建築工事の中で、配管工事を専門に行う職人が配管工です。
配管と言っても一般家庭の給水装置関連の工事から工場などでの配管工事は様々です。
今回は配管工のなり方や工事にはどのような種類があり、作業にはどんな知識が必要なのか、関連資格の取得方法などについて詳しく解説してきます。
配管工とは:住居や工場の配管工事をおこなう人
配管工とは水道などの給排水や空調、ガスなど管工事を行う職人であり、建築工事には欠かせない存在で使用用途により、塩ビ管や鋼管などを使い分け、管同士をつないで設置していく作業を行います。
家や工場、病院など管工事を必要とする建築物は多く、最近では既存の建物の老朽化によりメンテナンス業務なども増加してきています。
配管工として働く場合、必要な学歴や資格はなく就職後に様々な現場で知識や技術を身に着けていく流れとなります。ただし、配管工はきついと感じる仕事もあるため、あらかじめ仕事内容はしっかりと確認しておきましょう。
配管工になる方法について
配管工を目指す場合、学歴や資格が必要ないためほとんどの場合が、管工事関連の会社に入社して一から学んでいく流れとなります。
建築関係の専門学校や大学は多くあるのですが、配管に特化した学校はほとんどありません。
建築士などを目指す上で配管の知識などを学ぶことはあるのですが、配管工を目指す場合は進学するよりも就職をするのが一番の近道と言えます。
就職後、更に配管工としてキャリアアップを狙う場合は、関連資格を取得することで仕事の幅などを更に広げることが可能です。
配管工の仕事内容について
配管工は様々な建築物で配管をするのが仕事となるのですが、その建物や工事内容によって必要な知識や技術は全く異なります。
配管工事内容ごとに、どのような作業内容や特徴があるのかを見ていきましょう。
ガス配管工・医療ガス配管工
住宅やマンションなどに、ガスを供給するための配管工事を行います。
ガスは漏れてしまうと中毒を起こしたり、火の気がある場所では爆発の恐れがありちょっとしたミスにより大事故が起こる恐れがあります。
また医療関係の施設では酸素や笑気ガス、液化窒素を扱い、漏れや配管ミスにより使用できなくなった場合、人命に関わるため中を通る液体や気体の特性や専用の配管技術が必要です。
空調配管工
ビルなどの大型施設は、冷暖房の配管が多く整備されており、ボイラーなどから各部屋の空料設備に蒸気や冷温水、冷房などが供給されています。
このような施設は利用スペースや住居スペースをなるべく広く確保するため、パイプスペース(PS)はとても狭く設計されています。
作業しにくく長時間となった場合でも、漏れや配管ミスがないように高い集中力が必要です。
衛生配管工
給排水に関わる配管工事を行います。
配管の中を通るのは飲水や浴室やトイレなどで使用する生活用水で、水道本管から住宅まで配管を行い水道メーターまでつなぐ仕事と、そこから住宅内の各設備に配管する作業に別れています。
排水などは使用していくうちに汚れなどが溜まっていくため、設置後には排水桝(ゴミや汚れによるつまりをなくす設備)の定期的な点検なども必要です。
また、下水関連の工事は既に使用されているものを拡張したりする場合、中でガスの漏洩が起きていたりする恐れもあり中毒に注意が必要な他にも、突然発生するゲリラ豪雨などによる事故にも注意が必要です
プラント配管工
プラントとは工場などの設備のことでその配管を行います。
ビルや一般家庭とは違い、鉄鋼所や化学工場では熱湯や化学薬品、高圧蒸気などが通る箇所が多く設置ミスや漏れがあった場合、大事故につながる恐れがあります。
そのため一般の配管工が作業することはほとんどなく、プラント専門の配管工が配管をします。
管内を通るものが薬品などによって配管の素材も鉄やプラスチック、ステンレスなどその箇所にあった素材を選択し、配管を行います。
防災設備配管工
ビルなどの大型施設にあるスプリンクラーは、消防法で設置義務が定められており、屋上にある給水塔から各フロアに配管を行うのが防災設備配管工事となります。
いざという時に十分にその機能を発揮できるようにするためには、専門の知識が必要です。
配管工事の流れ
配管工事は上記で説明したように、施工箇所や設備によって配管方法などが変わります。
一般的な住宅での給排水の配管工事の場合、まずはじめに使用する材料やパイプを現場に搬入していきます。
住宅の場合、バスタブや洗面台も同時に設置することが多いため、傷をつけたりしないように慎重な積み下ろしが必要です。
パイプは箇所によって曲げたりする必要があるのですが、既に曲げた状態で搬入する場合もあれば、組み立てながら現合で調整することもあり、長さなどについても同様です。
配管工事に使用する主な道具
配管工事は設計図を元に配管していくのですが、予定していた長さと合わなかったり、他の設置物の兼ね合いで変更となることがあります。
また、複雑で組立前に正確な寸法がわからない場合も、現合で長さを測り設置することも当たり前にあります。
そのため、工事には様々な道具が必要でその種類には下記のようなものがあります。
【全ねじカッター】
配管などを固定する時などに使用するネジは現合になることが多く、実際に長さを計測してカットすることがほとんどです。
そのような時に簡単にねじをカットできるのが全ねじカッターです。
【パイプソー】
パイプを切断するために使用する道具で見た目はノコギリのような感じです。
【パイプレンチ】
配管を掴みナットや結合部にねじ込む時に使用するもので、歯の溝が薄くなっているため配管を傷付けにくくなっています。
【サンダー】
パイプの切断を行うために使用するもので、電動となっているためパイプソーよりも分厚いものなどが素早く切断しやすいことが特徴です。
【カッター】
ものを切ったりするのに使われるのはもちろん、配管では塩ビ管を切断した後のばりをとったりするのにも使用されます。
【プライヤー】
ペンチなどとは違い、アゴ部分が大きく開くため太いパイプやボルトがつかみやすいことが特徴です。
【ラチェットレンチ】
一方方向にだけ回せるようになっているため、普通のレンチよりも素早く回し固定することが可能です。
回す方向も変えることができるので締めるときも緩めるときにも使用できます。
【水平器】
パイプやそれを支持する金具に乗せることで傾きなどを図ることができます。
【モンキーレンチ】
普通のレンチと違い、掴む部分の広さを調整できるため、一つあれば様々な大きさのナットに使用することが可能です。
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配管工に関する2つの資格
配管工になるために最初から必要な資格は無いのですが、キャリアアップを目指す上で取得すべき資格はいくつかあります。
どのような資格で、配管工事においてどのような役割となるのかを見ていきましょう。
配管技能士
配管技能士とは、給水装置やガス管など配管に関する専門知識や技術を証明する国家資格であり、取得することで配管工としての信頼を得やすくなり、会社によっては手当がつくので収入も上げることが可能です。
配管技能士は「プラント配管作業」と「建築配管作業」に分かれており、プラント配管作業には1級と2級、建築配管作業には1級、2級、3級があります。
試験内容はどちらとも共通した学科試験とそれぞれに必要な実技試験が行われます。
配管技能士の試験には級ごとに以下のような受験資格が定められています。
・3級配管技能士の場合
条件なし
・2級配管技能士の場合
職業訓練校や専門学校を卒業している場合は実務経験が不要
3級配管技能士を合格している場合は実務経験が不要
上記どちらでもない場合は実務経験が2年以上
・1級配管技能士の場合
学歴やその他試験合格状況により大きく変わります。
実務経験のみであれば、2級合格後であれば実務経験が2年以上、3級合格後 であれば実務経験が4年以上、いきなり1級を受ける場合は実務経験は7年以上となります。
学歴ごとの受験資格については「各都道府県職業能力開発協会」で詳細を知ることが可能です。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士とは、配管技術や知識があることを前提に管工事全体の管理を行います。
管工事全体を4大管理である「品質」「安全」「工程」「原価」を元に作業ごとに試験や写真撮影をして品質の証明やチェック、作業自体の安全性や環境の整備を行います。
また、天候不良や資材の納期遅れなどにより工事が予定どおりに進まなかった場合においても、再度段取りを組み直したり、人員の配置を変更し工事での利益確保をする必要があります。
管工事施工管理技士には1級と2級があり、2級の受験資格は以下の通りとなります。
・一次試験
17歳以上であれば学歴など関係なく受験可能
・二次試験
一次試験に合格しており次の受験資格を取得していること
大学、専門学校(高度専門士)で指定学科を卒業している場合 | 卒業後に1年以上の実務経験 |
大学、専門学校(高度専門士)で指定学科以外を卒業している場合 | 卒業後に1年6ヶ月以上の実務経験 |
短大、高等専門学校、専門学校(専門士)で指定学科を卒業している場合 | 卒業後に2年以上の実務経験 |
短大、高等専門学校、専門学校(専門士)で指定学科以外を卒業している場合 | 卒業後に3年以上の実務経験 |
高等学校、中学、専門学校(高度専門士、専門士以外)で指定学科を卒業している場合 | 卒業後に3年以上の実務経験 |
高等学校、中学、専門学校(高度専門士、専門士以外)で指定学科以外を卒業している場合 | 卒業後に4年6ヶ月以上の実務経験 |
その他 | 8年以上の実務経験 |
技能検定合格者 | 4年以上の実務経験 |
管工事施工管理技士は管工事を管理するのが仕事となりますが、それとは別に建築工事を行う場合、その請負額によって「主任技術者」「監理技術者」を専任する必要があります。
2つとも国家資格となり、管工事以外も監理する必要が出てくるため、更に高い知識と能力が必要となり、他の工事管理技士とも連携を取らなければなりません。
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配管工に関するまとめ
今回は配管工について解説してきました。
配管工は関連工事会社に就職し、実際の工事を通じて知識や技術を学ぶことで一人前として活躍することができます。
配管工事にはガス配管や空調配管、衛生配管、プラント配管、防火設備配管などがあり、パイプの中を何が流れるのかなどにより材質を変えたりと工事ごとにより専門的な知識が必要となります。
また、配管工としてキャリアアップを目指す場合、配管技能士や管工事施工管理技士を取得することで、更に仕事の幅を広げることが可能です。
生活に直結する配管工事は今後も需要があり、将来性のある職業と言えます。
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