸ばすためにはハードワークが必要です。売上を意識するあまり、残業や休日出勤が多くなる傾向にあります。
特に、個人向けの不動産営業では、土日祝日が繁忙期となり、平日休みが一般的です。不動産業界の営業職は、ワークライフバランスを取りにくく、家族や友人との時間が少なくなる可能性があります。さらに、ワークライフバランスが崩れると、体調不良になるリスクも高まります。
ワークライフバランスを重視する人や、健康に気をつけたい人には向いていないかもしれません。
一方で、成果がノルマや目標以上に出れば、比較的自由に勤務時間を決められる場合もあります。状況によっては、まとまった休みを取得できれば、旅行などもできるでしょう。
景気に左右されやすい
不動産業界では扱う商材が高額であるため、景気や社会環境の変化の影響を受けやすいです。景気が悪くなると、高額な不動産の売買や賃貸の需要が減少し、売上や利益にも影響が出ます。
また、昨今、テレワークの普及や少子高齢化などの社会的な変化により、不動産の需要や価値が変わる可能性もあります。
景気やの社会環境の変動に対応するためには、柔軟な発想や戦略が必要です。加えて、不安定な収入や将来性に耐えられる精神力も必要です。
安定した収入や将来性を求める人や、変化に対応するのが苦手な人には向いていないかもしれません。
職種によっては離職率が高い
不動産業界では、職種によっては離職率が高いです。特に、不動産営業は、先ほど触れたように、営業スタイルを辛く感じたり、残業や休日出勤が多かったりするデメリットがあります。
したがって、不動産業界の営業に対するモチベーションや適性が合わないと、続けるのが困難です。また、不動産業界は競争率が高く、成果を出すのが容易ではありません。成果が出ないと、給与や評価にも影響が出るため、自信ややる気を失う可能性もあります。
不動産営業のデメリットに耐えられない人は、業界を離れるケースも多いです。歩合給などのインセンティブを含めた年収の高さ以上に安定した職場環境を求める人にとって、不動産業界は向いていないかもしれません。
一方で、営業に自信がある人やモチベーション高く頑張れる人にとっては、スケジュールを自分で管理でき、収入は青天井の不動産営業が適しているでしょう。
まとめ
今回は、不動産業界への就職を検討している人へ向けて、業界構造や特徴、さらには就職するメリットやデメリットについて解説しました。
不動産業界には、いくつもの仕事内容があります。また、職種は、主に営業職、企画・開発職、管理業務、バックオフィスの4つです。特に、業界の特性上、営業職の割合が多いです。
不動産業界への就職で、業務を通してのやりがいを感じられたり、若いうちからキャリアアップできたりと魅力は多岐にわたります。一方で、不動産業界が想像していた以上にハードワークで後悔したと感じる人もいるようです。
不動産業界への就職はメリットが多くあるので、検討している場合はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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