建設業界には、巨大なプロジェクトから個別の修繕まで、多岐にわたる業務が存在します。特に、この業界で独立して活動する個人事業主は、自らのスキルと経験を生かし、独自の価値を提供しています。
しかし、一般的な建設作業員や企業に所属する職員の給料とは異なるため、建設業界の個人事業主の収入がどれくらいか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設業で働く個人事業主の給料ランキング、建設業界で働く個人事業主が収入アップを狙う場合の注意点などについて詳しく解説します。
建設業で働く一人親方の職人単価ランキング
まずは、建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキングを紹介します。
なお、本ランキングは厚生労働省の調査内容をもとに独自に作成したランキングで、平均年収を調査した対象の中には正社員と個人事業主が両方含まれています。
1位「電気工事士」
建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキング1位は、電気工事士です。
電気工事士は、電気設備の施工、保守、及び点検に関する一連の業務を担当するものです。新築やリフォームの現場での電気配線工事、コンセントや照明器具の取り付け、スイッチの設置や交換など、日常的な生活の中で使用される電気設備の施工作業が含まれます。
また、既存の設備にトラブルが発生した際の修理や、定期的な点検・メンテナンスを行い、安全に電気を使用できる環境を提供することも重要な仕事です。
さらに、工事の計画や設計段階において、適切な電気設備の選定や配置の提案を行うこともあります。
なお、令和4年度の電気工事士の平均年収は506.8万円となっています。
2位「配管工」
建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキング2位は、配管工です。
配管工の主な仕事内容は、水道やガス、空調などの設備を適切に機能させるための配管システムの設置、修理、及びメンテナンスです。新築の建物やリフォームの現場では、設計図に基づき適切な配管材料を選定し、必要な場所に配管を敷設する作業を担当します。
また、既存の配管にトラブルや漏れが発生した際には、原因を特定し迅速に修理を行うこともあります。定期的な点検や清掃を通じて、長期的に配管設備が安全かつ効率的に動作するようサポートします。
なお、令和4年度の配管工の平均年収は485.3万円となっています。
3位「内装工」
建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキング3位は、内装工です。
内装工の主な仕事内容は、壁紙の貼り替え、フローリングの施工、天井材の取り付け、照明器具の設置など、室内の仕上げに関するさまざまな作業です。
具体的には、新築の住宅やオフィス、店舗などの内装工事から、リフォームやリノベーションにおける内部の改修作業まで、幅広い業務を手掛けます。
また、顧客の要望や設計図をもとに、素材の選定や色の組み合わせなど、デザインの提案も行う場合があります。そのため、トレンドや最新の素材知識を持ち合わせ、緻密な計画と技術を駆使することが求められるのです。
なお、令和4年度の内装工の平均年収は460.7万円となっています。
4位「溶接工」
建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキング4位は、溶接工です。
溶接工は、金属材料同士を高温で溶接し、一体化させる作業を専門とする職人です。溶接工は、建築構造物や機械、船舶、車両など、多岐にわたる製品や施設の組み立てや修理に不可欠です。
溶接方法も、アーク溶接、ガス溶接、レーザー溶接など多岐にわたり、それぞれの材料や用途に応じて最適な溶接法を選択します。精密な計測や、専門的な技術知識を持って正確な溶接を行うことで、安全性や耐久性を確保しているのです。
また、溶接後の品質を確認するための検査や、溶接部分の仕上げ作業も行います。高温の火花や強い光を扱うため、安全管理にも気を配る必要があり、適切な保護具を着用しながら作業を進めることが求められます。
なお、令和4年度の溶接工の平均年収は448万円となっています。
5位「とび」
建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキング5位は、とび職です。
とび職は、建築物の骨組みとなる鉄骨やコンクリートの打設作業を中心に行う専門職です。建築現場における高所作業のプロとして、高層ビルや橋、タワーなどの建設時において骨組みの組み立てや取り付けを行います。
具体的には、クレーンで運ばれてきた鉄骨を所定の位置にセットしたり、コンクリートを打設する際の型枠の組立てや解体、鉄筋の組み立て作業などを担当したりします。
天候や風の影響を直接受けやすい作業であるため、慎重かつ迅速に作業を進める技術と判断力が求められ、身体のバランス感覚や体力もとび職には欠かせません。
なお、令和4年度のとび職の平均年収は431万円となっています。
6位「大工」
建設業で働く個人事業主の職種別・給料ランキング6位は、大工です。
大工は、木材を中心に使用して住宅や建物の構造部分や内装を手がける専門職です。
大工の業務は、設計図を基にして木材を加工し、組み立てることから始まります。そして、家の骨組みから、床、壁、天井、そしてドアや窓の取り付けまで、木材を使用した多岐にわたる作業が、大工の仕事です。
また、伝統的な日本の建築技術を用いて、仏壇や神社、寺院などの特定の構造物の建設や修復にも携わることがあります。
さらに、建物の断熱や防音などの性能向上のための、材料の選定や施工方法の提案も担当します。
なお、令和4年度の大工の平均年収は406.7万円となっています。
建設業で働く一人親方の職人単価は高いのか?
建設業で独立して、個人事業主として活動している人は「一人親方」と呼ばれます。
厚生労働省の調査によると、一人親方の平均年収は470万円で、建設業界全体の平均年収は460万円となっています。したがって、一人親方の給料は、建設業界の平均よりも少し高いと言えます。
関連記事:【2024年最新】建築士の平均年収はいくら?一級建築士の年収ランキングも紹介
建設業で働く一人親方が職人単価を上げるコツ
続いて、建設業で働く個人事業主が収入を増やすコツを5つ紹介します。
スキルアップと資格の取得
建設業で働く個人事業主が収入を増やすコツの1つ目は、スキルアップと資格の取得です。
特定の建設技術や工法を習得することで、一般的な作業員とは異なる価値を提供でき、それに伴い高い収入を得るチャンスが増えます。
また、さまざまな建設関連の資格を取得することで、幅広い案件に対応可能になります。また、業務の選択肢が増えるだけでなく、資格を要する高額な案件受注も期待できます。
資格の取得は初期投資が必要な場合もありますが、長期的に見ればその価値は大きく、確実な収入の向上に繋がるのです。
高単価な案件を受ける
建設業で働く個人事業主が収入を増やすコツの2つ目は、高単価な案件を受けることです。
高単価の案件は、一般的な作業に比べて専門性や技術的な要求が高いことが多いため、これらの案件を確実にこなす能力が求められます。しかし、それに見合うだけの報酬が得られるため、短期間での収入を大きく伸ばすことが可能です。
高単価案件を獲得するためには、自身のスキルや経験をしっかりとアピールするとともに、ネットワークを広げて情報収集に努めることが重要です。
また、過去の実績や口コミ、紹介なども大きな要因となるため、常に質の高い仕事を心がけることで、次第に高額な案件が舞い込むようになるでしょう。
経費を削減する
建設業で働く個人事業主が収入を増やすコツの3つ目は、経費を削減することです。
経費の削減は、収入アップと同じくらい、もしくはそれ以上に経営の健全性や収益性の向上に寄与する要素となります。
まず、必要な資材の購入に関して、量を一度にまとめて購入することで単価を下げる工夫や、異なるサプライヤーとの競争的な価格交渉を積極的に行うことが考えられます。
また、使用する機械やツールに関しても、定期的なメンテナンスを行うことで長寿命化を図るとともに、突発的な修理費用を抑えることが可能です。
さらに、電気や水道などの光熱費についても、節電や節水の取り組みを進めることでコストを削減することが可能です。
これらの経費削減の取り組みを日常の業務の中で意識的に行うことで、結果的に収益を最大化することができるでしょう。
営業力を強化する
建設業で働く個人事業主が収入を増やすコツの4つ目は、営業力を強化することです。
営業力を高めることで、より多くのクライアントや案件を獲得することが可能となり、収入の向上に繋がります。
まず、口コミや紹介を活用して信頼性を築くことが重要です。実績や顧客からの良い評価を広めることで、新たな依頼が増える可能性が高まります。また、地域のネットワーキングイベントや業界団体に参加することで、関連するビジネスパートナーや顧客との接点を増やすことができます。
さらに、デジタルマーケティングの導入や自身のウェブサイトの充実も、今日の時代においては営業活動の一部として非常に効果的です。
積極的に営業活動を行い、自分のサービスや強みをアピールすることで、収入の安定と増加を図ることができるでしょう。
保険に加入する
建設業で働く個人事業主が収入を増やすコツの5つ目は、保険に加入することです。
建設業は多くのリスクが伴う業種であり、事故やトラブルが発生した際に高額な賠償責任が生じることも考えられます。こうした突発的な経済的損失を防ぐために、事業用の損害保険や賠償責任保険に加入することで、安心して業務を遂行することが可能です。
また、加入している保険の存在をアピールすることで、クライアントからの信頼を得やすくなり、良質な案件の獲得率も向上する可能性があります。
さらに、自身の怪我や病気に備えての生命保険や医療保険への加入も、長期的な安定収入を確保する上で有効です。
保険によるリスクヘッジは、収入を継続的に増やすための重要なステップとなるのです。
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建設業で働く一人親方が職人単価アップを狙う場合の注意点
続いて、建設業で働く個人事業主が収入アップを狙う場合の注意点を3つ紹介します。
税制度を最低限理解する
建設業で働く個人事業主が収入アップを狙う場合の注意点の1つ目は、税制度を最低限理解することです。
収入が増えるにつれ、税金の計算や申告の方法も変わる可能性があります。適切な税務対応を行わないと、後で予期しない税金の追加請求や過払い、税務調査のリスクも増大します。
また、税制度を理解することで、経費の控除や優遇税制を活用して、税金の負担を軽減することも可能です。特に、投資や経費の計画を立てる際には、税制度を踏まえた賢い選択が求められます。これにより、収入アップを目指す中での財務的な安定も実現しやすくなります。
収入を増やすことと同時に、税務の知識もしっかりと身につけることで、より安定した経営基盤を築くことができるのです。
労災保険には加入不可
建設業で働く個人事業主が収入アップを狙う場合の注意点の2つ目は、労災保険には加入不可であることです。
特に、労災保険には通常の方法で加入することができません。個人事業主自身は、従業員がいない限り労災保険に加入することが認められていないのです。
これは、労災保険が労働者の傷害や疾病、失業などのリスクを補償するものであり、従業員を持つ事業主を対象とした制度であるためです。しかし、収入を増やす過程でリスクも増える可能性があるため、他の保険商品で自身をカバーする方法を検討することが賢明です。
事業拡大を目指す中での安全対策やリスクヘッジの観点からも、適切な保険加入は絶対に欠かせない要素となります。
個人型確定拠出年金への加入を検討する
建設業で働く個人事業主が収入アップを狙う場合の注意点の3つ目は、個人型確定拠出年金への加入を検討することです。
個人型確定拠出年金は、将来に備えて、自らが積み立てた資産を投資し、その運用益を収益として得ることを目的としたものです。
建設業は収入が不安定であることが多く、先の見通しも難しいため、このような自助努力が必要とされます。定期的な積み立てによって、個人事業主自身の将来の資産形成をサポートし、リタイア後も安定した生活を送るための基盤を築くことができるのです。
収入を増やすだけでなく、収入の安定化や将来の生活設計にも目を向けることで、より安心してビジネスに取り組むことができるでしょう。
建設業で高年収な企業の給料ランキング
続いては、建設業で高年収な企業の給料ランキングTOP20を紹介します。
順位 | 会社名 | 平均年収(万円) |
1 | ショーボンドホールディングス株式会社 | 1,342 |
2 | 鹿島建設株式会社 | 1,103 |
3 | 株式会社大林組 | 1,046 |
4 | 大成建設株式会社 | 987 |
5 | コムシスホールディングス株式会社 | 981 |
6 | 清水建設株式会社 | 967 |
7 | 株式会社 奥村組 | 946 |
8 | 東急建設株式会社 | 945 |
9 | 明豊ファシリティワークス株式会社 | 929 |
10 | 株式会社朝日工業社 | 905 |
11 | 株式会社 長谷工コーポレーション | 905 |
12 | 株式会社 NIPPO | 905 |
13 | ダイダン株式会社 | 901 |
14 | 株式会社 大気社 | 894 |
15 | 日揮ホールディングス株式会社 | 894 |
16 | 大和ハウス工業株式会社 | 894 |
17 | 前田建設工業株式会社 | 882 |
18 | 鉄建建設株式会社 | 872 |
19 | 大東建託株式会社 | 871 |
20 | 株式会社福田組 | 868 |
今後の建設業の職人単価の傾向
平成30年9月の国税庁の発表によれば、建設業界の平均年収は493.9万円と、他業界と比較すると高めの部類に入ります。
建設業は体力を要する仕事ではありますが、その報酬は十分に確保されており、チームでの成果には大きな満足感が伴います。
東京オリンピックの延期後も、2025年の大阪万博や2027年予定のリニア中央新幹線の開通など、今後も建設業界の仕事の需要は継続的に高まる見込みです。
また、最新のICT技術が取り入れられはじめ、業務効率化が進んでいるため、建設業界の従来の厳しいイメージも徐々に変わりつつあります。
このように、技術の習得やスキルの向上に注力することで、今後も給与の増加や、他社への転職といったキャリアアップの道が広がると考えられるのです。
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一人親方の職人単価ランキングについてのまとめ
今回は、建設業の給料ランキングについて解説しました。
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