不動産業界への就職を検討する段階で「就職先の人気ランキングを知りたい」「自分が知らない企業がないか」などと考えている人もいるのではないでしょうか。
実際に、不動産業界は人気のある業界で、平均年収ランキング上位の企業を中心に採用倍率が高いと言われています。
本記事では、就活生向けに不動産業界を「デベロッパー業界」「戸建て住宅業界」「マンション業界」の3つに分け、年収ランキング別で紹介します。
年収の高さが魅力の不動産業界における就職先を解説するので、中途の人も就職先候補としてご活用ください。
不動産業界とは?就職する前に知っておくべきこと
不動産業界は、土地や建物などの高額な資産を扱うため、大きな責任とやりがいを感じられる仕事です。近年は、少子高齢化や人口減少などの社会変化の影響を受け、事業環境は大きく変化しています。
一方では、高齢者向けの住まいづくりや、地方創生などの新しいビジネスチャンスも生まれています。就活生にとって、不動産業界は人気のある業界のひとつです。
仕事内容
不動産業界の仕事内容は、大きく4つの分野に分けられます。
- 不動産開発
- 不動産販売
- 不動産賃貸
- 不動産管理
それぞれについて解説します。
不動産開発
不動産開発は、都市や商業施設、さらにはマンションの開発などが主な仕事です。具体的には、土地の仕入れから建物の建設、販売まで一連の業務を担当します。
不動産販売
不動産販売は、土地や建物の売買を仲介したり、デベロッパーの分譲マンションを販売したりする仕事です。具体的には、お客さまのニーズに合った物件を探したり、購入手続きをサポートしたりします。
不動産賃貸
不動産賃貸は、貸主と借主の間に立って、手続きなどをサポートする仕事です。具体的には、賃貸物件の仕入れや入居者募集、賃貸借契約の締結、家賃回収などの業務を担当します。
不動産管理
不動産管理は、建物の維持管理や賃貸募集、入居者対応などをする仕事です。具体的には、賃貸物件の建物の修繕、清掃、設備管理、入居者からのクレーム対応などの業務を担当します。
求められる人材
不動産業界は、人々の暮らしや社会の発展を支える重要な役割を担っており、常に多様な人材が求められています。不動産業界で求められる人材の例は次の通りです。
- コミュニケーション能力
- 課題解決能力
- 情報収集能力
それぞれについて解説します。
コミュニケーション能力
不動産業界は、高額な商材を扱うためお客さまとの信頼関係構築が重要です。信頼関係を構築するには、お客さまのニーズを丁寧に聞き取り、的確な提案ができるコミュニケーション能力が求められます。
課題解決能力
不動産の取引は、契約などにあたって複雑な手続きを伴います。また、手続きの中で、さまざまな課題発生がつきものです。不動産業界では、課題を迅速かつ柔軟に解決できる能力が求められます。
情報収集能力
不動産の市場動向やお客さまのニーズは常に変化しています。常に最新の情報を収集し、自身の知識をアップデートし続ける能力が重要です。
大手不動産会社の業界と現状
2016年に日本銀行がマイナス金利を導入したため、不動産業界にとってはプラスの影響を受けています。実際に、不動産業界は2020年時点で、全産業の売上のうち3.3%です。さらに、法人数は2021年時点で全産業の12.8%を占めています。
また、2020年はコロナの影響で、住宅ならびに商業用の不動産価格指数が下落しましたが、2021年以降はおおむね右肩上がりです。
一方で、不動産業界では「2025年問題」が話題です。2025年問題とは、団塊の世代が後期高齢者を迎えることによって起こる事象を指します。
たとえば、昨今の少子高齢化や地方の過疎化などを踏まえて、「今後、不動産業界に逆風が吹くかもしれない」などの見方です。ただし、首都圏などの都市部では、2025年以降も引き続き「右肩上がりする」との考えを持っている人もいるようです。
参考:8 不動産業の動向と施策|国土交通省
参考:不動産価格指数、住宅は前月比 1.1%下落、商業用は前期比 1.0%上昇|国土交通省
参考:不動産業統計集 | 公益財団法人不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)
就職前に押さえたい不動産業界の年収事情
国税庁の令和4年民間給与統計調査結果によると、不動産業・物品賃貸業の平均年収は457万円と公表されています。一方で、全体の平均年収は458万円です。したがって、不動産業の平均年収はおおむね平均水準と言えるでしょう。
詳細な業界ごとの平均年収は次の通りです。
順位 | 業界 | 平均年収 |
1位 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 747万円 |
2位 | 金融業・保険業 | 656万円 |
3位 | 情報通信業 | 632万円 |
4位 | 学術研究・専門・技術サービス業・教育・学習支援業 | 544万円 |
5位 | 製造業 | 533万円 |
6位 | 建設業 | 529万円 |
7位 | 複合サービス事業 | 506万円 |
8位 | 運輸業・郵便業 | 477万円 |
9位 | 不動産業・物品賃貸業 | 457万円 |
10位 | 医療・福祉 | 409万円 |
11位 | 卸売業・小売業 | 384万円 |
12位 | サービス業 | 377万円 |
13位 | 農林水産・鉱業 | 337万円 |
14位 | 宿泊業・飲食サービス業 | 268万円 |
全体平均 | 458万円 |
不動産業界の就職先で人気の企業ランキングトップ10
就活生に人気の不動産会社ランキングTOP10を3つの区分で紹介します。
- 【就活生向け】デベロッパー業界の平均年収ランキング
- 【就活生向け】戸建て住宅業界の平均年収ランキング
- 【就活生向け】マンション業界の平均年収ランキング
【就活生向け】デベロッパー業界の平均年収ランキング
デベロッパー業界の平均年収ランキングは次の通りです。
順位 | 企業名 | 本社所在地 | 平均年収 | データ公開時期 |
1位 | ヒューリック株式会社 | 東京都中央区 | 1,904万円 | 2022年12月期 |
2位 | 三井不動産株式会社 | 東京都中央区 | 1,269万円 | 2023年3月期 |
3位 | 三菱地所株式会社 | 東京都千代田区 | 1,246万円 | 2023年3月期 |
4位 | 日鉄興和不動産株式会社 | 東京都港区 | 1,110万円 | 2023年3月期 |
5位 | 野村不動産株式会社 | 東京都新宿区 | 1,033万円 | 2023年3月期 |
6位 | 東急不動産ホールディングス株式会社 | 東京都渋谷区 | 1,030万円 | 2023年3月期 |
7位 | 東京建物株式会社 | 東京都中央区 | 1,009万円 | 2022年12月期 |
8位 | 大成建設株式会社 | 東京都新宿区 | 992万円 | 2023年3月期 |
9位 | サンケイビル株式会社 | 東京都千代田区 | 926万円 | 2017年3月期 |
10位 | 森ビル株式会社 | 東京都港区 | 887万円 | 2023年3月期 |
ランキング上位10社のうち、7社が平均年収1,000万円を超えています。不動産業界の中でも、デベロッパーは特に高年収の業種と言えるでしょう。
上位10社ともに、本社を東京都に構えています。また、上位10社ともに大手企業のため、全国各地で採用しているケースも多くあります。したがって、大都市や地方都市での勤務を検討している場合は、就職候補先に加えるのも選択肢のひとつでしょう。
参考:有価証券報告書|ヒューリック株式会社
参考:有価証券報告書|三井不動産株式会社
参考:2022年度 有価証券報告書|三菱地所株式会社
参考:有価証券報告書|日鉄興和不動産株式会社
参考:有価証券報告書|野村不動産株式会社
参考:第一部【企業情報】 第1【企業の概況】|東急不動産ホールディングス株式会社
参考:有価証券報告書|東京建物株式会社
参考:有価証券報告書|大成建設株式会社
参考:有価証券報告書|サンケイビル株式会社
参考:有価証券報告書|森ビル株式会社
【就活生向け】戸建て住宅業界の平均年収ランキング
戸建て住宅業界の平均年収ランキングは次の通りです。
順位 | 企業名 | 本社所在地 | 平均年収 | データ公開時期 |
1位 | 大和ハウス工業株式会社 | 大阪府大阪市北区 | 928万円 | 2023年3月期 |
2位 | 積水化学工業株式会社 | 大阪府大阪市帰宅 | 912万円 | 2023年3月期 |
3位 | 住友林業株式会社 | 東京都千代田区 | 898万円 | 2022年12月期 |
4位 | 積水ハウス株式会社 | 大阪府大阪市北区 | 834万円 | 2023年1月期 |
5位 | 大東建託株式会社 | 東京都港区 | 828万円 | 2022年3月期 |
6位 | 飯田グループホールディングス株式会社 | 東京都武蔵野市 | 801万円 | 2023年3月期 |
7位 | タマホーム株式会社 | 東京都港区 | 777万円 | 2023年5月期 |
8位 | 旭化成株式会社 | 東京都千代田区 | 760万円 | 2023年3月期 |
9位 | 株式会社オープンハウスグループ | 東京都千代田区 | 731万円 | 2023年9月期 |
10位 | 株式会社ヒノキヤグループ | 東京都千代田区 | 466万円 | 2021年12月期 |
ランキング上位2社の平均年収が比較的1,000万円に近しい状況と言えるでしょう。
また、デベロッパー業界の平均年収上位ランキング企業と比較して、戸建て住宅業界の上位ランキング企業の本社所在地は「大阪」のケースも散見されます。「不動産業界」かつ「大阪勤務」を希望しているのであれば、戸建て住宅を中心に検討するのもよいでしょう。
参考:有価証券報告書|大和ハウス工業株式会社
参考:有価証券報告書|積水化学工業株式会社
参考:有価証券報告書|住友林業株式会社
参考:有価証券報告書|積水ハウス株式会社
参考:有価証券報告書|大東建託株式会社
参考:有価証券報告書|飯田グループホールディングス株式会社
参考:有価証券報告書|タマホーム株式会社
参考:有価証券報告書|旭化成株式会社
参考:有価証券報告書|株式会社オープンハウスグループ
参考:有価証券報告書|株式会社ヒノキヤグループ
【就活生向け】マンション業界の平均年収ランキング
マンション業界の平均年収ランキングは次の通りです。
順位 | 企業名 | 本社所在地 | 平均年収 | データ公開時期 |
1位 | 株式会社長谷工コーポレーション | 東京都港区 | 941万円 | 2023年3月期 |
2位 | エスリード株式会社 | 大阪府大阪市福島区 | 871万円 | 2023年3月期 |
3位 | 大東建託株式会社 | 東京都港区 | 828万円 | 2022年3月期 |
4位 | 新日本建設株式会社 | 千葉県千葉市美浜区 | 792万円 | 2023年3月期 |
5位 | 株式会社大京 | 東京都渋谷区 | 742万円 | 2018年3月期 |
6位 | 明和地所株式会社 | 東京都渋谷区 | 736万円 | 2023年3月期 |
7位 | 穴吹興産株式会社 | 香川県高松市 | 605万円 | 2023年6月期 |
8位 | 株式会社東急コミュニティー | 東京都世田谷区 | 588万円 | 2013年3月期 |
9位 | 日本ハウズイング株式会社 | 東京都新宿区 | 556万円 | 2023年3月期 |
10位 | 株式会社レオパレス21 | 東京都中野区 | 480万円 | 2023年3月期 |
株式会社大京は2024年3月時点で上場廃止しています。また、株式会社東急コミュニティーは、東急不動産ホールディングスの傘下企業です。したがって、この2社のデータは過去までさかのぼっています。
マンション業界の平均年収ランキング上位企業は、デベロッパー業界ならびに戸建て住宅業界と比較して、都市部以外に本社を構える企業も複数あります。
「不動産業界」かつ「地方都市」などでの勤務を中心に希望しているのであれば、マンション業界への就職を中心に検討してはいかがでしょうか。
参考:有価証券報告書|株式会社長谷工コーポレーション
参考:有価証券報告書|エスリード株式会社
参考:有価証券報告書|大東建託株式会社
参考:有価証券報告書|新日本建設株式会社
参考:有価証券報告書|株式会社大京
参考:有価証券報告書|明和地所株式会社
参考:有価証券報告書|穴吹興産株式会社
参考:有価証券報告書|株式会社東急コミュニティー
参考:有価証券報告書|日本ハウズイング株式会社
参考:有価証券報告書|株式会社レオパレス21
不動産業界で年収をUPさせる方法
不動産業界で高年収を得るための方法は主に3つです。
- 大手不動産企業に就職する
- インセンティブの比重が大きい企業を狙う
- 不動産投資、売買営業職を狙う
それぞれについて解説します。
大手不動産企業に就職する
大手不動産企業は、中小企業に比べて高年収の傾向があります。先ほど紹介した平均年収ランキングの通り、上位はすべて大手企業です。
大手不動産企業は、中小企業と比較して大規模案件の受注が多かったり、知名度が高かったりするため、売上や利益が大きくなります。
したがって、大手不動産企業への就職は、高年収を確保する手段のひとつです。また、大手不動産企業の中でも、デベロッパー業界は特に高年収の傾向があります。
順位 | 企業名 | 平均年収 | データ公開時期 |
1位 | ヒューリック株式会社 | 1,904万円 | 2022年12月期 |
2位 | 三井不動産株式会社 | 1,269万円 | 2023年3月期 |
3位 | 三菱地所株式会社 | 1,246万円 | 2023年3月期 |
4位 | 日鉄興和不動産株式会社 | 1,110万円 | 2023年3月期 |
5位 | 野村不動産株式会社 | 1,033万円 | 2023年3月期 |
インセンティブの比重が大きい企業を狙う
不動産業界では、インセンティブ制(歩合給)を導入している企業が多くあります。インセンティブの比重が大きい企業であれば、営業成績に応じて高額な報酬を得られるかもしれません。
不動産投資、売買営業職を狙う
不動産投資や売買に関する営業職は、他の職種に比べてインセンティブの割合が高いと言われています。したがって、営業成績次第では高年収を得られるでしょう。
一方で、企業によっては、不動産投資や売買に関する営業職でも固定給の割合を高くしているケースもあるようです。
就職活動時は、給与形態を確認しましょう。
ランキングから自分にあった不動産会社を探して就職しよう
不動産業界の中でも、就職する企業によって仕事内容が大きく異なります。また、ランキングから見て取れるように、仕事内容によって、想定年収も異なります。
年収ランキングで上位になればなるほど採用倍率が高いと言われていますが、志望する企業があれば挑戦してみてはいかがでしょうか。
また、ランキング外でも数多くの優良企業があります。幅広い視野を持って就職活動に臨むとよいでしょう。
なお、就活を有利に進めるためにも、長期インターンに参加するのがおすすめです。長期インターンに興味がある人は、Renewで探してみてください。
不動産業界の就職先ランキングについてのまとめ
今回は、就活生向けに不動産業界を「デベロッパー業界」「戸建て住宅業界」「マンション業界」の3つに分け、年収ランキング別で解説しました。年収の高さが不動産業界に就職するひとつの魅力でしょう。
デベロッパー業界の平均年収上位5社
- 1位 ヒューリック株式会社 :平均年収1,904万円
- 2位 三井不動産株式会社 :平均年収1,269万円
- 3位 三菱地所株式会社 :平均年収1,246万円
- 4位 日鉄興和不動産株式会社 :平均年収1,110万円
- 5位 野村不動産株式会社 :平均年収1,033万円
戸建て住宅業界の平均年収上位5社
- 1位 大和ハウス工業株式会社 :平均年収928万円
- 2位 積水化学工業株式会社 :平均年収912万円
- 3位 住友林業株式会社 :平均年収898万円
- 4位 積水ハウス株式会社 :平均年収834万円
- 5位 大東建託株式会社 :平均年収828万円
マンション業界の平均年収上位5社
- 1位 株式会社長谷工コーポレーション :平均年収941万円
- 2位 エスリード株式会社 :平均年収871万円
- 3位 大東建託株式会社 :平均年収828万円
- 4位 新日本建設株式会社 :平均年収792万円
- 5位 株式会社大京 :平均年収742万円
業界別の平均年収ランキングを参考にして、就職活動をしてみてはいかがでしょうか。
不動産営業の仕事をお探しの方へ
建職キャリアは、建設業界に特化した転職支援サービスです。
- 希望条件に合う求人のご紹介
- 履歴書など書類作成のサポート
- 企業との条件交渉/面接日程の調整
無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
求人を検索する(無料)