電気主任技術者はやめとけ？現役のリアルな声や実態を紹介

電気主任技術者は、ビルや工場など事業用の電気工作物の管理や保守などを行っており、業界の中でも需要の高い職種です。

年収も安定しているため将来性の高い魅力的な職種ですが、一方で「電気主任技術者はやめとけ」という声もたくさん存在します。

本記事では「電気主任技術者はやめとけ」と言われる理由、資格の有用性や給料事情について解説していきます。

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電気主任技術者はやめとけと言われる理由

電気主任技術者は、電気設備の保安監督をおこなう仕事になります。電気設備は、私たちの生活や経済活動に必要なインフラであり、電気設備の安全を守るためには電気主任技術者の存在は欠かせません。

とはいえ、電気主任技術者はやめとけと言われているのも事実です。本章ではなぜ、電気主任技術者はやめとけと言われているのか、解説していくので最後まで読んでみてください。

採用時に実務経験が重視される

時には実務経験がもっとも重視されるからです。せっかく電気主任技術者の資格を取得しても、実務未経験では就職に失敗する可能性が高くなります。

実際の電気主任技術者の求人にも、実務経験がないと応募できない企業が多いです。そのため、頑張って資格を取ってもムダになるからやめとけと言われています。

実務経験がないと年収が低い

実務経験がない電気主任技術者は、就職できたとしても年収が低い傾向にあります。

上記で電気主任技術者は、実務経験が重視されると紹介しましたが、少なからず未経験者でも応募できる求人はあります。しかし、未経験者向けの求人は、給料が低めに設定されているのが現状です。

未経験者向けの電気主任技術者への求人募集では、平均月収が約20万円程度になっています。また、未経験とはいえ、有資格者でなければできない仕事の難しさがあり、なおかつ責任もかかります。

実務経験がない状態での転職活動を考えている人は、一時的に給料が下がることを考慮した上で転職活動に臨むと良いでしょう。

責任が重い

電気主任技術者は、事故が起きれば人的被害や経済損失をもたらすおそれがあるため、責任が重い仕事になります。

電気設備全般は、高圧電気全般を取り扱わなくてはいけません。そのため、電気設備現場で事故が起きると最悪の場合、人の命に関わることになります。

電気主任技術者は現場を監督する立場であるため、事故が起きれば当然責任を問われることになるでしょう。

常に事故のプレッシャーがある中で作業を行わないといけなく、責任感の重さからも電気主任技術者はやめとけと言われています。

生活リズムが不規則になる可能性があるから

電気主任技術者は、トラブルが発生した場合にすぐに対応する必要があるため、生活リズムが不規則になる可能性があります。

電気主任技術者は、ビルや商業施設など電気施設を管理する責任者として働いています。もし、トラブルが起きた場合、すぐに現地へ向かわなくてはいけません。

早朝や夜間にトラブルが起きて現地へ行かないといけない可能性もあるので、生活リズムが狂ってしまうこともあります。

また、トラブルが起きた際は解決するまで対応しないといけないので、必然的に長時間労働になりやすいです。

勤務時間が不規則になり、さらに労働時間も長くブラック企業のような部分があることからも電気主任技術者はやめとけと言われている要因になっています。

会社によっては労働環境がブラックになる

一部の企業では、電気主任技術者の労働環境がブラック企業のように悪化しており、長時間労働や休日返上などの厳しい労働条件が課せられることがあります。

ブラック企業は常に人手不足であるため、長時間労働、休日返上での勤務、毎日の残業など労働環境がよくありません。

電気主任技術者はやりがいのある仕事ですが、労働環境がブラックな会社に転職してしまうと、心身ともに大きな負担がかかります。

電気主任技術者を目指す場合は、労働環境にも注意して、自分に合った会社を選ぶようにしましょう。

会社によっては転勤がある

電気主任技術者の仕事には全国への転勤の可能性があるため、転勤を避けたいと考える人にとっては、電気主任技術者は向かない可能性があります。自社が管理している電気設備が全国にある場合、当然転勤させられることもあるでしょう。

転勤をポジティブに捉える人もいますが、家族を持っている人や転勤先に知人・友人がいない人にとってはネガティブに感じることも多いのではないでしょうか。

会社を選ぶ基準として「転勤がない会社」をあげる人も少なくありません。

会社によるとはいえ、転勤の可能性がある電気主任技術者の仕事は、転勤が嫌な人からすると「やめとけ」と言いたくなっても仕方ないでしょう。

電気関連ではない業務が多い

電気主任技術者の仕事には、電気関連ではない業務も多く含まれているため、電気関連の業務を希望している人にとっては、不都合に感じる場面もあるでしょう。

電気主任技術者は、電気に関する資格の中ではとくに難易度が高いと言われています。

会社内でも電気に関する知識が豊富であると判断されるため、現場以外の管理業務や書類整理など幅広く任される時もあります。

しかし、電気関連の業務に専念したい技術者にとっては不満に感じることもあるでしょう。

上記のように努力をして資格を取得したにも関わらず、電気関連の業務が行えない場合も電気主任技術者になるのはやめとけと言われます。

電気関連の業務のみを希望している場合は、あらかじめ業務内容を会社側に確認するようにしておきましょう。

関連記事：電気主任技術者とは？資格の取得内容や仕事内容を詳しく解説

関連記事：電気工事士はやめたほうがいい？そうとも言えない5つの理由

電験三種は無駄だった？現役の電気主任技術者の本音

電験三種は、電気主任技術者になるための必須資格ですが、実際の仕事の現場ではどのようになっているのでしょうか。

本章では実際、電気主任技術者と働いている人の声を参考資料をもとに年代別にまとめてみました。

現役で働いている人の給料給与や仕事内容に関する本音を知りたい方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

参考：仕事のプロが本音を明かすhonne.biz「【職種】電気主任技術者が明かす仕事の本音」

30代男性のケース

【良かった点】

・電気に関する事案では上司からの信頼があり発言権が得られた ・人手不足のため、クビになる心配がなく、会社に対して強気に発言できる ・責任は重いけどやりがいがある

【悪かった点】

・有資格者がいないと事業が成り立たないわりに給料が安い ・転職後にすぐ選任され、周囲に仕事の相談をできる人がいなかった ・勉強と試行錯誤の繰り返しになった

50代男性のケース

【良かった点】

・決まったところしか見ないので比較的楽に感じる ・月1の点検や隔月の点検で済む契約だったので時間の都合がつけやすい ・再生可能エネルギー設備の設置関数が増加していることで、電気主任技術者の需要が高まっている

【悪かった点】

・休日出勤が多い ・平日は平日で業務量が多い ・残業が多いことや有給消化が足りていないと会社からうるさく言われる

60代男性のケース

【良かった点】

・専任電気主任技術者の経験があったため、定年後も再就職が容易にできた ・働く意思があれば再就職しやすい ・働く人の能力によっては高収入も達成できる

【悪かった点】

・責任が重いため、心配になり胃を壊したことがある ・心配性の人には向かないと思う ・試験で資格を取っても実務に生かせないことがある（設備新設の設計や保護継電器に関することは試験にでない）

出典：仕事のプロが本音を明かすhonne.biz「【職種】電気主任技術者が明かす仕事の本音」

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電気主任技術者の資格を取るメリット

電気主任技術者はやめとけと言われる一方、取得する価値の高い資格とも言われます。メリットとしては、以下のとおりです。

・需要が高い ・将来性がある ・転職に有利

なぜ、電気主任技術者の資格を取るとメリットがあるのか、それぞれ解説していきますね。

需要が高い

電気主任技術者の資格は、電気関連の作業を行う企業において重要な資格であるため需要が高く転職活動にも役立ちます。

日本の法律で電気に関する「工事・点検・管理」などは、電気主任技術者の有資格者でなければ作業を行うことができません。

また、電気工作物を設置している企業は、必ず電気主任技術者を配置しないといけないと定められています。

つまり、電気工作物を扱う企業にとって、電気主任技術者の有資格者は常に雇っておきたい人材になります。電気工作物を扱っている企業は多いため、今後も電気主任技術者の需要は高くなると言えるでしょう。

将来性がある

世の中に電気があり続ける限り、電気主任技術者の需要はなくなることはありません。電気設備に関する需要がなくなることは考えられないので、電気主任技術者は将来性の高い仕事と言えるでしょう。

また、電気主任技術者は電気設備の管理や点検などを行う仕事になるため、あまり体力も必要ありません。

定年を迎えた後も再就職が可能な企業が多く、長く働き続けられる職種と言う点も大きなメリットと言えるでしょう。

転職に有利

電気主任技術者の資格は転職に有利であり、資格を所有していない人と比べると、保有者に多くの良い職場機会を提供してくれます。

また、電気工事士や電気工事施工管理技士などの資格を組み合わせることで、さらに多くの職務機会が得られる可能性もあります。

上記のように電気関連の資格を保有していると、ひとりで工事や管理、点検などができるので、企業にとって貴重な人材になるでしょう。

関連記事：電気工事施工管理の平均年収はいくら？収入アップのコツも解説

電気主任技術者には3種類ある

電気主任技術者の資格は、第一種から第三種までの3種類あります。資格によって異なる点は、対応できる電圧の差です。

それぞれの仕事内容や試験の難易度などを解説していくので、参考にしてみてください。

第三種電気主任技術者（電験三種）

第三種電気主任技術者は「電験三種」とも呼ばれ、電気主任技術者の中では入門編となる資格です。第三種電気主任技術者は、電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物の工事や運用、保安の監督業務を行います。

3つの資格の中では下位となる資格ですが、取得は容易ではありません。合格率もほとんど10%を切っています。

以下の表に過去5年間の合格率をまとめてみました。

年度	合格率
平成29年度	8.1%
平成30年度	9.1%
令和元年度	9.3%
令和2年度	9.8%
令和3年度	11.5%

参考： 一般財団法人電気技術者試験センター|試験実施状況の推移（第三種電気主任技術者試験） 

第二種、第一種と比較すると問題は基礎的なものになりますが、専門的な内容が多く、合格率にも影響していると考えられます。

第二種電気主任技術者（電験二種）

第二種電気主任技術者は、電気主任技術者の中では中間の位置となる資格です。電圧17万ボルト未満の事業用工作物を扱う現場で、電気設備の工事や運用、保守の獲得を行うことができます。

主に発電所や工場、ビルなどで勤務している人が多いです。第二種は第三種と違い、一次試験と二次試験の両方に合格しなければいけません。

一次試験はマークシート方式ですが、二次試験は記述方式となるので、難易度が高くなります。過去5年間の合格率を見ていきましょう。

年度	一次試験合格率	二次試験合格率
平成29年度	26%	14%
平成30年度	24%	15%
令和元年度	24%	23%
令和2年度	27%	28%
令和3年度	26%	17%

参考： 一般財団法人電気技術者試験センター|試験実施状況の推移（第二種電気主任技術者試験） 

一次試験はマークシート方式での回答となるため、二次試験よりも合格率は高い傾向にあります。また、令和2年度の合格率と平成29年度の二次試験合格率が倍近く異なるのは、年度によって難易度の差があると考えられます。

第一種電気主任技術者（電験一種）

第一種電気主任技術者は、電気主任技術者の中で最上位の資格です。扱える電圧に上限がなく、全ての事業用工作物の「工事・運用・保安」の監督業務を行えます。

第一種電気主任技術者しか勤務できない現場は、メガソーラーや大規模な変電所などです。あらゆる案件に対応できるため、求められる知識は高度になりますが、その分年収は高くなります。

試験は第二種と同じく一次試験と二次試験にわかれています。過去5年間の合格率を見てみましょう。

年度	一次試験合格率	二次試験合格率
平成29年度	23%	15%
平成30年度	24%	14%
令和元年度	24%	17%
令和2年度	50%	14%
令和3年度	31%	8%

参考：一般財団法人電気技術者試験センター｜試験実施状況の推移（第一種電気主任技術者試験）

令和2年度の一次試験は50%とかなり高い合格率ですが、他は平均25%前後、二次試験は15%と難易度は高い傾向があります。高い知識と技術が求められるため、十分な準備が必要になるでしょう。

出典： 一般財団法人電気技術者試験センター|試験実施状況の推移（第三種電気主任技術者試験）
出典： 一般財団法人電気技術者試験センター|試験実施状況の推移（第二種電気主任技術者試験）
出典：一般財団法人電気技術者試験センター｜試験実施状況の推移（第一種電気主任技術者試験）

電気主任技術者の平均年収・給料

電気主任技術者の平均年収や給料について解説していきます。

電気主任技術者の平均年収は644万円

厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、電気主任技術者の平均年収は約644万円程になっています。日本人の平均年収は436万円※2）なので、約180万円程高い数値となります。

電気主任技術者はライフラインに関わる仕事を行い、スキルや技術、知識が必要にあるため年収が高くなると考えられます。

参考：※1）職業情報提供サイトjobtag｜電気技術者
参考：※2）国税庁｜「令和元年分民間給与実態統計調査」国税庁｜「令和元年分民間給与実態統計調査」

20代は年収400万円を下回ることもある

電気主任技術者の平均年収は644万円程※1）ですが、場合によっては400万円を切るケースもあります。

1つ目のケースは、所有する資格が第三種電気主任技術者である場合です。第三種電気主任技術者は下位資格になるため、年収にも影響します。

2つ目のケースは、経験や年齢により年収が400万円を切るケースです。大卒で電気主任技術者として働き始めた場合、20代のうちは年収400万円以下が一般的になるでしょう。

出典：※1）職業情報提供サイトjobtag｜電気技術者職業情報提供サイトjobtag｜電気技術者
出典：※2）国税庁｜「令和元年分民間給与実態統計調査」国税庁｜「令和元年分民間給与実態統計調査」

関連記事：電気工事士の年収は高い？給料の実態や仕事内容を解説

電気主任技術者が年収を増やすために出来ること

電気主任技術者が年収を増やすためには、以下の方法を試しましょう。

・スキルを高める ・資格を増やす ・転職する

それぞれ解説します。

スキルを高める

電気主任技術者として年収を上げるには、実務経験を積んでスキルを高めていきましょう。

スキルを高める方法はさまざまですが、まずは多くの現場で実務経験を行い、スキルを磨いて会社から信頼を勝ち取るのが年収アップへの近道になります。

いきなり実務経験を積むのは、不安になることも多いでしょうが、不安を乗り越えた先に年収アップや働きがいを得ることができます。積極的に仕事をこなしていき、年収アップを目指してみてください。

資格を増やす

電気主任技術者は「第一種・第二種・第三種」と3つの資格がありますが、最上位である第一種の資格を取得することで、年収を増やせます。

また、電気に関連する資格取得もおすすめです。電気工事士や電気工事施工管理技士など電気主任技術者と関連する資格を取得すれば、資格手当も上乗せされるのでトータル年収を上げられるようになるでしょう。

転職する

転職は電気主任技術者が年収を増やす手段として有効で、新しい環境での経験とスキルの向上が期待できます。

転職市場では、電気主任技術者のような専門技術者は高く評価される傾向にあり、転職先で高い年収を提示されることも少なくありません。

また、新しい職場で新しいプロジェクトに参加することで、技術力をさらに向上させ、結果として年収向上にも繋がるでしょう。

とくに大手企業に転職すると仕事自体の単価が向上するため、大幅の年収アップも目指せます。あなた自身に合った転職プランで、年収アップを目指してみてはいかがでしょうか。

弊社では電気工事主任技術者をはじめ、物流業界に特化した求人サイト「クロスワーク」を運営しています。

無料で利用できるため、電気工事主任技術者として、キャリアアップしたい人はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

関連記事：電気主任技術者の年収はいくら？資格別の違いも解説

関連記事：電気施工管理はきつい？やめとけ？そうとも言えない4つの理由

電気主任技術者に関してよくある質問

電気主任技術者に関するよくある質問についてまとめました。

・第三種電気主任技術者の試験は何が難しいですか？ ・電気主任技術者は年収1,000万稼げますか？ ・電気主任技術者は実務経験なしでも働けますか？ ・電気主任技術者として独立はできますか？

ぜひ、参考にしてみてください。

第三種電気主任技術者の試験は何が難しいですか？

第三種電気主任技術者の試験は、10人に1人程度しか合格できないほど難易度が高いです。

難しいとされる理由は、過去に出された問題はほとんど使われず、新たに問題を出題しているため、対策が立てにくいとされています。

また、未経験の人が資格試験に臨んでいるので、経験や知識が足りず難しいと感じるようです。

電気主任技術者は年収1,000万稼げますか？

結論から言えば可能です。実際、大手電力会社で年収1,000万円以上稼いでいる人もいます。

また、個人事業主として独立した人の中にも1,000万円以上稼いでいる人もいるので、決して不可能な数字ではありません。

電気主任技術者は実務経験なしでも働けますか？

電気主任技術者になるためには、実務経験が必要かどうかは、取得方法によって異なります。実務経験がなくても第三種電気主任技術者になることはできますが、試験を受験し合格する必要があります。

資格を取得した後に実務経験を積み上げるようにしていきましょう。

電気主任技術者として独立はできますか？

電気主任技術者として独立するためには、実務経験は必須になります。実務経験としては、以下の期間が必要です。

・第1種電気主任技術者：3年 ・第2種電気主任技術者：4年 ・第3種電気主任技術者：5年

また、独立開業には、営業力や人脈を活かして自ら案件獲得に向けて行動力も必要になります。独立をすると高年収が目指せる魅力もありますが、大変な部分もあることを理解しておきましょう。

関連記事：電気工事士はやめとけ？資格を活かせる仕事や将来性を徹底解説

関連記事：電気工事施工管理を辞めたい理由6選。オススメの転職先は？

まとめ

電気主任技術者は資格の取得が難しいですが、比較的年収が高く、安定している魅力的な仕事になります。

電気主任技術者になるのは、やめとけと言われることもあるでしょう。しかし、今後電気の需要がなくなることはないので、将来性のある仕事なのは間違いありません。

また、電気主任技術者業界は、まだまだ人手不足であるため、資格を取れば転職に有利になります。

転職をスムーズに進めるためにも、まずは転職をして現場で経験を積み重ねながら資格取得を目指してみるのが良いのではないでしょうか。