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自動車整備工場の人手不足は5割超え?人手不足になる5つの理由

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エンジンオイルをチェックする様子

乗用車やバス、トラックといったあらゆる車両の点検や修理を行う自動車整備士は、人々の生活に欠かせない存在と言えるでしょう。

しかしながら、自動車整備士は年々人数が減少傾向にあり、各地で人手不足が深刻化しています。

自動車整備士を目指しており、人手不足の具体的な原因が気になるという方もいるのではないでしょうか。

今回は、自動車整備士が各地で不足している理由について、分かりやすく解説していきます。

この記事で分かること
・自動車整備工場における人手不足の現状
・自動車整備士が不足している4つの原因
・人手不足に対する国の対応
・自動車整備士の将来性について
・自動車整備士の人手不足に関するよくある質問

自動車整備工場の5割以上が人手不足を感じている

タイヤ交換の様子

冒頭で解説したとおり、自動車整備士は年々不足傾向にあり、近い将来さらに深刻な状況になると予想されています。

日本整備振興会連合会が平成26年に実施した実態調査によると、全国にある5割の整備工場が人手不足であると回答しました。

不足状況にない45.2%
不足しているが影響は少ない37%
不足していて支障をきたしている10.9%
不明6.9%

調査結果を見て「そこまで深刻ではないのでは」と感じる人もいるかもしれませんが、将来的にはさらに人手不足が深刻化すると言われています。

整備士の数は年々減少しており、2014年に34万2,486人だったのが2019年には33万6,897人に減りました。

次章では、人手不足が進むと予想されている具体的な理由について、解説していきます。

参照:あなたの整備工場は、若い人材の確保に困っていませんか?|国土交通省

自動車整備士の人手不足の原因は4つ

ジャンピングの様子

全国の自動車整備工場の約半数が人手不足となっていますが、その原因は主に4つあります。

・自動車整備士になりたい若者が40%程減少
・自動車整備士の高齢化
・自動車整備士の離職率の高さ
・自動車整備士の収入に対する不満

ここでは、上記4つの原因について、自動車整備業界の現状を踏まえながら解説していきます。

自動車整備士になりたい若者が40%程減少している

整備士が不足している1つ目の原因が「若手人材の参入減少」です。

少し前までは、車の所有がステータスとなる時代もありましたが、近年は交通網が発達したことで、その価値観はなくなりつつあります。

また、車の性能が向上したことで故障が減少したため、日頃のお手入れなど車の整備に触れる機会も減ってきています。

若者の車離れが進むのに比例して、自動車整備の仕事に対して憧れを持つ人も、年々減少しているのが現状です。

2003年頃までは、毎年1万2,000人ほどの人が自動車整備関連の学校に進学していましたが、令和4年度の入学者は7,373人にまで減少しています。

国内では少子高齢化も進んでいることから、今後さらに若手人材の参入が減っていく可能性も高いと言えるでしょう。

自動車整備士の平均年齢が46.4歳と高齢化している

自動車整備士が不足する2つ目の原因が「現役整備士の高齢化」です。

近い将来、自動車整備士の数が大きく不足すると予想されているのはこのためです。

整備士の平均年齢は、平成10年時点で37歳でしたが、令和4年では47歳まで上昇しています。

【令和4年度の各職場における整備士の平均年齢】
・専業整備士:52.1歳
・兼業整備士:48歳
・ディーラー整備士:36.8歳
・全体平均46.7歳

約13年後には多くの整備士が定年を迎えるため、今後も若手人材の参入が増えなければ、より人手不足が深刻な状態になってしまいます。

参照:令和4年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

自動車整備士の離職率が18~20%と高くなっている

自動車整備士の人手不足が続く、3つ目の原因は「離職率の上昇」です。

自動車整備士の離職率は18〜20%と言われており、若手人材の約5人に1人が辞めてしまっているのが現状です。

【自動車整備士を辞めた主な理由】
・収入の低さ
・休みの少なさ
・将来性
・人間関係
・労働時間の長さ

自動車整備は、些細なミスが人の命にも関わる責任の大きい仕事です。

心身の負担が大きい仕事である一方で、給与水準は低い傾向にあり、待遇面を理由に退職する人は少なくありません。

労働環境に関しても、労働時間が長く休みが取りづらいと言われています。

出典:-令和2年雇用動向調査結果の概況- |厚生労働省

自動車整備士の平均年収は400万円程で給料に不満がある

自動車整備士が不足している4つ目の原因が「収入の低さ」です。

前述したとおり、収入など待遇面に不満があり整備士を辞める人は、決して少なくありません。

【令和4年度・賃金構造基本統計調査・自動車整備および修理従事者】
・給与平均:30万3,600円
・賞与等:77万5,600円
・推計年収:441万8,800円

この数字だけを見ると、決して年収が低いわけではないものの、労働時間や心身の負担を考えると「収入が見合っていない」と、多くの整備士が感じています。

また、上記データはあくまでも全体平均であり、若手である20代の年収はさらに低いため、離職率も高いのが現状です。

出典:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類|厚生労働省

自動車整備士の人手不足に関して国が実施している3つの対策

エンジンオイルの色をチェックする様子

自動車整備士の人手不足を受けて、企業とは別に国でもその対策を行っています。

・人材の募集
・人材の定着
・人材の育成

具体的な取り組み内容について、整備業界の課題も交えながら解説していきます。

1.人材の募集

国が行っている人材不足に対する1つ目の取組みが「人材の募集」です。

企業に変わって求人を出すのではなく、自動車整備士の認知度を高める活動に力を入れています。

【自動車整備士の認知度を上げるための取組み】

 

・小学生や中学生などに対する、自動車整備士の認知度を高める情報の発信

・学校関係者や保護者を含めた自動車学校の説明会の充実

・自動車整備業への関心を高めるためのコンテンツ開発

・高校生を対象とした整備工場の仕事体験

・各種奨学金制度の充実化

自動車整備士は、工場勤務や現場仕事と同じく「3K:きつい・汚い・危険」のイメージを持たれがちな仕事です。

このようなイメージを払拭し、やりがいや魅力の大きい仕事であることをいかにアピールできるかが重要と言えるでしょう。

出典:自動車整備人材に係る課題解決策を取りまとめ、今後実行フェーズに!! |国土交通省

2.人材の定着

国が行っている人材不足に対する2つ目の取組みは「人材の定着」です。

離職率を下げられれば、人材不足だけでなく現役整備士の平均年齢を下げることにもつながります。

【自動車整備士の定着を目的とした取組み】

 

・整備学校の生徒を対象として、最新車両に触れられる機会の充実

・資格手当や役職手当など、自動車整備士が適切な評価を受けられる制度や耐性の導入

・若手自動車整備士の収入が上がるための評価制度や体制の構築

・経営者向けセミナーによる多様な働き方の紹介

・ベテラン整備士による指導が受けられる個別支援制度の推進

この他にも、各企業では女性が働きやすい環境づくりにも力を入れています。

取り組み例として、工具や器具のコンパクト化をはかり、女性の負担減少や空調設備、更衣室の完備などがあります。

3.人材の育成

国が行っている人材不足に対する3つ目の取組みは「人材の育成」です。

より学びやすい環境が整うことで、業界全体の技術向上はもちろん収入面の改善も期待できます。

【自動車整備士の育成を目的とした取組み】

 

・自動車整備学校におけるVR教材などの導入と学習環境の充実

・自動車メーカーと連携し、最新車両による授業の充実

・地域の事業者と連携した合同研修の実施

・1級自動車整備士を目指せる環境の整備

1級自動車整備士や特殊整備士といった資格を取得することで、キャリアアップも狙えるようになります。

自動車整備士の将来性が高いと言える3つの理由

エンジンオイルをチェックする様子

前述した通り、自動車整備士の待遇面や労働環境は、年々改善されてきています。

今後に関しても、自動車整備士の将来性は高いと言われており、その理由としては以下のような内容があります。

・自動車整備士の平均年収も400万円台に突入している
・自動車整備士の有効求人は10年間で4倍以上に成長している
・新しいスキルに対応できる自動車整備士の需要は高い

整備業界の現状を踏まえながら、自動車整備士の将来性について解説していきます。

自動車整備士の平均年収も400万円台に突入している

先ほど、令和4年度における自動車整備士の推計年収は441万8,800円と紹介しました。

この年収を低いと感じるか高いと感じるかは人によりますが、整備士の年収は昔と比べて年々上昇しています。

経験を積みながら上位資格を取得すれば、より待遇の良い会社へのキャリアアップも目指せます。

誰でもすぐに高収入を目指せるわけではないものの、知識や技術を高めていけば年収500万円以上も十分目指せるでしょう。

参考:自動車特定整備業実態調査結果概要|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

自動車整備士の有効求人は10年間で4倍以上に成長している

自動車整備士の人材不足は、今後整備士を目指す人にとってはメリットでもあります。

さまざまな企業が若手整備士を探していることから、就職先や転職先の幅が広がっています。

令和5年3月時点の自動車整備業の有効求人倍率は4.55倍もあり、今後も需要の高い状態が続くと言えるでしょう。

整備業務は、人の命に関わる仕事であるため、ロボットの代行も難しく、将来的にもなくなることのない職種の1つです。

新しいスキルに対応できる自動車整備士の需要は高い

自動車の構造は日々進化しており、近年は電気化が進んでいます。

電気装置や電子制御に関する新しいスキルを身に付ければ、より貴重な存在として活躍しやすくなります。

整備士が学べる環境は、今後さらに充実していくと予想されており、キャリアアップを目指せる仕事になっていくと言えるでしょう。

自動車整備士の人手不足に関するよくある質問

ブレーキパットを点検する様子

最後は、自動車整備士の人手不足に関する、3つのよくある質問に答えていきます。

・自動車整備士を辞めて本当に良かったと言われるのはなぜですか?
・自動車整備士の給料が安いのはなぜですか?
・自動車整備士は儲かりますか?

自動車整備士の労働事情に関する内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

自動車整備士を辞めて本当に良かったと言われるのはなぜですか?

自動車整備士を辞めて他の仕事に転職した人の声には、以下のような内容がありました。

・常に手が汚れている生活でなくなり、周りを気にしなくて良くなった

 

・収入が上がった

・残業時間が減り休日出勤もなくなったのでプライベートを楽しめている

ここまで解説してきた通り、自動車整備業界は待遇面や労働環境の改善が進められている途中です。

収入面や労働環境に対する不満の声は、今後減っていくと言えるでしょう。

ちなみに、自動車整備士を辞めて後悔する声も少なからずありました。

自動車整備士の給料が安いのはなぜですか?

自動車整備士の給料が安い理由の1つとしてあるのが「利益率の低さ」にあります。

車検や修理にかかる費用の大半は、税金や部品代であり人件費や利益はほとんどないと言われています。

ベテラン整備士だからといって車検代を上げるわけにもいかないため、給料が上がりにくいのが現状です。

しかしながら、人材不足の問題を受けて各企業では自動車整備士の待遇面を改善する動きが積極的に進められています。

年々、収入も上がってきており、上位資格を取得できればより年収を上げることも可能です。

自動車整備士は儲かりますか?

自動車整備士の平均年収は400万円台であり、他の職業と比べて突出して稼げるというわけではありません。

しかしながら、整備士として経験を積み上位資格を取得によるキャリアアップや独立開業などにより、高収入を目指すことも可能です。

必ず高収入を目指せるとは限らないものの、年収600万円以上を稼ぐ自動車整備士も存在します。

まとめ:自動車整備士の人手不足は転職したい人にはチャンス

トラックのタイヤ

自動車整備士業界は、人手不足が深刻化しており今後も簡単には改善しないと言われています。

これを受けて、各企業や国では待遇面や労働環境の改善に向けた取り組みを進めている状況です。

整備士の離職理由として多い「収入の低さ」に関しても改善傾向にあります。

人手が足りていない分、非常に需要が高いため自動車整備士を目指す人にとっては、今が大きなチャンスと言えるでしょう。

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