設備管理の仕事は、未経験でも応募できる求人が多く、需要が安定していることから転職先として人気です。
その中で、「志望動機で自分の強みや適性を上手く伝える文章が分からない」という人もいるでしょう。
志望動機は、就業意欲や適性をアピールできる重要な箇所であり、採用に大きく影響します。
今回は、設備管理に応募する場合の志望動機の書き方や、注意点を中心に解説していきます。転職を有利にする関連資格も紹介していますので、参考にしてみてください。
【この記事のまとめ】
・志望動機では、設備管理を選んだ理由や当該企業に応募した理由を明確にする ・入社後の目標やビジョンを取り入れることで、仕事に対する熱意をアピールできる ・設備管理への適性をアピールしたい場合は、仕事に対する責任感の強さや機械に関する知識を志望動機で取り入れる ・設備管理に関係する資格を取得することで、転職を有利に進められる |
設備管理の志望動機を作るコツ
強い印象を与える志望動機を作るためには、3つのポイントを意識しましょう。
・設備管理を志望した理由を伝える
・企業を志望した理由を伝える
・入社後の目標やビジョンを伝える
これらのポイントは、自分の考えや熱意をアピールするうえで欠かせない内容であり、他の応募者との差別化を図れるポイントでもあります。
ここでは、各ポイントについて例文を交えながら解説します。
設備管理を志望した理由を伝える
1つ目のポイントは「設備管理の仕事を志望した理由」です。
数ある求人の中から、なぜ設備管理の仕事をしたいと思ったのか、具体的に記入していきます。設備管理を目指すきっかけとなるエピソードがあれば、文章に取り入れましょう。
【設備管理を目指すきっかけの例】
・以前勤めていた商業施設のテナントでトラブルが起きた際に、すぐに駆けつけて対処してくれた設備管理者がいて、非常に感銘を受けました。 ・昔から機械の仕組みに興味があり、各設備の点検・メンテナンスを通じて社会に貢献したいと考えていました。 |
企業を志望した理由を伝える
2つ目のポイントは「当該企業を志望した理由」です。
数多くある設備管理の会社の中から、なぜ当該企業へ応募したのか具体的に記入します。
「待遇の良さ」を中心にした内容は、志望動機として避けるべき内容です。当てはまる場合は企業のホームページなどで特徴を見つけたうえで文章を考えてみましょう。
【応募した企業を志望した理由の例】 ・社員教育に力を入れており、資格取得支援制度などの福利厚生が充実していたため・さまざまな施設の設備管理を行っており、技術者として成長できる環境が整っていることに魅力を感じたため |
企業を選んだ理由として待遇の良さを記入すると「別で待遇の良い企業が見つかったら辞めるのでは?」と、人事担当者に思われる可能性があります。
入社後の目標やビジョンを伝える
3つ目のポイントは「入社後の目標やビジョンを伝える」です。未経験で応募する場合は、特に重要なポイントと言えます。
未経験者の場合、過去にどのような経験をしてきたのかよりも、今後どうなっていきたいのかに人事担当者は興味を持ちやすいからです。
入社後の目標やビジョンを具体的に伝えることで、仕事に対する熱意もアピールできます。
【入社後の目標やビジョンの例】
・入社後は、さまざまな施設の設備管理に積極的に携わり、技術者として成長していきたいです。 ・仕事を覚えながら、まずは危険物取扱者・乙4類を取得したいと考えています。 |
面接の際にも、入社後の目標やビジョンは質問されやすい内容ですので、詳しく話せるように考えをまとめておきましょう。
設備管理の志望動機でアピールしやすいポイント
設備管理の適性を踏まえた志望動機にすることで、自分の強みをアピールできます。設備管理の仕事で求められる主な適性は以下の通りです。
・責任感の強さ
・機械の扱いに慣れている
・向上心がある
なぜこのような人が設備管理に向いているのか、過去の経験を踏まえてどうやってアピールするのか、詳しく解説します。
責任感の強さ
普段の業務で点検する設備は、施設の稼働に欠かせないものばかりで、病院や介護施設の設備に関しては、患者の命に関わるものも多くあります。
そのため、責任感が強く些細な異常も見逃さないような人が向いています。過去の経験で責任感を強くアピールできる内容があれば、志望動機に取り入れても問題ありません。
設備管理の経験がない人も、前職で責任感の強さをアピールできるエピソードがあれば、記入してみましょう。
機械の扱いに詳しい・慣れている
設備管理では、空調設備・給排水設備・電気設備など、さまざまな機械を扱います。そのため、機械の仕組みに詳しかったり扱いに慣れていたりする人は適性があると言えます。
「機械の組立経験があり構造に詳しい」「サービスエンジニアとして故障などに対応していた」といった経験がある人は、具体的な業務内容を踏まえながら知識をアピールしましょう。
向上心がある
設備管理者として、点検・メンテナンスする機械の中には、専門的な知識が必要で資格がなければ扱えない機械も多くあります。
機械ごとに点検方法も異なるため、技術者として常に学び続けなければならない仕事と言えるでしょう。そのため、常に向上心を持って仕事に取り組めるような人は設備管理者の適性があります。
キャリアアップを目指し、資格取得にチャレンジしたような経験がある場合は、エピソードも添えて志望動機に記入しましょう。
関連記事:設備管理に向いている人の特徴|仕事内容や役立つ資格、やりがい
設備管理の志望動機を作る際の注意点
熱意や適性をアピールする志望動機を考えるためには、以下のような内容に注意が必要です。
・自己分析が不足している
・設備管理への熱意がない
・設備管理を軽視している
当たり前に感じるかもしれませんが、多くの人が失敗しがちな内容です。注意すべきことについて具体的に解説します。
徹底して自己分析する
自己分析ができていなければ、自分の強みや仕事に対する適性を適確にアピールできません。これまでに気付かなかった、自分の性格や潜在意識が分かることもあります。
自己分析してから、自分の強みや適性にあった志望動機を考えてみましょう。
【主な自己分析方法】 ・モチベーショングラフの作成 ・前職をテーマとした、志望動機や退職理由の深堀り ・人生を振り返って自分史を書く ・身近な人に自分について聞いてみる ・転職エージェントでキャリアアドバイザーに相談してみる |
全ての方法を試す必要はなく、気になる自己分析方法を複数選んだうえで分析してみてください。
設備管理への熱意がない
設備管理への熱意がない志望動機にも注意が必要です。
設備管理を目指したいと思った具体的なエピソードがなく、入社後の目標やビジョンも明確になっていないような内容では、仕事に対する熱意を感じません。
・社会貢献したいと強く思い設備管理を志望しました。
・機械の点検やメンテナンスだけでなく、積極的に利用者に声掛けを行ない、快適な環境を維持しようとしている姿に感銘を受けて設備管理者になりたいと思いました。 |
抽象的な前者の文章よりも、具体的なエピソードのある後者の方が熱意を感じられます。
些細なエピソードでもいいので、自分なりに設備管理に対する熱意を具体的にアピールしましょう。
設備管理を軽視している
設備管理を志望した理由として「転職のしやすさ」を記入するのは避けましょう。
「未経験でも問題ないと思った」といった内容は、面接官にとっていい気持ちはしません。人によっては、責任感がないと捉えられる可能性もあります。
設備管理の仕事内容や、応募した企業の特徴を調べるなどして、別の内容を考えましょう。
設備管理の志望動機の例文
ここからは、施設別で志望動機の例文を紹介します。
施設ごとに異なる設備管理の特徴も解説しているので、志望動機を考えるうえで参考にしてみてください。
オフィスビルの設備管理の場合
オフィスビルの設備管理の求人に応募する場合の、志望動機例文を紹介します。
私は、利用者が安全で快適に過ごせるような空間を提供できる、設備管理者になりたいと考えています。
貴社で設備管理している〇〇ビルは、過去に複数回利用しており、点検作業を行う作業員の方を見かけたことがあります。 いつも真剣な表情で作業に取り組んでいる姿を見て、安心して施設を利用できたのと同時に設備管理に興味を抱くようになりました。 設備管理経験はありませんが、危険物取扱者と電気工事士を取得済です。入社後は、設備管理について学びながら、仕事の幅を広げられる資格取得に挑戦したいと考えています。 |
オフィスビルは、利用者がある程度決まっており、24時間稼働するようなビルはほとんどありません。
宿直勤務や夜勤がない職場もあり、想定されるトラブルも限定的です。点検する機械は大規模なものが多く、関連資格が必要となる業務もあります。
商業施設の設備管理の場合
商業施設の設備管理の求人に応募する場合の、志望動機例文を紹介します。
私は、商業施設を陰から支える、縁の下の力持ちのような設備管理者になりたいと考えています。
子供のころから家族で商業施設に出かけることが多く、いろんなお店を見て回るのが大好きでした。 その頃は、何気なく利用していましたが、施設内の飲食店にてアルバイトとして働くようになり、設備管理の仕事を知りました。 各テナントの方に声をかけながら、問題なくサービスを提供できるように、裏方として施設全体の点検を行なってる姿を見て、憧れるようになりました。 思い出の場所である商業施設の設備管理を通じて、人々の生活を支えられる存在になりたいと考えています。 |
テナントの営業時間は、点検や清掃が進められないため、夜勤や宿直勤務となる可能性があります。
飲食店やアパレルショップなど、テナントによって設備管理に対する要望が異なることが商業施設管理の特徴です。
工場の設備管理の場合
工場の設備管理の求人に応募する場合の、志望動機例文を紹介します。
私は、工場全体の稼働を支えられるような設備管理者になりたいと考えています。
前職では工作機械メーカーのサービスエンジニアとして、担当する機械の設置やメンテナンス業務に従事していました。 子供の頃から大きな機械が好きで、製造機械はもちろん、設備関連の機械にも詳しくなりたいと思うようになり、設備管理への転職を決意しました。 大学では機械工学科を専攻しており、第三種電気主任技術者の資格を保有しています。 入社後は、あらゆるトラブルを最短で解決できるような設備管理者を目指して日々の業務に取り組みたいと考えています。 |
工場内の製造機器は、製造作業員やメーカーのエンジニアが管理するため、他の施設と同様に、空調設備や電気設備の点検やメンテナンスがメイン業務です。
工場が稼働中の点検は、機械が動いているため巻き込み事故などに注意が必要です。高所作業を行なうこともあります。
病院の設備管理の場合
病院の設備管理の求人に応募する場合の、志望動機例文を紹介します。
私は、設備管理者として医療現場を支えたいと考えています。
少し前に交通事故で1ヶ月ほど入院した際、悪天候で夜間に停電することがありました。 治療で使用する機械がストップしてしまうのでは、と不安になりましたが、設備管理の方が対応してくれているので、問題ないと看護士さんに教えていただきました。 施設全体の適切な設備管理が、安心・安全な医療を提供できていることに感銘を受けて転職を決意しました。 入社後は、1つ1つの業務に責任を持てるような技術者を目指したいと考えています。 |
病院での設備管理も、他の施設と業務内容に大きな違いはありません。院内での感染症などを防ぐため、衛生管理に関する業務が多い特徴があります。
このように設備管理を行う施設によって、業務の特徴が異なるため、事前にリサーチしたうえで、志望動機を考えてみましょう。
未経験からの転職の場合
最後は未経験者で設備管理に転職する場合の志望動機の例文です。
私は、設備管理の知識を身に着け、さまざまな施設を担当できるような技術者になりたいと考えています。
昔からものづくりに興味があり、機械製造の仕事に5年ほど従事していました。実際に稼働している機械を扱う仕事に携わりたいと思うようになり、設備管理職への転職を決意しました。 貴社は、技術者の教育に力を入れており、未経験者でも1人前の技術者になれるカリキュラムが組まれていることに魅力を感じ志望いたしました。 入社後は、生活リズムに慣れながら、あらゆる機械の点検・メンテナンス業務に挑戦したいと考えています。 |
前職が設備管理に関係のない仕事であったとしても、責任の強さなどをアピールできるエピソードがあれば、積極的に取り入れてみましょう。
設備管理の志望動機のNG内容
志望動機は、仕事に対する熱意や適性をアピールできる一方で、内容次第で評価を下げてしまいかねないため、注意が必要です。
【志望動機として相応しくない内容】 ・待遇面に惹かれていることを強調する内容 ・抽象的な内容 ・いずれ辞めることを前提にした内容 |
収入や休みの多さで就職先を決めること自体は、決して悪くはないものの、志望動機として記入するのは避けましょう。
面接官に「条件の良い企業が見つかればすぐに辞めるのでは?」と思われる可能性があります。
また、抽象的な内容は、相手に強い印象を与えられません。なぜ設備管理の仕事なのか、なぜ当該企業なのか、エピソードを交えながら明確に記入しましょう。
いずれ辞めることを前提とした内容も避けましょう。「いずれ辞めるのならば採用する意味がない」と、面接官に思われてしまいます。
設備管理の志望動機でアピールしやすい資格一覧
設備管理の仕事は、機械に関する専門的な知識が求められます。そのため、扱う設備に関連した資格を保有していれば、自分の強みとしてアピールできるでしょう。
また、入社後に取得したい資格として記入することで、仕事に対する興味の強さと熱意を伝えることができます。
ここでは、設備管理の仕事で役立つ資格を紹介します。
第二種電気工事士
第二種電気工事士とは、店舗や住宅といった施設の電気工事を行なうための資格です。設備管理者として、電気工事を行うことはないものの、電気設備の取り扱いで役立ちます。
商業施設における設備管理では、各テナントでの照明やコンセントの設置も可能です。
二級ボイラー技士
ボイラー技士とは、熱量や温水を生み出すボイラー設備の管理・点検業務に従事するために必要な資格です。
ボイラー設備は、ビルや工場といったほとんどの施設に設置されているため、設備管理の仕事で役立ちます。資格保有者を優遇している求人も多く、転職を有利に進められます。
消防設備士
消防設備士とは、各施設に設置されている消防設備の整備や点検を行う際に必要な資格です。甲種と乙種があり、甲種を取得すると設備や点検だけでなく、設置・交換作業にも携われます。
設備管理の業務として、消防設備の月例点検を行なう際などに役立つ資格です。
エネルギー管理士
エネルギー管理士とは、電気などのエネルギーを効率良く使用するために、各設備を管理したり使用方法に関して指導したりする役割を担っています。
省エネ法が制定されたことで、誕生した比較的新しい国家資格で、年々受験者が増えてきている資格です。工場や大規模商業施設などの設備管理で重宝されます。
危険物取扱者乙種
危険物取扱者とは、文字通り危険物を適切に取り扱うための資格で、甲種・乙種・丙種に分類されます。乙種で取り扱う対象物は、ガソリン・軽油・灯油といった身近な石油類です。
資格を取得することで、施設内で危険物を取り扱えるようになるだけでなく、燃料や薬品の漏洩といった緊急時に正しく対処できます。
資格保有者を優遇する設備管理の求人も多くあり、転職を有利に進められます。
第三種冷凍機械責任者
第三種冷凍機械責任者とは、冷凍機器の設備管理を適切に行うための資格で、冷凍能力100t未満の製造施設が対象です。
冷凍機械は、空調設備の1つとして使用されていることが多く、設備管理の仕事でも役立ちます。
第三種電気主任技術者
第三種電気主任技術者とは、各施設における電気設備の保安・監督業務を行なうための資格です。
電気設備の保安・監督業務は、電気主任技術者の独占業務であり、資格保有者は設備管理業界でも貴重な存在と言えるでしょう。
取得難易度は高いものの、特別な受験資格は設けられておらず、電気関連の仕事に就いたことがない人でも受験可能です。
ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)
ビル管理士とは、特定建築物において管理業務計画の立案や、管理業務を指揮監督する役割を担う存在です。
大規模な施設では、ビル管理士の設置が義務付けられていることから、資格取得できれば、設備管理業界で長く活躍し続けられます。
設備管理の志望動機に関連してよくある質問
最後は、設備管理に関する2つのよくある質問に答えていきます。
・設備管理と施設管理の違いは何ですか?
・設備管理の業務は具体的にどのようなものですか?
設備管理への転職を検討するうえで役立つ内容ですので、参考にしてみてください。
設備管理と施設管理の違いは何ですか?
施設管理とは、設備管理だけでなく建物の維持管理・修繕計画の作成など、より広範囲で施設全体を管理します。
設備管理は、建物における電気設備や水道設備といった、設備に特化しています。どちらも施設を管理するのが仕事ですが、管理する範囲が異なります。
設備管理の業務は具体的にどのようなものですか?
設備管理の業務には、以下のような種類があります。
・設備運転の常駐管理 ・空調設備管理 ・設備巡回点検 ・給排水衛生設備管理 ・消防設備管理 ・建築物環境衛生管理 ・建築物の法定検査 |
具体的な作業内容は、施設によって異なります。毎日全ての業務をこなすわけではなく、点検期限を迎えた設備を代わり替わりチェックする流れとなります。
関連記事:設備管理とは?仕事内容や施設管理との違い、役立つ資格
設備管理の志望動機についてのまとめ
志望動機で仕事に対する熱意や適性をアピールするには「設備管理を選んだ理由」「当該企業に応募した理由」「入社後の目標」を明確に記載しましょう。
設備管理で活かせそうな経験や知識がある場合は、過去のエピソードを交えながらアピールするのもおすすめです。
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