バス運転手

路線バス運転手の年収事情を解説|年収を上げる7つの方法とは

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路線バスは、人々の交通手段として欠かせない存在と言えます。

近年はドライバー不足が続いていることもあり、未経験者を歓迎する求人が多くあります。

運転免許の取得支援制度を用意しているバス会社も多く、将来性もあることから異業種からの転職者も少なくありません。

この記事を読む人の中には「路線バス運転手への転職を検討しており、転職後の収入や仕事内容が気になる」という人もいるのではないでしょうか。

今回は、路線バスの収入事情を中心に、仕事のやりがいや具体的な仕事内容を詳しく解説していきます。

路線バス運転手の仕事が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事で分かること】
・路線バス運転手の年収
・路線バス運転手の年収を左右する要素
・路線バス運転手として年収を上げる方法
・路線バス運転手の仕事内容やなり方
・路線バス運転手のやりがいやきつさ
・路線バス運転手のキャリアプラン

路線バス運転手の年収

バスを運転する様子

運転手の仕事には、バスやトラック、タクシーなどがありますが、それぞれで年収が異なります。

ここでは、路線バス運転手の年収について解説していきます。

他の運転職との比較や勤務エリアによる年収の違いなどについて詳しく紹介していきますので、転職を検討するうえで参考にしてみてください。

平均年収は398.7万円

厚生労働省が運営する、職業情報提供サイト「jobtag」によると、令和4年の路線バス運転手の平均年収は398万7,000円です。

同年度における、日本全体の平均年収の中央値は423万円であるため、全体よりも24万円ほど低い水準です。

ただし、路線バス運転手は深刻な人手不足により、残業や休日出勤が多い傾向にあり、中には年収500万円を超える人もいます。

ちなみに、ハローワーク求人統計データによると、路線バス運転手の求人賃金の平均は21万7,000円です。

出典:職業情報提供サイトjobtag|路線バス運転手|厚生労働省
出典:2022年 国民生活基礎調査の概況・Ⅱ 各種世帯の所得等の状況 |厚生労働省

タクシー運転手よりやや高い

タクシー運転手はバスの運転手と同じで、未経験者でも転職しやすく異業種からの転職者が多い職種です。

職業情報提供サイト「jobtag」で公表されている、令和4年のタクシー運転手の平均年収は361万3,000円でした。

タクシー運転手と比べて路線バス運転手の年収は、40万円ほど高い結果となりました。

ちなみに、タクシー運転手は歩合制が用いられており、個人の売り上げで収入が大きく変わります。

そのため、年収が非常に幅広く、年収300万円ほどの人もいれば600万円以上の高収入を達成している運転手もいます。

路線バス運転手に関しては、歩合制ではなく「基本給+各種手当」の給与形態が一般的です。

出典:職業情報提供サイトjobtag|タクシー運転手|厚生労働省

勤務エリアによって差がある

路線バス運転手の年収は、勤務エリアによって異なります。

地域ごとに物価や経済状況が異なるだけでなく、交通需要の差も大きいことが影響しています。

ここでは、令和4年賃金構造基本統計調査をもとに、各地域で働く路線バス運転手の平均年収を紹介していきます。

地域平均年収地域平均年収
北海道307万円青森県290万円
秋田県279万円岩手県325万円
山形県288万円宮城県447万円
福島県420万円群馬県377万円
栃木県353万円茨城県334万円
埼玉県451万円千葉県371万円
東京都430万円神奈川県501万円
新潟県321万円富山県393万円
石川県348万円福井県362万円
岐阜県391万円長野県316万円
山梨県322万円愛知県406万円
静岡県338万円滋賀県364万円
京都府444万円兵庫県371万円
大阪府417万円奈良県375万円
三重県420万円和歌山県295万円
鳥取県304万円島根県320万円
山口県409万円広島県305万円
岡山県389万円愛媛県422万円
香川県361万円高知県350万円
徳島県343万円福岡県499万円
佐賀県389万円長崎県304万円
熊本県366万円大分県351万円
宮崎県326万円鹿児島県334万円
沖縄県297万円

※千の位は四捨五入しています。

国内で最も平均年収が高かったのは、神奈川県の501万円で、最も低かったのは秋田県の279万円でした。

その差は約222万円もあり、地域によってかなり差があると言えます。

あくまでも地域別の傾向であるため、一概に稼げない地域と稼げる地域があるというわけではないものの、転職の際に参考にしてみましょう。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

年収は50代がピーク

路線バス運転手は、他の職種と同様に昇給や出世により収入が上がっていきます。

そのため、勤務年数が浅い若い頃は年収が低く、経験を積み重ねていくことで収入が上がっていきます。

年代別の路線バス運転手の収入詳細は以下の通りです。

年代所定内給与額年間賞与・その他特別支給額合計収入
~19歳16万8,500円17万5,900円219万7,900円
20~24歳20万200円26万9,400円267万1,800円
25~29歳21万9,700円34万3,500円297万9,900円
30~34歳23万2,000円40万3,800円318万7,800円
35~39歳22万2,600円46万2,900円313万4,100円
40~44歳24万1,100円49万4,200円338万7,400円
45~49歳24万7,000円58万100円354万4,100円
50~54歳24万4,000円61万6,200円354万4,200円
55~59歳24万1,700円49万1,200円339万1,600円
60~64歳21万9,600円30万5,300円294万500円
65~69歳20万2,400円19万9,400円262万8,200円
70歳~20万300円16万7,200円257万800円

最も収入が多いのは50代前半であり、年代別の傾向に関しては他の職種と大きな違いはありません。

「所定内給与額」に、残業や休日出勤による時間外手当などは含まれていません。

残業時間は運転手によって異なるものの、各種手当も含めると、50代前半の平均年収は450万円前後と推測されます。

ちなみに、企業規模別での収入は以下の通りです。

企業規模所定内給与額年間賞与・その他特別支給額合計収入
10~99人23万1,800円26万5,800円304万7,400円
100~999人23万2,600円51万4,700円330万5,900円
1,000人以上24万1,700円62万2,700円352万3,100円

企業規模が大きくなるほど、給与・賞与ともに多くなることが分かります。

他の産業も同じ傾向にあり、ブランド力などにより利用されやすく収益が安定していることなどが理由として考えられます。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

路線バス運転手の年収を左右する要素

バス横並びしている様子

路線バス運転手の平均年収について解説してきましたが、路線バス業界は運転手によって平均年収に差があると言われています。

同じ仕事内容でありながら、年収に差が出る主な理由は2つあります。

・契約形態の違い
・公営バスか民営バスか

ここでは、2つの理由の詳細について詳しく解説していきます。

契約形態

路線バス運転手の雇用形態は、正社員以外に以下のような種類があります。

・嘱託社員、契約社員
・業務委託
・アルバイト

嘱託職員や契約社員は、基本的に給与水準が正社員よりも低い傾向があります。

業務委託に関しては、経験や運転スキルによって収入が決定することもあり、運転手によっては正社員より収入が高くなる可能性もあります。

アルバイトは、時給制で正社員と比べて手当などの支給が少ないため、最も収入が低いと言えるでしょう。

ちなみに、バス運転手のアルバイトは、季節によって需要が変わる観光バスなどが大半で、路線バスの雇用形態としてはほぼありません。

業務委託は、経験豊富な運転手が選択することが多く、正社員よりも稼げる可能性がある一方で、保証がありません。

未経験からの転職で、安定した収入を求めるのであれば、正社員雇用がおすすめと言えるでしょう。

公営バスか民営バスか

路線バスは、民間企業が運営する「民間バス」と、自治体が運営する「公営バス」の2種類があります。

公営バスの運転手は公務員の扱いとなるため、民間のバス会社よりも収入が高い傾向があります。

ただし、必ずしも正社員になれるわけではなく、パートやアルバイトといった非正規雇用で働く場合は収入が低くなります。

民間バスに関しては、貸切バスや観光バスといった複数の事業を行う会社が多く、路線バス以外の運転手に変わることで収入を上げられる可能性があります。

近年では、経営の厳しさから運営を民間に業務委託するケースが増えてきており、民間企業で働く運転手の方が多くなってきています。

路線バス運転手の年収を上げる7つの方法

バスから運転手が顔を出している様子

路線バス運転手の平均年収は約399万円と解説しましたが、中には年収600万円を超えるような人もいます。

路線バス運転手として、平均収入よりもさらに高収入を目指す方法は主に7つあります。

・エリアを厳選する
・規模の大きな会社に入る
・評価を上げる
・長距離運行や夜間運行をする
・長く勤続する
・転職する
・業務委託として働く

なぜこのような方法で年収が上がるのか、現役運転手のキャリアアップ事情を踏まえながら解説していきます。

エリアを厳選する

路線バス運転手として年収を上げるには、働くエリアを厳選することが大切です。

地域別の平均年収で解説した通り、地域によって路線バス運転手の平均年収には大きな差があります。

路線バスの利用者が多い、都市部や観光地は、特に年収が高い傾向にあるためおすすめです。

バス会社の求人には、遠方からの転職者に対し寮や社宅を用意しているものもあり、引越し費用を負担している会社もあります。

地元にこだわりがない場合は、エリアを厳選した上で転職先を決めてみましょう。

ただし、需要の高い地域で働けば必ず高収入になるとは限らず、地方のバス運転手は稼げないというわけではありません。

基本給や保証など総合的に判断するようにしましょう。

規模の大きな会社に入る

令和4年・賃金構造基本統計調査によると、企業規模別のバス運転手の平均収入は以下の通りです。

・10~99人:約305万円
・100~999人:約331万円
・1,000人以上:約352万円

企業規模が大きいほど、利益が安定しており福利厚生が充実していることから、平均年収が高い傾向です。

高収入を目指したいのであれば、規模の大きいバス会社への転職を検討しましょう。

ちなみに、路線バス事業を行う主な大手バス会社には、以下のような会社があります。

企業名事業内容
JRバス全国各地でバス事業を展開しておりJRのグループ企業
東急バス東京や神奈川を中心に路線バスを運行しており、東急電鉄のグループ企業
西武バス埼玉や東京都内で路線バスを運行しており、西武鉄道のグループ企業
阪急バス大阪や兵庫県で路線バスを運行しており、阪急電鉄のグループ企業

具体的な年収が気になる場合は、企業の口コミサイトなどで収入面の書き込みを調べてみましょう。

参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

評価を上げる

路線バス運転手として、収入を上げていくには社内での評価を上げることが重要です。
普段の勤務態度を良くして無遅刻・無欠勤で働きながら、運行に関しても無事故を目指しましょう。

評価による昇給や出世とは別に、無事故手当や皆勤手当てを支給している会社もあります。

長距離運行や夜間運行をする

路線バスは早朝や夜間の通勤や通学に使用されるため、路線バス運転手には早番や遅番があります。

22時〜翌5時の間で勤務した場合、深夜手当が付くため収入を上げられます。

深夜手当を増やしたいのであれば、24時間稼働している工場近辺や国際空港の路線バス運転手がおすすめです。

長く勤続する

路線バス業界は、年功序列であり長く働くほど昇給や出世によって年収が上がっていきます。

経験が浅く収入に多少の不満があったとしても、同じ会社で長く働き続けるようにしましょう。

転職する

路線バス事業を行うバス会社は全国にあり、給与体系が企業によって異なります。

ある程度、経験を積んだ上で自分のスキルを活かせるバス会社がある場合は、転職も検討してみましょう。

バスの運転手は、中途採用が非常に多いため、比較的転職しやすい職種と言えます。

転職する際は「企業の規模や勤務エリア」なども含めて総合的に判断してみてください。

業務委託として働く

業務委託は、経験や運転スキルによって収入が変わるため、交渉次第では正社員よりも高収入を目指せる可能性があります。

バス業界の求人には、業務委託の形態も多いため、理想の条件とマッチするものを探してみましょう。

路線バス運転手の仕事内容

運転手が乗客を案内する様子

路線バス運転手は、文字通り決められた路線を運転しながら乗客を目的地まで送り届けるのが仕事です。

しかし、運転以外にもさまざまな業務をこなします。

所属するバス会社に関係なく、出勤してすぐに行うのが、その日に乗車するバスの車両点検です。

ブレーキの利き具合や各種ランプの点灯など、異常がないか細かくチェックしていきます。

乗務中に関しては、運転に加えて以下のような作業をこなします。

・必要に応じた案内アナウンスや注意喚起
・停留所でのドアの開閉
・運賃の収受
・バスカードや関連グッズの販売

運行が終わり、営業所に戻った後の車内の忘れ物確認や洗車、給油などもバス運転手の仕事の1つです。

出典:職業情報提供サイト jobtag|路線バス運転手|厚生労働省

路線バス運転手になるには

バスから見える景色

路線バス運転手になる上で、学歴や経歴に特別な条件はなく、乗務するうえで必須となるのは「大型第二種自動車運転免許」のみです。

路線バスやタクシーなど、乗客から運賃を貰って旅客運送を行う場合は、第一種免許ではなく第二種免許が必要です。

近年は「資格取得支援制度」を設けているバス会社が多く、普通自動車免許を取得していれば、大型二種免許を持っていない人でも転職可能です。

自動車教習所で第二種免許を取得した後に、各バス会社が実施する研修を受ければ、路線バス運転手として乗務できるようになります。

ちなみに、バス運転手の研修内容は会社によって異なりますが、以下のような内容について学んでいきます。

・バス運転手としての心構え
・車両の日常点検の方法や手順
・運行に関する法令の座学講習
・接客訓練
・シミュレーターを使用した運転教習
・実車を使用した運転訓練

路線バス運転手の研修期間は、2〜3ヶ月ほどが一般的です。

路線バス運転手のやりがいときついところ

バスの操作パネルを触っている様子

路線バスの運転手の仕事には、他の仕事にないやりがいもあれば、運転手ならではの辛さもあります。

ここでは、現役運転手の声も踏まえながら、仕事の特徴について解説していきます。

路線バス運転手のやりがい

路線バス運転手のやりがいには、以下のような内容があります。

・人々の交通手段に欠かせない存在で社会貢献度が高いこと
・乗客に直接お礼の言葉をかけてもらえる
・プロとして無事に運行が終了した時の達成感

路線バスは、通勤や通学だけでなく、病院などへの交通手段として毎日多くの人が利用しています。

社会貢献度が高く、日々の業務の中で人々の役にたっていることを実感しながら働ける仕事です。

また、毎日同じ人が利用しやすく乗客との距離が近いため、直接感謝の言葉をかけてもらえることもあります。

ちょっとしたミスが大事故につながるため、常に集中しなければならない大変な仕事であるものの、無事に運行が終った時には大きな達成感を感じられるでしょう。

ちなみにやりがいではないものの「上司や後輩と一緒に働くわけではないため、人間関係が楽」といった声もありました。

路線バス運転手のきついところ

路線バス運転手のきつさには、以下のような内容があります。

・拘束時間が長く長時間の運転が続く
・遅延などで乗客とトラブルになることがある
・絶対に事故できないプレッシャーがある

バス業界は、人手不足が問題となっており他の業界よりも時間外労働が多いと言われています。

休日出勤も珍しくはなく、拘束時間の長さが辛いという声も少なくありません。

普段の運行では、悪天候や事故渋滞によりダイヤに乱れが生じてしまい、乗客から叱責されることもあります。

また、常に数十人ほどの乗客を乗せて運行するため「絶対に事故できない」という責任の重さもバス運転手ならではの辛さと言えるでしょう。

ちなみに、長時間労働に関しては、運転手の負担軽減と安全確保のため、改善に向けた取り組みを行うバス会社が増えてきています。

路線バス運転手のキャリアプラン

女性ドライバが笑っている様子

路線バス運転手として経験を積めば、さまざまなキャリアアップを目指せます。

仕事内容に関しては、観光バスや送迎バス、高速バスの運転手への転向も可能です。

また、運転手として出世していくことで、将来的に企業の指導運転士や運行管理者として事業所全体を支えるポジションも目指せます。

営業所で運行管理者や所長として働く人もいれば、本社で人事業務などの仕事に転向する人もいます。

路線バス運転手の年収についてのまとめ

バスを運転する様子

路線バス運転手の平均年収は約399万円で、全産業の平均と比べると若干少ない傾向です。

ただし、収入は勤務するエリアや雇用形態などによって大きく異なり、年収500万円以上を目指すことも十分可能です。

また、経験を積み社内で出世したり、さらに待遇の良い会社へ転職したりするなどのキャリアアップも目指せます。

路線バス運転手に興味がある方は、今回紹介した収入事情や仕事内容などを理解した上で転職を検討してみてください。

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