電験三種は電気業界での需要が非常に高く、特別な受験条件がないことから、毎年多くの人が試験に挑戦しています。
未経験から資格取得を目指す場合、どれくらいの人が合格しているのか、試験の難易度が気になるという方もいるでしょう。
また、資格取得で後悔しないためには、電気主任技術者の将来性や実情を理解しておくことも重要です。
今回は、電験三種試験の難易度を中心に、取得メリットや仕事の辛さについて解説します。
【この記事のまとめ】 ・電験三種試験の合格率は10%前後で推移しており、難易度は高め ・試験に特別な受験条件はなく、科目免除制度もあるため取得自体が難しいわけではない ・資格取得により電気業界で長く活躍できるだけでなく、独立も目指せる ・あらゆる施設の電気工作物を保安、監督するため、責任が大きく大変 |
電験三種の難易度は合格率10%前後で難しい
電験三種は「第三種電気主任技術者」が正式名称で、三種の他に一種と二種が存在します。
事業用電気設備の保安監督は、電気主任技術者の独占業務であり、第三種は扱える設備の規模が最も狭く設定されています。
3種類の中では難易度が低いとされているものの、例年の合格率は約10%前後で推移しており、難易度は高めと言えるでしょう。
試験実施年度 | 全科目合格率 | 科目合格者 |
令和5年上期 | 16.6% | 32.8% |
令和4年下期 | 15.7% | 28.7% |
令和4年上期 | 8.3% | 29.4% |
令和3年 | 11.5% | 32.5% |
令和2年 | 9.8% | 30% |
令和元年 | 9.3% | 32.1% |
電験三種の試験は、年に2回実施され出題される各科目で合格基準を上回れば合格です。
合格基準に満たない科目が1つでもあった場合は不合格となるものの、次回からの試験では合格した科目が免除となります。※5回分の試験まで
そのため、受験者の中には1発合格を目指しておらず、複数回の科目合格で資格取得を目指す人もいます。
受験資格に関しても、特別な条件はなく誰でも受けられることを踏まえると、資格取得する難易度自体はそこまで高くないと言えるでしょう。
関連記事:電気主任技術者に向いている人の特徴|ホワイトな職場の見つけ方
電験三種を取得する3つのメリット
第三種電気主任技術者は、電気保安業界にとって欠かせない存在であることから、毎年多くの人が受験しています。
電験三種を取得するメリットには、以下のような内容があります。
・市場価値があがり給料アップにつながる
・将来的に独立もできる
・会社をクビになっても食いっぱぐれない自信ができる
電気保安業界における電気主任技術者の役割を踏まえながら、3つのメリットについて解説します。
市場価値があがり給料アップにつながる
事業用電気工作物は、あらゆる建物に設置されており、それを保安・監督する電気主任技術者は人々の生活に欠かせない存在です。
保安・監督業務は、電気主任技術者でなければ携われないため、市場価値が下がることはありません。
従事できる業務範囲が広がるのはもちろん、電気に関するスキルや知識の証明になるため、昇給や昇格にも役立てられます。
電気主任技術者に対して、資格手当を支給している企業も多くあります。
将来的に独立もできる
電気事業法では、事業用電気工作物の設置者に対して、電気主任技術者の選任が義務付けられています。
そのため、非常に需要が高く電気主任技術者として経験を積むことで、将来的に独立も目指せます。
電気工作物の保安・監督業務の案件は数多くあり、月収50万円を超える案件も少なくありません。
事業主としての業務もこなす必要がある一方で、働き方が自由になるだけでなく、会社員時代よりも高収入を目指すことも十分可能です。
会社をクビになっても食いっぱぐれない自信ができる
事業用電気工作物は、ビル・商業施設・学校・病院・工場など、あらゆる施設に設置されています。
これらの事業用電気工作物を保安・監督業務できるのは、電気主任技術者だけであるため、将来的にも需要が落ちることはありません。
電気主任技術者を優遇する求人は数多くあるため、仮に勤めている会社で働けなくなったとしても、仕事探しで困ることはないと言えるでしょう。
また、電験3種を取得できればより好待遇な会社への転職にも役立てられます。
電験三種の仕事がきついと思う瞬間|3選
電験三種についてネット上で調べると「やめとけ」「きつい」といった、ネガティブな情報も見受けられます。資格取得を目指す一方で、不安に感じる人も少なくありません。
電気主任技術者の仕事がきついと言われる主な理由は3つあります。
・業務に対する責任を取らないといけない
・対応する業務が増えてブラック労働になった
・出張や転勤に対応しないといけない
上記3つの理由について、電気主任技術者の声も踏まえながら解説します。
業務に対する責任を取らないといけない
電気は人々の生活に欠かせないものであり、電気設備の管理で不備があり事故が発生した場合には、多くの人に影響が及びます。
電気設備の故障で、漏電による火災が発生する可能性もあり、電気主任技術者の業務には大きな責任が伴います。
高圧の電気工作物を扱うことから、感電の恐れもあり危険性も決して低くありません。
誰でもこなせる仕事でない分、背負う責任は大きいと言えるでしょう。
対応する業務が増えてブラック労働になった
オール電化や電気自動車など、人々の電気利用が年々増える中で、電気主任技術者不足が問題となっています。
現役の技術者は50代や60代の割合が高く、引退する人が今後増えていくことから、さらに人手不足が深刻化すると予想されています。
そのため、電気主任技術者の負担はどんどん増していくと予想されており、会社によっては連日の残業が当たり前になる可能性もゼロではありません。
「人手不足で、担当する事業所が多いから帰宅が夜になることがほとんど」といった声がありました。
出張や転勤に対応しないといけない
事業用電気工作物の点検・保守業務は、いつでもできるわけではなく、各施設の都合に合わせる必要があります。
日中の作業が難しい施設もあるため、夜間にかけての作業も珍しくありません。
また、担当する事業所でトラブルが発生した場合には、すぐに駆け付ける必要があります。
全国に支店がある場合は転勤もあるため、ワークライフバランスを保ちにくい仕事と言えるでしょう。
「他の技術者と交代で休みは取っているが、旅行などで連休を取る際には気を遣う」といった声がありました。
関連記事:電気主任技術者はやめとけ?そうとも言えない6つの理由やメリット・年収・将来性
電験三種の難易度に関係するよくある質問
最後は、電験三種に関する3つのよくある質問に答えていきます。
・電験三種は何年で合格できますか?
・電験三種の難易度を大学でいうとどのくらいですか?
・電験三種の年収はいくらですか?
資格取得にかかる時間や収入に関する内容ですので、受験を検討するうえで参考にしてみてください。
電験三種は何年で合格できますか?
電験三種の取得に必要な勉強時間は約1,000時間と言われており、取得にかかる期間は以下の通りです。
・1日2時間の勉強:1年5ヵ月ほど ・1日3時間の勉強:11ヵ月ほど ・1日4時間の学習:8ヵ月ほど |
一発合格を目指す場合の目安として参考にしてみましょう。ただし、受験者の中には科目別合格で取得を目指す人も多く、2〜3年かかるケースも珍しくありません。
電験三種の難易度を大学でいうとどのくらいですか?
電験三種の難易度を大学受験に例えると、中堅〜難関大学の受験と同じくらいのレベルと言われています。
偏差値は55〜58とされており、難易度はかなり高いと言えるでしょう。
ただし、一発合格の他に科目別合格制度も用意されていることから、資格取得自体の難易度はそこまで高くないと言えます。
電験三種の年収はいくらですか?
第三種電気主任技術者の年収に関する公的なデータはないものの、400〜500万円と言われています。
他の職種と比べて突出して高いわけではないものの、技術者として経験を積むことにより、年収600万円以上も十分に目指せます。
キャリアアップを目的とした転職はもちろん、技術者としての独立も可能です。
電験三種の難易度についてのまとめ
電験三種試験の合格率は毎年10%前後で推移しており、難易度の高い資格と言えます。
そのため、科目別合格で数回に分けて資格取得を目指す人もいます。
あらゆる施設の事業用電気工作物の保安・監督を担っており、将来性の高い職種の1つです。
決して楽な仕事ではないものの、電気業界への就職を目指している人におすすめの資格ですので、取得を検討してみてください。
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