電気主任技術者の認定に、実務経験が何年必要なのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
免状認定に求められる実務経験は資格の種類や学歴によって異なりますが、1年から5年です。また、講習を受講すれば認定に求められる実務経験を短縮できます。
この記事では、免状の認定に1年から5年の実務経験や学歴が求められる理由を紹介します。今後、電気主任技術者としてキャリアを築きたい人は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
電気主任技術者免状の取得には実務経験や学歴が必要
免状を認定するには、テストに合格するか認定校を卒業するなどした後に実務経験を積むかの2つの手段があります。
テストに合格して免状を認定するケースでは、実務経験や学歴が求められないのがメリットです。一方で、認定校を卒業するケースは、テスト勉強の負担を軽減できますが、実務経験ならびに学歴の条件を満たさなければなりません。
【免許別】電気主任技術者免状の取得に必要な実務経験
免状の認定に求められる実務経験は、種類や学歴によっても異なります。
- 【第一種】電気主任技術者に必須の実務年数は5年
- 【第二種】電気主任技術者に必須の実務年数は3〜5年
- 【第三種】電気主任技術者に必須の実務年数は1〜3年
種類別に求められる実務経験について解説します。
【第一種】電気主任技術者に必須の実務年数は5年
第一種の認定に求められる実務経験は、認定大学の卒業者ならびに第二種の取得者にかかわらず5年です。また、短大や高専などの卒業は第一種認定の対象外です。実務経験とは、認定を目指す免状で定められた電圧以上の設備に関する実務歴を指します。
第一種の認定に求められる実務経験とは、電圧5万V以上の電気工作物における工事・維持・運用です。
認定されている大学在学中の実務経験も5年の期間に含められます。ただし、卒業前の実務は実際に従事した時間の1/2を実務経験にカウントします。
たとえば、大学を卒業するまでに2年間にわたって、定められた電圧以上の設備に関する業務に従事した場合、実務経験のカウントは1年です。
【第二種】電気主任技術者に必須の実務年数は3〜5年
第二種の認定に求められる実務経験は、学歴によって異なります。
第二種の認定に求められる実務経験とは、電圧1万V以上の電気工作物における工事・維持・運用です。
第二種の認定に、求められる実務経験年数は学歴ごとに次のとおりです。
学歴 | 実務経験年数 |
認定されている大学の卒業者 | 3年 |
認定されている短期大学もしくは高等専門学校の卒業者 | 5年 |
第三種認定者 | 5年 |
したがって、最終学歴が高校卒業の場合は、第二種の認定対象外となります。
また、第一種同様に、認定されている大学・短大・高専在学中に従事した時間も実務経験に含められます。ただし、卒業前の実務経験は第一種同様に従事した時間の1/2カウントです。
【第三種】電気主任技術者に必須の実務年数は1〜3年
第三種の認定に求められる実務経験も、学歴によって異なります。
第三種の認定に求められる実務経験とは、電圧500V以上の電気工作物における工事・維持・運用です。
学歴ごとの第三種の認定に、求められる実務経験年数は次のとおりです。
学歴 | 実務経験年数 |
認定されている大学の卒業者 | 1年 |
認定されている短期大学もしくは高等専門学校の卒業者 | 2年 |
認定されている高等学校の卒業者 | 3年 |
また、第一種・第二種同様に、認定されている大学・短大・高専・高校在学中に従事した時間も実務経験に含められます。ただし、卒業前の実務経験は第一種・第二種同様に従事した時間の1/2カウントです。
保安管理業務講習を受講すると実務経験が一律3年に短縮できる
第一種もしくは第二種の認定を目指す場合、3年を超える実務経験が求められるケースがあります。
令和3年3月1日、平成15年経済産業省告示の第249号が一部改正されました。その結果、第一種もしくは第二種の認定を目指す者が保安管理業務講習を受講すると、求められる実務経験を一律3年に短縮できます。
電気主任技術者の実務経験の積み方|5選
免状認定を目指すにあたって、資格の種類ごとに定められた電圧以上の設備に関する実務を経験しなければなりません。
実務経験の積み方は大きく分けて5つです。
- 電気主任技術者として専任するケース
- 電気主任技術者の下で業務をこなすケース
- ビルメンテナンス会社で電気主任技術者として専任するケース
- ビルメンテナンス会社で電気主任技術者の下で業務をこなすケース
- 電気保安法人の補助をするケース
それぞれの実務経験の積み方について解説します。
電気主任技術者として専任するケース
専任する場合が、最も実務経歴証明書を作成しやすいと言われています。
具体的な業務内容は、電力設備の設計・施工・保守管理、電気設備に関する書類作成、関係官庁への届出・報告などです。
専任するには、電力会社や電気工事会社に雇われたり独立開業したりするケースが一般的です。ただし、独立開業には、資金や経営ノウハウが求められるので、入念に準備しておかなければなりません。
電気主任技術者の下で業務をこなすケース
電気主任技術者の下で業務をこなすケースも実務経験の積み方のひとつです。電気主任技術者に指示・監督を受けながら、業務をこなします。
具体的には、助手として、電気設備の点検・整備・修理などをこなしたり事務を担当したりする手段です。
助手をとおして業務内容を理解し、電気設備に関する知識を身につけなければなりません。
ビルメンテナンス会社で電気主任技術者として専任するケース
ビルメンテナンス会社で、専任するケースも実務経験を積む手段のひとつです。ビルメンテナンス会社の場合、電気設備の保守・管理が主な業務です。
また、ビルメンテナンス会社によっては、専門的な研修を実施しているケースもあります。
ビルメンテナンス会社で電気主任技術者の下で業務をこなすケース
ビルメンテナンス会社で、電気主任技術者の下で業務をこなすのも実務経験を積む手段のひとつです。具体的には、ビルメンテナンス会社で、電気主任技術者の指示監督を受けながら、電気設備の保守・管理を担当する手段です。
指導を受けながら、電気設備に関する知識や技術を身につけておかなければなりません。
電気保安法人の補助をするケース
電気保安協会などに勤めているケースに限定した実務経験の積み方です。
電気保安協会の業務内容は、電気設備の点検・試験・技術指導などと言われています。
関連記事:【第三種】電気主任技術者とは?将来性が高い4つの理由
電気主任技術者の免状取得に向けて効率的に実務経験を積む方法
電気主任技術者の免状取得を目指すにあたって、効率的に実務経験を積んで早く活躍したいと考えている人もいるでしょう、
電気主任技術者の免状種類によって求められる実務経験年数は異なりますが、1年から5年必要です。
効率的に免状取得するには以下の方法があります。
- 保安管理業務講習を受講
- 認定校の在学中に実務経験を積む
少しでも早く電気主任技術者として活躍できる可能性が高まるため、ご自身の事情にあわせた方法で検討してみましょう。
関連記事:電気主任技術者はやめとけ?そうとも言えない6つの理由やメリット・年収・将来性
電気主任技術者の実務経験や免状についてよくある質問
実務経験や免状に関するよくある質問は次のとおりです。
- 電気主任技術者の実務経験証明書とは何ですか?
- 電気主任技術者の実務経験は緩和されていますか?
- 電気主任技術者の実務経験なしの場合はどうすればいいですか?
それぞれの質問について解説します。
電気主任技術者の実務経験証明書とは何ですか?
実務経験証明書とは、免状認定に求められる実務経験を証明する書類です。また免状の申請時に提出が求められます。
実務経験証明書には、職務の内容や取り扱った電気工作物の概要などを記載しなければなりません。
電気主任技術者の実務経験は緩和されていますか?
求められる実務経験年数は緩和されつつあります。たとえば、令和3年3月1日、平成15年経済産業省告示の第249号が一部改正されました。
その結果、第一種ならびに第二種の認定を目指すにあたって、保安管理業務講習を受講すると、求められる実務経験を一律3年に短縮できます。
電気主任技術者の実務経験なしの場合はどうすればいいですか?
テストに合格すると、実務経験なしでも電気主任技術者になれます。第一種ならびに第二種のテスト開催は年1回です。一方で、第三種のテストは年2回開催されています。
令和6年上期の筆記試験日は8月18日(日)、下期は令和7年3月 23 日(日)です。
テストの難易度は高いため、十分な対策をして臨みましょう。
参考:令和6年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内|一般財団法人電気技術者試験センター
電気主任技術者の実務経験や免状に関するまとめ
この記事では、免状認定に求められる実務経験や学歴について解説してきました。
免状を認定してもらうには、テストに合格するか認定校を卒業するかの2つの手段があります。認定校を卒業する場合、実務経験ならびに学歴の条件を満たさなければなりません。
資格の種類ごとに求められる実務経験は次のとおりです。
- 第一種に求められる実務年数:5年
- 第二種に求められる実務年数:3〜5年
- 第三種に求められる実務年数:1〜3年
また、保安管理業務講習を受講すると、求められる実務経験を3年に短縮できます。
電気主任技術者を目指しているのであれば、自分に合った効率的に免状認定してもらえる手段を模索してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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