タクシーの車体上部にある行灯(あんどん)。なぜ設置しているのか?どういう目的があるのかご存じですか?
ここでは行灯の目的や気になる部分について詳しく紹介しています。タクシーの見方が少し変わるのでぜひ最後まで読み進めてくださいね。
そもそも行灯ってなに?
行灯(あんどん)とは、古くは照明器具として使われていました。電気がなかった時代、ろうそくや油脂を燃料として火を光源としていました。しかし、風などで火が消えてしまうため、周囲に竹や木などで枠を作り、そこに和紙を貼り合わせて風よけをして灯をともしたものを行灯といいます。
行灯は持ち運びするものであったため、「行」の字が使われています。
タクシーに行灯がついている理由
タクシーの車体上部には行灯が必ずついています。正式には「社名表示灯」と呼ぶのですが、社名を表示させる以外にも5つ目的があります。それぞれ紹介していきましょう。
空車かどうか知らせるため
タクシーの行灯がついている状態は空車、消えている場合は誰かが乗車しているというルールが一般的に広まっています。
そのため、タクシーを拾いたいお客さんがすぐに判断できるようにしているのです。ただし、地域によっては賃走中であっても行灯がついていることがあります。必ずしもこのルールが適用されているわけではないことを覚えておきましょう。
SOSを知らせるため
行灯が赤点滅している場合は強盗などが起きており、乗務員がSOSを送っていると知っていますか?
実は行灯を設置した理由は防犯上の目的があったためです。
第二次世界大戦が終戦した後、日本ではタクシー強盗が多発していました。タクシーには現金を積んでいる点、乗務員は前を向いている状態であるためにお客さんが何をしているか分かりにくい点があります。
終戦後は貧困からあまり治安が良くない状態が続いていました。そういった背景とタクシーの問題点が合わさってタクシー強盗が相次いでいたのです。
これを問題として1960年に装着を義務化するようにしました。
エントツ行為を防ぐため
エントツ行為とはタクシーメーターを操作せずに運賃を乗務員が着服する行為のこと。以前のメーターは空車表示が旗をあげるように立っており、それがエントツのように見えたことからこの名前がつきました。もしお客さんが乗車すると横に倒します。
しかし、お客さんを乗せてもメーターをつけずに運転し、目的地に到着後に「メーターを回すことを忘れたのですが、いつもどれくらい支払っていますか?」ととぼけたふりをして伺います。
お客さんがこれくらいと伝えると少しそれよりは割安にして料金をとり、そのまま懐にいれるため犯罪行為となります。お客さんは安くしてもらっているため、気にしない方が多く見つかりづらいことが問題視されています。
現在はこのシステムではなくボタンを押してメーターを回すようにしていますが、今でもエントツ行為という言葉は残っています。
違法タクシーとの区別をつけるため
いわゆる白タクと呼ばれる無許可タクシーとの区別をつけるために行灯を設置しています。タクシーは国から認可が下りた会社や個人事業主でないと営業ができません。もし無許可で営業をすると犯罪行為として厳しく処分されます。
行灯はタクシーに設置することが義務付けられているため、これで区別ができるようになっています。
また、違法タクシーとの区別以外でもタクシー会社の利益を守ることや事故を防ぐことにもつながっています。タクシー運転手になるためには普通免許第二種という厳しい関門をクリアしないといけないため、技術が伴っていることの証明にもなります。
技術力が伴っていない違法タクシーを利用させないためにも行灯が設置されているのです。
利用者がタクシーを選びやすい
タクシーを頻繁に利用する方は特に愛用しているタクシー会社があります。行灯には会社名や会社のシンボルマークが描かれているため、それを見てタクシーを選ぶ人も少なくありません。
タクシーの行灯に関するQ&A
タクシーの行灯に関するよくある質問をまとめました。
①タクシーの行灯は個人でも購入できるの?
過去に使われていたものが購入できます。昔利用されていたものはオークションなどで販売されています。ヤフオクなどで検索すると出てきますよ。
また、アマゾンなどで模造品が販売されています。もちろん趣味の範囲で楽しむものなので、車体につけることは法律違反となります。その表示灯を利用してタクシー行為を行った場合はさらに厳しく罰せられるので絶対にやめましょう。
②なぜハイヤーには行灯がついていないの?
ハイヤーには行灯の設置が義務付けられていません。その理由はタクシーとの違いにあります。
タクシーは公共交通機関として気軽に利用されるもの。街中を走ってお客さんに拾ってもらいます。
しかし、ハイヤーは個別輸送機関という部類に入ります。基本的に完全予約制でタクシーのように街中で拾って乗ることができないため、普段は営業所に配置しています。
今では身近になりましたが、そもそもは海外からのVIPや会社役員の移動、官公庁への訪問などに利用されていました。ハイヤーに使われる車両は高級車であるため、品格や高級感を大切にしています。ハイヤーの高級なイメージを守るため、行灯を取り付けていません。
またメーターも極力目立たない場所に設置しています。
③行灯に星印がついているのはなに?
個人タクシーの行灯には星印がついていることがあります。これは一般社団法人全国個人タクシー協会が行っている「優良個人タクシー事業者認定制度」によるものです。
これに参加したものは1つ星が与えられ、その後1年間認定基準に触れていないと2つ星が与えられます。その後さらに1年以上問題なく営業しているとマスターとして認定されて、三つ星の入った行灯が貸与されます。
これは1年更新となるため、毎年更新が義務付けられています。
④同じ会社でも行灯が少し異なるのを見つけた
タクシー会社の中には行灯で話題を集めているところがあります。
東京都内を走る日本交通は5,000台タクシーを所有していますが、その中に7台だけ桜色の行灯を設置したタクシーがあります。SNSなどで幸運のタクシーと話題になったほどで、このタクシーを見つけるだけでもラッキーなのですが、乗車すると記念乗車証がもらえます。
この幸運のタクシーは京都にあるヤサカタクシーが起源と言われています。
ヤサカタクシーは行灯に三つ葉マークが描かれているのですが、1,300台中4台だけ四つ葉マークが描かれています。これに乗車すると幸運が訪れると話題になりました。
この話題から着想を得た日本交通が幸運のタクシーを開始する前にヤサカタクシーに許可を求めたと言われています。
まとめ
タクシーの行灯にはさまざまな目的があることがわかりました。
タクシー会社によっては乗務員の技術レベルによって行灯の色を変えるなど、個性を出しているところがあってなかなか面白いです。
タクシーを拾う際は一度行灯をしっかり見てみると新しい発見が見つかるかもしれませんよ。
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