技術職への転職を検討している人の中には、1級ボイラー技士の難易度や受験資格について気になっている人もいるでしょう。
結論、1級ボイラー技士は実務経験が無くても受験可能です。ただし、合格後に免許を受けるためには、1年から2年ほどの実務経験が必要です。
一方で、令和5年度の1級ボイラー技士の合格率は49.6%でした。試験範囲が2級と同様のため、難易度は高くないと言われています。
この記事では、1級ボイラー技士について、2級との違いや試験に合格するために必要な勉強時間や、過去問を使用した学習方法を解説します。1級ボイラー技士の取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
1級ボイラー技士の試験日や申込方法
1級ボイラー技士は、中規模から大型のボイラーを扱える資格です。
具体的には、伝熱面積の合計が25㎡以上500㎡未満のボイラーを取り扱う場合、1級ボイラー技士からボイラー取扱作業主任者の選任が義務付けられています。
1級ボイラー技士の試験に関して、次のポイントを解説します。
- 試験日と試験場所
- 試験科目
- 受験料
- 申込方法
- 出張試験
参考:資格の紹介(一級ボイラー技士)|公益財団法人安全衛生技術試験協会
試験日と試験場所
1級ボイラー技士の試験は、全国各地であらゆる時期に開催されています。
- 北海道安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・11月19日(火)・令和7年1月23日(木)・3月11日(火)
- 東北安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・11月19日(火)・令和7年1月23日(木)・3月11日(火)
- 関東安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・令和7年1月23日(木)
- 中部安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・令和7年1月23日(木)・3月11日(火)
- 近畿安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・令和7年1月23日(木)・3月11日(火)
- 中国四国安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・11月19日(火)・令和7年1月23日(木)・3月11日(火)
- 九州安全衛生技術センター
- 令和6年6月5日(水)・9月5日(木)・令和7年1月23日(木)・3月11日(火)
令和6年度は各地域ともに年3回以上開催しています。
試験科目
1級ボイラー技士の試験科目は次のとおりです。
試験科目 | 出題範囲 | 問題数 |
ボイラーの構造に関する知識 | 熱および蒸気、種類および型式、主要部分の構造、材料、据付け、附属設備および附属品の構造、自動制御装置 | 10問 |
ボイラーの取扱いに関する知識 | 点火、使用中の留意事項、埋火、附属装置および附属品の取扱い、ボイラー用水およびその処理、吹出し、損傷およびその防止方法、清浄作業、点検 | 10問 |
燃料および燃焼に関する知識 | 燃料の種類、燃焼理論、燃焼方式および燃焼装置、通風および通風装置 | 10問 |
関係法令 | 労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令および労働安全衛生規則中の関係条項、ボイラーおよび圧力容器安全規則、ボイラー構造規格中の附属設備および附属品に関する条項 | 10問 |
試験は5肢択一式のマークシート方式で出題されます。
また1級ボイラー技士の試験では、科目ごとの得点が40%以上、かつ合計が60%以上でなければなりません。
そのため、極端な不得意科目があると、全体で60%以上の正答率があっても合格できない可能性があります。
実際に、令和5年度に実施された1級ボイラー技士試験の合格率は49.6%でした。
参考:一級ボイラー技士免許の取得について | 一般社団法人 日本ボイラ協会
参考:試験実施統計|公益財団法人安全衛生技術試験協会
受験料
1級ボイラー技士の受験料は、8,800円です。
受験申請書に同封されている専用の払込用紙に必要事項を記入の上、支払い手続きをしましょう。
また、支払い時に受け取った振替払込請求書兼受領証は自身で保管し、振替払込受付証明書(お客さま用)は受験申請書に貼り付ける必要があります。
そのため、誤って破棄しないように注意しましょう。
申込方法
1級ボイラー技士の試験を受けるには、書面もしくはオンラインによる申込が必要です。
書面を各地域の安全衛生技術センターに郵送、もしくは持参をして申込手続きを行います。
詳細は「受験申請書の請求」で確認可能です。
正しく申込が完了すれば、受験票が手元に届きます。
参考:受験申請書の請求|公益財団法人安全衛生技術試験協会
参考:安全衛生技術試験受験申請・登録申請システム|公益財団法人安全衛生技術試験協会
出張試験
1級ボイラー技士の試験では、出張特別試験も設けられています。
令和6年度の二級ボイラー技士出張特別試験日程は次のとおりです。
地区名 | 試験日 |
函館 | 令和6年7月7日(日) |
札幌 | 令和6年7月13日(土) |
帯広 | 令和6年7月27日(土) |
北見 | 令和6年8月24日(土) |
旭川 | 令和6年9月14日(土) |
釧路 | 令和6年10月5日(土) |
函館(2回目) | 令和6年11月24日(日) |
青森 | 令和6年6月23日(日) |
庄内 | 令和6年7月6日(土) |
岩手 | 令和6年8月24日(土) |
秋田 | 令和6年9月14日(土) |
山形 | 令和6年10月5日(土) |
福島 | 令和6年11月9日(土) |
岩手(2回目) | 令和6年12月7日(土) |
山梨 | 令和8月26日(月) |
新潟 | 令和9月10日(火) |
長野 | 令和9月21日(土) |
群馬 | 令和10月27日(日) |
栃木 | 令和6年11月9日(土) |
茨城 | 令和6年12月21日(土) |
福井 | 令和6年8月23日(金) |
岐阜 | 令和6年9月8日(日) |
富山 | 令和6年9月15日(日) |
三重 | 令和6年10月6日(日) |
石川 | 令和6年11月3日(日) |
静岡 | 令和6年11月24日(日) |
京都 | 令和6年7月10日(水) |
滋賀 | 令和6年8月7日(水) |
和歌山 | 令和6年9月7日(土) |
大阪 | 令和6年11月19日(火) |
奈良 | 令和6年11月10日(日) |
島根 | 令和6年7月27日(土) |
香川 | 令和6年8月10日(土) |
高知 | 令和6年8月24日(土) |
愛媛 | 令和6年8月31日(土) |
山口 | 令和6年9月23日(月) |
鳥取 | 令和6年10月5日(土) |
岡山 | 令和6年11月4日(月) |
広島 | 令和6年11月23日(土) |
徳島 | 令和6年12月15日(日) |
宮崎(1回目) | 令和6年8月3日(土) |
鹿児島 | 令和6年8月25日(日) |
北九州 | 令和6年9月1日(日) |
大分 | 令和6年9月28日(土) |
熊本 | 令和6年10月13日(日) |
沖縄(1回目) | 令和6年10月20日(日) |
長崎 | 令和6年10月26日(土) |
宮崎(2回目) | 令和6年11月17日(日) |
佐賀 | 令和6年11月24日(日) |
沖縄(2回目) | 令和7年2月2日(日) |
1級ボイラー技士出張特別試験は各地域で年1回開催されるケースが一般的です。ただし、地域によっては、年2回開催されている場合もあります。
参考:ボイラー技士出張特別試験について | 一般社団法人 日本ボイラ協会
実務経験なしでOK?1級ボイラー技士の受験資格は?
1級ボイラー技士の試験を受験するにあたって、実務経験の有無は問われません。ただし、1級ボイラー技士を受験するには、以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。
- 2級ボイラー技士の免許を有する人
- 大学・高専・高校などでボイラーに関する学科を修め卒業し、その後1年以上の実地修習を経た人
- 熱管理士免状を有している、かつ1年以上の実地修習を経た人
- 海技士(機関3級以上)免許を有する人
- ボイラー・タービン主任技術者(1種・2種)の免状を有している、かつ伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーの取扱い経験者
- 保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した、かつ伝熱面積の合計が25㎡以上のボイラーの取扱い経験者
また、1級ボイラー技士の試験に合格後、免許を受けるためには、1年から2年ほどの実務経験が必要です。
参考:一級ボイラー技士免許の取得について | 一般社団法人 日本ボイラ協会
ボイラー技士の違いと業務内容
ボイラー技士の資格は1級以外にも、2級と特級があります。また、資格によって取扱い可能なボイラーの規模などが異なっています。
- 2級ボイラー技士
- 1級ボイラー技士
- 特級ボイラー技士
資格の種類ごとの業務内容を見ていきましょう。
2級ボイラー技士
2級ボイラー技士は、伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラーを取り扱う作業で、取扱作業主任者を担当できる資格です。
2級ボイラー技士は一般に設置されている製造設備や暖冷房、給湯用のボイラーを取り扱っています。
参考:資格の紹介(二級ボイラー技士)|公益財団法人安全衛生技術試験協会
参考:二級ボイラー技士免許の取得について | 一般社団法人 日本ボイラ協会
1級ボイラー技士
1級ボイラー技士は、2級と比較して中規模や大型のボイラーを扱える資格です。
具体的には、伝熱面積の合計が25㎡以上500㎡未満のボイラーを取り扱う場合、1級ボイラー技士がボイラー取扱作業主任者として選任されます。
一般的には、大規模な工場や事務所、病院などのボイラーを取り扱っています。
参考:資格の紹介(一級ボイラー技士)|公益財団法人安全衛生技術試験協会
参考:一級ボイラー技士免許の取得について | 一般社団法人 日本ボイラ協会
特級ボイラー技士
特級ボイラー技士は、すべてのボイラーを取り扱える資格です。ボイラー技士の資格の中で、最も難易度が高いと言われています。
そのため、大学、高校でボイラーに関する講座または学科を修めて卒業した人の中には、2級・1級を受験せずに、最初から特級取得を目指すケースもあるようです。
参考:特級ボイラー技士免許の取得について | 一般社団法人 日本ボイラ協会
1級ボイラー技士の難易度は難しい?
1級ボイラー技士の試験は、一般的に見て難易度は高くないと言われています。実際に、令和5年度に実施された1級ボイラー技士試験の合格率は49.6%です。
おおよそ受験者の2人に1人が合格する計算です。
合格率が比較的高く推移する理由のひとつが、既に2級ボイラー技士の資格を持っている受験者が多いことが挙げられます。
1級は2級より計算問題が増える関係などから難易度は高くなるものの、試験範囲自体は同様です。
したがって、出題される内容は2級ボイラー技士の範囲を大きく超えるものではなく、基本的な知識をベースに、少し深掘りした内容が問われます。着実に試験対策を講じれば、十分に合格できるでしょう。
1級ボイラー技士に合格するための勉強時間
1級ボイラー技士の合格に向けての必要な勉強時間は、個々の学習スタイルや事前の知識レベルに大きく依存しますが、一般的には約100時間から200時間程度と言われています。
1級は2級よりも高度な知識が求められるため、計画的に勉強を進めましょう。
具体的には「ボイラーの構造に関する知識」「ボイラーの取扱いに関する知識」「燃料および燃焼に関する知識」「関係法令」と幅広い学習が必要です。
一方で、長期的に勉強をしなくても合格が可能な資格のため、技術職のキャリアを積みたい場合は取得を目指すとよいでしょう。
1級ボイラー技士の過去問を使用した勉強方法と試験対策
1級ボイラー技士の合格に向けての勉強方法と試験対策のポイントは次のとおりです。
- 過去問を解いて出題傾向を理解する
- 計算問題が苦手な場合は参考書を利用する
- 各科目に出題される新規問題に対応する
それぞれのポイントについて解説します。
過去問を解いて出題傾向を理解する
試験対策の基本として、過去問を解いて出題傾向を理解しましょう。過去問に取り組むことで、出題傾向や頻出のテーマを把握でき、効率よく学習を進められます。
特に繰り返し出題されるポイントを把握すると、試験で出やすい分野に集中して対策を立てられるため、短期間での得点力アップにつながります。
計算問題が苦手な場合は参考書を利用する
計算問題が苦手な場合は、参考書を積極的に活用しましょう。1級の試験では2級と異なり計算問題が多く出題される傾向があります。
問題を理解しやすい参考書を選び、ステップごとに解法を確認しながら学習を進めましょう。計算問題は慣れが大切なので、基本を押さえつつ、繰り返しの反復練習が重要です。
各科目に出題される新規問題に対応する
各科目に出題される新規問題への対応も欠かせません。1級ボイラー技士の試験では、毎回新しい形式やテーマの問題が3問程度出題される傾向があります。
新規問題に対応するには、基本的な知識を深めつつも、最新の参考書や問題集で幅広い範囲の知識を身につけましょう。
特に法規や技術の変化に敏感になり、最新の情報を意識して学習するとよいでしょう。
1級ボイラー技士に関するよくある質問
1級ボイラー技士に関するよくある質問は次のとおりです。
- 1級ボイラー技士は難しい?
- 1級ボイラー技士を受けるためには実務経験が必要?
- 1級ボイラー技士の合格率は?
- 1級ボイラー技士の年収は?
それぞれの質問について解説します。
1級ボイラー技士は難しい?
1級ボイラー技士の試験は、比較的難易度は高くないと言われています。実際に、令和5年度に実施された1級ボイラー技士試験の合格率は49.6%で、おおよそ受験者の2人に1人が合格する計算です。
合格率が比較的高く推移する理由のひとつが、既に2級ボイラー技士の資格を持っている受験者が多いことが挙げられます。また、試験範囲自体は2級と同様です。
1級は、2級より計算問題が増える関係などから難易度は高くなるものの、試験範囲自体は同様です。
したがって、出題される内容は2級ボイラー技士の範囲を大きく超えるものではないと言われています。
1級ボイラー技士を受けるためには実務経験が必要?
1級ボイラー技士の試験を受験するにあたって、実務経験の有無は問われません。
ただし、1級ボイラー技士の試験に合格後、免許を受けるためには、1年から2年ほどの実務経験が求められます。
1級ボイラー技士の年収は?
1級ボイラー技士の年収は、業界や勤務地、職場の規模によって異なります。令和5年賃金構造基本統計調査によれば、ボイラー技士の平均年収は442.1万円です。
ただし、平均年収には1級を保有していない2級ボイラー技士も含まれています。
したがって、1級ボイラー技士を取得して、大規模のボイラーに関わる業務に従事したり、大手企業に勤務したりする場合は平均年収以上を期待できるでしょう。
参考:ボイラーオペレーター - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
関連記事:ボイラー技士の年収はどのくらい?仕事内容や将来性について
1級ボイラー技士を取得して将来性のある仕事でキャリアを築こう
この記事では、1級ボイラー技士の難易度や受験資格、勉強方法などについて解説してきました。
1級ボイラー技士は、伝熱面積の合計が25㎡以上500㎡未満のボイラーを操作・管理できる資格です。
1級ボイラー技士の試験を受験するにあたって、実務経験の有無は問われません。ただし、合格後に免許を受けるには、1年から2年ほどの実務経験が必要です。
それでも令和5年度の合格率は49.6%で推移しています。また、100時間から200時間の勉強時間で合格する例は多く、難易度は高くないと言われています。
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