日本でライドシェアサービスが解禁されることが大きな話題となっていますが、同時に「ライドシェア中の保険適用はどうなるのか」という疑問が浮上しています。
本記事では、ライドシェアで保険は適用されるのか、適用される場合の保険の種類、ライドシェアにおける保険事情などについて解説します。
日本におけるライドシェアの保険事情
まずは、日本におけるライドシェアの保険事情について解説します。
タクシーとライドシェアでの保険の内容の違いや、ライドシェアで適用される可能性のある自動車保険を紹介します。
タクシーの場合
タクシーの場合は、タクシー会社が保険に入っているため、保険料は会社が負担してくれます。
タクシー会社は、任意保険に加入していないと国土交通省から営業許可がおりません。
法律で義務化されているため、タクシードライバーは事故を起こすと会社が入っている保険に慰謝料を請求します。保険の手続きは会社が進めてくれます。
ライドシェアの場合
ライドシェアの場合は、ドライバー自身が保険に加入する必要があります。しかし、現状では保険の加入は義務化されていません。
加入した保険次第で、補償される期間が発生しない場合もあります。
また、ライドシェアの利用者が保険に適用されるかも、ドライバーが加入した保険次第で異なります。
今後、全面的にライドシェアが認められれば、ライドシェアに適した保険が出てくる可能性はあります。
ライドシェアに適用される可能性がある自動車保険
続いては、ライドシェアに適用される可能性がある自動車保険を6つ紹介します。ライドシェアに適用される可能性がある自動車保険は以下の6つです。
- 自賠責保険
- 対人賠償責任保険
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
- 無保険車傷害保険
- 自損事故保険
では、一つずつ解説します。
自賠責保険
適用される可能性がある自動車保険の1つ目は、自賠責保険です。
自賠責保険は、同乗者に事故で怪我などを負わせてしまった際に、補償対象となる保険で、全ドライバーに加入が義務付けられています。
車の所有者以外の人に対する保険で、建物や他の車には適用されない保険です。
対人賠償責任保険
適用される可能性がある自動車保険の2つ目は、対人賠償責任保険です。
任意保険の内容となり、事故により怪我や死亡した場合に相手へ支払う保険になります。
自賠責保険だけでは足りないという方は任意で加入可能です。
怪我をした相手の治療費や入院費、慰謝料などが補償されます。
人身傷害保険
適用される可能性がある自動車保険の3つ目は、人身傷害保険です。
人身傷害保険は、ドライバーや同乗者が事故で怪我を負った場合に、治療費などを補償する保険です。事故の後遺症や介護料、精神的損害、休業損害などを限度額まで補償してもらえます。
補償の対象は、ドライバーと同乗した人全員で、同乗者が家族以外でも可能です。
搭乗者傷害保険
適用される可能性がある自動車保険の4つ目は、搭乗者傷害保険です。
搭乗者障害保険は、ドライバーと同乗者が事故によって怪我や死亡した際に適用される保険です。
怪我による入院などに適用され、内容は人身傷害保険と似ていますが、補償される金額や保険金が支払われるまでの期間が、人身傷害保険とは違います。
無保険車傷害保険
適用される可能性がある自動車保険の5つ目は、無保険車傷害保険です。
無保険車障害保険は、他の車と事故があった際、相手が保険に入っていなかったり、補償内容が不十分だったりする場合に、保険金を受け取れる保険です。
保険会社によっては、特約としての補償や人身傷害の補償内容に含まれている場合があります。
自損事故保険
適用される可能性がある自動車保険の6つ目は、自損事故保険です。
自損事故保険は、電柱衝突や転落事故などの相手がいない単独事故で、ドライバーや同乗者が怪我や死亡をした場合に保険が適用されます。
ドライバーや同乗者の怪我などの治療費を補償してくれる保険で、保険金額は変更できないのが一般的です。
アメリカにおけるライドシェアの保険事情
続いては、アメリカにおけるライドシェアの保険事情について解説します。
保険の補償への認識にギャップがある
ライドシェアの普及により、従来の保険内容では、ライドシェアで起きた事故などの補償ができない状態になっています。
しかし、アメリカでは、ライドシェアのドライバーと保険会社の間に、保険の補償に対する認識のギャップが発生しています。
そのため、保険会社はライドシェアのドライバーとの認識のギャップに対応する必要があります。
ドライバーは追加の保険料を支払う必要がある
アメリカでは、ライドシェアのドライバーには保険会社から専用の補償が提供されています。
一般的に、ドライバーは自動車保険を個人契約しているため、保険会社に追加で保険料を支払うことで、ライドシェア分の保険の補償を受けることが可能です。
TNCドライバー向け保険商品
交通ネットワーク企業(Transportation Network Company:TNC)と契約しているライドシェアドライバー向けの保険商品がカリフォルニア州で購入可能です。
大手保険会社のオールステートでは、対人賠償が1人あたり1万5千ドル、1事故あたり3万ドル、対物5千ドル以上の補償を推奨しています。
ライドシェアの保険は、ドライバーの事故発生時の状況に応じて「期間1(配車リクエスト待ち)」「期間2(迎車中)」「期間3(乗車中)」の3つに分けられています。
保険の内容によって、補償期間が「期間1のみの保険」や「期間1〜3の全期間が対象の保険」があり、補償対象のTNCも保険会社によって異なっています。
TNCドライバー向けの保険商品は、オールステートの他に、ファーマーズやマーキュリー、メトロマイルなどの保険会社から提供されています。
TNCドライバー向け保険の補償内容
TNCの大手企業のUberが提供している、TNCドライバー向けの保険の補償内容を紹介します。
ライドシェアの保険は、「期間1(配車リクエスト待ち)」「期間2(迎車中)」「期間3(乗車中)」の 3つの期間に分かれており、各期間によって、提供される保険が異なります。
期間1では、TNCドライバーが加入している保険が適用されない場合や、保険金の支払いが拒否された場合に、保険が適用されます。対人賠償責任限度額は1人につき5万ドル、1事故につき1万ドル、対物補償限度額は3万ドルです。
期間2と期間3では、Uberが加入している保険によって、利用者に賠償責任を補償しています。ただし、TNCドライバーが商業用自動車保険に加入している場合は、加入している保険が優先的に適用されます。
対人賠償責任限度額は期間1と同様の金額です。
相手側の過失で事故が起き、相手が保険に入っていない場合には、TNCドライバーと利用者に治療費などを100万ドルまで補償してくれます。
今後の見通し
アメリカでライドシェアは普及していますが、今後さまざまな変化が生じる可能性があります。
今後は、自動運転車などの新しい技術の導入により、相乗効果が期待されています。
ライドシェアの導入は、アメリカでは新たな交通手段として成長中です。
トヨタ自動車がUberに出資するなどの動きもあるため、日本においてもライドシェア市場は大きな発展が考えられる分野です。
保険事情と一緒に押さえておきたいライドシェアの基本
アメリカにおけるライドシェアの保険の多くは、大手保険会社やTNC大手のUberが提供しています。
ここからは、ライドシェアの定義や種類、メリットとデメリットを紹介します。
ライドシェアの定義
ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車を使用して、見知らぬ人を相乗りさせるサービスです。同じ目的地へ行く人同士が相乗りして無償で移動するタイプと、利用者の目的地まで有償で送迎するタイプが存在します。
移動にかかる費用が安く済むなどのメリットがあり、海外では普及している移動手段です。
ライドシェアの種類
ライドシェアには、「カープール型」「TNCサービス型」「タクシー相乗りサービス」の3種類が存在します。
「カープール型」は、目的地が同じドライバーと利用者が相乗りするスタイルです。ガソリン代や高速道路代などを利用者から徴収し、ドライバーも利用者も移動にかかる費用を安くすることが可能です。
「TNCサービス型」は、一般ドライバーが自家用車を使用し、有償で送迎するライドシェアです。海外では移動手段として普及しており、日本でも2024年4月から限定解禁されます。
「タクシー相乗りサービス」は、通常のタクシーに相乗りするサービスで、国土交通省によって、2021年11月から解禁されました。
導入するメリットとデメリット
ライドシェアを導入するメリットとデメリットを紹介します。
導入するメリットは、「料金が安くすむ」「自家用車を有効活用し収入を得られる」「利便性が高まる」などです。
カープール型のライドシェアなら、移動にかかるガソリン代や駐車場代などの費用を抑えることができます。
自家用車を使用して本業とは別に収入を得られ、副業として空いている時間に働くことが可能です。
導入するデメリットは、「ドライバーの資質や運転技術」「補償の問題」「安全性の問題」などがあります。
安全に運転するために、タクシードライバーのように専門的な知識や技術がない人がライドシェアのドライバーとして働く可能性もあります。
ライドシェアの保険事情のまとめ
今回は、ライドシェアの保険事情について解説しました。
ライドシェアに関する保険は複雑ですが、ライドシェアを実施する上では欠かせません。
そのため、これからライドシェアに参入を検討している方は、本記事を参考にしてライドシェアの保険事情への理解を深めてから、ライドシェアに挑戦してみてください。
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