不動産業界への就職を検討していて、わからない用語が出てきたことはないでしょうか。
不動産の売買や仲介をする際に聞くものの、実はよく分かっていないのが「不動産用語」です。また、不動産業界特有の表現もあります。
今回は不動産業界でよく使う用語を解説します。専門用語を理解できれば、不測のトラブルなども回避できるでしょう。この記事を読んで、ぜひ確認してみましょう。
【新卒・新人社員向け】不動産営業がよく使う用語
新卒や未経験で不動産業界に入社する前は、事前に基本用語を理解しておきましょう。
基本用語を理解しておくことで、研修の内容把握がスムーズになるでしょう。
不動産業界でよく使う基本的な用語
不動産業界で働くにあたって、抑えておくべき基本的な専門用語は次の通りです。
- 賃貸
- 不動産投資
- LDK
- ユニットバス
- ロフト
- メゾネット
- 建ぺい率
- RC造
- 容積率
- 居抜き
- 敷延
- 売り建て
- 建売
- 手付金
- フラット35
- ローン特約
- 個信
- 事前・本審
- 登記
- 担保
それぞれについて解説します。
賃貸
不動産業界の賃貸とは、マンションなどのオーナーが、他者から賃料を取って部屋などを一定期間にわたり使用する権利を与えることです。また、場合によっては、貸し出す物件そのものを賃貸と表すこともあります。
不動産の貸主と借主の間で結ぶ契約が賃貸借契約です。
不動産投資
不動産投資とは、物件や土地を購入して、売却や賃貸により収益を得る投資活動です。不動産価値の上下や所有物件の入居率などが、不動産投資の収益を大きく左右します。
不動産投資は、市場動向や物件の評価、収益性などを考慮しなければなりません。
LDK
LDKとは、Living・Dining・Kitchenの頭文字を取った略語です。一般的に、住宅の間取りを表す際に使用されます。日本の住宅では、LDKの広さや配置が重要視され、家族や生活スタイルに合わせたデザインが求められていると言われています。
ユニットバス
ユニットバスとは、浴室とトイレが一体化された部屋です。一般的には、シャワー付きの浴槽と洗面台も含まれています。
ユニットバスは狭いスペースでも設置でき、アパートやホテルなどで広く活用されています。
ロフト
ロフトとは、天井の空間を利用して作られる部屋です。主に、居住スペースを有効活用したい時にロフトが採用されています。
ロフト部屋は階段やはしごでのぼり、寝室や収納スペースとして使用されるケースが一般的です。
メゾネット
メゾネットとは、一戸が複数階にまたがる集合住宅の形式です。基本的には、階段などで各階をつなぎ、内部でフロアごとに分かれた部屋があります。
集合住宅ではあるものの、戸建て住宅と似た住居空間です。
建ぺい率
建ぺい率とは、土地に建物を建てるにあたって、敷地面積に対して建築できる面積の割合です。たとえば、建ぺい率が50%の場合、土地の半分の面積までしか建物を建てられません。
RC造
RC造とは、Reinforced Concrete(鉄筋コンクリート)造りの略称です。建物の構造材料に鉄筋とコンクリートを使用した建築構造を指します。
RC造は、地震などの自然災害に強い建物を構築する際に有効と言われています。
容積率
容積率とは、敷地面積に対して建物の延べ面積の割合です。土地の面積に対して、建物がどれだけの容積があるのかを示す指標です。
一般的に、容積率が高いほど、建物の高さや広さが大きくなります。
居抜き
居抜きとは、不動産売買で建物の内装や備品をそのまま活用した取引です。居抜き物件の活用は、買主が新しく店舗や事務所を開く際に内装工事や備品購入の費用を節約できます。
敷延
敷延とは、敷地延長の略称です。日本には、建物を建てる際に接道義務があります。災害時の避難通路や緊急車両の確保のために幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。接道義務を守るための土地購入を敷地延長(敷延)と呼びます。
売り建て
売り建てとは、土地を販売してから物件を建てる販売方式です。売り建てで建てられた物件を売建住宅と呼びます。売建住宅は注文住宅と異なり、施工業者が決まっています。売り建ては、建築条件付き宅地分譲とも呼ばれているようです。
売り建ては、買主にとって外装や内装などの要望を反映できるメリットがあります。
建売
建売とは、土地と、すでに建てられた新築物件をあわせて売る方法です。一般的に、複数の住宅が同じプランで建築され、完成後に販売されます。
建売は、買主にとって手続きが簡単で、すぐに住めるメリットがあります。
手付金
手付金とは、不動産売買時に、買主が売主に対して支払う金額です。一般的に、手付金は、売主に対する契約の保障です。もし、買主が契約解消を申し出た場合でも、手付金は返却されません。
契約成立後、手付金は頭金となり、支払総額の一部に充当されます。
フラット35
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。
住宅ローン借入時に返済終了までの借入金利と返済額が確定するため、長期にわたるライフプランが立てやすくなるメリットがあります。
ローン特約
ローン特約とは、住宅ローンを利用する際に審査が通らなかった場合、契約を解除できるなどの条件を定める特約です。ローン特約の活用は、買主だけでなく、売主にとっても、リスクを軽減できます。
個信
個信とは、個人の信用情報を指します。不動産業界では、住宅ローンの利用などにあたって、個人信用情報機関に登録されている情報の確認が必要です。
不動産売買や賃貸で、購入者や賃借人の信用度を確認するために利用しています。
事前・本審
事前・本審とは、住宅ローン審査のステップです。事前審査(事前)は、本審査(本審)前に、希望する金額の住宅ローンを借りられるかを簡易的に判断する審査です。事前審査は、利用者が金融機関のホームページや電話で申し込みできます。
本審は、実際に住宅ローンを借りられるかを正式に判断する審査です。
登記
登記とは、土地や建物の所在・面積、所有者などの情報を公の帳簿に記録・公開する手続きです。登記簿は法務局で管理されており、誰でも閲覧できます。
担保
担保とは、住宅ローンの契約者が債務を履行できなかった場合に、債権者が弁済を受けるために差し押さえできる財産です。
不動産取引では、住宅ローンなどの債務に、不動産を担保するケースが一般的です。
業者や不動産営業マンがよく使う業界用語(隠語)
不動産業界で働くにあたって、使用される業界用語や隠語は次の通りです。
- 坪単
- 残債
- REINS
- 返比
- あて物件
- 潰し物件
- 両手
- 専任媒介契約
- 約定
- 団信
- 追客
それぞれについて解説します。
坪単
坪単とは、坪単価の略です。土地の価格を表す単位で、1坪あたりの価格を指します。たとえば、土地の面積が30坪で坪単価が100万円の場合、土地の価格は3,000万円です。
土地の形状や周辺環境、用途地域などによって坪単は大きく異なります。
残債
残債とは、残存債務の略です。住宅ローンなどの借入金で、まだ返済していない金額を指します。ローン残高と呼ばれることもあります。
不動産を売却する時に残債があれば、先に返済しなければなりません。
REINS
REINSとは、Real Estate Information Network Systemsの略です。不動産流通機構が運営する、不動産の流通基盤システムを指します。
不動産業者はREINSを使用して、業者間で物件情報を共有したり、取引したりします。
返比
返比とは、返済比率の略です。住宅ローン契約者の年収に対しての年間返済額の割合を指します。
たとえば、年収500万円の人が、毎月15万円のローン返済をしている場合、返比は次の通りです。
- 毎月の返済額15万円×12か月÷年収500万円×100=返比36%
返比は高くても40%以下に抑えるケースが一般的と言われています。
あて物件
あて物件とは、販売や賃貸をおすすめしたい物件と比較する目的で提示する物件です。一般的に、契約希望者の要望にそぐわない物件が、あて物件に利用されています。
当て物などとも呼ばれているようです。
潰し物件
潰し物件とは、他の物件を良く見せるための引き立て役の物件です。一般的に、築年数が古かったり、傷みが大きかったりして、売却や賃貸が難しい物件が潰し物件に利用されています。
両手
両手とは、不動産売買の場面で売主と買主から仲介手数料を取ることを指します。
両手取引は、不動産業者にとって効率的な取引形態です。その分、売主と買主に対して、手数料率を割り引くケースもあると言われています。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、不動産の売却を依頼する際に、特定の不動産業者にのみ媒介を依頼する契約を指します。
売主は専任媒介契約を締結すると、他の不動産業者に媒介を依頼できません。一般的に、専任媒介契約は、一般媒介契約よりも高い成約率を期待できると言われています。
約定
約定とは、契約とほぼ同じ意味です。売主と買主が合意した内容を記載した約定書を約定と呼ぶケースもあります。
約定書には、物件の価格や引き渡し時期などの重要事項が記載されます。
団信
団信とは、団体信用生命保険の略です。住宅ローンの返済中の死亡や高度障害状態などに全額保障される保険です。保障が適用される際は、団信が契約者に代わってローン残債を支払います。
住宅ローンを組む際は、団信への加入を必須としているケースも多くあります。
追客
追客とは、不動産業者が見込み客に対して、物件情報やキャンペーン情報などを提供する営業方法です。電話やメール、訪問などさまざまな方法があります。
お客さまとの信頼関係を築き、成約につなげるための重要な活動です。
契約の前に知っておきたい不動産業界でよく使う用語
不動産の契約手続きを経験する前に知っておきたい用語は次の通りです。
- 耐用年数
- 減価償却
- 瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)
- 売契
- 重説
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 債務不履行
それぞれについて解説します。
耐用年数
耐用年数とは、建物や設備などの資産が、税務上使用できる期間です。法令で定められており、建物の種類や構造によって異なります。
耐用年数を過ぎると、資産価値はゼロと見なされます。
減価償却
減価償却とは、建物の購入時に計上した取得価額を、耐用年数に応じて費用に計上していく会計処理です。
時間の経過とともに資産価値が減少していくことを反映しています。
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)
瑕疵担保責任とは、売買された建物や土地に隠れた欠陥があった場合、売主が買主に対して責任を負うことを指します。瑕疵は、傷や欠点などの意味を持ちます。
買主は瑕疵の種類や程度によって、修補、代金減額、契約解除などの請求が可能です。場合によっては、契約解除もできます。
売契
売契とは、売買契約書の略です。土地や建物の売買に関する契約書です。売買の条件や代金、引き渡し時期などを記載します。
重説
重説とは、重要事項説明書の略です。宅地建物取引士は、売買や賃貸の契約内容について、重要事項説明書を用いて説明する義務があります。
重要事項説明は、必ず契約前に実施しなければなりません。
不動産取得税
不動産取得税とは、土地や建物を取得した際に課税される税金です。都道府県と市町村がそれぞれ課税し、取得価額に応じて税額が決定されます。
固定資産税
固定資産税とは、土地や建物などの資産に対して毎年課税される税金です。固定資産評価額に基づいて税額が決定されます。
債務不履行
債務不履行とは、契約上の義務を履行しないことです。不動産売買では、代金の支払い遅延や引き渡しの遅延などが債務不履行に該当します。
その他に覚えておきたい不動産業界でよく使う用語
不動産業界への就職にあたって、他にも覚えておきたい用語は次の通りです。
- あんこ業者
- おとり物件・おとり広告
- 現状有姿
- 嫌悪施設
- つなぎ融資・つなぎローン
- 賃貸管理会社
- 家賃保証
- 管理会社
- 管理費
- 管理組合
- 区分所有
それぞれについて解説します。
あんこ業者
あんこ業者とは、不動産売買などで、売主の仲介業者と買主の仲介業者の間に立って取引を成立させる業者です。
不動産業者間のやり取りの際に、あんこ業者が求められます。
おとり物件・おとり広告
おとり物件・おとり広告とは、実際には存在しなかったり、契約できなかったりする物件・広告です。
おとり広告の掲載は、宅地建物取引業法32条で禁止されています。
現状有姿
現状有姿とは、物件を売買もしくは賃貸するとき、現在の状態のまま引き渡すことです。
ただし、瑕疵担保責任を負わないとは限りません。
嫌悪施設
嫌悪施設とは、対象物件の周辺に存在すると、一般的に資産価値が下がると考えられる施設です。
嫌悪施設の基準は、判断する人によって異なります。一般的には、ゴミ処理場や原子力発電所などを嫌悪施設と認識する人が多いようです。
また、嫌悪施設は、忌避施設や迷惑施設などと表現されることもあります。
つなぎ融資・つなぎローン
つなぎ融資・つなぎローンとは、不動産を購入する際に、住宅ローンの利用開始までに活用する融資やローンです。住宅ローンを活用して、つなぎ融資を完済するのが一般的です。
短期間の借り入れのため、金利は比較的高めに設定されています。
賃貸管理会社
賃貸管理会社とは、賃貸物件のオーナーに代わり、入居者募集や家賃回収などの業務を担当する会社です。
賃貸管理会社の活用は、賃貸経営の負担を軽減できる一方、管理費がかかります。
家賃保証
家賃保証とは、入居者が家賃を滞納した場合に、保証会社が肩代わりしてオーナーに支払うサービスです。
入居者は、家賃債務不履行のリスクを回避できる一方で、家賃保証会社への保証料がかかります。
管理会社
管理会社とは、マンションなどの区分所有建物で、共用部分の管理を担当する会社です。具体的な業務例は、修繕計画の作成や清掃、住民対応などです。
管理費
管理費は、マンションなどの区分所有建物で、共用部分の維持管理に必要な費用です。修繕費、清掃費、管理人費用などが含まれます。
費用は管理規約で定められています。
管理組合
管理組合とは、マンションなどの集合住宅を修繕・管理する組合です。集合住宅の所有者は組合員になります。
管理組合は、必要に応じて理事会を開き、管理会社の選定や管理費の徴収、共用部分のルール制定などをしています。
区分所有
区分所有とは、1つの集合住宅を区分ごとに所有するスタイルです。
ワンルームマンション投資などは、一般的に区分所有です。
不動産業界でよく使う用語についてのまとめ
今回は、不動産業界でよく使う用語50選を解説しました。
不動産業界には、専門用語がつきものです。紹介した用語以外にも、まだまだあります。
業界用語を理解しておくことで、スムーズに研修を理解できたり、お客さまとのトラブルを回避できたりします。
この機会に、不動産業界の用語をインプットしてはいかがでしょうか。
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